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「論理的思考」だけでは不十分…本当にできる人は「3つの思考法」をジャンケンのように使い分けている

プレジデントオンライン / 2023年3月18日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

会議やミーティングなどで一目置かれる発言をするにはどうすればいいか。ワンキャリア取締役の北野唯我さんは「思考を深めなければ、印象的な言葉は生まれない。そのためには『論理的思考』『そもそも論』『アナロジーシンキング』という3つの思考法をジャンケンのように使い分けるといい」という――。

※本稿は、北野唯我『これから市場価値が上がる人』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。

■「成功」はできなくても「成長」はできる

私は普段からよく「毎回ほんの1%でいいので、新しいチャレンジや変化を作る」ということを大事にしています。この話は、若手の社員や新しいプロジェクトを進めるメンバーに対して伝えることが多いのですが、「1%」というのはもちろん比喩です。たった1%でもかまわないので、新たな挑戦をしてほしいと思っています。

どうしてこういう言葉を掛けるのかというと、「約束できることを明確にする」ためです。当然の話ですが、「成功」は約束されているわけではありません。どれだけ努力して頑張っても、成果につながらず成功しないケースは多々あります。でも、「成長」は違います。成長は約束できる要素なので、冒頭の言葉をよく使っているのです。具体的にイメージしてもらうために営業活動で考えてみましょう。

何も変化を加えず、常に同じ方法で営業活動を続けていたとしても、それは単なる繰り返し。まったく成長しない可能性があります。でも、「今回は仮説Aに基づいて新しい方法でやってみよう」と、前回と少し違う方法にチャレンジしてみたらどうでしょう?

もしもうまくいけば、もちろんOKですし、うまくいかなかったとしても「こうやるとダメなのか」という結果が得られます。つまり、確実にデータは溜まるわけです。ただし、データを比較する際にはやっかいな部分もあります。一気にいろいろと変えたくなりますが、実はすべての「変数」を変えないことが重要なのです。

■やり方を変えるのは少しずつでいい

なぜなら、新しい商品を新しい方法で新しいお客さまに営業したら、「変数」がありすぎてどの要素が成果につながったのかわからないからです。これは化学の実験と同じです。

「原因(X、Y、Z)→結果」という式があるとして、XとYを固定してZだけを変えてみるからこそ、研究結果が得られます。毎回80%を変えるとなったら、XやYも変更するような状態で、前提そのものが変わってしまうことになります。そして、要素の数が多くなるほど、1つの要素あたりのパーセンテージは少なくなるので、現実的には1%が妥当でしょう。だから、冒頭の言葉では「1%」という数字を使っているのです。

もちろん、前提を変えるべきときもありますが、それはかなり珍しいケース。だとしたら、1%程度を変えることを意識するのが重要なのだと思います。言いたいことは「1%」が重要ということではなく、そうしたチャレンジによる成長を約束することです。「成功」は約束できませんが、「成長」は約束できます。方法の一部を少しだけ変えてみるなら、自分の意識次第で実行できるはずです。もうここで自分自身に約束してしまいませんか?

常に1%の新しいことにチャレンジして、成長すると約束しましょう。自分にとっての1%は何かを考えながら、少しずつでも成長できる方法を考えてみてください。

■「伝え方」よりも「思考の深さ」が重要

会議やミーティングなどで一目置かれる発言ができるかどうかは、ビジネスパーソンにとって重要なポイントです。なぜなら、仕事上の印象は話すときの実力によって決定づけられる面が少なからずあるからです。では、伝え方が重要なのでしょうか。私はそうではないと思います。

実業家と階段の二重露光。ビジネス コンセプトの成功。
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

ある著名なコピーライターが言っていました。「伝え方が9割? そんなのは絶対ウソ。言葉は思考の深さによって決定づけられるものです」。私も同感です。どれだけ伝え方がよくても(スラスラとわかりやすく説明されても)、思考が浅ければ人の心を揺さぶる言葉は生まれないでしょう。

そこで課題となるのが「思考を本質に近づける(思考を深める)のはどうすればよいのか?」です。私はアンカーマン(メディアの顔として「取材や自分の考察を通じて、最終的なオピニオンをまとめあげる人間」)の技術が役に立つと思っています。アンカーマンの技術を解説する前提として、思考の方法には種類があるというところから説明します。

■思考法には“じゃんけん”のように相性がある

私が意識している思考法は主に3つあるのですが、それぞれの大まかな定義は次の通りです。

・論理的思考
「事実」や「論理」に注目した思考。どんなときでも使えるぐらい汎用性が高いが、目的や前提を見失うことがある。
・そもそも論
「前提」と「長期的な価値」に注目した思考。本質的な価値を見失わないのがメリットだが、具体性が欠けることがある。
・アナロジーシンキング
「認識」や「効果」に注目した思考。比喩を多用する。実用性が高いが、一部の事実のみを切り取り、ミスリードを起こす可能性がある。

いずれか1つの思考法ではなく、これら複数の思考法を組み合わせると、思考を深めることができます。私はアンカーマンとして数多くのメディアに携わってきたのですが、インタビューする際には異なる思考法の質問を投げ掛けるようにしてきました。

まずは相手の軸足となる思考法を見つけ、それとはズラした思考法の質問をぶつけるのです。思考法の関係性は「じゃんけん」に近いイメージだと私は考えています。勝負ではありませんが、相性の良し悪しがあるということです。「論理的思考」が強い人には「アナロジーシンキング」をぶつけ、「アナロジーシンキング」が強い人には「そもそも論」を、「そもそも論」が強い人には「論理的思考」をぶつけると、思考が深まっていきます。

著名人や財界人の方とお話ししてきた対談記事を多くの方に読んでいただけたのは、思考法をバランスよくまわし、考え方や会話を深めることができたことが大きな要因だと思っています。

■「論理的思考」だけでは差別化の要因にはならない

書店の棚を見れば一目瞭然ですが、山ほどの「論理的思考」に関する本が並んでいます。それはつまり、多く人が「論理的思考」を求めているという証拠です。「論理的思考」が一般化しつつあり、周囲を見渡しても、論理的に考えられる人はたくさんいます。つまり、ロジカルに考えられる「論理的思考」だけでは差別化の要因にはならないのが現状です。

北野唯我『これから市場価値が上がる人』 (ポプラ新書)
北野唯我『これから市場価値が上がる人』(ポプラ新書)

今は、差別化するためには思考法を組み合わせることがいっそう重要になっていると思います。アンカーマンは異なる思考法の質問を投げ掛けて思考を深めていきますが、思考能力が優れている人はそれを単独でも完結できます。

自分は「論理的思考」で考えるのが癖になっていると思えば、「アナロジーシンキング」でも考えることを意識してみてください。「アナロジーシンキング」が軸になっているなら、「そもそも論」で、「そもそも論」が強ければ「論理的思考」で考えるように習慣化してみましょう。最低でも「もう1つ思考の軸」を持つことができれば、1人だけでも思考が深められるようになります。

そうすれば自ずと、会議などでの発言(思考)も一目置かれるようになるはずです。

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北野 唯我(きたの・ゆいが)
ワンキャリア取締役
兵庫県出身、神戸大学経営学部卒。就職氷河期に博報堂へ入社。ボストンコンサルティンググループを経て、2016年、ワンキャリアに参画。現在取締役として人事領域・戦略領域・広報クリエイティブ領域を統括。またテレビ番組や新聞、ビジネス誌などで「職業人生の設計」「組織戦略」の専門家としてコメントを寄せる。著書に『転職の思考法』『オープネス』(ダイヤモンド社)、『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)、『分断を生むエジソン』(講談社)、『これから市場価値が上がる人』(ポプラ新書)などがある。がある。

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(ワンキャリア取締役 北野 唯我)

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