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新聞は1面から読み始めてはいけない…日経新聞を最強の株式投資ヒント集に変える“8つのポイント”

プレジデントオンライン / 2023年3月16日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Milan Markovic

投資で儲けられる人は、どのような情報収集をしているのか。複眼経済塾塾長の渡部清二さんは「新聞をしっかり読むだけでも、じゅうぶんな情報収集はできる。ただし、記事には新聞社の論調や考え方が反映されている。これに惑わされない情報の抜き出し方を身に着ける必要がある」という――。

※本稿は、渡部清二『10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■「当たる・当たらない」という視点で読むのは間違い

メディアが発表するニュースやアナリストたちの解説について、「それは当たっていない」と批判する人がいる。日経新聞についても然りで、初めから「当たらないから日経新聞は読まない」と決めつけている投資家も結構いる。

確かに新聞社には社説のように論調があって、読者の好みを左右するのは頷ける。しかし、重要なことは、書かれている記事をいかに有効活用するかである。受け止め方は自由だが、日経新聞を「当たる・当たらない」という視点で読むのは間違いであり、四季報についても同様のことが言える。

日経新聞に掲載されている日経平均株価、出来高等々は、結果としての数値であるから、元々「当たる・当たらない」という視点で読むものではない。指標ノート作りに際しては各数値を淡々と書き写せばよく、記事を読んで気づいたことをコメント欄にメモしておけばよいだけの話だ。

ただし、指標ノートのコメント欄に何を書くかが、様々な出来事の変化をとらえるために重要だ。次の3つの視点で日経新聞を読むようにするとよいだろう。

■「自分の意見を書く」だけで終わらせない

1.何が書いてあるかを理解する

記事の内容をそのまま受け止めるようにし、「この記事は当たっていない」「この記事は事実誤認ではないか?」といった感想を差し挟まないようにする。

2.考えをまとめる

記事の内容を把握した上で自分の意見を明確にする。

3.記事の内容と反対の見方をする

「しかし、こういう見方もできる」という自分の意見を加える。同じ記事を読んでも、受け止め方は各人各様で異なったものになるはずだが、とりわけ2、3の読み方をすることによって、書かれている記事を有効活用できるようになる。

そして、肝に銘じておかなければならないのは、とにかく続けることである。私自身、四季報読破も日経読み合わせも、その切り抜きと指標ノート作りも、始めた当初はきつく感じたことがある。単純とも言えるこれらの作業が役立つ時が本当にくるのかと思ったり、正直に言えば、さぼったりしたこともある。

しかし、慣れてくるとクセのようになって、1つの作業を忘れるとスッキリしないものだ。「継続は力なり」と言われているが、今やこの「三種の神器」の積み重ねは私の宝となっている。

■新聞は1面から読んではいけない

「日経新聞を後ろから読む」こともお勧めする。その理由は、初めから読んでいると、日経新聞の論調にいつの間にか流されてしまいかねないからである。

どの新聞社も読者が1面から目を通すことを想定して、読ませたいと思っている記事から順番に構成している。だが、我々が新聞を読む理由は情報を入手したいからで、新聞社の論調や考え方に関心を持っているからではない。

ちなみに私の場合、日経新聞に書かれている記事を客観的にとらえるために、必要に応じて日経新聞の対極にある東京新聞を読むようにしている。1つの事柄を別の視点から相対化することができるので、東京新聞の記事の切り抜きも日経新聞の切り抜きノートに添えるようにしている。

1面の記事は見出しも大きいし、文字数も多く、2・3面にも役立つ情報が多い。これらの紙面を先に読んでしまうと、それだけで「もう十分」という気になってしまい、後ろのほうに出ている株式投資のヒントになる小さな記事を見逃してしまう可能性がある。

もちろん、だからといって最初のほうの記事を読まなくてよいというわけではない。前半の紙面には世の中の大きな動きを伝えている記事が掲載されているので、必ず目を通す必要がある。しかし、そうした記事ばかりに惹かれることなく、株式投資に役立つヒントを得るには、日経新聞を後ろから読むのも1つの方法である。

要は日経新聞をどう読むかであって、そこに決まり事はないものの、ただ漠然と読むのではなく、多くの記事から活用できる記事を探し出して、何を読み取るかが大切になる。

■「変化・転換点」に着目する

日経新聞を読むのに何時間も費やせる人はいいが、ただ闇雲に時間を費やしてもそれほど重要でない記事に惹かれてしまう可能性がある。また、多忙な人なら各紙面をすみずみまで読むことは難しいだろう。

そこで覚えておきたいのが、新聞を読むコツだ。

まず、どの新聞も見出しがあり、大見出し、中見出し、小見出しを読むだけでも、日々の出来事を知ることができる。次いで、大きく扱われている記事には大見出しのあとにリード文が付いているので、リード文を読めばその記事の概要がわかる。そしてその詳細は本文に書かれている。

つまり、新聞は大・中・小の“3段論法”で構成されているということを再認識しておきたい。

日経新聞の構成は、その日のトップニュースが掲載されている1面から始まって、総合、政治・外交、経済・政策の紙面へ、次いでオピニオン、金融経済、グローバル市場、国際・アジアBiz、ビジネス・テック、投資情報、マーケット商品、マーケット総合、マーケットデータ、証券、経済教室、医療・健康、教育、特集、スポーツ、社会、文化という順番になっている。

どの紙面から読み始めてもいいが、心掛けたいのは“変化や転換点”をつかむことだ。日経新聞には国内外の政治・経済の変化、企業の業績、市場の転換点など、株式投資のヒントとなる情報が多く掲載されている。

■「8つの言葉」を切り出せばいい

変化や転換点を知るためには、見出しや記事中にある次の8つの言葉を探し出して、このキーワードに引っかかった記事があれば、その中身を読むようにする。

ついでに記事の要点に傍線を引くなど、マーキングしておけば記事の内容が頭に入りやすいし、切り抜いてファイリングした後に検索しやすくなるだろう。

1.ぶり(○○年ぶり、○○期ぶり など)
2.年(○○年以来 など)
3.初(初期、史上初、世界初、業界初 など)
4.最(最高、最低、最長、最多、最大 など)
5.新(更新、新技術、新たな取り組み など)
6.発(発見、発明、発表、日本発 など)
7.脱(脱○○、脱退 など)
8.改(改革、改正 など)

この8つの言葉は、見出しや本文によく使われているので見つけやすく、変化や転換点をピックアップするのに大いに役立つ。

たとえば、「○○分野の業績が○○年ぶりに回復」という記事があれば、○○分野が低迷期を脱したことが読み取れる。

また、「業界初の商品開発」という記事があれば、その商品には競合がいないという意味となり、近いうちに売れ行き好調になることが予測される。

■慣れてきたら「首位、転換、一転」にも注目

「初の海外進出」という記事があれば、同業他社がこれに続き、その市場が拡大することが考えられる。

渡部清二『10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート』(KADOKAWA)
渡部清二『10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート』(KADOKAWA)

あるいは「新技術開発」と書かれていれば、その企業の業績や事業環境に何らかの変化が起こることが予測される。

他にも「首位、転換、一転」など、変化や転換点を示唆する単語があるので、先の8つの言葉を探すことに慣れてきたら、こうした単語にも注目するとよいだろう。

日経新聞からこれらのキーワードを見つけ出し、指標ノートのコメント欄に書き写す。このように株式投資は、森羅万象を織り込むと考えていて、気になる事柄を頭に入れるようにしている。とはいえ、記憶はうろ覚えで曖昧であったりするので、日経新聞を読んでいて気づいたキーワードを、その都度、指標ノートに記入しておくに越したことはない。

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渡部 清二(わたなべ・せいじ)
複眼経済塾 代表取締役・塾長
1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。20年以上の継続中で、2022年秋号の会社四季報をもって、計100冊を完全読破。2013年野村證券退社。2014年四季リサーチ株式会社設立、代表取締役就任。2016年複眼経済観測所設立、2018年複眼経済塾に社名変更。2017年3月には、一般社団法人ヒューマノミクス実行委員会代表理事に就任。テレビ・ラジオなどの投資番組に出演多数。「会社四季報オンライン」でコラム「四季報読破邁進中」を連載。『インベスターZ』の作者、三田紀房氏の公式サイトでは「世界一「四季報」を愛する男」と紹介された。著書に、『会社四季報の達人が教える 誰も知らない超優良企業』(SB新書)、『会社四季報の達人が教える10倍株・100倍株の探し方』(東洋経済新報社)、『「会社四季報」最強のウラ読み術』(フォレスト出版)、『10倍株の転換点を見つける最強の指標ノート』(KADOKAWA)などがある。

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(複眼経済塾 代表取締役・塾長 渡部 清二)

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