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これをするだけで連休明けに気分が沈まなくなる…外資系産業医が教える"五月病"を回避する画期的な方法

プレジデントオンライン / 2023年4月4日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/zoom-zoom

ゴールデンウイーク後に「五月病」に陥るのはなぜなのか。外資系企業で産業医を務める武神健之さんは「五月病の原因の多くは4月の過ごし方に起因していると感じています。4月からの新しい生活環境への変化に上手に適応しきれないため、翌月になってから体や心の不調が現れてしまっているのです」という――。

■「五月病」の原因は4月の過ごし方にある

年度が替わり、学校や職場などの生活環境が変わって間もない頃、目立った病気などがあるわけでもないのに「なんだか調子が良くない」と感じてしまう。その状況がゴールデンウイークを経ても改善しない。こうした症状は、一般的に「五月病」と呼ばれています。

私は、産業医として通算1万人以上の働く人と面談をしてきた経験から、五月病の原因の多くは4月の過ごし方に起因していると感じています。4月からの新しい生活環境への変化に上手に適応しきれないため、翌月になってから体や心の不調が現れてしまっているのです。

孤独な女性は家で落ち込んでいる
写真=iStock.com/Watto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Watto

■疲労感が強く出ていた30代独身女性Aさん

私の面談に典型的な五月病の社員が来たのは、コロナ前のことでした。

Aさんは30代の独身女性で、私のクライアント会社にはその年の4月に転職してきました。5月下旬に産業医面談に来られたAさんの顔は覇気がなく、疲労感が強く出ていました。聞いてみると、試用期間の折り返し面談で泣いてしまい、上司から産業医面談を勧められたようでした。

キャリアアップした新しい職場で早く結果を出すべく、転職が決まった3月から語学やさらなる専門性の学びをはじめ、前の職場仲間との送迎会も辞退し、週末も全て4月からの新天地で“結果”を出すためにストイックに頑張ってきたようでした。さらに、自己学習のために睡眠時間も削っており、毎日ベッドにいる時間は4~5時間とのことでした。以前は6~7時間寝ていたことを考えると、睡眠不足感が拭えませんでした。

転職後1.5カ月ほど経ち試用期間も折り返し時期となったため、上司と仕事の評価面談があり、自分では絶対に評価が高く褒められるに違いないと思い臨んだものの、評価は普通レベルであり、今までの努力が報われないと感じ泣いてしまったとのことでした。その晩は泣いて過ごしいつ寝たかわからない、翌朝は吐き気と腹痛で遅刻、仕事も集中できず。帰宅後はもっとしっかり勉強しようと頑張るもテキストを広げると涙が溢れてできず、翌々日はとうとう休んでしまったとのことでした。

産業医面談は会社のテレワークシステム(Teams)で行ったため、彼女は自宅でしたが、午後の面談なのに起きたばかりの顔で出てきたのが印象的でした。

よくある新生活のスタートで生じがちな問題とは、過去の友人・知人たちからの隔離と、新生活への高すぎる期待が生むストレスです。このストレスが大き過ぎたり上手に対処できていないと、五月病になってしまう可能性があるのです。

■友人と疎遠になることでメンタル不調に

今回のAさんに当てはめて、考えてみたいと思います。

就職、異動や転勤などで新しい生活が始まると、それまでの友人や同僚たちとの関係が疎遠になることがあります。新生活に集中することはいいことですが、このことが、裏目に出ることがあります。

不安や悩みやストレスがあるとき、人は、医師やカウンセラーではなく、友人や家族に話すことでも、9割の人が「ラクになった」と思えます。仕事帰りに友人と軽くお茶をする、1日の終わりにちょっとでも人と話す、そんなことで、人は不安やストレスや悩みを溜め込まずに、軽いうちに解消できるのです。

しかし、新生活の始まりと共にこのような付き合いから疎遠になってしまうと、ちょっとした不安やストレスや悩みが気軽に解消できずに、溜まってしまうことがあります。不安やストレスは、溜まるほど解消が難しくなり、知らず知らずのうちに五月病の原因、すなわちメンタルヘルス不調の原因になってしまうのです。

Aさんは、4月からの転職先で結果を早く出したいばかりに3月から頑張りすぎてしまっていました。結果、友人や同僚たちとの関係が疎遠になり、息抜きの時間、リラックスできる時間が持てていなかったのでしょう。特に、3月以降ほぼ息抜きなしで走り続けてきていたことで、疲労が蓄積し、心身ともに余裕がなく、何かあった時に柔軟にしなやかに対処するということができなくなってしまっていたと思われました。

ビジネスパーソンの服を着た子供が成長を測定している
写真=iStock.com/Choreograph
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Choreograph

■高すぎる期待が自分を追い詰めてしまう

もう一つの原因は、自分に対する“高すぎる”期待です。

新年度が始まると、多くの人は気持ちを新たにし、自分自身に期待をかけます。外国語や資格の教材が1年のうち最もよく売れるのはこの時期だとも言います。お稽古事や自己研鑽(けんさん)は、思った通りにうまくいけばいいのですが、うまくいかない場合もあります。そのときに、思ったほどはうまくいっていないという結果を受け入れることができる人はいいのですが、中には、自分はあんなに頑張ったのだからと考え、そういった現実を受け入れることができない人がいます。また、うまくいっていないのだったら頑張ることをすぐに諦められる人はいいのですが、自分は頑張りが足りないからもっと頑張らなければいけないと考えてしまうと、その自分への高すぎる期待が、自分をもっと追い詰めてしまうこともあります。

■頑張れば必ずしも望んだ結果がついてくるとは限らない

Aさんにとってこの転職はキャリアのステップアップでした。自分が新しい会社でもちゃんと結果を出せるという期待を持つことはいいことです。そのために頑張ることも素晴らしいことです。しかし、頑張ったから必ずしも望んだ結果がついてくるわけではないことも、大人ですから知らなければいけません。

人事担当者に後で聞いたのですが、彼女の上司の“普通”という評価は、決してネガティブなものではありませんでした。むしろ、Aさんは新しい環境でよく周囲と同じ程度の結果を出せていると、評価されていたとのことです。

Aさんは、職場の人間関係や業務評価などには何らストレスになるものがないようでしたが、自分への期待が高すぎるために、ストレスを生じさせてしまいさらに自分で自分を追い詰めて不調になってしまったと思われました。

■4月にやっておくべき五月病対策

では、五月病にならないためには、どのような点に注意すればいいのでしょうか。ここに、産業医の処方箋を紹介させていただきます。

まず、4月の過ごし方で注意していただきたいことが2つあります。

1つめは、4月はストイックに仕事一本の生活をするのではなく、何でも話せる気心許せる人たちとの交流(飲み会や遊び)を保つことです。

イタリア料理と赤ワインで乾杯
写真=iStock.com/kuppa_rock
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

2つめは、自分に高い期待値を持つことは大切ですが、時にはその期待も柔軟に変えることも大切です。思ったほどの成果が出ていないとき、それを打ち消すために頑張ってしまうのは、その期待値が、“高すぎる”可能性もあるのです。その時は、ゴール設定を下げるべきかもしれません。

■GWにすべき五月病対策

次にGW中の過ごし方でも、注意していただきたいことが2つあります。

1つめは、したいことを思いっきりすることです。好きなことをして気分転換をすることは、心身のリフレッシュになります。GW以降も思いっきり働くため、GWは思いっきり遊んでください。遊びすぎると元どおりに働けなくなるのではと心配な人は、最後の数日は、早寝早起き等、会社のある時と同じ時間帯に寝たり起きたりしてください。

2つめは、最も大切なことですが、GWが終わる前に次の休み(有給休暇など)をいつ取るかを決めておくことです。6月は祝日がない唯一の月です(12月は祝日はありませんが、年末休みはあります)。可能であれば、6月中に、そうでなくても7月17日の海の日よりも前に1~2日取りましょう。金曜日や月曜日にとって、2泊3日等の長めの週末を過ごしてみてはいかがでしょうか。

「GW2023」と書かれた紙とマーカー
写真=iStock.com/Seiya Tabuchi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Seiya Tabuchi

仕事は短距離走ではなく、長距離走です。適度な自己管理をしてこそ、長く元気に働き続け結果をだせるのだと思います。五月病にならぬよう、以上を意識していただけますと幸いです。

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武神 健之(たけがみ・けんじ)
医師
医学博士、日本医師会認定産業医。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。ドイツ銀行グループ、BNPパリバ、ムーディーズ、ソシエテジェネラル、アウディジャパン、BMWジャパン、テンプル大学日本校、アプラス、アドビージャパン、Wework Japanといった大手外資系企業を中心に、年間1000件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施。働く人の「こころとからだ」の健康管理を手伝う。2014年6月には、一般社団法人日本ストレスチェック協会を設立し、「不安とストレスに上手に対処するための技術」、「落ち込まないための手法」などを説いている。著書に、『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書』や『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣』『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』などがある。公式サイト

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(医師 武神 健之)

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