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「生活のために働かなきゃ…」毎日陰鬱と出勤する人が、50代で後悔しないために今すぐ"体験"してほしいこと

プレジデントオンライン / 2023年5月29日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sang-hwa lee

今の仕事にやりがいを感じられていないけれど、そのままでいいのだろうか? みらいワークス社長の岡本祥治氏は「ライスワークを続けてきた人は、だいたい50歳を過ぎたあたりで、自分が目を背けてきた事実に気づき始める。そこから、自分にとってのライフワークは何かを探ったのでは遅い」という――。

※本稿は、岡本祥治『LIFE WORK DESIGN』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■「ライスワーク(Rice-WORK)」だけを追ってはいけない

さて、ここで一つ質問します。

「あなたは何のために働いていますか」という問いに、皆さんなら何と答えますか。

「家族を養うため」
「自己実現のため」
「会社の理念に共感して」
「みんなが働くものだから」

いろいろな答えがあるかと思います。

世の中には大きく分けて、2種類の「仕事(WORK)」が存在すると私は考えています。

「ライスワーク(Rice-WORK)」と、「ライフワーク(LIFE-WORK)」です。

前者を直訳すると「米の仕事」。つまり、「日々の食料を得るための仕事」「生活のための仕事」です。

当然ながら人が生きていくためにはお金が必要です。家賃を払い(家を買い)、食糧や日用品を購入し、自分(や家族)が安心して暮らしていけるだけの収入――それを賄うための仕事を、仮に「ライスワーク」とネーミングしましょう。

では、「ライフワーク」(人生の仕事)とは何でしょうか。一口で言えば、「夢や自分の好きなことを追い求めるための仕事」です。

天職、生きがい、やりがい、自分の人生を賭けるに値する仕事と言ってもいいでしょう。他人から「もっと稼げる仕事が他にあるよ」と言われても、「いや、自分はこれをやりたい、極めたい」、心から「やりたい!」と一点の曇りもなく突き進める仕事のことを、「ライフワーク」と呼びます。

■自己実現の仕事「ライフワーク」

いわば生活のための仕事と、自己実現のための仕事――この2つはどちらがより偉くて高尚だというものではありません。人は生活の糧を得るため、家族を養うために働かなくてはなりません。その意味では前者は必要不可欠。この部分を抜かして理想を追い求めるのは本末転倒です。

ただ私は、人間がより幸福に生きるためには、後者の「ライフワーク」要素も非常に大切だと考えています。毎日「生活のために働かなきゃ……」と暗い気持ちで出勤するのと、「さあ、今日はどんな面白い仕事が待っているかな」と胸をワクワクさせながら朝起きるのでは、当然後者のほうが、人生の張り合いにつながります。

若い頃には「ライスワーク」をしていたけれど、年齢を重ねるうちに「ライフワーク」にシフトしていく人も多いでしょう。青年期は生きるために必死だったけど、そのうちに仕事にやりがいや生きがいを見出して、気づけば「ライフワーク」と「ライスワーク」が一体化していく……、これはある意味、理想的な働き方です。

アジアビジネスグループのポートレートスタンディング
写真=iStock.com/itakayuki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/itakayuki

■まずは、自分のしている「仕事」はどちらか理解する

その一方で、自分の仕事が「ライスワーク」なのか「ライフワーク」なのか、気づかないまま人生を過ごしていく人もいます。これはちょっと残念ですね。自分自身の人生を、自分でしっかり見つめていない、考えていないことになりますから。

ただし、そういう人も、だいたい50歳を過ぎたあたりで、自分が目を背けてきた事実に気づき始めます。「自分の生きてきた人生は何だったのか……」と、立ち止まり考える時期が訪れるのです。

仮に人生がすべて「ライスワーク」で占められていたとしても、そのおかげで生活を営むことができ、家族を養えてきたのなら、それはそれで立派な人生と言えます。ただ、長い人生、自分の時間と労力を傾け続ける以上、どうせなら「ライフワーク」を追い求めたい。そうなった時、50歳、60歳で人生を振り返り、「自分にとってのライフワークは何か」を探ったのでは遅いのです。

■「好き」を仕事にするのは簡単ではない

特にシニア層は定年後に「ライフワーク」を求める傾向にありますが、これは決して、誰かから与えられるものではありません。上司から与えられた仕事をこなすだけの能力ではなく、自ら創造し、提案し、付加価値を与えられる業務スキルがなくては、「ライフワーク」を実現することもできなくなっていくでしょう。果たして自分のしている仕事はどちらなのか、今から理解しておくことが大切です。

むしろ、それを考えていないこと自体がリスキーだと悟ったほうがいいかもしれません。

この作業こそが、「人生100年時代」の働き方におけるポートフォリオ制作として、後々重要になってくるからです。「ライフワーク(LIFE‐WORK)」をつくるための方法もちろん、「好きを仕事にする」が簡単ではないことは、私も重々承知しています。家族がいるのに、「ライスワーク」を投げ出して、「ライフワーク」に一気にシフトすることもできません。子どもの教育費がかかる時期に、自分の一存で仕事を変えることに躊躇する気持ちも理解できます。「分かっちゃいるけど、そこまで思い切ることはできない……」というのが多くの人の正直な感想ではないでしょうか。

■「ライフワーク」疑似体験としての副業

そこで私がお勧めしているのが、「副業」です。「ライスワーク」は今のまま続け、「ライフワーク」を探すための疑似体験として、副業をする。それは同時に20年後、30年後の自分の選択肢を増やすための下準備ともなるでしょう。自社以外の、様々な世界を垣間見て、自分のスキルがどこまで通用するのかを確かめてみるいい機会に、「副業」はなるはずです。

プログラミング言語の概念。システム工学。ソフトウェア開発。
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

では、副業も難しいという場合はどうすればいいでしょうか。

「忙しくてそんな時間ないよ」
「本業でも溺れそうなのに、このうえさらに副業なんて、それこそ家族との時間がなくなってしまう」
「副業をしているなんて上司に知られたら、嫌味を言われそうだ……」

など、家庭や職場の事情もあるでしょう。

しかし、そのような中でも、なんとか「ライフワーク」を探し出してほしいのです。

■実際の決断は後回しでもいい

人生後半戦で徐々に「ライフワーク」にシフトしていく道もあります。両者をうまく組み合わせながら両立していく方法もあるでしょう。本業は「ライスワーク」だけど、副業は「ライフワーク」を楽しんでいる。または「ライフワーク」の起業を目指しながら、今は「ライスワーク」で起業資金を貯めているという人もいます。30代で副業を始め、「これで行ける!」と確信したタイミングで、早期退職制度を利用して転職や起業をした人もいます。もちろん本業にやりがいを感じているのならば、引き続き「副業」の幅を広げ、「兼業」にすることだってできるでしょう。

かつては「副業禁止!」が多くの企業で常識でしたが、今では推奨する企業も増えてきています。本業の他に1社、2社、3社と副業先を増やしていき、ついに10社を超えたところで独立して、フリーのコンサルタントになるようなケースも、決して珍しくなくなりました。

独立・転職・起業・フリーランス……、実際の決断は後からでも十分間に合います。今はまず、その前の準備運動から、始めてみてほしいのです。

オフィス街を歩くアジア系ビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

■「組織に属する」信仰の終焉

そうは言っても、いまだに「フリーランス」と「フリーター」の区別がついていない人や、「アルバイトやパートと何が違うの?」と大真面目に聞いてくる人も少なくありません。いかにこれまでの日本が、「企業に属して働くこと」を大前提とみなし、「企業に属さず、個人として働くこと」を少数派として断じてきたかがうかがい知れます。

今から10年ちょっと前の、2010年頃のことです。当時30代だった私の知人はフリーランスとして大活躍していました。依頼はひっきりなしで、かつ高報酬の仕事ばかりが舞い込む彼は、まだ30歳と若いにもかかわらず、すでに年間1800万円以上を稼ぐ、超高度人材フリーランスでした。世間的にはいわゆる“高額所得者”と呼ばれる立場だったと言えるでしょう。

ところが、その彼が結婚しようと相手のご両親に挨拶に行ったところ、「定職にもつかずにフラフラと。そんな地に足がついてない男に、大切な娘をやれるか!」と大叱責されたそうなのです。いかに「フリーランス」としての働き方が市民権を得ていないのかを実感したと、彼は肩を落として嘆息していました。

収入もあり、貯蓄もあり、将来に向けて資産運用もしている……、それなのに「組織」に属していないというだけで、世間的信用を得られない……。そんな時代が、日本に最近まではありました。

■加速する「フリーランス」へのシフト

別の見方をすれば、それだけ日本という国は、「個人」への信用ではなく、会社という「組織」への信頼で、すべての価値を判断してきたとも言えます。

その相手のお父さんは当時60代で、今は70代になっています。もしかしたら新卒からたたき上げで、40年間1つの会社で勤めあげた方だったのかもしれません。

そんな立場の方から見ると、「フリーランス」など、「信用の置けない」「地に足がついていない」「組織では働けない人間」と思えたのかもしれませんね(本当は「フリーランス」こそ、確かな能力や人間性がないと、やっていけないものなのですが……)。

しかし、時代は変わりました。「フリーランスで働いている」「フリーランスとして将来働きたい」という言葉も耳にする機会が増えました。実際に大企業の中で正社員や契約社員に混ざり、事業に参画する「フリーランス」も増えています。

むしろ、従来型の終身雇用制を、「たった1つの会社で雇用され続けようとする、企業依存タイプの働き方」という視点で論じるメディアも出てきているほどです。今後、この流れは加速度的に進んでいくでしょう。

■10年同じことをやり続けたら、コモディティ化する

もっとも、「企業で働いていたほうが、身に付けられるスキル」というのも、私はあると思っています。基本的に、企業は「外部人材を育てよう」などとは考えません。フリーランスはすでに実力があって当然。そのスキルを買うからこそ、あえて正社員よりも高い単価で外部に発注するのです。

ということは、「フリーランス」であり続けることの1つの落とし穴は、「成長の機会を与えられない」ことだと言えるかもしれません。

「さっきと言っていることが違うだろう!」
「フリーランスの成長スピードは速いんじゃなかったのか!」

と怒らないでください。これはフリーランスも会社員も同じように陥りやすい落とし穴だからです。

どんな職場でも、どんな分野でも、「10年同じことをやり続けたら、その領域はコモディティ化する」のです。伝統工芸品の職人でもない限り、世の中の技術革新は日進月歩です。10年前、20年前に身に付けた知識やスキルは、アップデートしていかないと、時代遅れになります。

■「勤め人」or「独立」は二者択一ではない

旬でなくなった知識ばかり抱え込んでいても、その領域の案件はいずれ減っていってしまいます。ならば……と単価を上げようとしても、フリーランスが高い単価を得られるのは、どうしても「過去に経験した」「すでに実績のある」業務がメイン。外部からのフィードバックを得ることによる成長の機会それ自体はありますが、新しい領域にチャレンジする機会はかなり限られるのが実情です。だからこそ、誰もが新しい領域にチャレンジし続ける必要があります。

ただし、問題はどこでその領域にチャレンジするか。企業でこそ培われる分野や、体験できる領域もあるでしょう。

一方で、フリーランスだからこそ身軽に試せる、挑戦できるチャンスもあります。そのあたりの「キャリア戦略」を自分でしっかり見極め、計算し、実践していくことが、今後はより大切になっていきます。

場合によっては、その知識を蓄えるために「フリーランスになる」「再び企業で働く」といった選択を、交互に繰り返す必要もあるでしょう。

■未来の働き方は双方向に「出入り自由」

前にも述べましたが、私は必ずしも「フリーランスとしての働き方が最強!」と決めつけてはいません。選択肢は大いに増やすべきだし、そのためのスキルも実装していくべきだとは思っています。「企業の中でキャリアを積むことが、今の自分には必要」だと感じているならば、大いに活用すべしと考えています。

岡本祥治『LIFE WORK DESIGN』(プレジデント社)
岡本祥治『LIFE WORK DESIGN』(プレジデント社)

キャリアが「勤め人」→「独立」の一方通行であった時代は終わりました。これからは「勤め人」→「独立」→「勤め人」……と、双方向のキャリアを築く人も増えていくはずです。

例えば、企業で働いたのちに独立してフリーランスとなり、また数年後に再就職してリスキリングして、その後に再びフリーランスとなるというような働き方です。そんな「出入り自由」な働き方を実践している人を、私はすでに大勢知っています。

自分自身の「長期的な人生」を考えれば、勤め人としての立場と、独立した立場を柔軟に切り替えるリスキリング的精神こそが、最強の選択肢と言えるのです。

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岡本 祥治(おかもと・ながはる)
みらいワークス代表取締役社長
1976年生まれ。神奈川県出身。慶應義塾大学理工学部を卒業後、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)株式会社に入社。金融、通信業界などのプロジェクトに参画した後、ベンチャー企業の経営企画部門へ転職。海外・日本47都道府県などの旅を通じて「日本を元気にしたい」という想いを強め、2007年に起業、2012年に株式会社みらいワークスを設立。働き方改革やフリーランス需要の拡大とともに急成長し、2017年に東証マザーズへの上場を果たす。現在は、独立プロフェッショナルのためのビジネスマッチングサービス『フリーコンサルタント.jp』、転職支援サービス『プロフェッショナルキャリア』、都市部人材と地方企業をマッチングする副業プラットフォーム『Skill Shift』、地方創生に関する転職マッチング・プラットフォーム『Glocal Mission Jobs』などを運営するほか、45歳以降のセカンドキャリア構築を支援する『HRソリューション』、企業・自治体のオープンイノベーションを支援する『イノベーション・サポート』といったソリューションを展開するなど、事業を通じて「『人生100年時代』を生き抜く為の社会インフラ創造」「東京一極集中の是正」「人材流動性の向上」といった社会課題の解決に取り組む。

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(みらいワークス代表取締役社長 岡本 祥治)

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