「これぞ物価高の救世主」硬くてパサつく鶏むね肉が一瞬でジューシーになる魔法の"ひとつまみの調味料"
プレジデントオンライン / 2023年4月9日 11時15分
※本稿は、『プレジデントFamily2023春号』の一部を再編集したものです。
■物価高の救世主・鶏むね肉をジューシーに食べるコツ
さまざまなものが値上がりしている昨今、家計のやりくりに苦心しているご家庭は多いでしょう。日常の食材まで高くなり、買うのをためらうほどですが、成長期の子供にとって食事は何よりも大切。物価高でも工夫してバランスのよい食生活を保ってほしいと思います。では、どう工夫をすればいいのでしょうか。
この時代の救世主は「鶏むね肉」です。同じ鶏肉でももも肉より断然、格安。たんぱく源として優秀で、たんぱく質の代謝を助けるビタミンB6をはじめ栄養素も豊富に含んでいます。脂が少なく低カロリーなので、ダイエット中の大人にも嬉しい食材といえますね。
唯一、気になるのは硬くパサつきやすいこと。そのため子供に毛嫌いされがちですが、実はパサパサになるのを防ぐ裏ワザがあるのです。
その一つが、塩または砂糖をもみ込む方法です。そもそもむね肉がパサつくのは、加熱によって筋線維が縮み、肉に含まれる水分を追い出してしまうため。あらかじめ塩か砂糖をもみ込むと筋線維がほぐれて縮みにくくなり、水分を保つことができます。塩や砂糖の量はひとつまみ程度で十分。全体に行きわたるようしっかりもみ込んだら、あとは通常通りの調理をするだけです。
例えば、鶏の唐揚げなら先に塩をもみ込んでからしょうゆなどの調味料に漬け込むとジューシーに仕上がります。照り焼きのような甘辛い味付けなら、砂糖をもみ込むとよいでしょう。
こうじやみそなどの発酵食品も保水効果を発揮します。発酵食品の場合、たんぱく質を分解するので、やはり筋線維が縮みにくくなるのです。塩こうじなら絡めて焼くだけで味付けは不要。お弁当にもぴったりです。
チキンカツなど下味を付けたくない料理もありますよね。そんなときは切り方を変えてみましょう。
ポイントは筋線維を断つように切ること。むね肉を裏返すと、筋線維が通る方向がわかります。その線維に対して垂直に包丁を入れます。高級な焼き鳥屋さんに行くとむね肉のおいしさにびっくりすることがありますが、それは切り方を心得ているからなのです。
こうして水分を逃がさないよう工夫をするとうま味も保たれ、水溶性のビタミンB群が流れ出るのを最小限に抑えることもできます。もちろん、ゆでれば栄養は流れ出ますが、ゆで汁に卵とネギを加えて鶏スープにすれば問題なしです。
■野菜は何がおすすめ?
一方、野菜にも家計の味方が存在します。それはもやしやカイワレなどのスプラウト(発芽野菜)。屋内で栽培されるので豪雨や猛暑などの異常気象で野菜が取れないときにも価格は安定しています。エンドウ豆を発芽させた豆苗なら豆のところを残してカットすれば、また芽が伸びて2、3回は使えるからお得です。子供と一緒に育てて“収穫”するのも楽しいでしょう。
スプラウトの栄養素は種類によって少しずつ異なりますが、全般的に含まれているのはビタミンE、ビタミンK、葉酸など。特に注目したいのは、ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンです。
これはファイトケミカルの一種で、体の中の抗酸化力や解毒力を高めるといわれています。通常のブロッコリーにもスルフォラファンは含まれるのですが、スプラウトなら含有量は約10倍。さらに、最近は20倍以上という高濃度のブロッコリースーパースプラウトも登場しています。こちらは発芽3日目の新芽で、通常のスプラウトよりふわっと柔らかな食感が特徴です。
どちらも食べ方のポイントは生のままよくかむこと。スルフォラファンのもととなる物質がかむことでミロシナーゼという酵素と混ざり合い、スルフォラファンに変化するのです。
子供にしっかりかませたいなら、かみ応えのある食材と合わせるといいでしょう。ここで先ほどのむね肉の出番です。蒸したむね肉をトッピングしてサラダにしたり、チキンカツと合わせて胚芽入りのパンで挟めば、栄養バランスもバッチリ。物価高に負けず、おいしくて健康的な食卓をつくっていきましょう。
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東京慈恵会医科大学附属病院栄養部、管理栄養士
『慈恵大学病院のおいしい大麦レシピ』などの本やテレビで、食事で健康になる情報を発信している。
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(東京慈恵会医科大学附属病院栄養部、管理栄養士 赤石 定典)
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