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本は時給2500円の副業機会を逃がしたと思って読め…読後感想「すごい本だった」という最低な読書習慣のやめ方

プレジデントオンライン / 2023年3月13日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/patpitchaya

読書をビジネスや人生の役に立つよう血肉化するにはどうしたらいいのか。グロービスに勤務する本山裕輔さんは「読んだ本の感想を聞かれ『すごい本だったよ』で終わる人がいますが、それではあまりにももったいない。『費用で終わる読書』ではなく、何らかの形でアウトプットして『資産になる読書』にしたほうがいい」という――。

※本稿は、本山裕輔『投資としての読書』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

■費用を資産化できるか否か

これから語る読書術は、「アウトプットありきの独学サイクル」の1つのパーツにすぎません。あくまで大事なのは「独学はアウトプットありき」という考え方です。

このスタンスで「費用で終わる読書、資産になる読書」についてお話します。ここでいう費用とは、すでに使ってしまったお金や時間のことです。

たとえば、パンを作るのに必要な材料(小麦など)のように「1度使ったらおしまい」のもの、それが費用です。一方、資産とは、収益を上げるために継続的に使われるものを意味します。たとえば、工場やその設備のように収益のもととなる商品を継続的に作ってくれる存在です。

この話は次のような事例にも当てはまります。

たとえば、100万円を払ってプログラミング教室に通ったとしましょう。もし、身につけたプログラミングスキルを使って、給料を継続的に稼ぐことができれば、そのスキルは立派な「資産」といえます。逆に、苦労して身につけたプログラミングスキルをまったく使わなければ、「単に出て行ったお金=費用」になってしまいます。

この考え方を読書にも当てはめてみましょう。

■費用で終わる読書

たとえば、毎年開催されている「読者が選ぶビジネス書グランプリ」というコンテストがあります。このコンテストには名著が数多くノミネートされます。2020年にグランプリに輝いた『シン・ニホン』(安宅和人、NewsPicksパブリッシング)は、多くの人が手に取ったことでしょう。私も周囲の知人たちから「『シン・ニホン』を読んでみたけれど、本当にすごい本だった。絶対に読んだほうがいい」とすすめられました。

しかし、「『シン・ニホン』の何がすごかったの?」と聞いてみると「いや……、何と言うか、『シン・ニホン』はとにかくロジックとファクトがすごかったんだよ」「今後の日本の行く末が書かれていたよ。まあ、読んでみればわかるよ」などと、煙に巻かれることも少なくありませんでした。本の内容を理解して血肉化できていない人たちからは、得てしてこういう反応が返ってきます。このような「読んだのにきちんと説明できない状態」を、私は「費用で終わる読書」と呼んでいます。

この「費用で終わる読書」がどれくらい深刻なのかは、次の式で計算できます。

本の値段+読了時間×1時間あたりの機会費用)×読んだ冊数

機会費用とは、「本を読む時間を別の時間にあてたときに、得られたであろうお金」をさします。

本山裕輔『投資としての読書』(フォレスト出版)
本山裕輔『投資としての読書』(フォレスト出版)

たとえば、本を1冊読むのに2時間かかったとしましょう。その2時間を時給2500円の副業にあてていれば、5000円を得られたはずです。本の価格に目がいきがちですが、機会費用にも注意しておかねばなりません。仮に毎月5冊読んでいたとしたら、毎月2万5000円がかかり、年間でも30万円もの費用が発生しています。読書には思っている以上にお金がかかっているのです。

これだけコストを割いたのにもかかわらず、読んだ本について「すごい本だったよ」とひと言で終わってしまうのは、あまりにももったいない。こういった読書は「費用で終わる読書」です。

■資産に変わる読書

それに対して「資産に変わる読書」とは、「本で得た学びによって何かを継続的に生んでいる状態」をさします。

先ほどの『シン・ニホン』を例に挙げると、この本から得られる学びは、図表1のように整理できます。こうやって紙1枚に整理しておくことで、本の学びを資産として取り回しやすくなります。

【図表】『シン・ニホン』からの学び
出典=『投資としての読書』

そして、本書に登場する「ビジネス力×データサイエンス力×データエンジニアリング力」という枠組みに着目したとしましょう。この枠組みに共感して、「ビジネス力×データサイエンス力×データエンジニアリング力」の3つを学習して、スキルアップを図ったとします。すると、この本で学んだことが、スキルという無形資産へと変わります。

そのスキルをさらに活用すれば、転職をして年収を上げることもできれば、コンテンツ化してブログやセミナーなどで発信して収入を得ることも可能でしょう。

ここで重要になってくるのは「費用の資産化」という考え方です。読書に限らず、おそらく誰もが「他人よりも時間やお金をかけているもの」があるはずです。

たとえば、次のようなものです。

「激務で残業時間がとてつもなく長いプロジェクトを担当することになった」
「子育てと仕事と大学院での学習が重なって、恐ろしく忙しい思いをした」
「毎月10万円以上を洋服の購入代金に使ってしまう」

こういった「他人よりも時間やお金を割いているもの」「人よりも苦労している経験」をそのまま放置しておくと、ただの「費用」として右から左に流れて行ってしまいます。激務の経験を「あのときは大変だったなあ」と昔話だけに使うのは、あまりにも、もったいないでしょう。

このとき「費用を資産化する」という考え方を持っている人は、次のような行動を取ります。

「激務で働いて身についた時短スキルを勉強会やセミナーで教えてみよう」
「子育てと仕事と大学院での学習の3つを支障なく成立させる方法をブログで発信しよう」
「毎月10万円以上を洋服に使っているから、どんな視点でどんな洋服を選んでいるかをユーチューブで発信してみよう」

こういった意識を持っておくと、お金や時間を使った経験や苦労した経験を、「一生価値を生み出しつづける資産」へと進化させることができます。

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本山 裕輔(もとやま・ゆうすけ)
グロービス勤務
1992年生まれ。佐賀県出身。慶應義塾大学商学部卒。グロービス経営大学院MBA修了。2016年に新卒でPwCコンサルティングに入社し、大企業の業務改革や営業・マーケティング強化の支援、システム導入のプロジェクトマネジメントなどに従事。2019年にグロービス入社。グロービス経営大学院にて業務改革やデータマネジメントをはじめとしたDXを主導。音声メディアVoicy「ちょっと差がつくビジネスサプリ」のパーソナリティを務めつつ、オンライン動画サービス「グロービス学び放題」にも出演するなど、コンテンツ制作・発信活動を担う。個人としては、2019年からビジネス書の書評サイト「BIZPERA(ビズペラ)」を運営し月8万PVを達成。また、comveyの立ち上げ支援やUXデザイン、プロダクトマネジメントに携わる。

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(グロービス勤務 本山 裕輔)

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