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インフルエンサーのマネばかりする人は愚かである…ブッダが死の直前に弟子に遺した"重要な教え"

プレジデントオンライン / 2023年3月13日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ViewApart

チャンスをつかむにはどうすればいいか。福厳寺住職でYouTuberの大愚元勝さんは「他人の言葉を鵜呑みにする人や、自分の現状を受け入れられない人は、人生の重要な場面でチャンスをつかめない。仏教の教えの中には、こうした悪い習慣を変えるヒントがある」という――。

※本稿は、大愚元勝『これでは、不幸まっしぐら 今すぐ変えたい30の思考・行動』(佼成出版社)の一部を再編集したものです。

■「インフルエンサーが言っているから」の危険性

近年、SNSが社会に浸透し、「インフルエンサー」と呼ばれる職業が生まれました。強い発信力をもち、人々に影響を与える人たちのことを指した呼び名です。最近では、ファッションモデルだけでなく、カリスマ経営者や普通の大学生グループなど、多岐にわたるジャンルでこのインフルエンサーが増えているように感じます。彼らが動画等で紹介する商品はインターネット上で大きな反響を呼び、すぐに在庫が無くなってしまうものもあるようです。

危険なのは、こうした人たちの言うことを妄信的に信じてしまう人がいることです。洋服やお菓子など、趣味の範囲でインフルエンサーが紹介しているものを購入する分には大きな危険はありませんが、投資など、多額のお金が絡むこととなると、危険性は一気に増します。

「サラリーマンの時代は終わった。マンション投資で不労所得を得よう」「これからは投資の時代。小さな会社を買収してM&Aで大きくすれば、オーナー経営者の仲間入りだ」「いま仮想通貨を買っておけば十年後には間違いなく倍額になる」など、「あのインフルエンサーが言っているから」と鵜呑みにして行動してしまう人も少なくないようです。

■その情報は自分から求めてたどり着いたものか

「いやいや、会ったこともない人の意見を鵜呑みにしたりしないでしょ」と考える人もいるでしょう。ですが、残念ながら世の中では鵜呑みにして痛い目を見てしまう人が少なからずいるのです。

私たちが意図していないところで、年齢や性別、趣味・趣向や考え方などのあらゆる情報が、スマートフォンを通じて分析されています。そして、さも自分から求めてたどり着いたかのように思える方法で、日々あらゆる情報を受動的に受けとっているのです。

能動的に情報を求めていたつもりが、いつの間にか誰かが恣意(しい)的に発信する情報を与えられ、さも探していた情報にたどり着いたかのような錯覚をしてしまうのです。よく知らないはずのインフルエンサーの発言も、初めて聞いたような気がせず、親近感を覚えて信用してしまう、ということが起こりうるのです。

■脳を意図的にコントロールしている存在

これはあくまでわかりやすい一例にすぎませんが、実際には言葉で説明することも難しいようなアルゴリズムによって、私たちは無意識に情報を刷り込まれています。すると、自分で物事を考える能力がだんだんと衰えていってしまうのです。

それゆえに、投資や転職などのライフプランなど、しっかりと後先を考えて長考することが大切な決断も、誰かの発言に影響されてよく考えずにしてしまうことになるのです。

私たちの脳は、自分が欲している情報を得ようというバイアスのもとに働いているのですが、それを意図的にコントロールしている存在がある、くらいに考えても過言ではないと思います。考える力が衰えた人にとって、力強く決断を下すための材料を提供してくれる人は非常に頼もしく思えますから、妄信的に信じることにつながっていくのです。

■人生の重要な決断も他人に委ねるようになる

自分が誰かの考えに強い影響を受けていることを自覚できないと、ますます自分で考える能力が衰えていきます。強い意見を言ってくれる人が、頼りがいがあるように見えたら要注意です。なるべく自分で考えなくてもいいような、楽な道(その先には大変ないばら道があるわけですが)へ片足を入れているサインだと思ってください。

初めは小さな意思決定へのヒントを求める程度だったのが、次第に、自分の人生にとっての重要な決断でさえも、他人に判断を委ねるようになっていく末路が待っています。

資本主義社会のもとでは、多くのことがお金で動いています。これはSNSに限らず、日常のサービスでも同じですが、企業は自社の商品を購入してもらうために、いかに消費者が「考えないようにするか」を考え、宣伝のための努力と工夫を凝らしています。

たとえば、「老後二千万円問題は、マンション投資で解決」「サプリを飲むだけで、つらい腰痛がなくなります」など、にわかには信じがたいことでも「老後の不安がこれで解消されるならやってみようかな」「飲むだけで腰痛がなくなるならうれしいわ」と、あまり深く考えずにサービスにお金を払うように仕向けているのです。

ここには怪しくて極端な例をあげましたが、もちろん、優良なサービスもあります。ここで指摘しているのは、宣伝文句も含め、耳当たりのいい他人の言葉を鵜呑みにすることで、利用されたり、決断を誤ったりするリスクが大きくなっていくということです。それを防ぐためには、自分自身で経験を積み、しっかりと自分ごととして物事を考える訓練が必要なのです。

■ブッダは「私の教えを信じなさい」と言わなかった

お釈迦さまが涅槃(ねはん)に入られるとき、阿難(あなん)という弟子が次のような質問をしました。「釈尊(しゃくそん)亡きあと、私たちは何を拠り所としたら良いのでしょうか」。阿難は誰よりもお釈迦さまの近くにいて慕っていた弟子の一人ですが、いざ釈尊が入滅されるそのときを迎え、不安になったのでしょう。

そんな阿難に対して、お釈迦さまは「自分自身を灯明(とうみょう)としなさい」「法を灯明としなさい」と説かれます。これを「自灯明・法灯明」の教えといいます。

ブッダ像の顔
写真=iStock.com/Beboy_ltd
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Beboy_ltd

絶大な影響力をもって修行僧や衆生を教導していたお釈迦さまは、「私の教えを信じなさい」とはおっしゃりませんでした。弟子が自分自身を信じること、そして真理である法を拠り所にしなさいと説かれたのです。

カーストの階級制度など、当時のインド社会の文化的な背景もありますが、他人を拠り所にすれば他人の“奴隷”となり、他の人の人生を生きることになってしまうと、お釈迦さまは考えられたのだと思います。あくまで、自分の人生の舵は自分で取ること。最終的な決断をするのはいつも自分であり、その自分が拠り所にしていいのは、絶対普遍の真理だけだと心得ておくことが大切なのです。

そう考えれば、自分ではない他人の意見を鵜呑みにすることがいかに愚かなことかがわかります。あなたの人生の決断を他人に委ねたりしてはいけないのです。

■悪い習慣を変えるにはどうすればいいか

「早く寝なければいけないとわかっているけど、スマホを見て夜更かししてしまう」「タバコやお酒を控えたいと思うけど、やめられない」「先送りにしてはいけないとわかっているけど、集中して取り組むことができない」――。人間は、理想的な状態を求める生き物でありながら、こうした悪習慣を変えられないで悩む愚かな生き物です。

生活における習慣だけでなく、「つい不満を言ってしまう自分を変えたい」「誰かと一緒じゃないと何もできない自分を変えたい」と、性格そのものを変えたいという悩みをおもちの方も、相談者のなかには大勢います。

「わかっているけど、できない」。これがまっとうな人間だということを初めに伝えておきたいと思います。変わりたいのに、変われないという悩みを人間が抱え続けてしまう最大の原因は、「自分の意志で変えられる」という誤解から生じています。

残念ながら、人間は良くないと思っている習慣を自分の意志で変えられるほど強い生き物ではないのです。このことを理解せずして、人は変わることができないと思っていいでしょう。

■「変わらないといけない。でも、できない」

もう一つ、変われない人がもつ原因があります。それは、「本気で変わりたいと思っていない」ということです。つまり、変わる覚悟がない。「どこかにある『方法論』が、ダメな自分を変えてくれるのではないか」という甘えが背景にあります。

そもそも本気で変わりたいと思っていない人は、その時点で自らを変えることは困難でしょう。しかし、たとえ意志があったとしても、自分の意志によって変えられると信じ、やみくもに挑戦しては失敗を繰り返すだけです。すると、次第に人間は自信を失っていきます。「自分はなんて意志が弱い人間なんだ」「一生、この怠惰な性格は直らないのかもしれない」「自分は、できる人とは違う人間で、いつまでも成功することはできないんだ」と卑屈になっていくのです。

座ってうなだれる人のシルエット
写真=iStock.com/kumikomini
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kumikomini

今度は、挑戦すること自体をやめてしまうことになります。かといって、完全に諦めることもできず、心はよくない習慣をもっている自分自身を受け入れられないため、「このままではダメだ。変わらないといけない。でも、できない」という強烈なストレスに身をさらし続けることになります。

■環境を変えて、よき習慣に上書きする

たとえば、夜眠りにつくことができず、朝も早く起きられない。学校や仕事にも遅刻する癖がついてしまい、早く悪習慣を変えなければ社会的な信用も失いかねない深刻な悩みの場合もあります。これは心身に多大なストレスを与え、状況をより悪い方向へ向かわせることにもなりかねません。

では自分の意志で変えられない習慣をどう変えたらいいのか。それは、環境を変えることです。環境を変えるのが有効なのは、いままでの習慣が崩れることにあります。何も考えずに過ごしてきた習慣を、新しいよき習慣に上書きしていくチャンスがそこに生まれるのです。

道元禅師の教えに「行持(ぎょうじ)」があります。これは、禅僧にとってはとても大切な教えであり、この行持がすべてといっていいほど欠かせないものです。行持とは、わかりやすくいえば、日々の自分の習慣のことです。話す言葉の習慣、心に何かを思う習慣、何かをする習慣など、すべての行ないや活動を示します。

■修行僧が出家し、規律の中に生きる理由

道元禅師は、僧侶が真に僧侶たり得る存在であるかどうかを左右するのが、この「行持」であると考えました。なぜなら、心に思うことが言葉にあらわれ、行動につながっていくからです。だからこそ、一つひとつの「行持」を徹底的に見つめて、丁寧に真剣に行じていきなさいというのが道元禅師の教えだったのです。

大愚元勝『これでは、不幸まっしぐら 今すぐ変えたい30の思考・行動』(佼成出版社)
大愚元勝『これでは、不幸まっしぐら 今すぐ変えたい30の思考・行動』(佼成出版社)

修行僧がなぜ出家をするかといえば、これまで身につけてきた世俗的な考え方やなにげない悪い習慣を変えるためにあります。朝は早く起き、食事の時間から掃除、洗濯などあらゆる行ないを決まった型のなかで、しかも集団で実践していく。ここに自分の悪い習慣を入れ込む余地はありませんし、自分を変えようという意志すら必要なく、いやおうなしに新しい習慣を植え付けられることになるのです。

仏道だけでなく、武道でもスポーツの世界でも、あるいはビジネスの世界でもそうですが、超人的な習慣力をもっている人の多くが、そうなりたいという願いをもって環境を変えているのです。自分の意志だけでは変えられない弱さを知っているがゆえに、強くなりたいボクサーはジムに入会します。強くなりたい空手家は、よい師のいる道場に入門します。彼らに強い意志があれば、ジムにも道場にも行く必要はなかったはずなのです。

■悪い習慣を見つめ、崩せる環境に身を置く

実家で暮らしていて、家族に甘えてしまう習慣を変えたい人は、「一人暮らし」をすることもいいでしょう。自宅では勉強に集中することができない人は、学びたいことに精通した先生を探し、その人のもとへ学びに行くことでもいいかもしれません。朝早く起きることを習慣づけたい人は、朝活に参加して、「起きて行かざるを得ない状況」を作り出すことも大事だと言えるのです。

もしも、物事がうまくいっていないと感じている人は、自分の日々の習慣がそもそも「うまくいかない習慣」になっているのだと思う必要があります。まずは自分を苦しめている悪習慣が何なのかを見つめる。そして、これまで自分が身につけてきた小さな悪習慣である「行持」を、ぜひ崩せる環境に身を置いてみてください。

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大愚 元勝(たいぐ・げんしょう)
佛心宗大叢山福厳寺住職、(株)慈光グループ代表
空手家、セラピスト、社長、作家など複数の顔を持ち「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。僧名は大愚(大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意)。YouTube「大愚和尚の一問一答」はチャンネル登録者数57万人、1.3億回再生された超人気番組。著書に『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社)、『最後にあなたを救う禅語』(扶桑社)、最新刊としてYouTube「大愚和尚の一問一答」のベスト版として書籍化した『人生が確実に変わる 大愚和尚の答え 一問一答公式』(飛鳥新社)がある。

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(佛心宗大叢山福厳寺住職、(株)慈光グループ代表 大愚 元勝)

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