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つらい肩こりには「揉む」より「ゆるめる」がいい…マッサージや整体に通っても不調が解消しないワケ

プレジデントオンライン / 2023年4月6日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/itakayuki

つらい肩こりを和らげるにはどうすればいいのか。ウォーキングコンサルタントの犬飼奈穂さんは「肩や腰などの不調は、マッサージや整体に通ってもなかなか解消しない。悩んでいる人は、背中の筋肉をゆるめることを意識してみてほしい」という――。

※本稿は、犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■からだの不調の原因は「背中」にある

もしあなたが肩や腰などに慢性的な不調を感じているなら、一度「自分の背中」に目を向けてみてください。年齢に伴い、次のような変化を感じていませんか?

・肩や首が常に重だるい。
・体のあちこちが痛む。
・すぐに疲れてしまう。
・下腹がポッコリ出て引っ込まない。
・お尻がたれて、太ももが太くなってきた。
・猫背がひどくなった。
・新しいことをするのが面倒くさい。
・イライラすることが増えた。
・ぐっすり眠れなくなった。
・実年齢よりも上に見られることが多い。

次々と押し寄せるこんな不調やコンプレックス。実は、「歳のせい」や「疲れのせい」ではなく、知らず知らずのうちに「背中が固くなっている」ことで引き起こされているのです。

突然「背中が固くなっている」と言っても、すぐにはイメージしづらいかもしれません。具体的には、「体の後ろ側の筋肉=背中の筋肉」が、こり固まっている状態を指します。

多くの人は、日常生活で「体の前側」の筋肉ばかりを使っています。ものを掴む、パソコンやスマホの操作をする、料理をする、歩く、洗濯物を干す、スマホを見る……。普段の生活では、体の前側の筋肉を使う動画が多く、残念ながら「体の後ろ側」の筋肉はほとんど動かせていないのです。

■広背筋が固くなると体が歪む

動かせていないと、筋肉は固くなります。日ごろは意識しない背中の筋肉ですが、人間の体の構造上、とても重要なのです。

「広背筋(こうはいきん)」と呼ばれる背中の大きな筋肉の一つは、肩甲骨や上腕、骨盤などとくっついています。この広背筋が固くなると、あらゆる不調を引き起こすと言っても過言ではありません。

固くなった筋肉は収縮して、背中の周囲のあちこちの筋肉が不自然に引っ張られます。その結果、肩こりや首こり、腰痛などの不調や、巻き肩(猫背)・O脚などの体の歪みを誘発します。

また、背中の筋肉が固くなると、肺の周辺にある呼吸筋と呼ばれる筋肉の動きも制限されます。肋骨がうまく広がらなくなり、無意識のうちに呼吸も浅く速くなります。呼吸が浅くなると、肺に酸素を十分に取り込めなくなるので、体内の酸素量が減少し、疲れやすさや冷え、集中力の低下、自律神経の乱れなどを引き起こします。血流が滞り、リンパの流れも悪くなって、代謝も下がります。

このように、体はどんどん元気を失っていきます。普段は意識することなく過ごしている「背中の筋肉」が、実はあなたの体調を大きく左右しているのです。

■マッサージや整体では治らない

背中が固くなっているならマッサージや整体に行けばいいのでは?

こう思われるかもしれません。確かに、体のこりや痛みを感じたら、まずはマッサージや整体に行くという人は多いと思います。確かに一時的にはほぐれたと感じるかもしれませんが、すぐに元に戻ってしまいます。

マッサージを受けた成熟した大人の男
写真=iStock.com/Satoshi-K
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Satoshi-K

一般的に、固くなってしまった筋肉を無理に伸ばしたり、無理に動かしたりしても、筋肉は柔らかくなりません。それどころか、筋肉に大きな負担をかけてしまうと、筋繊維が傷ついてしまいます。そして筋繊維が修復する際に、さらに固くなってしまうのです。

強めの力で揉むマッサージが好きな人がいますが、筋肉を柔らかくすることとは逆の作用が生じてしまいます。もし「痛みに耐えて」マッサージや整体に通っている方がいたら、注意してください。

「マッサージや整体がダメなら、自分で何とかしよう!」と、ジム通いやウォーキングに走りがちですが、ここにも落とし穴があります。それは、「がんばって運動する」ことです。

・がんばって筋トレする。
・がんばってストレッチをする。
・がんばって胸を張って歩く。

すべて「健康にいい」とされていることですが、この「がんばること」が、健康への遠回りなのです。なぜなら、がんばって力を込めている状態というのは、本来、人間にとって自然な状態ではないからです。体に強い負荷がかかると、痛みや歪みを引き起こします。筋肉はさらに固くなってしまい、体の不調も改善しません。

■揉む、伸ばすより「ゆるめる」がいい

それでは、背中をゆるめるためには一体どうすればいいのでしょうか?

大切なのは、体の緊張をほぐして、背中の筋肉を「ゆるめる」ことです。ウォーキングスタジオを主宰し、これまで6000人以上の生徒さんに直接指導してきた中でたどり着いた私の結論が、これです。

少し私自身のお話をさせてください。かつては私自身も、厳しい食事制限と運動でリバウンドを繰り返してきました。はくだけでやせるスリッパや飲むだけでやせるコーヒーなど、たくさんのものを買いました。ジムやヨガやピラティスにも通い、筋トレやストレッチにも励んできました。

でも、背中が固い状態のまま、どんなにストイックに運動をがんばっても効果は出ませんでした。体形のコンプレックスは改善されず、肩こりや腰痛もひどくなる一方でした。

でも、あることがきっかけで、体がどんどん変わっていくことを体感したのです。それは「余計な力を入れずに、ラクに立ち、ラクに歩く」という姿勢と歩行の指導者との出会いでした。

■健康な体を手に入れるための一番の近道

ただラクに立ち、ただ心地よく歩くということを意識するだけで、こり固まっていた体がゆるみ、本当に軽くなっていったのは衝撃でした。

それまでは悪化する一方だった腰痛がたった1カ月でなくなり、猫背や巻き肩も改善したのです。それだけではなく、将来的には手術が必要と言われていた臼蓋(きゅうがい)形成不全や、足が痛くて歩けなかったモートン病も解消しました。首こりや肩こりも軽くなり、O脚も改善していくという大きな手ごたえを得ることができました。

ウォーキングのインストラクターとして活動しながら、体の基本的構造や機能をさらに学び、独自に応用を重ねるうちに、背中側の筋肉をたくさん動かしながら歩くことが、いかに人間の体にメリットを与えるかを発見しました。

背中がゆるむと、骨は本来の正しいポジションに戻ります。無理やり戻すのと違い、勝手に戻ってくれるのです。それまで動かせていなかった筋肉が動かせるようになります。自然と呼吸は深く安定し、血流やリンパの流れも改善し、さらに背中がゆるんでいく。この良いスパイラルの中で、体が整い、不調が改善していくのです。

「背中側の筋肉をたくさん動かしながら歩くこと」。これこそが、健康な体を手に入れるための一番の近道だと感じています。

■体のケアのために頑張ってはいけない

わざわざマッサージや整体に通ったり、ハードなストレッチやトレーニングをしたりしなくても、歩きながら自然に背中を動かすことで、ゆるんだ状態をキープすることができます。

アスファルト道路上の女性のランニングシューズのクローズアップ。
写真=iStock.com/baona
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/baona

『背中をゆるめると健康になる』では、座る、立つ、歩くというそれぞれの日常動作を通じて、固くなってしまった背中をラクにゆるめていく方法を紹介していきます。

日常の動作なので無理なく体をケアすることができるし、自分の体と向き合うことでリバウンドしにくい体を作っていくことができるのです。

私はいわゆる教科書的な「正しい歩き方」ではなく、「心地よい歩き方」を探求し、不調やコンプレックスに悩む多くの人を指導しています。胸を張って力強く、颯爽と歩く必要はありません。

「ラクかどうか」がとても重要です。ラクだからこそ、健康になれるのです。ラクだからこそ、美しく見えるのです。このことを忘れないでください。がんばらなくて大丈夫です。

■「両腕ひねり」という解決法がある

それでは、背中をゆるめるための簡単な「10秒ほぐし」をひとつご紹介します。本書でも紹介している「両腕ひねり」です。この動作は、たった10秒で肩甲骨まわりの筋肉をゆるめてくれます。いすに座った状態でもできる、とても心地のいい動作ですので、ぜひ覚えてください。

【両腕ひねり】
1 座った状態で、右腕を肩の高さまで上げます。
2 肩の付け根から、腕を内側→外側の順にひねります。これを3回繰り返します。
3 同様に左腕を肩の高さまで上げ、内側→外側の順に3回ひねります。
4 両腕を肩の高さまで上げて、同じように左右の腕を内側→外側の順に3回ひねります。
肩甲骨をゆるめる両腕ひねり
出所=『背中をゆるめると健康になる』

最後に、腕を外側にひねった状態のまま両腕を下ろし、手首を内側に戻しましょう。

一度動作を覚えたら、1~3は省略して、4のみでも大丈夫です。これなら3~4秒あればできます。この時、肩が上がってしまわないように注意してください。

■心地いいと感じる程度がベスト

いすに座ってパソコン仕事をしたり本を読んだりしていると、どうしても腕が内側にねじれて、肩を巻き込んだ姿勢になってしまいます。

この「両腕ひねり」は、内側に巻き込んでしまった骨格を正しい位置に戻しながら、肩甲骨まわりをゆるめ、固くなって体の前側に寄ってしまった筋肉を、背中に集めてくれます。

犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)
犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)

筋肉は動かさないとそのまま固くなってしまいます。座りっぱなしの状態が続く時には、1時間に1回を目安に、このような動作を取り入れていくとよいでしょう。

無理に強く引っ張ったり、ねじったりする必要はありません。あくまで軽い動作で大丈夫です。「心地いいな」と感じる程度に、背中をゆるめ、ほぐしていきましょう。

高いお金や時間をかけてマッサージや整体に通わなくても、筋肉を「小刻みに動かす」「小さくゆらす」という動作を日常に取り入れる方が、効果的に筋肉をゆるめることにつながります。

不調を感じたら、まず「背中をゆるめてみる」。この考え方を大事にしてみてください。

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犬飼 奈穂(いぬがい・なほ)
ウォーキングコンサルタント
歩き方コーチ。「ORO(オーロ)ウォーキングスタジオ」代表。「オーラをまとう歩き方レッスン」主宰。愛媛県松山市出身。「正しい歩き方」ではなく、「心地よい歩き方」を探求し、これまでに述べ6000人以上に指導し、肩こり・腰痛、猫背、坐骨神経痛など、体が抱える数々の悩みを改善してきた。開催する講座やセミナーは1000回を超える。

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(ウォーキングコンサルタント 犬飼 奈穂)

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