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頭のいい子が「36×25」「24×125」を瞬殺できるワケ…頭に"丸いパイが浮かぶ"算数脳をわが子にもたらす方法

プレジデントオンライン / 2023年3月17日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/EVAfotografie

計算が得意な子はどのように頭を使っているのか。プロ家庭教師「名門指導会」代表の西村則康さんは「算数が好きで伸びていく子には『25×4=100ってめっちゃ便利』という感覚があり、計算問題を前にしたとき、何とかラクできないか、工夫できないかといつも虎視眈々と狙っています」という――。

※本稿は、西村則康・辻義夫『理系が得意になる子の育て方』(ウェッジ)の一部を再編集したものです。

■「25×4=100ってめっちゃ便利!」

3年生の算数では「暗算」の単元があります。足し算、引き算から始まり、比較的簡単な掛け算や割り算へと進みます。

たとえば「37×7」を暗算で計算するとしましょう。ある子は、教科書で最初に習ったとおり、一の位の7に7を掛けて49、十の位に4繰り上がったのを覚えておいて、30×7=210だから、210に49を足して259と、頭の中で筆算をする確実な方法で解きました。

また別の子は、37という数字の30を見て、30が7個あるのだから30×7=210。一の位の7に7を掛けて、7×7=49。それらを足して210+49=259と考えました。

どちらも正解できましたが、両者は何が違うでしょう。前者が「地道にコツコツ派」だとすると、後者は「工夫してラクしよう派」です。算数が好きになって理系に強くなっていくのは、後者のタイプです。

お子さんの勉強のやり方を見てあげてみてください。「36×25」という問題をどんなふうに解いているでしょう。算数が伸びる子は、問題の中に25があったら必ず4を探します。当たり前のことですが、「25×4=100」です。この場合は36に4が隠れていて4×9=36ですから、9×100で答えは900です。

算数が好きになる子はこういうとき、「25×4=100ってめっちゃ便利!」と、ゲーム感覚で楽しみながら解いています。「ぷよぷよ」というぷるぷるした物体を消すゲームがありますが、あの感覚で計算している感じです。

■計算の作法に則った「ルール」を活用できる子は強い

子どもにとって、25×4が100になるということはものすごい発見です。このめちゃくちゃ便利なツールを使わない手はないだろうとワクワクするような子は、25×4が100ということは250×4は1000だから、250の半分の125を8倍したら1000になるということにも気づき、どんどん利用していきます。

たとえば、「24×125」の計算は、1000[125×8]としてそれに3を掛けて3000。「46×73+54×73」は、46と54で100になることに目をつけて「100×73=7300」と瞬殺です。

計算しやすいように数字を分解したり、まとめたりすることを分配法則といいます。分配法則といえば難しく聞こえますが、要は計算の仕方の工夫です。算数が好きで伸びていく子は、計算問題を前にしたとき、「ラクできないか」「工夫できないか」といつも虎視眈々(たんたん)と狙っています。

低学年の算数では、「25×4=100」のような便利なツールや、さまざまな「計算のルール」を教わります。掛け算で筆算をするときに末尾の0を除いて掛け、答えの末尾に0をつければ計算を簡単にできること、掛ける順序を変えても答えは同じになること。

こうした計算の作法に則った計算のルールを使えば使うほど、計算は速く、ラクになります。その便利なツールや計算のルールにパッと飛びつき、大活用する子がいる一方、なかなか踏み出せない子がいます。

「やっぱり前から順番に計算していくのが一番確実だ」というところから一歩踏み出せず、腕力でガリガリやっていこうとします。どうしたらラクに計算できるか、その工夫をしようという気持ちがある子とない子、気持ちがあっても勇気が出せない子がいる、その原因は何だと思われますか。

【図表1】算数が伸びる子は計算を工夫しようとする
出所=『理系が得意になる子の育て方』

おそらく、そういう工夫ができるということの実感がないんだと思います。37と聞けば、「30と7」と考えて問題を解く手がかりにできる子は、まず頭の中に10のかたまりが3つ並んだ物体のようなものが浮かぶといいます。また、計算問題の数字に25を見つけたらすぐに4を探すような子は、頭の中に円グラフや丸いパイのような画が出てくると言ったりします。それを4つに分けて25だったら4つで100だから、1パーツをさらに半分にしたら8つになるという実感をもって解いています。

数のボリュームをイメージする力が支えになって、いつも前から腕力でガリガリやっていく計算から一歩踏み出す勇気を与えてくれるのです。

■算数好きには「マイルール」がある

難しい計算問題をいとも簡単に正解した子に、「どうやって解いたの?」と尋ねることがあります。すると、今言ったような頭の中のイメージや分配法則の工夫を話してくれるのですが、そういうときの目はキラッと光っています。その子にとってみればゲームの攻略法について語るようなものですから、楽しくて仕方ないのです。

西村則康・辻義夫『理系が得意になる子の育て方』(ウェッジ)
西村則康・辻義夫『理系が得意になる子の育て方』(ウェッジ)

たとえば、円周を求める問題を解くとき、ある程度の成績以上の子は、円周率の3.14を筆算式の上に書いて掛け算をしていきます。できる子はほぼ100%そうしていますし、実はこのような計算の際のマイルールをもっています。

算数が得意になっていく子は、計算の作法に則ったルールを大活用していくなかで、このやり方でやればもっと間違いが少なくなるしラクに解けるということを経験しながら、「マイルール」を見出していけるのです。

理系のベースになるのは論理的思考力ですが、それは確かな計算力があってこその論理的思考力です。確かな計算力というのは、正しいルールに則った考え方、解き方といった基礎訓練的な部分が重要になってきます。

基礎を強固にしたうえで、マイルールという自分なりの法則を見出せたら鬼に金棒。みんながみんないきなりマイルールを見出し、目をキラキラさせながら算数の問題を解くようになるわけではないでしょうが、子どものちょっとした発見に対して「そんな良い方法をよく見つけられたね!」と驚いてあげてほしいのです。その後、「ルールって便利だね」と言葉を添えていくような会話が子どもの探求心を育てます。

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西村 則康(にしむら・のりやす)
中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員
40年以上難関中学受験指導をしてきたカリスマ家庭教師。これまで開成、麻布、桜蔭などの最難関中学に2500人以上を合格させてきた。

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(中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員 西村 則康、中学受験塾名門指導会 副代表・理数教育家 辻 義夫)

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