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「富裕層=超どケチ」は本当…母子家庭に育ち奨学金返済1000万を背負った元国税専門官が自宅訪問で見た光景

プレジデントオンライン / 2023年3月10日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gyro

富裕層はどんな人物で、どんな暮らしをしているのか。元東京国税局の国税専門官でフリーライターの小林義崇さんは「約10年間、相続税調査に携わり、億単位の資産を持つ方の自宅を訪問しましたが、大半の人が何か特殊なことをして資産を蓄えたというより、節度を持って生活をしてきた結果として金銭的な余裕を持つに至った方々です」という――。

※本稿は、小林義崇『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

■イメージとはまったく違う富裕層の実態

「富裕層」と聞くと、どんなイメージが浮かぶでしょうか?

高級ブランドのファッションに身を包み、自宅のガレージに何台もの外車が並び、アーリーリタイアを果たして頻繁に海外旅行に出かける――。

もし、あなたが富裕層に対してそのようなイメージを抱いているのであれば、事実とはまったく異なります。むしろ生活ぶりは質素で、服装も極めて普通。一見しただけでは、富裕層と一般の人を見分けることはできません。

これが、東京国税局で相続税調査を担当し、数多くの富裕層に接する機会を得た私が、最初に驚いたことでもありました。

それまでの私は、母子家庭に育ち経済的に恵まれなかったこともあり、富裕層を遠い存在に感じていました。

大学卒業まで暮らした地元の福岡を離れて、東京国税局に就職する決断をしたのは、金銭的な理由によります。

高校・大学と合計1000万円に迫る奨学金(一部有利子)の返済義務を背負ってしまった私は、社会人になるにあたって「安定的な収入を得る必要がある」と考えました。

そこで公務員になることを目指し、大学時代に独学で、国家公務員II種と国税専門官の試験勉強をして合格することができました。そして、福岡の役所に勤めることもできたのですが、親元を離れて上京することを決断したのです。

それには、こんな理由がありました。

■富裕層の人物像、暮らしぶりはどんなものか

公務員の募集要項を読んだところ、東京国税局の国税専門官として採用されれば、福岡で国家公務員として働くよりも、月給が3万〜4万円ほど高いことを知ったのです。

「この収入であれば、なんとか奨学金を返せる」と考えたわけです。

金銭的な事情で人生の大きな決断を下した私は、「どうすればお金に悩まされずに済むのだろう?」と漠然と考えてきました。そして、「富裕層のことを知れば、なにかしらの答えを得られるのではないか?」と思い至ったのです。

結果として、この考えに間違いはありませんでした。

億単位の資産をもつ富裕層も、その人生をたどれば、仕事をして、倹約に努め、地道に資産を蓄えてきた人ばかりです。なにか特殊なことをしたというよりは、節度をもって生活をした結果として、金銭的な余裕をもつに至った。そのようにして人生の選択肢を増やしてきた人が富裕層の大半だと、私は理解しています。

国税職員のなかでも相続税を担当するのは1割ほどですから、情報が表に出てくることはほとんどありません。私が10年ほど携わった相続税調査が、ほかの税金の調査と明らかに違うのは、個人のプライベートに踏み込むことが非常に多いという点です。

「どのようにして巨額の財産を築いたのか?」という観点で調査をするため、亡くなった方の職業や収入はもちろん、個人的な趣味や交友関係といったことにも目を向けます。この仕事を通じて私は、ほとんど表に出ることのない富裕層の家計や暮らしぶりなどの“リアル”を知ったのです。

大量の札束の3Dイラスト
写真=iStock.com/Alicja Nowakowska
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Alicja Nowakowska

■資産10億円でも傷だらけの軽自動車に乗る⁉

相続税調査の対象となるのは、日本のなかでも、ごくひと握りの人に限られています。現在は税制改正を受けて、日本人の年間死亡者の約10%が相続税の申告をしていますが、私が税務調査をしていた頃は約4%にとどまっていました。

しかも、相続税を申告したすべての人が税務調査の対象となるわけではありません。基本的には、財産が多い人ほど調査対象となる可能性が高く、その意味で私は日本のトップクラスの富裕層の“リアル”を知ることができたと思っています。

そうした気づきを、私が運営しているYouTubeチャンネル『フリーランスの生活防衛チャンネル』で「【お金のリアル】税務職員が見た、富裕層の共通点(投資・仕事・生活)」というタイトルで公開しました。

■「ティッシュペーパー1枚を大切に」富裕層のリアル

私のチャンネルでは、普段はフリーランスの方々に向けての情報を発信しています。たとえば節税や確定申告、補助金などの情報を扱っているのですが、あるときふと、「お金持ちのリアルな姿について話してみよう」と思い立ったのです。

小林義崇『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)
小林義崇『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)

動画を公開した後の反響は、驚くばかりでした。過去の動画の数百倍のペースで急速に視聴回数が伸びていき、フリーランスの方々だけでなく、さまざまな立場の方に見ていただいたようです。

あの凄まじい反響を経験して感じたのは、世のなかの多くの人が富裕層の実態について興味をもっていること。そして、富裕層の行動様式には、人生をよくするヒントがたくさんあるということでした。

私は、そのYouTube動画に寄せられた数百件のコメントを読み、私が理解した富裕層の実像に間違いがなかったことを確信しました。

そこで、いくつかのコメントを編集してご紹介します。

◉ 実は資産家ですが、おっしゃるとおり節約家ではなく倹約家として過ごしています。あとは、寄付金として社会に還元することを続けています。

◉ 医師として開業していますが、乗っている車は傷だらけの軽自動車1台だけです。

◉ この動画でいうところの“お金持ち”に属する人間ですが、おおむね当たっていると思います。生活は人並よりも質素だと思いますが、必要性を感じないだけでけっして無理してケチっているわけではないです。

◉ 叔母は裸一貫から1代で巨刹(きょさつ)(大きな寺)を建立した僧侶でしたが、その生活はやはりティッシュ1枚の使い方に至るまで質素なものでした。

◉ 夫の実家が相続の際、資産が10億円ほどありましたが、生活の足はほとんど軽自動車を使っていましたし、外食もなるべく控えていました。

◉ 私が勤める会社の社長部屋を覗(のぞ)いたら、社長が愛妻弁当(?)を食べていました。会社の年商からは想像できませんでした。

◉ 金融資産100億円以上の超富裕層を担当していた元プライベートバンカーですが、まったく同意します。つけ加えるとしたら「無駄な見栄は張らない」ということでしょうか。高級車やハイジュエリーなどの贅沢(ぜいたく)に一喜一憂しているのは、背伸びをした小金持ちさんたちでした。

◉ 資産数億円から数十億円の知り合いが何人かおり、資産価値のあるところに住んでいますが、驚くほど質素な生活です。ブランド品もほとんど買わない。「なんでも買えるけど買う価値を感じない」と。面白いことに、みんな「死に金は1円でも使うのが嫌」といいます。コーヒー1杯分でさえも。「生き金」というのは、投資や良好な人間関係のなかで使うお金なのだそうです。

このように、私が知る富裕層の姿は、実際の富裕層や富裕層を目のあたりにした人も納得することのようです。

富裕層の習慣は、誰でもとり入れられるものです。これは将来に対する不安が高まっている時代に生きる私たちにとって、とても力になることだと思います。

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小林 義崇(こばやし・よしたか)
フリーライター
国税局の国税専門官、都内の税務署、東京国税局、東京国税不服審判所に勤務。2017年、金融関係のフリーライターに転身。著書に『すみません、金利ってなんですか?』(サンマーク出版)、『あんな経費まで! 領収書のズルい落とし方がわかる本』(宝島社)などがある。

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(フリーライター 小林 義崇)

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