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「お母さん、宿題終わったよ」にどう返すか…がんばった子どもに言ってはいけない"最悪なひとこと"

プレジデントオンライン / 2023年4月13日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

何気ないひとことで、人間関係がうまくいかなくなることがある。上手な会話と失敗する会話は何が違うのか。韓国人作家の著書より、家庭や職場での会話で気を付けるべきポイントを紹介する――。

※本稿は、キム・ボムジュン著、朝田ゆう訳『「また会いたい」と思われる人は話し方が違う』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

■叱られた子どもは「はい」と返したが…

ある日の夕方、妻と子どもが話をしていた。

「宿題したの?」
「まだ」
「帰ってきたらすぐに遊んでたけど、それで試験がうまくいくと思うの?」
「……」
「しっかり勉強しなさい。わかった?」
「はい」

会話の目的とは、相手から自分が望むものを得ることだ。だが、妻はこの会話で何を得たのだろう? 子どものほうは何を学んだのだろう?

結局、妻には何も得たものがなく、子どもも何も学んでいない。子どもには母親に叱られたという記憶しか残らない。母親は子どもが「はい」と言ったので今度こそ勉強すると思ったが、実際にはそうはならない。

上手に会話するために必要なことはなんだろう? 会話をうまく運ぶには心理学を勉強しなければならないのだろうか? いや、私たちに必要なのは、すぐ実行に移せる簡単な方法だ。まず第一に、相手の答えを自分が期待していたように解釈するのではなく、相手の話し方から正しく聞きとることだ!

■誰にもメリットがない会話は失敗

先ほどの例をもう一度読んでみよう。妻は子どもの「はい」を肯定の返事として受け止めた。だが、実際はどうだろう?

子どもの「はい」は、気を引き締めて熱心に勉強しますという意味ではない。叱られている状況を抜け出すための返事にすぎない。もちろん母親が怒っているので、子どもは部屋に入って勉強するふりはするだろう。だが、嫌々勉強した結果は? 妻の期待を裏切る成績になるに違いない。

つまり、妻と子どもの会話は失敗したということだ。どちらにとってもなんのメリットもない会話だったというわけだ。では、職場ではどうだろう?

「必ず明日までに報告書を作成すること。残業してでもなんでも、完成させておくように」

退勤時間の間際に、上司が突然そんな指示を出した。部下たちは何も言えずに、「はい」と答える。はたして上司が期待したとおりの報告書はできるのだろうか?

■話の内容より相手の話し方のほうが大切

もしあなたが会社員なら、翌日報告書を受け取った上司の口から、「いつ、こんなものをつくれと言った?」という叱責(しっせき)が飛んでくることは容易に想像できるだろう。だがそれは、部下たちの失敗なのか? そうではない。上司の過ちである。

上司は高圧的な態度によって得た「はい」という部下たちの返事を「勝手に」肯定的な返事だと思い込んだ。それは勘違いにすぎない。部下たちの「はい」という答えには、「明日までと言われても……。テキトーにやって出すしかない」という気持ちが半分以上含まれていた。にもかかわらず、部下の「はい」という返事を肯定的な返事として受け止めたのは、その答えを自分の期待したとおりに解釈してしまった上司の過ちだ。

声のトーンなど、相手がどんな話し方をしているかに関心を向けなかったために、結果的にとんでもないことになった例といえる。こういうことは、私たちの周りでじつによく起きている。

これからは、会話をするとき、相手が自分の話をきちんと聞いているかをまず確認しよう。相手がどんな言葉づかいで話しているかに焦点を当てて会話を続けると、すれ違っていた話もうまくつながっていく。言いかえれば、話の内容を理解する以上に相手の話し方に関心をもつことが大切なのだ。相手の自分に対する話し方に注意し、どんな話し方をしているかを観察しよう。

新しいプロジェクトについての話し合い
写真=iStock.com/PrathanChorruangsak
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PrathanChorruangsak

■「怒りながら電話する父親」の真相

ずいぶん前、私が新入社員の頃のことだ。その日は日曜だった。誰だって日曜の朝はゆっくりだらだらしたい。ところが部屋の外から、何ごとかと思うような大声で父が話しているのが聞こえてきた。

寝ぼけまなこを無理やりこじ開けて、耳を傾けると、父はリビングで誰かと電話で話しているようだった。内容まではよく聞こえなかったが、乱暴な言葉づかいとその大声から緊張感が伝わってきた。「朝からお父さんの機嫌が悪い、今日は平和な日曜にはならないな」と思った。

「いつ結婚するんだ?」、「なんでそんなに遅い時間にばかり出かけるんだ?」などなど、このあと、私にまでそんな火の粉が飛んで来るのではないかと心配になると同時に、イライラがこみあげてきた。だが、ただじっとしているわけにはいかない。そこで私は、父が何にそんなに怒っているのかを確認し、味方にでもなってあげようとリビングに顔を出した。ところが、あれ? 様子がおかしい。完全に予想がはずれた。

父は満面の笑みを浮かべていたのだ。しばらくして、電話を切った父に聞いてみた。

「お父さん、誰と喧嘩してたの?」
「えっ? 喧嘩?」
「うん、今、電話で誰かと喧嘩してたじゃない」
「なんのことだ? 友人と今晩の約束をしただけで、喧嘩なんかしてないぞ」

■身体だけでなく、話し方にも老化現象がある

友人と待ち合わせをしたと機嫌よく笑いながら話す父を見て、今度は私が「えっ?」と言う番だった。それからだいぶ経ち、コミュニケーションについて勉強をしているときに、その謎が解けた。話し方にも老化現象があるとわかった。年をとると聴力が落ちて相手の声がよく聞こえないため、知らないうちに声が大きくなる。その当たり前の事実に、あとになって気づいたのだ。

あなたもこれまで、地下鉄やバス、あるいはカフェで、大声で話すおじいさんやおばあさんの声に眉をひそめたことはないだろうか。ここで、“地下鉄で高齢者と若者が衝突する医学的理由”という記事の一部を紹介しよう。

「高齢者の声が以前より大きくなったら、それは聴力が落ちてきている兆候だ。イヤホンをした人に話しかけたとき、思いのほか相手の返事が大きくてびっくりした経験はないだろうか? 耳がよく聞こえないと声が大きくなる。私たちはふだん、自分が出した声を聞き、それに合わせて声のボリュームを調節しているが、聴力が落ちると自分の声が小さく感じられるので大きな声を出すことになる。そのため、普通に話しているつもりが、ときには怒っているように聞こえてしまうのだ。それを聞いた人が気分を害すこともある。ちょっとした指摘のはずが、相手には『この人は何を偉そうに私に怒っているんだ?』と思われてしまう」2013年2月12日付「朝鮮日報」より

身体的機能の低下による「話し方の老化現象」について理解すれば、高齢者の話し方が誤解されることも減るだろう。さらに、私たちの周りにいるすべての人の話し方に対して、聞こえたものだけで判断するのではなく、少し立ち止まって、「相手がなぜこういう話し方をしているのか?」ということまで考えてみよう。

■「宿題が終わったよ」に「明日の予習は?」はNG

子どもが母親のもとに意気揚々と走ってきた。

「お母さん、宿題終わったよ!」

あなたがお母さんだったら、どう答えるべきだろう?

①「明日の予習はした?」
②「それで? またどこかに遊びに行くつもり?」
③「じゃあ、そろそろ顔を洗って寝る支度をしてね!」
④「あら、宿題、お疲れさま!」

正解は④。ただ正直なところ、私だったら①を言ってしまうだろう。他人が苦労したことを当たり前のようにみなす話し方、私もついついそういう言い方をしてしまう。じつを言うと私は、この悪い口癖を直すために自分なりの努力をしている。もちろん簡単ではない。

■相手の苦労を当然とみなしてはいけない

先日、ある友人に会った。仕事と大学院を両立するのに疲れていて、そんな日々を嘆いていた。

「会社は僕が大学院に行っているのを嫌がって、授業に出席するだけでも大変だし、大学院は大学院で職場の事情なんて考慮してくれない……。こんな状態で論文なんか書けるんだろうか……」

あなたなら、どう言ってあげられるだろう?

「大変なのは君だけか? 僕だって大変だ。そもそも人生なんて苦痛の連続だよ。会社に通いながら勉強するのが簡単だと思ってたの?」

こんなふうに答えたら、話は続かない。相手はそれ以上は自分の悩みを打ち明けようとはしないだろう。相手の状況を「当然だとみなす」話し方は、会話を断ち切り、相手との関係性を損なう、絶対にしてはいけない話し方である。段階を追って、練習してみよう。

■相手の悩みには繰り返しのリアクションを

【ステップ①】感情に対してリアクションを繰り返す。

「そうなんだ。最近、すごく大変なんだね」

おそらく相手は「うん。本当に大変なんだよ」と言うだろう。だが、ここで止まると会話は発展していかない。

そこで、第二段階に移ろう。

【ステップ②】相手の具体的な問題に対してリアクションを繰り返す。

「働きながら大学院の論文を書くなんて、本当に大変そうだね」

ここまで話せれば、あなたの話し方はなかなかいい線をいっている。相手の悩みに対して、そんなことは当然のことだという話し方をしない、いわば「話し方の達人」の域だ。相手の感情と悩みに対して、繰り返し確認するようにリアクションすれば、相手はこう言うだろう。

キム・ボムジュン著、朝田ゆう訳『「また会いたい」と思われる人は話し方が違う』(扶桑社)
キム・ボムジュン著、朝田ゆう訳『「また会いたい」と思われる人は話し方が違う』(扶桑社)

「そうなんだよ。わかってもらえてうれしい。じつはさ……」

この先は、相手もきっと自分で解決策を見つけようとするはず。相手の心のなかに隠れていた可能性を見つけ出し、最後には自分で前進できるように仕向ける話し方である。

ここでさらに、劇的に相手との関係が深まり、相手が自ら道を切りひらいてよい結果につながる話し方がある。まさに一挙両得。自分と相手の関係性はもちろん、相手も成長できる話し方だ。こう言おう。

「君だから、そんなふうに仕事と勉強を両立できるんだよ。僕だったら、いや普通の人ならとっても無理だ。君みたいな友達がいることを自慢に思うよ!」

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キム・ボムジュン 作家・講演者
高麗大学政経学部経済学科を卒業後、SKブロードバンド、サムスンSDSを経て、現在はLGユープラスに在職中。LGやサムスングループなどの大企業や、各種金融機関、韓国科学技術研究院などの公共機関で、ビジネスコミュニケーション・ソリューションに関する講演活動を行なっている。職場におけるコミュニケーションに関する著作を中心に、これまで20冊余りの著書を発表している。

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(作家・講演者 キム・ボムジュン)

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