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「ここしか自分の居場所はない」すべての元凶は思い込みにある…会社員が”社畜化”してしまうワケ

プレジデントオンライン / 2023年4月11日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Fajar Kholikul Amri

私たちは何のために働いているのか。個人投資家の穂高唯希さんは「”社畜”と呼ばれるような働き方をしている人は、思い込みで視野が狭くなっている。職場に染まりすぎて本来の自分を見失わないことが重要だ」という――。

※本稿は、穂高唯希『#シンFIRE論』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■大企業で感じた「普通でいなければ」という息苦しさ

現代では「社畜」という言葉を耳にします。

社畜とは、「会社に飼い慣らされ、自分の意思と良心を放棄し、サービス残業や長時間勤務もいとわない奴隷と化した賃金労働者の状態を揶揄、あるいは自嘲する言葉」とされています。なかなか刺激的なワードが並んでいます。

私が会社員として勤めていたのは大企業で、「普通でいなければならない」という空気、無難に型通りふるまうことがよしとされる文化に、猛烈な息苦しさを感じていました。自分らしさを解き放ち、のびのび過ごした学生時代とのギャップが大きかったのだと思います。毎日決められた時間に出社し、昼休みに1時間だけ行動の自由を得られ、夜遅くまではたらき、帰宅後も土日も業務に追われる自分が、いつしか豚舎に通う豚のように思えたからです。そのような自分の状態を揶揄、自嘲してみずからをトン(豚)と呼んでいました。

私のツイッターアカウントは@FREETONSHA、ブログURLもfreetonsha.comです。いずれもTONSHAというワードが入っています。

当時いかに、その状態に対して強烈な違和感を持っていたかが表れています。「自分はこうなるためにいままで生きてきたのか? いや、ちがう」と。決められたことをこなすのではなく、自分でやることを決めて、主体的に自由に生きたかったのです。そしてその状況を手に入れて気づいた、私なりの脱社畜というテーマを論じていきたいと思います。誤解なきよう申し添えますと、サラリーマンという働き方や会社自体を否定しているわけではなく、会社には貴重な経験をさせてもらったことに感謝しています。

■今より労働時間が長かった昭和に「社畜」という言葉はなかった

脱社畜を論じるためにも、まず社畜という言葉が登場した時代背景を考察します。

社畜という言葉は、多くの場合「長時間労働」とセットで語られます。ときに、「サービス残業」というニュアンスも含まれます。

では長時間労働は現代だけに起きたことでしょうか。いいえ、昭和30~60年代頃の経済成長期も長時間労働です。むしろその頃は現代よりも労働時間が多かったと言えます。

残業は当たり前、そもそも週休2日制ではなく、土曜も午前中は勤務することが一般的でした。

しかし当時、社畜などという否定的なワードが広がった形跡は見当たりません。むしろ好意的にとらえていた節さえあります。当時有名だったCMでは、軽快な音楽とともに、威風堂々とスーツ姿に身をまとった男性が元気はつらつと「24時間戦えますか」と歌っていました。動画投稿サイトのコメントには、「この時代なら24時間はたらける」というものもありました。現代で同じCMを流すと、多くの人が違和感を感じることは想像に難くありません。時代背景が異なるのです。

では当時の経済成長期と現代で、なにが異なるのでしょうか。

■「今日より明日は必ず良くなる」と思えた時代

経済成長期は、与えられた仕事をこなしていれば、いずれ昇進や昇給が約束され、終身雇用、年功序列が機能していました。「労働時間が長い=利益・給料がアップ、モノの豊かさも手に入る」が成り立ちやすかったと言えます。

なぜなら、人口は増え、国として成長期だったからです。

街に飛び込む日本人男性ビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

成長期は物質的に貧しいため生活向上に燃え、ハングリーさや労働意欲が高まります。人口が増えれば需要も増えるので、働けば働くほど、商品をつくればつくるほど、売れました。売上が伸び、会社の利益や社員の給料も右肩上がりでした。

一般家庭に車や家電が普及し、目に見えて豊かになる実感も持てました。会社に尽くし、長時間労働をしても、それに見合うものを得やすく、「自分が部長になる頃には、いま部長が得ている給料より多くなるだろう」という希望すら持ちやすかった時代です。

社会全体として経済成長が実感できる時代でした。近年の中国がまさにそういった成長期でした。私が留学や仕事で関わってきた中国の人々は、まさに「今日より明日、明日より明後日がよくなる」と確信し、社会に活気が満ちていました。

■新しいモノを手に入れても生活が劇的に変わることはない

対して現代は成熟期です。「はたらいても給料はたいして上がらず、モノはあふれ、目に見えて豊かになる実感や確信を将来的に持ちづらい」時代です。

人口減少時代であり、サービスや商品があふれても、売れるわけではありません。

むしろモノは行き渡っているので、高度成長期のように「洗濯機が買える、日々の生活がラクになる!」といった劇的な変化や期待は持てません。「ミニマリスト」という生き方が流行ったことが象徴するように、あまりほしいモノがない人もいます。モノを増やすどころか、「あふれたモノの減らし方」がコンテンツにさえなる時代です。

■自分の社畜レベルがどの程度か、他人と比較してみる

転職などすぐに行動に移せない人は、次のような行動で閉塞感が改善されるかもしれません。

・客観性を持つために、記録する

何月何日にどんなことが起こったか、どう思ったかを記録してください。のちに振り返ったり、家族や友人に見せることで客観的な意見も聞けます。

社畜とは、自分の状況が客観的に見えなくなっている状態です。本来の自分とのギャップを認識するために、客観視が大切です。

・ブログやツイッターで発信する

ほかの社畜に勇気を与えたり、収入になることすらあります。私がブログをはじめた理由の1つは、「世の中にはこんなトン(豚)もいる」ということを示し、同じような状況で頑張る人に勇気を与えることができれば、という思いからです。結果的に、ブログ収入だけでなく、読者とのかけがえのないご縁につながりました。むしろ私が読者から勇気をもらいました。

・ほかの社畜を知る

ほかの社畜の意見や発信を参考にし、自分の社畜レベルがどの程度なのかを把握しましょう。上司から愛のある「ご指導」を受けているのか、人格を否定されているのかなど。案外、恵まれた環境にあることにも気づけるかもしれません。

愛のあるご指導ならば、10段階で社畜レベル2ですが、度重なる人格否定は社畜レベル10です。いますぐ逃げてください。自分を守りましょう。

■属する組織に染まりすぎていないか、友人と会ってチェックする

・旧友に会い、“洗浄”する

会社以外の友人・恋人・家族と頻繁に会ってください。

とくに学生時代の友人は、本来の自分を思い出させてくれる最高の仲間と言えます。当時旧友に会うと、「そういえば自分って、本来こうやったなぁ」と深く感じたものです。

人間は、属する組織に染まりやすく、無意識に洗脳されていることさえあります。

友人が過酷な労働環境のブラック企業を辞めることを上司に告げたとき、「おまえ、ここよりいい職場ねぇぞ」と真顔で言われ、より決意が固まったそうです。「ゆでガエル」のように人間は慣れていきます。沸騰してやけどする前に洗浄してください。

■他人に適したものが自分に適しているとは限らない

・心の声を聴く

後悔なき人生を歩むために、私が大切にしていることです。

穂高唯希『#シンFIRE論』(KADOKAWA)
穂高唯希『#シンFIRE論』(KADOKAWA)

自分と他人は異なる人間である以上、考え方から受け止め方まで異なります。食生活、資産運用の方法、はたらき方など、あらゆることにおいて、他人に適したものが自分に適するとはかぎりません。

会社の文化も同様に、「よいか悪いか」という観点より、「自分に合っているのか」「心が悲鳴をあげていないか」という観点で、心の声を丁寧に聴いてあげることです。

以上、社畜という言葉が生まれた時代背景・社会的背景をひもといたうえで、社畜がすべきことを挙げました。自分の状態をまずは客観視して、脱社畜(脱トン)や、自分が輝ける場所を目指しましょう。

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穂高 唯希(ほたか・ゆいき)
個人投資家
慶応義塾大学在学中に北京大学留学、経済学を学ぶ。就職後、給与の8割を高配当株・連続増配株へ投資し、金融資産約7000万円、月平均20万円超の配当収入を得る仕組みを形成。30歳で退職しセミリタイア、FIREを達成。

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(個人投資家 穂高 唯希)

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