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自分はそこそこ仕事ができるほう…"できない人"ほど自分の実力を過大評価してしまう心理学的理由

プレジデントオンライン / 2023年3月11日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/champja

人は一般的に、自分の実力を過大評価しがちです。こうした傾向は、とくに実力不足の人に顕著に見られ、実際の成績と自己評価の間のギャップが大きくなったりします。なぜ、自己評価をする際に認知バイアスが生じてしまうのか。ビジネスシーンで陥りがちな2つの認知バイアスを解説します。

※本稿は『イラストでサクッとわかる! 認知バイアス』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■誰もが認知バイアスに縛られている

「自分だけは大丈夫」
「そうなると思ってた」
「あの人って○○だよね」

日常生活の中で、知らず知らずのうちにこうした言葉を口にしていないでしょうか?

私たちは何かを判断するときに、自らの思い込みやこれまでの経験、直観や先入観、願望など偏った思考によって、合理的でない判断をしてしまうことがあります。

心理学ではこれを「認知バイアス」と言います。

この“思考の偏り”は日常生活のあらゆる場面に潜んでいて、無意識のうちに誰もが縛られています。

なかには「私は客観性があるほうだから」「いつも合理的に考えているから」などと、「自分は大丈夫」と考えている人もいるかもしれません。でも、その思い込み自体が、もう「認知バイアス」なのです。

この認知バイアスで間違った判断をしないようにするためには、まず自分の思考が「偏っているかもしれない」と知ることです。

自分が一番よくわかっていると思いがちな自分の能力に関しても、じつはさまざまな認知バイアスに囚われていたりします。

ここでは、ビジネスシーンなどで陥りがちな自己評価に関する2つのバイアスを紹介します。

■自分は「平均以上だ」という幻想

「あなたは会社で仕事ができるほうですか?」

もし、このように質問されたら、なんと答えるでしょうか。

自信満々に「よくできる」とまでは言えなくても、「まあ人並みにはできるほうだ」と自負している人が多いのではないでしょうか。

フランスの調査では、ビジネスマネージャーの90%が、自分の専門性に関して、平均的な同僚よりも優れていると評価したといいます。他国の調査でも、「自分は平均以下だ」と評価したのはたった1%でした。また、アメリカの調査では、外科医の多くは自分の担当患者の死亡率は平均よりも低いと考えていることが示されました。

このように、ある特性や能力において、自分は平均的な他者よりも優れていると考えることを、「平均以上効果」と言います。

■「自分は人より運転がうまい」と考えるワケ

平均以上効果は、欧米では、倫理観、知性、忍耐力、魅力、健康、運転など、さまざまな面で実証されてきました。

日本では、欧米ほどはっきりした結果は見られないようです。

平均以上効果には、自己奉仕や自己高揚といった自己を肯定するバイアスが関係するとされています。しかしそれだけではなく、自己に焦点化した判断のプロセスも関係しているとも言われています。

つまり、自己に過度に注目することによって、他者と自己を比較し、「他者よりも優れている」と判断してしまうわけです。

イラスト=ナカオテッペイ
『イラストでサクッとわかる! 認知バイアス』より - イラスト=ナカオテッペイ

こうした自己評価の認知バイアスの中には、平均以上効果とは逆に、自分の特性や能力が平均的な他者より劣っていると考える「平均以下効果」というものもあります。

たとえば自分にとって専門性が高い領域のスキルには平均以上効果が見られ、低い領域のスキルには平均以下効果が見られることがあります。平均以下だと判断するのは、たとえ自己中心的に見たとしても、「自分の専門分野でなければ他者のスキルと十分に比較できない」からかもしれません。

■自分はイケてるはず

このように、人は一般的に、自分の実力を過大評価しがちです。しかし、こうした傾向は、とくに実力不足の人に顕著に見られ、実際の成績と自己評価の間のギャップが大きいことが多いようです。この現象は、研究者の名前にちなんで「ダニング=クルーガー効果」と呼ばれています。

心理学者のジャスティン・クルーガーとデイヴィッド・ダニングは、以下の実験を行いました。

まず、大学生の参加者に30個のジョークを提示し、それぞれのおもしろさについて評価してもらいます。そして、この参加者による評価結果を、プロのコメディアンの評価結果と比べることで、参加者のユーモアセンスを客観的に採点しました。その上で参加者に、自分のユーモアセンスは、同じ大学の平均的な学生と比較して、どの程度の位置にあると思うかを、0(一番下)から99(一番上)の範囲で自己評価するように求めました。

その結果、ユーモアセンスが全体の25%以下と採点された参加者は、ほかの参加者と比べて、自分のセンスを著しく過大評価していました。同様の結果は、論理的推論問題や文法問題などを用いた実験でも確認されています。

■「メタ認知」の能力が不足している

なお、ダニング=クルーガー効果が生じる原因の1つに、「メタ認知」の能力が不足していることが挙げられます。

池田まさみ他監修『イラストでサクッとわかる! 認知バイアス』(プレジデント社)
池田まさみ他監修『イラストでサクッとわかる! 認知バイアス』(プレジデント社)

「メタ認知」とは、高次の認知という意味で、自らの認知過程についての認知を指す用語です。「このままだと時間が足りなくなるな」「自分は相手の話をよく理解できていないな」など、進行中の自らの思考や行動を適切にモニタリングし、コントロールしていくためには、このようなメタ認知の能力が必要になります。

ただし、ダニング=クルーガー効果が生じる理由については現在も議論が続いています。

(プレジデント社書籍編集部)

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