「割り算して0.9以下なら関係は破綻に向かう」夫婦関係の良し悪しが一発でバレる"計算式"【2022下半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2023年3月21日 15時15分
※本稿は、スコット・アラン(著)、弓場隆(訳)『GRATITUDE 毎日を好転させる感謝の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
■人生を変える感謝の心、見落としがちな恩恵に気づく
シャーロット・ブロンテ(イギリスの小説家)
どんなに厳しい現実に直面しようと、感謝の心を持っているなら、見落としがちな恩恵に気づくことができる。たとえ物事がうまくいかないときでも、感謝の心を持っているかぎり、困難の中に希望を見いだして、人生の素晴らしさを忘れないようにポジティブな姿勢を維持することができる。
感謝の心は人生を変える力を持っている。それがどのようなものかを説明しよう。
1 強欲を抑える
持っているものに気づき、それに感謝することは、満足感や充足感をもたらす。きっとふだん多くの恩恵を受けていることに幸せを感じるだろう。たとえば、豪邸に住んでいないことを不満に思うのではなく、家に屋根がついているおかげで雨風を防げることに感謝しよう。感謝の心を持つと、強欲を抑えることができ、むやみにもっとほしがる気持ちがなくなる。
2 共感力と寛容の精神を養う
感謝の心を持つことによって、もっとほしがる気持ちがなくなると、人生全般に対する満足度が高まり、自分の利益だけを考えるのではなく、他人の苦しみに共感することができる。その結果、他人に思いやりを持ち、ふだん受けている恩恵を共有したくなる。
自分が十分に恵まれていることに気づくと、心を開いて寛容の精神を養うことができる。あなたは「相手を気づかって広い心で分かち合う」ことを信条として行動し、困っている人たちに救いの手を差し伸べる慈悲深い人になる。
3 自信を生み出す
他人に思いやりを持って救いの手を差し伸べ、相手の顔に笑みが浮かぶのを見ると、自分の人間性に自信が持てるようになる。
また、たえず不平不満を言う癖から解放されると、人生のより重要な課題に意識を向けるから生産性が高まる。その結果、課題を素早く仕上げることができ、ますます自信がわいてくる。
■感謝の数÷不平の数=0.9以下なら関係破綻へ
4 楽観主義と粘り強さを育てる
感謝の心とネガティブな感情を同時に持つことはほぼ不可能である。感謝の心をはぐくむと、喜びや希望などのポジティブな感情を持つことができる。その結果、どんな状況でもネガティブな要素を排除し、ポジティブな要素を追求するようになる。
逆境に見舞われてもポジティブな要素を追求すると、「いずれ状況が好転し、よりよい時期が来る」と確信することができる。その結果、あなたは粘り強さを発揮し、楽観的な姿勢で努力を重ねる。
ある研究によると、感謝の日記をつけるとポジティブな姿勢が5%アップするという。別の研究によると、感謝の日記をつけると楽観主義が15%アップすると指摘されている。
5 安心感をもたらす
持っているものに感謝すると、人生の素晴らしさに気づき、今後もよいものに恵まれると確信することができる。その結果、世の中が自分に味方してくれていると感じ、安心を得ることができる。
6 愛と幸せをはぐくむ
心の中が温かい愛であふれると、すべての人と喜びを分かち合いたくなる。私たちが人生で抱える問題の大半は、身の回りのものに不平を言う癖から始まり、やがてそれは愛する人たちに対する冷淡な態度につながる。
不平を言う癖を直して感謝の心を持つ習慣を身につけると、愛する人たちにより親切になり、より辛抱強く接することができるから、壊れかけた関係を修復するのに役立つ。愛する人たちに囲まれて仲よく暮らせば、満ち足りた思いで幸せな人生を送ることができる。
![飲み物を飲むカップル](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/d/d/1200wm/img_ddb0ba321c5fd174c978849064ad52db406290.jpg)
7 結婚生活の危機を防ぐ
よくありがちなことだが、愛情が冷めると結婚生活がうまくいかなくなる。その結果、お互いに不平不満を言い合うようになり、相手の長所に気づかなくなる。心理学で「ロサダ比」というのがある。「感謝と不平の比率」のことで、2005年に心理学者のマーシャル・ロサダ博士とバーバラ・フレデリクソン博士によって発表されると大きな反響を呼んだ。
この比率の計算方法は、夫婦間におけるふだんのやり取りの中で、感謝や激励、支援などのポジティブな感情の数を、皮肉や嘲笑、非難などのネガティブな感情の数で割ることである。
多くの研究がロサダ比を検証した結果、この比率が0.9以下なら、ネガティブな感情がポジティブな感情より多いから、結婚生活は破綻に向かいやすく、場合によっては離婚にいたると指摘されている。
一方、この比率が5.1以上なら、結婚生活はすこぶる順調で、とても満足のいく関係を築くことができる。もし配偶者と何らかの問題を抱えているなら、毎日、相手に感謝の気持ちを伝え、結婚生活の喜びを分かち合う習慣を身につけよう。感謝の心をはぐくめば、結婚生活は円満で長続きする。
■感謝の心が人生をあるがままに受け入れるのに役立つ
8 拝金主義から抜け出す
拝金主義は精神に悪影響をおよぼし、幸福感を破壊するおそれがある。もちろん、より多くほしがり、より多く持つことは間違っていない。しかし、それが行き過ぎて拝金主義に陥ると、強欲を助長するおそれがある。その結果、持っていないものに意識を向け、たえず他人と比較し、人生で経験する無数の小さな喜びに感謝しなくなる。
![スコット・アラン(著)、弓場隆(訳)『GRATITUDE 毎日を好転させる感謝の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/3/1/1200wm/img_319a8b2b7de4a259db53d5e1e844c340167443.jpg)
また、自分さえ得をすればいいという利己的な性格になりやすい。多くの研究で、資産を増やそうとしてやっきになると、多大な犠牲を払うはめになり、家族や友人と過ごす時間が減るので、人生全般に対する満足度が低下すると指摘されている。
さらに、拝金主義に陥ると、自分にとって本当に大切な目標を達成するのではなく、単にお金をたくさん得ることにこだわってしまう。この傾向は幸せを台無しにし、人生の質を落とすことになる。
一方、感謝の心をはぐくむと満ち足りた気分になるから、拝金主義を防ぐことができ、資産が増えるかどうかをたえず心配せずにすむ。
9 平和で崇高な気持ちになる
たいていの場合、宗教の指導者は感謝の心を重要な美徳として称賛する。なぜなら感謝の心は平和で崇高な気持ちにさせてくれるからだ。また、感謝の心をはぐくむことは、あらゆる苦悩を乗り越えて、人生をあるがままに受け入れるのに役立つ。
10 豊かな人生を実現する
過去について悩まず、すでに終わったこととして受け入れよう。未来について心配せず、何が起ころうと感情的にならずに受け入れよう。そうすれば、後悔や不安によるストレスから解放される。
ストレスから解放されると、前向きな姿勢になり、生産性が高まり、人生のすべての分野でより大きな成果が上がる。感謝の心を持つと、不平を言わずに改善に向けて集中することができる。その結果、時間と労力を最大限に活用し、人生をより有意義なものにすることができる。
以上のことは、感謝の心を持つ習慣を身につける動機づけになるに違いない。
アントニオ・ダマシオ(ポルトガル生まれのアメリカの神経科学者)
(ライフコーチ、作家 スコット・アラン)
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