うなずきが5cm深い…AI分析で判明・エース社員がしている「人間関係で圧倒的な差がつく」しぐさ
プレジデントオンライン / 2023年3月22日 10時15分
※本稿は、越川慎司『17万人をAI分析してわかった 最強チームの条件を1冊にまとめてみた』(大和書房)の一部を再編集したものです。
■できる社員が実践する「ほめ方」ベスト3
エース社員が実践していることは、いたってシンプルです。
小さな行動実験をただ繰り返す。
これだけです。
行動の選択肢を増やすために、行動量を増やして失敗確率を下げる戦法を取っていました。
いきなり大成功を目指すのではなく、小さな失敗を積極的に積み重ね、その先に成功をつかんでいたのです。
こうしたローリスク・ローリターン戦術で得た成功の積み重ねが他のメンバーと差を付けていたのです。
自走する組織を作るために優秀なリーダーが言ったことは、行動実験。彼らは、口をそろえてこう言います。
「意識なんて変わりませんよ! 私も部下も。意識の前に行動を変えるのです」
行動を変え、振り返って「意外と良かった」となれば、それこそが意識が変わった状態です。
1on1などで部下と話し合い、「ちょっと頑張れば達成できる難易度の課題」を提供する。いきなりハードルが高いとやらないけども、「ちょっと頑張ればできる」ことを伝えて合意し、ちょっと行動させる。
「失敗しても責めない」
「ただし失敗しても反省せずに次の行動に活かしてなかったらしっかりと叱って指導する」
優秀なリーダーはこのように考えているのです。
失敗しても、そこで得た学びを次につなげれば絶対に責めない。そんな小さな行動実験をやって「意外と良かった」というものを生み出していると言っていました。
会社で同僚を巻き込んで成果を残し、社外でも人脈を拡げスキルアップしていくには、説明する能力だけではなく、人を魅了するコミュニケーション力があると便利です。
「ほめる」というのは、まさに相手を魅了するコミュニケーションの1つ。一方で、ほめ方を間違えると、逆に関係を悪くしてしまいます。
できる社員は多くの人を巻き込むために、強引に言うことを聞かせようとするのではなく、相手を心地よくしながら“Win-Winの関係”を築こうとします。
できる社員が実践していたのが、ほめることです。
彼らが実際にどのように相手をほめていたかをAIで分析したところ、3つの特徴が浮かび上がりました。1つずつ解説していきます。
■警戒心を持たれていると「は」に引っかかる
①能力とプロセスをほめる
できる社員は、外見ではなく能力、結果だけでなくプロセスをほめていました。
ほめ言葉に関連するアンケート調査によると、相手との関係性が深いと素直に受け止められるが、浅い関係の相手には警戒心を抱き、多少疑ってしまうという結果が出ました。
例えば、警戒心を持たれていると「マフラーはステキだね」の「は」に注目されてしまって「マフラー以外はステキではないのかも」と思われてしまいかねません。
「やせてスマートになったね」と言われた場合「太っていると思われていたんだな」と受け取る人もいます。
できる社員は、視覚的情報よりも能力や感性をほめるようにしていました。
例えば「そのマフラーを選ぶセンスが素敵」という具合に「マフラー」をほめるのではなく、マフラーを選ぶ「あなたのセンス」をほめていたのです。
![秋の歩道で、笑顔で振り返る女性](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/c/a/1200wm/img_ca2e6eba2c123c3de5e4a300b4779e15450844.jpg)
「スマートになるまでダイエットを続けられる努力がすごい」と、体型ではなく努力をほめれば、相手の能力を承認したことになります。
見た目だけでなく内面、結果だけでなくプロセスをほめてもらうと承認欲求が満たされます。
こうしたセンスや努力をほめることで相手を快く感じさせていました。
■先にポジティブワードを聞いた方が印象に残りやすい
②倒置法でほめる
2つ目の特徴は倒置法の利用頻度です。
できる社員は相手をほめる際に、倒置法をよく使います。
倒置法はあえて通常とは異なる順序で表現することで印象を強める表現技法です。また、感情的に伝わる効果もあります。
「そのマフラーを選ぶセンスがあって素敵だね」という表現ではなく、「素敵だね、そのマフラーを選ぶセンスが」という倒置法を使っていたのです。
先に「素敵」というポジティブワードを聞いた方が印象に残りやすく、テンションが上がりやすいのです。
倒置法の利用頻度の差は定量的に計測できなかったのですが、一般社員よりも相対的に多かった印象はあります。
■興味・関心を相手に確信させる
③間接承認をつかう
優秀なリーダーがよく使っていたのが「間接承認」です。第三者を使って相手をほめる手法が「間接承認」です。
「手伝ってくれてありがとう」ではなくて、「先週人事部の面接を手伝ってくれたらしいね。人事の山田さんがあなたにすごく感謝していたよ。ありがとう」というように、第三者を使ってほめるのです。
「人事部の山田さん」を使って「あなたにすごく感謝していたよ、ありがとう」と第三者を経由して間接的にほめた方が相手を喜ばせるのです。
メンバーは「山田さん、私に感謝してくれていたんだ」「上司は私を見てくれていたんだ。ありがたいな」と喜びます。
そのテンションが上がった様子を見て、リーダーもハッピーです。「人事部の山田さん」と名前を出してもらった山田さんもハッピー。間接承認で3人がハッピーになるのです。
この「間接承認」はリーダーとメンバーの1on1で効果を発揮することが、39社の行動実験で判明しました。
1on1のスタート時に「よろしくお願いします」ではなくて、間接承認を使った感謝でスタートできれば、メンバーとの関係性もばっちり。
しかし、間接承認は準備が必要です。周りにヒアリングをしておくとか、他の人と1on1をするときに、対象者のネタを仕入れておくなどの準備です。
「私に興味・関心を持って見てくれていたんだ」と確信させることが、相手の心を開きますので、1対1の対話のときは「間接承認」が準備できれば最高です。
![オンライン会議中の男性](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/4/1200wm/img_04f610e22e91e7ad0c6d4c7a6ab7a4fe305331.jpg)
■周囲を巻き込み、違いを見せるエースの「聴き方」
能力が高い人でも、自分一人で成果を出し続けることは難しくなっています。
不安定で変化が激しい現代では、個人の業務処理能力の高い人が成果を出しにくくなっています。
複雑な課題をスピーディーに解決するには組織の力が必要です。
各メンバーの強みと弱みを掛け合わせて、個人では解決できない問題を解決していく必要があるのです。
優秀な社員は、同僚や上司、ときにお客様を巻き込んで課題を解決していきます。
先日、大規模なオンラインセミナーでピンチがありました。
システム障害でセミナーが開催できないようだと開催2時間前に連絡が来ました。すぐにシステム部門に代替サービスを用意してもらい、営業担当に顧客への周知を依頼しました。
開始が遅れそうだったので顧客へ事前に質問したい内容を投稿しておいてもらいました。結局1時間遅れて開催したのですが、参加率はいつもよりも高く、参加者の満足度も高かったのです。
このように周囲を巻き込んだ後に“違い”を見せるのが優秀な社員です。
協力者一人ひとりに感謝とねぎらいの言葉を掛けるだけでなく、協力者の上司にもお礼を送っていたのです。
「山田さんの献身的な協力のおかげで、緊急開催できただけでなく顧客からの評価は前回比18%も上回りました。本当にありがとうございました」といった経緯と結果を明示して感謝を伝えていたのです。
このような対応をすれば、協力者も協力者の上司も嬉しいです。「巻込力」を発揮した後に、こうした感謝の言葉を送ることで自分も含めて三者をハッピーにして、「また協力したい」と思わせることで巻込力をさらに高めていたのです。
■できる社員は、事象よりも人に興味を持つ
相手に関心をもって丁寧に聞くことで結果的に相手を巻き込みます。
できる社員は、事象よりも人に興味を持つことが多く、それが聞く姿勢に現れます。
ペンとメモを持参して、最初に一言「メモを取っていいですか?」と相手に尋ねます。
これは「聞いたことを記憶に残したい」という意思表示であり、同時に「あなたの発言は大切です」という伝達になっているのです。
尋ねられた相手にとっては嬉しいです。
耳で聞き流すのではなく、心と頭でしっかり「聴く」姿勢が相手に伝わるからです。
次の特徴は「深くうなずくこと」です。
うなずきというのは、いわゆる首を縦に振る動きですが、できる社員はうなずきが深いのです。
特にオンライン会議では、顎と頭がビデオ映像の画角からはみ出るくらい大きく深くうなずいている方がいました。
「あなたに興味・関心があって、しっかり聞いていますよ、理解していますよ」という熱意を相手に伝えているのです。
それが相手に伝わると嬉しくなってもっと多くのことを話したいと思わせます。
■上司の暴走を止める「聴き方」
できる社員は首の動きによって、聞いている姿勢を見せて相手の腹を割っていたのです(図表1)。
![【図表】首の動きの効果](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/9/f/1200wm/img_9fa0c7c7eb1fcfb254e6e34d88dc0f1b269729.jpg)
できる社員は「うなずき」で上司の暴走を止めていました。
上司は良かれと思って、同じことを何度も繰り返して発言します。
それは、聞き手が理解していないと認識しているからです。
オンライン会議ではビデオをオンにする参加者は21%しかいません。
![越川慎司『17万人をAI分析してわかった 最強チームの条件を1冊にまとめてみた』(大和書房)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/4/6/1200wm/img_461c2545cc7d49ee9cbce9a84bdbea2c232081.jpg)
その状況で、自分の言っていることを相手が理解しているかを判断することは困難です。
そこで、できる社員は上司が暴走している時こそ、自分のビデオをオンにして大きくうなずいていました。
「しっかり聴いていますよ、しっかり理解していますよ」というアピールをしていたのです。
聞き手が理解していると分かったら上司は同じ発言をしなくなります。
しっかり「聴く」姿勢を見せることで、相手との距離感を縮め、興味や理解度を伝えることができるのです。
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株式会社クロスリバー代表
元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約6万人が受講し、満足度は98%を超える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『29歳の教科書』(プレジデント社)がある。
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(株式会社クロスリバー代表 越川 慎司)
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