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「自分の意見は正しい」としたり顔で話し続ける人に本当の正解を抵抗感なく伝えるための鉄板フレーズ

プレジデントオンライン / 2023年3月21日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/hirohito takada

自身の考えが正しいと思い込んでいる人を説得するにはどうすればいいか。経営コンサルタントの高松智史さんは「自分の意見を丁寧に説明したり、相手の意見を直接否定しても議論にならない。相手の答えが成立する条件を先に提示しつつ、その条件が成立しないから違う道筋を伝えるべきだ」という――。

※本稿は、高松智史『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

■有名な「ひっかけ」問題を解くための思考法

さっそくではありますが、この有名な「ひっかけ」問題に目を通してください。

【問題】
行きは時速60kmで、ドライブに出かけました。
帰りは時速20kmでした。
同じ道ですが混んでいたのです。
往復での平均の速さは時速何kmでしょう。

せっかくですので、「5分」考えてみてください。

この5分を使って、とにかく解いてみてください。

手を動かし、アタマを動かしてから、読み進めるほうが圧倒的に進化できます。

ビジネスでも人生でもそうですが、「まずは自分でやってみる」というのは大事です。

やってみないとただの「批判家、批評家」になってしまいます。

さて、一応記載しておくと、[距離÷時間=速さ]です。

では、問題の解説をしていきます。

皆さんの答えは時速何kmになったでしょうか?

答えは「時速30km」ですよね。

もちろん、問題文にあったとおり、「ひっかけ」クイズですから、20人に1人は、40km!

(60km+20km)÷2=40km! と答えてくれたはず。

その素直さは忘れないでほしいですし、なんなら人生はこのくらい素直なほうが上手くいったりしますが、正しい答えは時速30kmです。

本書は「答えのないゲーム」の戦い方を論じる本ですが、これは算数の問題なので揺るがぬ「正解」があります。

例えば距離を[120km]としましょう。

すると、行きは[120km÷60km=2時間]、帰りは[120km÷20km=6時間]で、往復[240kmで、8時間かかった]ということになり、往復での平均の速さは[240km÷8時間=30km]となります。

■道筋を理解できない相手をどう説得するか

さて、ココからが本番です。

『HUNTER×HUNTER』で言えば、さきほどの問題がハンター試験で、これから始まるのが、「裏ハンター試験」となります。

【課題:40km!マンを説得せよ】

あなたが出した「答え」は当然30km!

しかしながら、友人はしたり顔で「答えは40kmでしょ」と叫んでいます。

今からその友人に正解を説明し、納得させてください。

この時皆さんならどう説明しますか?

友人「できた? 当然40kmだよね。簡単だよね」
あなた「」

よくあるシチュエーションですよね。

しかし皆さんは、こんな説得をしてしまっていないでしょうか?

友人「できた? 当然40kmだよね。簡単だよね」
あなた「いや、30kmだよ。例えば距離を120kmとするじゃん? すると行きは、[120km÷60km=2時間]で、帰りは[120km÷20km=6時間]となるよね。つまり往復だと[240kmを進むのに8時間かかった]ということになるから、往復での平均の速さは[240km÷8時間=30km]になるんだよ」

確かに、説明としては100%「正しい」。

しかし、40km! と自信満々に答えた友人の理解力が乏しければ、すかさずこういう質問が飛んでくる。

「なんとなくわかったけど……40kmではなんでダメかわからない」

とはいえ、今回のお題は「答えのある」算数の問題なのでこの説明でも成立します。

「距離、速さ、時間の公式だよ」とか極端な話「そういうもんだよ」と言ってしまってもいいくらいです。

ただ、理解できない相手への説明としては親切ではないのです。

こういった時、ある方法を使えば理解してくれる確率を高めることができます。

それがB○条件(読み方:ビーマルじょうけん)です。

B○条件とは簡単にいうと「B案(相手の主張)が◯となる(成立する)条件(b)を示して、その条件を否定(a)した上で、A案(自分の主張)に誘導する議論と説得の手法」です。

【図表1】B○条件
出所=『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』

この図表1が、B○条件を掴むキーとなります。

この図を写真に撮って今日から3日間だけで良いので、スマホの待ち受け画面にしてみてください。

これで思考が変わります。

行動が変わります。

この図の意味は、後でわかります。

■自分の考えをストレートに伝えても意見は交わらない

さて「40km!マンを説得せよ」を解説しながら、僕の愛する「B○条件」を感じていただきましょう。

自分と相手の意見が異なった時に、相手を説得するには2つのルートがあります。

2つの思考パスともいいます。

通常ルートの1つ目がこちら。

A○(読み方:エーマル)=「自分の意見を丁寧に説明する」

これは自分の考え=Aをストレートに説明するルートです。

さきほど示した「40km!マン」への説明がこれに当たります。

自分の考え、正論を直球で伝える方法ですね。

多くの場合このルートは、あなたと友人が彼氏彼女のように愛で満ち溢れた関係であれば、「理解しようと」最後まで聞いてくれるかもしれませんが、多くの場合そうはなりません。

相手はきっとこう思っているからです。

「なんか、言っていることは正しそうだけど、よくわからない。頭に入ってこない」

仕方ないのです。

この話を「聞いている」時点ではまだ自分の答えを信じていますからね。

「答えのある」算数のような問題でもよく起こることですから、これが「答えのない」ゲームだったら、なおさら聞く耳など持ってくれません。

「それは君の意見でしょ。僕の意見は違うから」

高松智史『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』(実業之日本社)
高松智史『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』(実業之日本社)

と言ってくるでしょう。

こうなるともう平行線。

あなたと相手の意見は交わることはありません。

このように「A○」説得では、不十分なのです。

これは圧倒的な信頼や圧倒的な力の差がある関係性の中でしか効果を発揮しません。

こうなってしまうと「答えのない」ゲームでは、議論にすらなりません。

■答えのないゲームで直接否定はNG

もう1つのダメな説得ルートがあります。

世の中の「炎上」はこの説得ルートの先に存在します。

B×(読み方:ビーバツ)=「相手の意見を直接否定する」

人は誰かを説得する時「相手の意見を直接否定する」ことから始めがちです。

皆さんの周りにもいますよね、ただただ相手の意見・アイデアを真っ先に否定・批判することから始める人たち。

今回の「40km!マン」の説得でいえば、こんな感じです。

友人「できた? 当然40kmだよね。簡単だよね」
あなた「いやいや、間違ってるよ。それ60kmに20kmを足してから÷2したでしょ。あーあ、それ完全に間違い」

否定から入り、最後まで否定する。

相手の意見を真っ向から「否定する」。

この問題は算数ですから「答え」があるので、さきほどと同じように、相手と圧倒的な信頼関係や力の差があれば通用します。

あなたは間違っていませんから。

しかしもし「答えのない」ゲームでこのような「完全否定」の発言をしたら「それは、アンタの意見だろ」となって議論になどなりません。

それどころか「炎上」するリスクが高い。

これではダメなのです。何せ、皆さんの戦場はもう「答えのないゲーム」なのですから。

会議で説明をする人
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

■相手の答えが成立する条件を先に提示する

ではどうすればいいのか?

A○がダメ、B×がダメと来たわけですから、救世主の登場です。

B○条件=「B(相手の意見)が◯となる(成立する)条件(b)を提示して、その“条件”を否定(a)する」

まずはこの「40km!マン」を「B○条件」を使って説得します。

友人「できた? 当然40kmだよね。簡単だよね(友人の意見B)」
あなた「なるほど、なるほど。もし、行き帰りで“同じ時間”走ったのであれば(Bが◯となる条件b)、÷2の計算式は正しいよ。だけど今回の問題はそこがひっかけなんだ。
距離は同じだけど、かかった時間は同じではないんだよね(条件bが成立しないことを伝えるa)」

このように相手の答えが成立する条件(b)を先に提示しつつ、その条件が成立しないから違う(a)ということを伝えるのです。

これが本稿で身につけてほしい議論の作法・B◯条件です。

答えのないゲームにおいての思考パスはこのルートを通るべきなのです。

A○でもB×でもなく、B○条件が良い議論をするためのキーポイントであると覚えてください。

■「Bが○となる条件」を作れる構文

【B◯条件のルール】
① A(自分の意見)とB(相手の意見)を真っ向から対立させて議論してしまうと、「答えのないゲーム」においては、「水掛け論」になってしまう。
② だからB(相手の意見)を直接否定してはいけない。相手の意見を直接否定した瞬間に水掛け論に突入する。
③ だから、B(相手の意見)が◯となる(成立する)「条件(b)」を提示して、その「条件」を否定(a)する。

要約すると、お互いの「答え」のぶつけ合い(A VS B)ではなく、「条件」で議論(A○条件 VS B○条件)することで「答えのある」ゲームへ転換せよ。

ということです。

これが、本稿のテーマであり、「B○条件」です。

しかしこの「B○条件」の核である「Bが○となる条件」を作れるようになるには、慣れが必要です。

暗記すべきはこの図とこの「構文」です。

もし、○○○だったら、あなたの意見は正しい。

だけど今回は○○○ではないので、あなたの意見は正しくない。

まずはこれを暗記。

そして誰かにしたり顔でさきほどの算数の問題を出し、相手がまんまと引っ掛かったら、B◯条件を使って納得させてください。

そうやって実際に使っていくことが技術を身につける近道ですから。

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高松 智史(たかまつ・さとし)
経営コンサルタント
カナタ代表取締役。一橋大学商学部卒。NTTデータ、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)を経て「考えるエンジン講座」を提供するKANATA設立。本講座は法人でも人気を博しており、これまでアクセンチュア、ミスミ等での研修実績がある。BCGでは、主に「中期経営計画」「新規事業立案」「組織・文化変革」などのコンサルティング業務に従事。YouTube「考えるエンジンちゃんねる」の運営者でもある。

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(経営コンサルタント 高松 智史)

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