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「もう70歳なんだよね」と絶対口にしてはいけない…和田秀樹「老け込んで見える人に共通する言葉使い」

プレジデントオンライン / 2023年3月30日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/makotomo

年を重ねても若く見える人は何が違うか。医師の和田秀樹さんは「昔の仲間と久しぶりに顔を合わせて、『お互い、もう70歳なんだよね』と真っ先に『歳ネタ』を口にするタイプほど老け込んで見える。70代でも80代でも、若く見える人ほど自分の年齢を気にしていない」という――。

※本稿は、和田秀樹『70代からの元気力』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■平均寿命の長さは平均年齢の高さにつながるのか

日本の年齢構成はいま、逆ピラミッド型になっています。

人口がいちばん分厚い層が、この本の読者層でもある70代前半の団塊の世代なのですから、ある意味、当たり前のことかもしれません。

そして、現在、40代後半から50代前半の団塊ジュニアの層が、団塊の世代に続いて層が厚くなります。

70代の人口が多いわけですから、それに応じて日本人の平均年齢も高くなるはずです。このことはすぐに納得できることだと思います。

では、それは何歳なのか。

48歳前後、ざっくりと40代半ば過ぎと考えていいでしょう。

ただ、平均寿命が長いのだから平均年齢も高いという見方は当たっていません。おおまかな傾向としてはそうなりますが、相関するわけではないのです。

たとえばアメリカ人の平均年齢は38歳前後、こちらはまだ30代後半です。日本とは、ほぼ10歳の開きがあります。でもアメリカ人の平均寿命は79歳ですから、日本人とそれほど差があるわけではありません。

もう少し数字を挙げてみましょう。

1950年の日本人の平均年齢は26歳でした。

つまり、団塊世代が生まれて間もない頃は、日本の社会全体が20代半ばの若者に満たされていたことになります。それがいまでは、20歳以上も平均年齢層が上がったことになります。

ちなみにアメリカは1950年の平均年齢が31歳でした。それから70年近くも経っているのに、平均年齢は7歳しか上がっていません。

この数字をどう受け止めますか?

■70年前より日本人の「心理年齢」は20歳も若返っている

数字だけを見て、「日本人も老けたなあ」と受け止める人もいるのではないでしょうか。ただ、よく考えるとわかりますが、それはまったく違うのです。

平均年齢のこの変化は、むしろ、それとは逆の受け止め方ができるのです。

日本人の「心理年齢」が、20歳以上も若返っていると言えるのです。

「心理年齢」――日本の社会の中で、自分を心理的に若い世代と感じるか、中心となる世代と感じるか、やや歳をとっている世代と感じるか――は、平均年齢で決まります。

たとえば、1950年の日本人の平均年齢は26歳だったので、当時、26歳の人は、自分を若くもなく、歳をとっているわけでもなく、まさに日本の中心の世代と感じていたでしょう。

当時、35歳前後の人は、自分のことをいまで言う「おじさん」「おばさん」のように感じていたはずです。

さらに、45歳前後だった人なら、平均年齢より20歳近くも上なので、自分のことを「年寄り」とさえ感じていたかもしれません。

平均年齢より20歳近くも上ということは、いまで言えば60代後半。あながち間違ってはいないでしょう。

つまり、いまの「60代後半」は、昔で言えば「40代半ば」の感覚なのです。

日本人は「老けた」のではなく、確実に「若返っている」のです。

■いまの「70歳」は、昔で言えば「50歳」

日本人の「心理年齢」は、20歳も若返っている――。

このことは、実感として理解できるという人も、多いのではないでしょうか。

たとえば、いまのあなたが、65歳とします。

そして、同年齢だった頃のご両親と、いまの自分を比べてみると、いかがでしょうか。明らかにいまの自分のほうが肉体的にも精神的にも見た目も、若く感じるのではないでしょうか。

また、1960年代は、会社員の定年は55歳でした。おそらく55歳を過ぎると、出社して働くのは肉体的にも精神的にもキツいという人が少なくなかったのでしょう。いまはどうでしょうか。

「60歳定年」は制度上の建前みたいなもので、実際、65歳まで働ける職場が増えています。つまり、60歳を過ぎても、出社して働くのはさほどキツくないという人が増えているのではないでしょうか。

実際、「70歳になっても、現役」という人はいくらでもいます。

明らかに日本人の「心理年齢」も「肉体年齢」も若くなっているのです。

元気にゴルフをするシニア男性
写真=iStock.com/miya227
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/miya227

いまの「70歳」と昔の「70歳」とでは、明らかに違います。

いまの「70歳」は、昔で言えば「50歳」。

かつての「40代」は、いまで言えば「60代」ということになります。

実際、現実の感覚として、70歳ぐらいなら「まだ働ける」「仕事があるなら働きたい」と思う人が大勢います。

■「70代の重要性」に気づくと、元気が出ます

団塊の世代である70代は、現時点で「最大の消費層」になっています。

その意味では、団塊の世代のニーズを的確に汲み取れる人材は、いまの世の中では、当然、必要とされるはずです。つまり、いまの70代は、その気にさえなれば、現役として「社会の一線」に立つことさえできるわけです。

「70代」がそのような重要な世代であるということに、気づいているか、気づいていないかの違いは、とても大きいと思います。

「70代」の重要性に気づいている人であれば、「70代になったら出しゃばらないほうがいい」などとは考えないでしょう。私に言わせれば、そのような考え方は、高度経済成長前、70年も昔の人生観にしがみついているようなものです。

まして60代なんて、かつての40代でしかありません。1950年であれば、40代はまさに、社会のリーダー世代。日本人の平均年齢が20代の時代に、その若い20代を引っ張っていたのが、40代なのです。

いまのあなたの実年齢から20歳引けば、何歳になりますか?

その年齢が実感からほど遠いものだったとしても、気持ちは動くと思います。

「自分から老け込んでいる場合じゃない」「もうちょっと活躍してみたい」と感じるのではないでしょうか。

その気分こそ、70歳からの「元気の素」でもあるのです。

■「団塊の世代が元気」になれば「日本も元気」になる

日本の高度経済成長の原動力となったのは、何と言っても、団塊の世代です。

しかも、日本人の年齢構成でいちばん分厚い層も、団塊の世代なのです。それだけ、存在感がある世代と言ってもいいでしょう。実際、団塊の世代を含めて、70代、80代の世代は、日本社会の中で重要な年齢層と言えます。

この重要な年齢層が、ごっそりと意欲をなくして気分的に落ち込んでしまったり、閉じこもってしまったりすると、どうなるでしょうか。

日本社会全体が、元気をなくしてしまうのです。

かつて日本全体を活気づけた層が、元気をなくしてしまうのですから、考えてみれば当たり前の話です。まず、消費が激減します。人手不足もさらに深刻になります。都会であれ地方であれ、それぞれの地域が成り立たなくなるケースは無数に出てくるでしょう。

そして、活気がなくなって、寂しい国になってしまうのです。

逆に言えば、70代、80代の人たちが元気になれば、日本も元気になるのです。

プレッシャーをかけるわけではありませんが、70代、80代の人たちは、その意味では責任は重大です。

とは言っても、べつにムリに働く必要はありません。また、自分にその気がなければ、よく言われるように、地域の活動やボランティア、趣味や遊びのサークルにも入る必要もありません。

では、何をすればいいのか?

元気に町を歩いたり、ふらりとどこかに出かけたりする。それだけでいいのです。

顔見知り同士があちこちで出くわして、お茶を飲んだり食事をしたり、あるいは、連れ立って近所の居酒屋でお酒を飲むだけでもいいのです。

実際、そういう70代、80代がいる町は、にぎやかで活気があるものです。40代も50代も、70代、80代に負けじとばかりに、にぎやかに集まってきます。

と言うのも、そういう町なら、飲食店も居酒屋も、味には手を抜けないからです。70代はとくに味にうるさいのです。70代にそっぽを向かれて、店が流行らなくなれば、ほかの世代も寄りつかなくなります。

つまり、70代、80代が元気なかぎり、40代、50代の現役世代も張り切らざるを得ません。日本人の平均年齢が40代後半という時代、70代、80代の存在感というのは、突き詰めていくと、そういうことになるように思います。

現在、日本の中心の世代である40代後半の世代に「元気」を注入するのも、70代、80代の役目とも言えるのではないでしょうか。

さあ、元気よく、外に出かけてみましょう。

■70代の格差「若く見える人」ほど年齢を気にしない

人間は何かを気にすれば気にするほど、そのことから逃れられなくなります。

悩みも不安も、すべてそう。

気にすれば気にするほど、見つめれば見つめるほど、気になるし、目につく。そして、気にすればするほど、その悩みや不安は日々大きくなっていきます。

うつになりやすい人には、とくにそういう傾向があります。何か気になることがあると、どうしてもそのことだけを考えてしまうのです。だから余計に、そこから抜け出せなくなります。

「年齢」についても、まったく同じことが言えます。

気にする人は気にするし、気にしない人はあまり気にしない。ただし、1つだけ言えることがあります。

70代でも、80代でも、若く見える人ほど、自分の年齢を気にしていません。

逆に言えば、老け込んで見える人ほど、自分の年齢をいつも気にしています。

昔の仲間と久しぶりに顔を合わせて、「お互い、もう70歳なんだよね」と真っ先に「歳ネタ」を口にするのがこのタイプ。いつも年齢のことを考えているし、話題にしているので、年齢よりも老けて見えるはずです。

和田秀樹『70代からの元気力』(三笠書房)
和田秀樹『70代からの元気力』(三笠書房)

「歳ネタ」を振られても、大して関心もないので、「そう言えば、そうだね」と、受け流すことができる人は、おそらく若く見えるはず。

つまりは、「歳ネタ」を話題にすればするほど、老けていくようなものです。

それもそうでしょう。

「歳ネタ」なんて、いくら話しても、何も解決しませんし、何のメリットもありません。

それどころか、「もう70歳なんだよね」などと話しているうちに、気分が沈んでくるので、どんどん老けていくわけです。

自分の年齢を気にする人と、気にしない人とでは、人生の質も変わってきます。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

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(精神科医 和田 秀樹)

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