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「御礼を言いながらお辞儀」はマナー違反…営業・接客の成績上位者が実践する言葉と動作のベストタイミング

プレジデントオンライン / 2023年3月30日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/georgeclerk

聞き上手の人は何をしているか。カウンセラーの藤本梨恵子さんは「営業や接客の成績上位者は相手を見て、御礼を言ってからお辞儀をして、また相手を見る。視線が合わない人は自信のない印象を与え、視線が合う回数が多いほど好感度が上がる」という――。

※本稿は、藤本梨恵子『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

■むやみに敵を作らない「聞き上手」が無敵である理由

『えんとつ町のプペル』の作者、お笑い芸人で絵本作家の西野亮廣さんは、自社で社員を採用するときは、「受け(聞き方)がうまい人」を採用するそうです。

聞き上手な人の方が配慮ができるので、大勢で共同作業を行う現場では雰囲気も明るくなり、他の社員も働きやすくなるからです。

西野さんが芸人だということで、中にはボケを連発して話してくる人もいるそうですが、そういう人は不採用にするそうです。なぜなら、プロの芸人相手にボケ続ける人は、筋が悪い(=空気を読めない)からです。

聞き方は、柔道で言えば受け身です。私は柔道初段ですが、柔道で初めに習うのは受け身です。いくら華麗な投げ技を習得しても、受け身ができなければ、投げられたときに大怪我をします。

反対に、受け身ができればどんな強い相手と試合をしても怪我をすることはありません。うまい受け身は、一本負けの判定をもらうことが少ないので、勝負強さにつながります。

同様に、会話で話し方にばかりに囚われる人は大怪我をします。聞き方という受け身ができなければ、相手のタイプや話題に合わせられず、相手の気分を損ねて会話も盛り上がらないからです。

無敵の人間関係は、誰にも負けないような口達者になることではなく、むやみに敵を作らない聞き上手になることで、手に入れられます。

マネジメントの父、ピーター・ドラッカーは「多くの人は話し上手だから人間関係は得意だと思っている。対人関係のポイントが聞く力にあることを知らない」と言っています。

聞く力の影響力は絶大なのです。ある小学校では、子どもたちに聞く力の基本を、「聞き方のあいうえお」という頭文字でシンプルに伝えています。

……相手の目を見て
……いい(良い)姿勢で
……うなずきながら
……笑顔で
……終わりまで聞く

次に、大人にとっても大切なこの「聞き方のあいうえお」について詳しくお伝えします。

聞き上手は無敵!

■営業や接客業の成績上位者は「アイコンタクト」で敬意を払う

聞き方のあいうえおの1番目、「あ」の「相手を見て」は、相手に視線を向け、あなたの話に興味がありますと伝えることです。

「目は口ほどにモノを言う」ともいい、視線が合う回数が多いほど好感度が上がるという実験データもあります。

以前の職場で、下を向きながら誰とも目を合わせず挨拶する人がいました。挨拶はしているものの印象が悪く、雑談や仕事の話につながることもないため、情報交換や親密になるチャンスを逃すもったいない習慣です。

客室乗務員の新人研修では、視線の使い方を教育されます。まず機内をゆっくり歩き、「何かご用はございませんか?」と心の中で呟きながら、乗客一人一人に目を合わせることで、お客様が声をかけやすい雰囲気をつくります。

さらに、目線を目→モノ→目の順に移動させ、動作の最後にもう一度お客様と目を合わせる「ラストアイコンタクト」も忘れません。

たとえば、お客様にコーヒーを注文されたら、「コーヒーでございます」と目を見て、コーヒーに目を移してテーブルに置き、最後にもう一度お客様を見て微笑み「ごゆっくりどうぞ」と伝えます。お客様を大切にしていることが伝わり、お客様からも「ありがとう」と言われることが増えます。

営業や接客業で成績が上位の人は、「ラストアイコンタクト」が上手です。挨拶は「語先後礼」といい、言葉が先、動作を後に行うのが基本です。「ありがとうございます」と言いながらお辞儀をする「同時礼」は、マナー違反です。

感じのいい人は、①相手を見る、②「ありがとうございます」と言い終えてからお辞儀をする、③頭を上げて再度相手を見るというように、普段の挨拶にも「ラストアイコンタクト」を取り入れています。

目が合わない人は、自信のない印象を与えます。目を見ると緊張して話せない人は、相手のネクタイなど首元を見るようにすると、相手からは目が合っているように感じるのでオススメです。

一方、相手を凝視するのは生物にとって、威嚇や闘争心を示す行為なので不快に感じます。レストランなら、一緒にメニューや内装を見ながら「洒落たランプだね」などと適度に視線を外して話すことで、緊張感も生まれず、良い雰囲気になります。

すべては視線の使い方なのです。視線を向けることで相手の「聞いてもらえた感」を高めることは、満足感を高め、あなたの好感度を高めることにつながります。

■前傾姿勢で「あなたの話に興味津々です」を伝える

知らない人ばかりの集まりなどで居心地が悪いと感じたとき、無意識に足や腕を組んでいた経験はありませんか?

これは、相手に「私はあなたに対して心を閉じています」というメッセージを発信しています。人間には安心・安全欲求があります。危険から自分の身を守りたいのです。

だから、自分が知らない人たちや意見が合わない人から攻撃されないように警戒します。その警戒心が無意識に腕や足を組む行為となってあらわれるのです。

聞き方のあいうえおの2番目、「い」の「いい姿勢」は、腕や足を組まず、やや前傾で、正対(顔だけでなく、おへそを相手に向ける姿勢)して話を聞くことです。

「身を乗り出して聞く」という表現がありますが、人は何かに強い興味を持つと、前傾姿勢になります。だから、前傾姿勢は何も言われなくても「あなたの話に興味津々です」と伝えることができるのです。反対に、興味を失った瞬間に後傾姿勢になります。

私が担当したカウンセラー養成講座の受講生の中に、話を聞くときに、無意識にやや反り返る姿勢になってしまい、なんだか相手を避けているように見える方がいました。これでは相手の話す気が失せてしまいます。

ビジネスでも、相手が椅子にもたれかかっている、または少し肩や上体を引き気味にしているなら、「興味なし」のサインが出ていますので、交渉は難航することが多いはずです。

他にも、人の話を聞くときに腕や足を組む、首を傾ける、眉毛がハの字になるなどの癖は、相手に不快感を与えてしまいます。一度上司や友人などに動画を撮ってもらったり、フィードバックしてもらったりするのがオススメです。

メンタリストのDaiGoさんが嘘をついている人物を見破ることができるのは、言葉では嘘をつくことができても、わずかに頭を掻いたり、目が泳いだりするなど、態度にあらわれる本音を見抜くからです。

このように私たちは、表情、視線、仕草、声のトーンなどで相手に無言のメッセージを発しています。だから、話を聞くときは、聞く姿勢にも注意が必要です。

相手に心を開いて話をしてもらいたいと思ったら、まずはこちらが傾聴できる「いい姿勢」を整えておくことが大切です。

カフェでスマホを見せながら話している女性
写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kokouu

■うなずきで好感度が上がる

「話が続かない」「会話が弾まない」と悩んだことはありませんか?

多くの人は、「自分は話すのが苦手だから……」と自分の話し方が悪いと思っています。しかし、本当は聞き方に原因があるのです。聞き方のあいうえおの3番目は、「う」の「うなずきながら」です。

講師の中には、「私はみなさんが熱心に聞いてくれると調子が上がって、普段喋らないお得な情報までサービスで話してしまいます。だからぜひ、うなずきながら聞いてください」と参加者にリクエストする人もいます。

また、採用試験のグループディスカッションで盛り上がっていないグループは、うなずきや相槌が少ないのが特徴です。うなずいてもらったほうが話しやすいのです。

オンラインでの企業説明会や面接では、画面に就活生の顔がずらっと並び、比較できるので、笑顔でうなずきながら聞いている就活生は参加意欲や協調性が感じられ、人事担当者も好印象を持ちます。

心理学者のマタラッツォの実験では、45分間の面接を3つのフェーズに分けて行いました。

①最初の15分は面接官は普通にうなずく
②次の15分は面接官がうなずく回数を増やす
③最後の15分は最初のうなずき回数に戻す

すると、面接を受けた参加者は、①より②のうなずく回数を増やしたフェーズの方が発言時間が長くなり、③のフェーズでうなずく回数を元に戻すと不安になり、発言時間が短くなりました。相手にたくさん話してもらうには、「うなずき効果」が有効なのです。

「YES」は首を縦に振り、「NO」は横に振るという動作が用いられています。

北海道大学と山形大学の共同研究では、うなずくと、首を横に振る場合、静止したままでいる場合よりも、好ましさは約30%、近づきやすさが約40%もアップしたという結果が出ています。つまり、うなずくだけであなたの好感度は上がるのです。

人に安心感を与えるのは、ペーシング(同調行動)です。だから相手が楽しそうに軽快に話をしていれば、「うん、うん」とリズミカルにうなずき、深刻な話をしていれば、「う〜ん、なるほど」とゆっくりうなずくなど、相手に合わせることが大切です。

感じのいい話の聞き方ができる人は、「うなずき効果」を自然に使っているのです。

■笑顔で「いつでもどうぞ」と心の窓が開いているか

フラリと行ったことのない飲食店に入るとき、あなたはどんなお店を選びますか?

外からでも中の雰囲気がわかるお店に入るのではないでしょうか?

同様に、人が話しやすいと感じる人は、笑顔で「いつでもどうぞ」と心の窓が開いている人です。

聞き方のあいうえおの4番目は、「え」の「笑顔で」です。初対面のとき、挨拶するとき、目が合うときに笑顔の人は、「あなたに心を開いています」と相手に心の中を見せています。すると相手も声をかけやすくなります。

「面白いことがあったら笑う」という人がいますが、これはお店で言えば、「お客様が来たら、入り口のシャッターを上げます」と言っているのと同じです。

お客様はお店が閉まっていると思って帰ってしまいます。話しかけやすい人は、特に楽しいことや面白いことがなくても笑顔なのです。

口角を上げ目元にシワができる本物の笑顔を「デュシェンヌ・スマイル」、口角を上げるだけで目が笑っていない作り笑顔を「ノンデュシェンヌ・スマイル」といいます。

ある企業で行った調査では、商品の売り上げ上位の販売員は、全員がデュシェンヌ・スマイルの持ち主で、一方、売り上げ下位の人たちはぎこちない笑顔だったという結果が出ています。

本物の笑顔を見るとお客様も笑顔になり、商品もより良く見える効果で売り上げが上がったのです。お客様は気分が良いときに買い物をするからです。

さらに重要なのは会話中、笑顔のタイミングが合っているか、笑顔の“キャッチボール”ができているかどうかです。

以前、悩み相談をした際に笑顔でうなずかれて、「人の気持ちがわからない人だ」とがっかりした経験があります。

これは笑顔で話すタイミングがずれているのです。感じがいいと思う人はどんな第一印象なのかを調査した研究では、1位は笑顔、2位は挨拶をする、3位は丁寧に接する、という結果が出ています。このように、話を聞くときに笑顔が相手に与えるパワーは絶大です。

緊張しているときや忙しいときは笑顔が消えやすいものです。そんなときほど笑顔で心の窓を開けておいた方が、周りの人も声をかけやすくなります。

仕事でも日常でも笑顔を特別なときだけのデラックス(=贅沢)なものではなく、スタンダード(=標準)にしておくことが大切です。

■自己肯定感が低い人ほど最後まで話を聞けない理由

「話を最後まで聞いてもらえない……」「話の途中で遮られてしまう……」「自分の話に被せて何か言ってくる……」などと会話の中で嫌な気持ちになったことはありませんか?

聞き方のあいうえおの「お」の5番目、「終わりまで聞く」は、人の話を遮らないことです。なぜ、話を最後まで聞くという一見簡単そうなことを、できない人が多いのでしょうか?

Aさんは、社内の人がトラブルを知らせようとすると、話を最後まで聞かず「あぁ、もう全部わかっていますから! いいです!」と話を遮ります。

これは、「自分のミスを指摘されるのではないか?」と不安になり、相手から攻撃されないように防御しているのです。相手は、単にトラブルに関する報告がしたかっただけです。

しかし、話を遮られることで、自分の存在を蔑ろにされたように感じて嫌な思いをします。だからAさんは社内で疎まれてしまっています。

Aさんは一見、偉そうに見えますが、実は「自分が責められないように防御しなくては!」と常に怯えているのです。

つまり、他者に怯え、自己肯定感(=自分を大切に思う気持ち)が低い人ほど、人の話が聞けないのです。だから、最後まで人の話を聞くためには、自己肯定感を上げることも必要です。

Bさんは部下の話の途中で急に早口になり、「要は、こういうことですよね?」とイライラしたように相手の話を遮ります。

この言い方は「そんなこと長々と話さなくてもわかるよ。こういうことでしょ」と言いたげで、部下は「仕事ができない奴だなぁ」と言われたように感じ、仕事へのモチベーションが下がっていました。

藤本梨恵子『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』(明日香出版社)
藤本梨恵子『なぜか感じがいい人の聞き方 100の習慣』(明日香出版社)

Bさんは頭の回転が速いため、相手の話を先読みして、さっさと結論を言わないことにイライラしてしまうのです。人は思考の速度が会話のテンポに現れます。テンポが速い人は、遅い人にイライラします。

しかし、本当に相手に良いパフォーマンスを発揮してもらおうと思ったら、相手のペースに合わせて最後まで話を聞き、相手の自己重要感を育てていくことが大切です。

相手にプレッシャーをかけて能力を発揮しづらくするのではなく、パフォーマンスが上がるように話を聞いた方が、結局は上司自身の仕事の負担を減らし、社内の評価も上がります。だから仕事ができる人は聞き上手なのです。

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藤本 梨恵子(ふじもと・りえこ)
ファイン・メンタルカラー研究所代表
NLP心理学を中心にコーチング、カウンセリング、マインドフル瞑想などの手法を習得し統合。その手法を生かし、キャリアカウンセラー・講師として独立。各企業・大学・公共機関の講演の登壇数は2000回を超え、婚活から就活まで相談者数は1万人を超えている。コーチング、パーソナルカラー、カラーセラピスト、骨格診断ファッションアナリスト等のプロ養成講座の卒業生は500人を超え、個人診断においては1000人を超える。著書に『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)などがある。

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(ファイン・メンタルカラー研究所代表 藤本 梨恵子)

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