1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

営業マンが最優先すべき仕事とはなにか…自動車販売の「業績のいい店」と「悪い店」を行動分析した最終結論

プレジデントオンライン / 2023年3月14日 14時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/leventince

営業マンが最優先すべき仕事とは何か。プロセスコンサルタントの山田和裕さんは「自動車販売店の統括責任者が、首都圏30店舗の行動パターンを調べた結果、業績の良い店は『集客作業』、悪い店は『勉強会』や『清掃』に時間を使っていたことがわかった。当たり前のことを当たり前にやれば、業績は上向く」という――。

※本稿は、山田和裕『1000人のトップセールスをデータ分析してわかった 営業の正解』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■トップセールスは「当たり前のこと」をやっている

私は結果を出すための営業プロセスの標準化・見える化を行うために、大手〜中堅企業を中心に、1000人以上のトップセールスにヒアリングをしてきました。

そんな「できる営業」が挙げた一番多い答えは何だと思いますか? それは「当たり前のことを、当たり前にやっているだけ」というちょっと拍子抜けするような言葉でした。

実はトップセールス自身もなぜ売れているのか、よくわかってないケースが多いのです。スポーツと同じように、営業にかぎらず「できる人」のノウハウの言語化が難しいことは共感していただけると思います。

表面的な話だけで止めずに、さらに「当たり前のこと」を具体的なプロセスに分けて、一つひとつ掘り下げていくと、まったく別な会社のトップセールスが、営業のポイントとして、似たような話をしたり、例を挙げたりすることに気づきました。

これが、できる営業には業種や業界に関係なく共通する特性があることに気づいたきっかけです。

「当たり前のこと」の中に、トップセールス本人も意識していない秘密が隠されています。その「当たり前のこと」をわかりやすい具体的な表現に置き換えると、意外と気づいていないが、誰にでもできそうなちょっとした違いが浮かび上がってきます。

それを成功特性としてまとめると、悩める営業の参考になるのではないかと考えるようになりました。

成功特性と言っても、一つひとつから生まれる「差」は、ほんのちょっとです。一つの成功特性だけでは、大きく結果は変わってこないかもしれません。ところが、それがいくつも積み重なっていくと、かなり大きな差になって表れます。営業のレベルはトップとボトムでは、同じ人間とは思えないくらいに違うのです。

しかし、それはもともとの才能や素養ではありません。一般的な言い方をすると「努力」ですが、科学的な言い方をすると「結果を出すためのプロセス=営業の正解」が徹底できているかの差です。

■「できる営業」と「できない営業」の違い

本稿では、「できる営業」と「できない営業」を、次のように定義しておきます。

●できる営業
自分なりの成功法則を見出して、結果を継続的に出し続けている営業です。目標とする上司や先輩を持ち、日々試行錯誤を繰り返すなど努力を続けています。
しかし、自社ではトップであっても、世間にはもっとすごい人がいるものです。今の地位に満足せず、さらなるレベルアップを目指して科学的な努力を続けていくことが求められます。

●できない営業
自分なりにがんばってはいるものの、なかなか思うように結果の出ない発展途上の営業、あるいは、営業を体系立てて教えられたことがないので、自己流で良かれと思ってやっている営業です。
聞きかじった精神論や手っ取り早いテクニックを試してみますが、それだけではうまくいかない「迷える営業」とも言えます。

■業績の悪い店舗は集客作業の時間が少ない

「最低限の当たり前のことなんて、誰でもできているだろう」と思うかもしれません。

ところが、当たり前のことが頭でわかっていても、本当にできているかどうかとなると、別の話です。

当たり前のことを実践することの難しさを示す例として、自動車販売の話を紹介します。

誰もが知る自動車販売店の統括責任者が、業績が良い店舗と悪い店舗の行動パターンの違いを調べるために、首都圏30店舗で現場の社員が実際に業務に使った時間を測った時の話です。

図表1をご覧ください。

【図表1】業績別に見た行動パターンの違い
『1000人のトップセールスをデータ分析してわかった 営業の正解』 P.67より

わかりやすいように、その中で一番業績の良い店舗のデータを上に、一番業績の悪い店舗のデータを下に示しています。

縦軸は、業績を伸ばすために本部から指導している「やるべき業務の優先度」、横軸は「社員が実際に各業務に使った時間」です。やるべき業務が「当たり前のこと」です。

これを見ると、さすがに両店舗とも店に足を運んでくれたお客様への対応はきちんとしていているため、「来客対応」は同じように右上の一番上の位置にあります。

違いとしては、業績の良い店舗では来店してもらうために必要な新聞広告やチラシ配布などの「集客作業」や、来店してくれた見込み客に対する訪問や電話などの「フォロー」が右上にあり、やるべき業務をきちんと行っているのがわかります。

その結果、自ら積極的に集客・開拓した「集客商談」も多くなっています。

しかし、業績の悪い店舗は、「集客作業」と「フォロー」が左上にあり、いずれも十分には時間が費やされていません。その反面、「勉強会」や「清掃」など、それほど力を入れなくてもいい業務の時間が比較的多くなっています。

■ダメ営業は「わかっているけどやっていない」

全体的に見ると、業績の良い店舗は右上がりの理想的な直線に沿って活動が分布しているのに対し、業績が悪い店舗では分散してしまっているのがわかります。

簡単に言うと、業績の悪い店舗では指示されたこと=当たり前のことがきちんとできていないのです。

しかし、やるべき業務の優先順位を口頭で尋ねると、業績の悪い店舗の社員でも、指導されている通りにやるべき順位で正しく答えることができます。

ここで「頭ではわかっていても、実際できているかどうかは別である」という問題が浮き彫りになります。

山田和裕『1000人のトップセールスをデータ分析してわかった 営業の正解』(かんき出版)
山田和裕『1000人のトップセールスをデータ分析してわかった 営業の正解』(かんき出版)

気をつけなければならないのは、データを示さずに成績が悪いことだけを追及してしまうことです。

本人たちもそれなりにやったつもりにはなっているので、「やるべきことはやっています。疑うのはやめてください」というような感情論になりがちです。

しかし、図のようなデータを使えば、具体的に何ができていて、何ができていないのか一目瞭然です。

余計な感情論を排して、どの業務ができていないかが明確になるので、社員が自らの行動を素直に改善していくことができるようになります。

----------

山田 和裕(やまだ・かずひろ)
プロセスコンサルタント
株式会社フリクレア代表取締役。総合商社丸紅での船舶ファイナンスからIT業界へ転身。「プロセス見える化」と「プロセス評価」を連携させた“プロセス主義”を提唱。特に営業の見える化を得意とし、業種・業界にとらわれず、100社以上の大手・中堅企業のプロセス改善・営業強化に貢献。1000人以上のトップセールスに行ったヒアリングと分析をもとに、「できる社員」の勝ちパターン=成功特性を標準化して「見える化ツール」にまとめる独自の“3次元プロセス分析法”を開発。著書に『1000人のトップセールスをデータ分析してわかった 営業の正解』(かんき出版)などがある。

----------

(プロセスコンサルタント 山田 和裕)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください