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九九は完璧なのに…「一皿いちご8個、三皿で何個?」で掛け算の発想ができない"小学生あるある"の克服法

プレジデントオンライン / 2023年3月16日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/digihelion

わが子の算数苦手意識を解消させるにはどうしたらいいのか。プロ家庭教師「名門指導会」代表の西村則康さんは「よくあるのは九九が全部言えるのに、8×9=72(はっくしちじゅうに)ってどういう意味か説明して、と尋ねると、口ごもってしまうケースは珍しくありません」という――。

※本稿は、西村則康・辻義夫『理系が得意になる子の育て方』(ウェッジ)の一部を再編集したものです。

■算数が苦手な子の「九九あるある」

1年生の「10の補数」や足し算、引き算の学習を経て、2年生で九九の学習が始まります。教科書では、乗り物に3人ずつ乗っているとして、それが4台ある場合、「1つ分の数×いくつ分」で「全部の数」を求めることができるということを、イラストを交えながら解説しています。

「1つ分の数×いくつ分=全部の数」を式にすると「3×4=12」と書くんだよ、これは「3+3+3+3=12」と同じ意味なんだよ、計算をすべて足し算でやっていくと大変だけど、掛け算でやると便利だよね――最初は掛け算をこういうふうに習い、理解を深めていくのです。

しかし、1の段から9の段へと授業が進み、九九を毎日暗唱しているうちに、一体何のために九九を覚えているのかがだんだんわからなくなってくる子が一定数います。これは「九九あるある」で、そういう子は「3+3+3+3=12」と「3×4=12」が同じことだとしっかり理解できないままなのです。

以前、これから九九を使っていこうという時期の子どもたちの学習サポートをしたことがあります。驚くことに、多くの子が「九九あるある」の状態に陥り、つまずいていました。

九九は全部ちゃんと言えるのですが、文章問題で九九を使う必要がある場面で、まず掛け算の発想が出てきません。掛け算は一体どういうときに使う計算なのか、九九の暗記をするうちにどんどん薄れていってしまうんです。

そういう子に「8×9=72(はっくしちじゅうに)ってどういう意味か説明して」と尋ねると、口ごもってしまうことがほとんどです。「1つ分の数が8で、それが9ある」と言葉で説明できないのですから、文章問題から掛け算の式を立てることなどできるわけがないのです。

■数字だけより絵がある九九表を選ぶ

お子さんがこれから九九を学ぶのならば、九九表は数字だけのものよりも、8×3ならイチゴ8個が3つの皿に盛られているようなイラスト入りのものを選ぶといいでしょう。

数を数字という記号としてだけでなく、実感のある数として捉えていくことが数の感覚を磨き、算数の勉強を楽にしていきます。

イチゴが8個盛られた皿が3つあることを目で見ながら「8×3=24(はちさんにじゅうし)」と繰り返し唱えるのと、数字だけを見て暗唱するのを比べると、スムースに進むように見えるのは数字だけの九九表かもしれません。

しかし、スラスラとよどみなく言えることを目指すよりも、九九の意味と役割を理解し、しっかり記憶に定着させる暗唱の手助けをしてあげてほしいと思います。急ぐ必要はないのです。

■時間をかけて醸成していく

九九を全部覚えて言えるようになっても、いざ問題に向かったときに「はて、九九って何のことでしたっけ?」という恐ろしいことにならないように、九九表は長い期間張っておいて、いつも身近に感じられる環境を保っておくといいでしょう。

【図表1】子どもは九九を覚えているうちに掛け算の意味を忘れてしまう
出所=『理系が得意になる子の育て方』

3年生、4年生くらいまでは、もちろん張っておきます。順調にいけば、5年生くらいで「もういい」という状態になるでしょうけど、それでも無理にはがす必要はありません。

リビングやトイレに張ってあれば、折に触れて子どもの目に入ります。壁に張ってある学習教材はたいていそのうち風景と化して目に入らなくなるものですが、しつこく張っておくと、ふとしたときに目に留まります。「8×3=24(はちさんにじゅうし)これって当たり前だよな」「まだ張ってるけど、さすがにもういいかな」と、本人が感じ始めます。

西村則康・辻義夫『理系が得意になる子の育て方』(ウェッジ)
西村則康・辻義夫『理系が得意になる子の育て方』(ウェッジ)

そこからさらに進み、九九の意味をしっかり理解できるようになっただけでなく、自在に使いこなせる計算力がついたとき、「ああ、最初は九九がわかってなかったんだ」ということを振り返って見られるようになります。

そしてそのうち、九九がわかっていなかったということすら忘れて、われわれ大人が今、九九がわからなかった感覚などまったく思い出せないのと同じような感覚になっていきます。

状態になるまで、九九表は張っておくつもりでいてください。そんな子どもの心の中までわからないのではと思われるかもしれませんが、文章問題が難しくなるにつれ「危ういな」と感じる箇所が見えてくるはずです。そのときはまた戻ればいいのです。時間をかけて醸成していけば大丈夫です。

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西村 則康(にしむら・のりやす)
中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
40年以上難関中学受験指導をしてきたカリスマ家庭教師。これまで開成、麻布、桜蔭などの最難関中学に2500人以上を合格させてきた。

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(中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康、中学受験塾名門指導会 副代表・理数教育家 辻 義夫)

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