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なぜ経営がうまくいかないのか…組織を弱くする「ダメ社長」に共通する2大特徴

プレジデントオンライン / 2023年3月17日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

会社を潰してしまう経営者には、どんな問題があるのか。経営コンサルティングを行う武蔵野の小山昇社長は「いわゆる『2代目社長』は創業者に比べるとストレス耐性が低い傾向にあるので、『恥をかきたくない』『頭を下げたくない』という気持ちが先立ち、社長室にこもりがちになる。それでは組織を強くすることはできない」という――。

※本稿は、小山昇『会社を絶対潰さない 組織の強化書』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■社長の仕事は、社員の生活を守ること

会社を強くしたければ、社長が誰よりも働く必要があります。

武蔵野は、社員の能力を測定するために、「エナジャイザー」(公益財団法人日本生産性本部が提供する人と組織の適性診断)というツールを導入しています。エナジャイザーを使うと、その人の仕事の速さ、正確さ、安定性といった情報処理能力をA~Eで評価できます。

私の評価は「C」。武蔵野の社員の中でも、能力は低いほうです。それなのに、武蔵野の誰よりも結果を出すことができるのは、「1分1秒も無駄にせず、社員の誰よりも、汗をかいて働いているから」です。

わが社の経営計画書には「経営計画発表にあたって」と題した一文が掲載されています。この文の最後に、

「無理を承知で、みなさんに協力をお願いいたします」

と書いています。ただしこれは、社員に仕事を無理強いするためではありません。

社長の仕事は、社員の生活を守ることです。社長には、社員全員を雇用し続ける義務があります。そのために社長は、時代がどのように変化しようとも売上を上げ、利益を出さなければなりません。

■社長が遅くまで残業すると組織力が弱くなる

「無理を承知で」とは、「社員の誰よりも、社長自身が、無理を承知で頑張る」という覚悟をあらわしています。「無理を承知で」を言い換えると、

「社長が強い気持ちを持って誰よりも働かなければ会社は変わらない。利益を上げることは簡単なことではない。そのことを私自身がよく理解した上で」

といった文脈になります。

誰よりも汗をかき、働く。それが社長の仕事です。

ただし、「誰よりも汗をかいて働くこと」と、「誰よりも遅くまで会社に残ること」は、イコールではありません。それどころか、「社長が誰よりも遅くまで残っている会社」は、組織力が弱くなります。

先日、赤字続きの2代目社長(A社長)が「毎日、最後まで会社に残っている」というので理由を聞いたところ、「自分がいないと、安心できない」と答えました。

これを聞いて、赤字の理由がわかりました。A社長は、

「社員を信用していなかった」
「社員に任せておけなかった」
「自分が最後まで会社にいないと安心できなかった」

だから、「会社に残っていた」わけです。

■社長や管理職に求められるのは、組織としての成績

社員を信用しない社長は、社員からも信用されない。社員が社長を信用しない会社は、方針やルールが徹底されない。

だから組織が弱くなります。社員が数名規模の会社ならまだしも、数十名を超える規模の会社では、社員の協力(社長への信頼)なくして、時代の変化に対応することは難しいです。

会社を成長させるつもりがないなら、ワンマンのままでもかまわない。しかし、

「会社を成長させたい」
「何があっても揺るがない組織をつくりたい」

のなら、幹部社員を育てて権限委譲を行い、社長は自分にしかできない仕事に集中する必要があります。

新入社員、一般社員であれば、「何でも、自分でやれる人」が優秀です。

ですが、社長や管理職は、何でも自分でやってはいけません。

社長や管理職に求められるのは、個人の成績ではなく、組織としての成績です。したがって、社長や管理職は、

「部下(社員)に権限を委譲し、仕事を任せ、経験を積ませ、成長させる人」

が優秀です。

■代表取締役社長の肩書きには、大きな威力がある

業績の悪い会社の社長には、「2つ」の共通点があります。

①「トップ営業をしたがらない」
②「見栄やプライドがジャマをして頭を下げられない」

「社長の仕事は、決裁すること」だと考えている社長がいます。たしかに、決裁も社長の大切な仕事です。決裁を通して、会社のお金の流れを知ることもできます。

ですが、それ以上に大切なのが、「トップ営業」(社長の営業)です。

握手
写真=iStock.com/Hiraman
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hiraman

会社で「もっとも営業力を持つ人物」は誰だと思いますか?

「社長」です。「代表取締役社長」の肩書には、大きな営業力があります。

それなのに、赤字の会社の社長は、肩書きの威力に気づいていません。経営コンサルタントの第一人者で「社長の教祖」と呼ばれた故・一倉定先生は、

「社長の訪問1回は、営業マンの訪問100回に相当する」

とおっしゃっていました。私もそう思います。

【トップ営業のメリット】
●社長が、「自ら足を運んで営業をする」ことによって、相手の信頼・信用を得ることができる。
●ライバル会社に既存顧客を奪われるのを防ぐ。
●クレームが発生した際、社長が謝罪に出向いたほうが、事態を速やかに収束できる。
●社長が営業に行くと、一担当者ではなく、役職者(決裁権者)に取り次いでもらえる。
●世の中の動きやお客様のニーズを直接、知ることができる。

■増収増益のヒントは、すべて現場にある

創業社長は、「仕事を取ってこなければ、会社が潰れてしまう」ため、好きも嫌いもなく、必死に営業をします。一度や二度、断られてもくじけない。飛び込み営業も厭わない。

ところが2代目・3代目の社長は、創業者に比べるとストレス耐性が低い。「恥をかきたくない」「門前払いにされたくない」「頭を下げたくない」という気持ちが先立ち、営業担当者(営業部門)に任せきりです。

創業者の体得した知見・経験・体験は、2代目・3代目社長には継承できません。自分で経験をして勝ち取るしかないのです。

社長の仕事は、「社長室」にあるのではなく、「現場」にあります。赤字になった理由も、増収増益のヒントも、真実はすべて現場にあります。

社長室に引きこもっていては、組織を強くすることは不可能です。

■社長は営業から逃げてはいけない

会社を変える最初の一歩は、

「社長が積極的に外に出て、新規顧客の開拓と既存顧客の保全に努める」
「社長が積極的に外に出て、自社を良くするための情報を入手する」
「社長が積極的に外に出て、さまざまなものを見聞し、恥をかき、失敗をし……を繰り返す」

ことです。

会社を守るためにも、社員を守るためにも、社員の家族を守るためにも、お客様を守るためにも、社長は営業から逃げてはいけない。「自分が現場に出なければ、会社・組織は弱くなる」と覚悟を決め、腹をくくるしかありません。

このように、「代表取締役社長」の肩書きには「力」があります。ですが、その「力」は、社長の「虚栄心」を強くするためのものではありません。

虚栄心とは、

「見栄を張りたがる心」
「自分のことを実際以上によく見せたがる気持ち」

のことです。

■社長が頭を下げるほど、業績が良くなる

虚栄心の強い人は、

「相手の意見を素直に聞き入れられない」
「自分の失敗や過ちを認められない」
「自慢話が多くなる」
「『一目置かれたい』という気持ちが強い」

ため、人に頭を下げることができません(だから、営業も苦手です)。

社長の中には「頭を下げると、自分の値打ちが下がる」と思っている人がいます。ですが私は違います。

「社長が頭を下げるほど、業績が良くなる」
「社長が頭を下げると、信頼を得られる」
「社長の値打ちよりも、会社の値打ちを下げてはいけない」

小山昇『会社を絶対潰さない 組織の強化書』(KADOKAWA)
小山昇『会社を絶対潰さない 組織の強化書』(KADOKAWA)

と考えています。

だから私は、お願いをするときも、謝罪をするときも、感謝を伝えるときも、頭を下げています。

見栄を張らない。虚栄心は持たない。プライドはいらない。

私がほしいのは、「小山昇と武蔵野はすごい」という賞賛ではなく、「数字」と「信頼」です。それがわかれば、頭を下げるのに、なんの苦痛も感じなくなります。

恥も、見栄も、世間体もかなぐり捨て、必死にならなければ、強い組織をつくることは不可能です。

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小山 昇(こやま・のぼる)
武蔵野 社長
1948年山梨県生まれ。東京経済大学を卒業し、日本サービスマーチャンダイザー株式会社(現在の株式会社武蔵野)に入社。一時期、独立して自身の会社を経営していたが、1987年に株式会社武蔵野に復帰。1989年より社長に就任して現在に至る。2001年から中小企業の経営者を対象とした経営コンサルティングを展開。全国各地で年間240回の講演・セミナーを開いている。主な著書に『人材戦略がすべてを解決する』『新版 経営計画は1冊の手帳にまとめなさい』『99%の社長が知らない 会社の数字の使い方』(以上、KADOKAWA)、『4万人の社長・幹部がベンチマークした すごい会社の裏側(バックヤード)!』(あさ出版)、『儲かる会社のコミュニケーションの鉄則』(朝日新聞出版)などがある。

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(武蔵野 社長 小山 昇)

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