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節税したいなら新車より「4年落ちの中古車」を買ったほうがいい…知らないと損をする減価償却の基本

プレジデントオンライン / 2023年3月10日 9時15分

出典=『フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A』

節税にはどのような方法があるのだろうか。税理士の河南恵美さんは「固定資産を購入すると費用を減価償却で経費計上できる。自動車を購入する場合、新車より、耐用年数の短い4年落ちの中古車のほうが、減価償却の期間が短く、節税効果が高い」という――。(第1回)

※本稿は、河南恵美『フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。

■新車と中古車では耐用年数が異なる

固定資産を購入すると減価償却ができます。自動車を購入する場合、新車より4年落ちの中古車の方が実は節税になります。

その理由は、減価償却の法定耐用年数にあります。

通常、普通車の法定耐用年数は6年ですが、中古車の場合は耐用年数の計算が変わるため、節税になるのです(図表1の計算式)。

新車だと6年間かけて減価償却しますが、4年落ちの中古車なら、耐用年数が2年になるので、1年で購入代金の約半分を経費にできます。そのため、節税につながるという仕組みです。

■4年落ちの中古車がちょうどいい理由

新車を購入し6年かけて経費に計上した場合、中古車より長期間にわたって経費にできるというメリットがあります。

ただ4年落ちの中古車なら、図表1のように2年で経費計上できるので、たまたま利益が上がった年に急遽(きゅうきょ)節税を考える場合、活用しやすい方法となります。

そのかわり償却はすぐ終わってしまいます。

4年落ちの中古車なら、比較的新しいので、中古車としてそれほど値段が落ちていないタイミングで、2年で償却できます。

高級車を4年落ちの中古車で買えば、もともとの車体価格が高いため、より節税効果が高くなります。

節税したいなら新車より「4年落ちの中古車」を買ったほうがいい
写真=iStock.com/Ole_CNX
節税したいなら新車より「4年落ちの中古車」を買ったほうがいい(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Ole_CNX

注意点としては、購入した車を経費計上する場合、仕事で使用している必要があります。

仕事での使用頻度が少ない場合、経費として認められないことがあるので要注意です。

■買うタイミングが重要

減価償却可能な固定資産を購入して節税をはかる場合、買うタイミングが重要です。

減価償却は、購入して事業に使い始めた日が基準の日となります。

たとえば、7月頭に購入して7月1日から使いはじめた場合、7月~12月の6カ月分を経費に計上できます(図表2)。

■年末に駆け込みで購入しても効果は薄い

今年思っていたより売上があって利益が出たから節税対策をしようと、12月に車を購入して使いはじめても、今期は1カ月の減価償却費しか経費にできません。

節税したい場合は、なるべく年の初めに購入するのがいいのです。

【図表】減価償却費の期間
出典=『フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A』

年末が近づいてからあわてて節税対策を考えても、期待したほど節税にならないことがあります。普段から経理をしているからこそ、税金対策ができるのです。

年が明けて、確定申告の時期を迎え、申告書を作成してから、思ったより利益があったことに気づいても、すでに手遅れです。

節税は年内にやるのが正解。ふるさと納税も同様に年内でなければ意味がありません。

減価償却には2つの特例があり、うまく使うと節税になります。

■一括償却資産

20万円未満の資産を購入した場合、「一括償却資産」の特例を使うことができます。

この場合、3年間で取得価額の合計金額の3分の1ずつ減価償却費として経費計上します。

■少額減価償却資産

30万円未満の資産を購入した場合に使える特例です。

年間300万円までであれば、取得金額の全額をその年の減価償却費として経費に計上できます。

ただし青色申告の方だけが対象です。

■年1回だけ払う費用は計上漏れしやすい

経費をきちんと計上できているか、計上を忘れている費用はないか、自分で経理作業をしていると不安になることがあります。

特に1年に1回だけ支払う経費は計上を忘れがちです。

自動車税や自動車保険、固定資産税、事業税などがこれにあたります。

忘れないように、支払った時点で帳簿をつけることが大切です。

年が明けて確定申告の時期を迎えてから、あわてて1年分のレシート・領収書をかき集める方ほど、経費計上に漏れが多い傾向があります。

確定申告を終えてから、レシートや領収書を見つけて後悔する
写真=iStock.com/recep-bg
確定申告を終えてから、レシートや領収書を見つけて後悔する(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/recep-bg

フリーランス(個人事業主)の場合、確定申告を終えてから、レシートや領収書を見つけて後悔する、という方も多いのではないでしょうか。

普段からレシート・領収書を整理して、つどつど帳簿をつけるようにしましょう。

■メモ・一覧表を作成すると○

人間の記憶はあやふやなものです。経費計上を忘れてしまいそうなものは、あらかじめメモや一覧表にしておくことをおすすめします。

実際、税理士もミスや計上漏れを防ぐために、お客様ごとに必要な情報や書類、特殊事項をメモにまとめています。

必要な書類の一覧も作成しておくと、確定申告時の負担を軽減できます。

■税務署は教えてくれない

「経費の計上を忘れた場合どうなるのか」という質問を受けることがあります。

結論から言いますと、どうしようもありません。

税務署が経費の漏れをわざわざ指摘してくれることはありません。

河南恵美『フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A』(ぱる出版)
河南恵美『フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A』(ぱる出版)

ただ、一度確定申告をした後でも、計上漏れに気づいた場合、「更正の請求」をすることができます。

また、本来払うべき税額より少なく申告していた場合は「修正申告」をする必要があります。

確定申告の提出期限内なら、申告書を再提出すれば、新しい日付の申告書のほうが正式なものとみなされます。

申告の提出期限を過ぎると手間がかかるので、申告書はしっかり見直してから提出しましょう。提出がギリギリになる方ほど計上漏れが多い傾向があります。

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河南 恵美(かわみなみ・えみ)
河南恵美税理士事務所代表
自営業専門の税理士として2012年に開業。SNSで“経理・税金・確定申告”の情報を発信中。フリーランスや経営者が、オンライン上で税理士を味方につけるオンラインサロン(税理士河南の会議室)も運営。著書に『フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A』(ぱる出版)など。

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(河南恵美税理士事務所代表 河南 恵美)

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