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マイナカードがあれば65万円もおトクになる…確定申告で大きな差がつく「青色申告」の3つのメリット

プレジデントオンライン / 2023年3月13日 10時15分

制度改正で「白色申告」のメリットはなくなった(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Promo_Link

青色申告と白色申告にはどんな違いがあるのか。税理士の河南恵美さんは「かつては白色申告には簡単な帳簿で申告できるというメリットがあったが、制度改正でメリットがなくなった。一方、青色申告だと最大65万円の特別控除を受けられるなどメリットが多い」という――。(第2回)

※本稿は、河南恵美『フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A』(ぱる出版)の一部を再編集したものです。

■制度改正で「白色申告」のメリットはなくなった

確定申告には、青色申告と白色申告の2つの方法があります。

白色申告は事前に申請の必要がなく、青色申告よりも簡単な帳簿(簡易記帳、単式簿記)で申告できます。

しかし、受けられる特典は、ほとんどありません。

以前は、白色申告なら手間がかからないというメリットがありましたが、2014年度に制度改正があり、白色申告でも帳簿の作成義務ができました。

そのため、白色申告のメリットは、ほぼ無くなりました。

この改正を知らず、以前のイメージのまま「白色の方が楽だよ」と思い込んでいる自営業者の方も多い印象です。

クラウド会計ソフトを使えば、複雑な会計の知識が無くても、簡単に青色申告ができるようになり、青色申告のハードルが下がりました。

よほどの理由がない限り、青色申告を選択することをおすすめします。

■青色申告なら特別控除65万円が適用

青色申告の場合、所得から最高65万円を差し引くことができます。

白色申告だと、所得が200万円の場合の税額は、

200万円(課税所得)×10%(税率)-9万7500(控除額)=10万2500円(税額)

青色申告だと、同じく所得が200万円、65万円控除が適用された場合の税額は、

200万(課税所得)-65万(青色申告特別控除)×5%(税率)=6万7500円(税額)

青色申告なら、白色申告よりも3万5000円も税金が安くなります。

節税を考えるなら、青色申告のほうがおすすめです。

【図表】青色申告特別控除のメリット
出典=『フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A』

■青色申告なら赤字を繰り越せる

青色申告の場合、赤字を繰り越して、利益と相殺することが可能です。

繰り越せる期間は3年間です。

起業して数年は赤字という方も多いので、活用をおすすめします。

■家族への給与を経費にできる

家族に支払う給与を経費として処理できます。

白色申告でもこの制度は活用できますが、給与の金額に制限があります(配偶者は86万円まで、その他親族は50万円まで)。

青色申告の場合、金額の制限がありません。

家族にビジネスを手伝ってもらい、給与を支払って経費にできると、節税につながります。

仮に、経理などの仕事を配偶者にやってもらい、毎月20万円の給与を支払うと、年間で240万円も経費にできます。

なお、専従者給与には以下の要件があるのでご注意ください。

1.生計を一にする配偶者、その他親族であること
2.その年の12月31日現在で15歳以上であること
3.その年を通じて6カ月を越える期間、事業に専従していること
4.控除対象配偶者や扶養親族ではないこと

■行政手続きにマイナンバーカードが必要に

2016年から国民1人に12桁のマイナンバーが付与されています。

この制度がスタートしたとき、番号を記載した「通知カード」が届いたと思いますが、「通知カード」は、身分証明書などとして使用することができません。

市区町村の窓口で申請し、「マイナンバーカード(個人番号カード)」を発行してもらう必要があります。

(注)窓口のほか、郵送申請、オンラインでの申請、まちなかの証明写真機での申請も可能。

行政手続きにマイナンバーカードが必要に(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/maroke
行政手続きにマイナンバーカードが必要に(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/maroke

行政関係の手続きでマイナンバーを使用する場合が増えてきました。

個人事業の開業届出書や確定申告の書類にもマイナンバーを記入する欄があります。

また、配偶者や扶養家族のマイナンバーが必要となることもあります。

従業員を雇っている場合、雇用の諸手続や年末調整で、従業員のマイナンバーを知る必要があります。

■マイナンバーカードとe-Taxで65万円お得に

確定申告の際、提出する書類の添付書類として、マイナンバーカードを提出します。

マイナンバーカードは、本人確認のための公的な身分証明書としても利用できます。

今後は健康保険証や免許証などの機能が1枚のカードにまとまっていく予定です。

一部の自治体では、マイナンバーカードがあれば住民票の写しや印鑑登録証明書などの公的証明書を、コンビニで取得できます。

この点でも、マイナンバーカードを取得したほうが便利です。

青色申告の65万円控除を使う場合は、マイナンバーカードの取得が必要です。

2020年(令和2年分)の確定申告から、窓口や郵送で確定申告をする場合と、マイナンバーカードを使い電子申告(e-Tax)をする場合で、特別控除の金額が変わっています。

窓口・郵送の場合の控除は55万円、マイナンバーカードを使った電子申告(e-Tax)では65万円の控除が適用されます。

もしマイナンバーカードの発行が間に合わない場合、税務署で「ID・パスワード方式」の手続きを行うと、電子申告(e-Tax)が可能になり、65万円の青色申告特別控除を使うことができます。

(注)ID・パスワード方式でe-Taxを利用する場合、「電子申告・納税等開始届出書」を事前に提出し「利用者識別番号」を取得したうえで、所轄の税務署で「ID・パスワード方式の届出完了通知」を発行してもらう必要があります。

マイナンバーカードは申請から手元に届くまで時間がかかる場合があります。

「今年の確定申告に間に合わない」という方は、「ID・パスワード方式」の手続きを済ませておきましょう。

■e-Taxはスマホでも可能

e-Taxとは、確定申告をインターネット上で行うシステムのことです。

河南恵美『フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A』(ぱる出版)
河南恵美『フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A』(ぱる出版)

パソコンなどを使ってデータを送信するため、税務署や市区町村の会場に足を運ぶ必要がないのがメリットです。

電子申告では、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」にアクセスして確定申告書を作成し、送信します。

送信の際に、マイナンバーカードかID・パスワード方式の手続きが必要となります。

今はスマートフォン(対応している機種のみ)からも申告書の提出が可能です。

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河南 恵美(かわみなみ・えみ)
河南恵美税理士事務所代表
自営業専門の税理士として2012年に開業。SNSで“経理・税金・確定申告”の情報を発信中。フリーランスや経営者が、オンライン上で税理士を味方につけるオンラインサロン(税理士河南の会議室)も運営。著書に『フリーランス必見! 税理士TikTokerの経理・節税Q&A』(ぱる出版)など。

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(河南恵美税理士事務所代表 河南 恵美)

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