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「嫌な仕事はさっさと断れ」ホリエモン式で上司に盾突いてもなぜか認められる人vs.一生後悔する人の境界線

プレジデントオンライン / 2023年3月10日 11時15分

2021年10月30日、秋葉原駅前にてNHK党の街頭演説をする堀江貴文氏(写真=Noukei314/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)

「イヤな仕事は断ればいい」vs.「どんな依頼も断るな」。ビジネス書によって書いてあることが正反対のケースがある。どちらを信じればいいのか。グロービスに勤務する本山裕輔さんは「二項対立や矛盾を深く思考することで、ひと回り広い視点で議論を展開できるようになり、私たちを一段上のレベルに引き上げてくれます」という――。

※本稿は、本山裕輔『投資としての読書』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

■嫌な仕事は断れ? どんな依頼も断るな?

ある本には「イヤな相手とは戦え」と書いてある。しかし、別の本には「イヤな相手とは戦うな」と記されている。もしくは、「イヤだったら断ればいい」と主張する本もあれば、「どんな依頼も断るな」と言う本もある――このように「本によって言っていることが矛盾しているな」と感じたことがある方は多いのではないでしょうか?

たとえば、「イヤなことは断れ イヤなことでも断るな」について考えてみましょう。

ホリエモンこと堀江貴文氏の本では「イヤだったら断ればいい」「他人の言いなりですごすなんて時間のムダだ」と主張されています。一方で、某体育会系著者が書いた本には「どんな依頼も断るな」「断らないからこそ、相手に信頼され、次の仕事ももらえるのだから」と書かれています。どちらの著者も実績があり、説得力もあるので、両方を読んで「どちらの言い分を信じればいいんだろう?」と途方にくれる方も多いでしょう。

ちなみに、私自身は「イヤだったら断れ派」の主張が気に入っていたので、よく職場でも「その仕事は僕にとってあまり価値が高くないので、お断りします」と言っていました。しかし、その対応をしたところ上司や周りの方々からたくさんのお叱りを受けまして、自分の仕事を思い通りにコントロールすることはできませんでした。

イヤな仕事が目の前にあるときに、なぜホリエモンは断ることができて、私にはそれができないのだろうか?

この疑問を持ったときに、私は再度「どんな依頼も断るな派」の本を読んでみました。彼ら彼女らの言い分を紐解くと、何かヒントが隠されているのでは、と思ったからです。すると、1つの答えが見えてきました。

イヤな仕事が目の前にあるときに、なぜホリエモンは断ることができて、私には断れないのか?

■替えのきく人材きかない人材か…それが大きな分かれ目

答えは単純明快で、ホリエモンは替えがききませんが、私は替えがきく人材だからです。替えがきく人材は、とにかく交渉力が弱いんです。「イヤだったら断れ派」を貫くためには、次の2つの条件を満たす必要があります。

・ほかの人には真似できないような、高いスキルを持っていること(競争優位性があること)
・そのスキルが、いろいろな職場・会社で必要とされていること(需要があること)

たとえば、あなたがエクセルを使った高度な分析スキルを持っていたとしましょう。

この分析スキルを持っている人は周りにはおらず、あなたの分析のおかげで会社は好調な業績をキープできているとします。この分析スキルを持っている人はほかにいないため「競争優位性がある」といえますし、組織の業績を上げるために必要とされているため「需要がある」といえます。

スプレッドシートを扱う手元
写真=iStock.com/AndreyPopov
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AndreyPopov

この条件がそろっているときに、先輩社員からイヤな仕事を頼まれたときに「イヤです。どうしてもやれというなら、この会社を辞めます」と主張したとします。おそらく、仕事を頼んだ先輩社員は内心「何を生意気な!」とイラっとするでしょう。

しかし、あなたに辞められると、職場に必要不可欠な分析スキルを持つ人間がいなくなり、大いに困ります。だから、先輩社員は強気に出るわけにもいかず、あなたの言い分を飲んでくれる可能性が高まります。

逆に、あなたが高度なスキルを持っておらず「替えのきく人材」だったとしましょう。この状態で、イヤな仕事に対して「イヤです。辞めます」と脅されても、先輩社員や職場は痛くも痒くもありません。なぜなら、あなたの代わりはいくらでもいるからです。何のスキルも持ち合わせていない新入社員時代は、まさにこの状況に当てはまります。

■「ビジネス書同士の矛盾を楽しみましょう」

このように「イヤだったら断れ派」の主張を貫くのが困難なときは、大変心苦しいのですが、修行期間と割り切って「どんな依頼も断るな派」になる必要があります。どんな依頼も「くるもの拒まず」の姿勢で仕事をこなし、経験を積み、スキルの幅を広げていきましょう。そうすれば、少しずつ「替えのきかない人材」へと進化していくはずです。

何をお伝えしたかったのかというと「ビジネス書同士の矛盾を楽しみましょう」ということです。複数のビジネス書の教えが矛盾しているときは、「教えが矛盾しているのはおかしい」と思考停止するのではなく、次の論点を考えてみましょう。

・なぜ教えが矛盾しているのか? それぞれの著者が置かれていた文脈は何か?
・一見すると矛盾しているように見える教えだが、どういう説明をすれば「教えが矛盾していない」といえるか?
本山裕輔『投資としての読書』(フォレスト出版)
本山裕輔『投資としての読書』(フォレスト出版)

このような視点でビジネス書と向き合ってみると、先ほどの「イヤなことは断れvs.イヤなことでも断るな」のような矛盾も紐解くことができます。

ほかにも本書では「積読は減らすべきか、減らさなくてもよいか」「速読したほうがいいのか、熟読したほうがいいのか」など、さまざまな二項対立について論じています。二項対立や矛盾をあえて取り上げることで、ひと回り広い視点で議論を展開できるようになります。私がお世話になったMBAスクールの教授に教わった言葉に「経営とは矛盾との対峙(たいじ)である」というものがあります。矛盾とは、私たちを一段上のレベルに引き上げてくれる存在なのかもしれません。

矛盾を見つけたときは、自分の思考を深める絶好のチャンスなのです。

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本山 裕輔(もとやま・ゆうすけ)
グロービス勤務
1992年生まれ。佐賀県出身。慶應義塾大学商学部卒。グロービス経営大学院MBA修了。2016年に新卒でPwCコンサルティングに入社し、大企業の業務改革や営業・マーケティング強化の支援、システム導入のプロジェクトマネジメントなどに従事。2019年にグロービス入社。グロービス経営大学院にて業務改革やデータマネジメントをはじめとしたDXを主導。音声メディアVoicy「ちょっと差がつくビジネスサプリ」のパーソナリティを務めつつ、オンライン動画サービス「グロービス学び放題」にも出演するなど、コンテンツ制作・発信活動を担う。個人としては、2019年からビジネス書の書評サイト「BIZPERA(ビズペラ)」を運営し月8万PVを達成。また、comveyの立ち上げ支援やUXデザイン、プロダクトマネジメントに携わる。

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(グロービス勤務 本山 裕輔)

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