1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

将来はコンビニのほうが自宅に来てくれる…スーツ交通が解説する「次世代モビリティ」の未来予想図

プレジデントオンライン / 2023年4月17日 13時15分

『未来の乗り物図鑑』より

新技術を使った乗り物の開発が進んでいる。交通系YouTuberのスーツさんは「自動運転の進歩はめざましい。トヨタ自動車では、自動運転シャトルの実証実験を進めている。商品を搭載した無人のシャトルが、買い物に行きづらい地域を巡回する未来がやってくる」という――。

※本稿は、スーツ『未来の乗り物図鑑』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■大阪の新駅で導入された顔パス方式の自動改札

JR西日本は、利用者の顔を識別して、その人を通すかどうか判断する自動改札機を開発しました。今年3月に開業した大阪市の新しい駅「うめきた(大阪)地下駅」で、この自動改札機を「未来型改札機」と名づけて既に導入されています。

未来型改札機を利用する人は、自分の顔の画像を登録しておきます。すると改札機が通過する人の顔をカメラで確認して、通していい人かどうかを判断するのです。改札機の顔認識の精度は高いので、瞬時に顔を認識できるだけでなく、マスクを着けていても認識が可能です。

改札機は未来型改札機という名前どおり、未来を意識したデザインです。このデザインの開発には漫画家やアニメーターも参加して、改札機の外観を近未来的なものにしました。

■世界初の「フルスクリーンホームドア」も導入

JR西日本はうめきた(大阪)地下駅を最先端のデジタル技術を活用する実験的な駅ととらえています。未来型改札機以外では、世界初となる「フルスクリーンホームドア」も導入されます。

ホームドアとは乗客が立つホームと電車との間に設置されるドアのことです。フルスクリーンホームドアは、異なる車種に合わせて自由自在に開口部を変化させることができます。これから先、駅に来る電車の種類がさらに多様になることから開発されました。

財布を家に忘れたから引き返す、という無駄な時間がなくなりますね。しばらくの間は定期券を持っている人だけが、未来型改札機を利用できることになるそうです。マスク着用でも認識できるということでしたら、成長期で顔だちが変わったり、整形した場合でも有効なのでしょうか。気になるところです。

『未来の乗り物図鑑』より
『未来の乗り物図鑑』より

■自動車の完全自動運転が2030年代には実現する

現在、世界のさまざまな自動車メーカーが自動運転の開発を進めていて、その技術は日々進化しています。

その技術がどれだけ進んでいるかという目安になるのが、「自動運転レベル」です。アメリカの自動車技術者協会や日本の国土交通省などはレベル0~5の6段階に分けて、技術の進化を区別しています。

レベル0では、自動運転に関する技術が自動車に搭載されていません。
レベル1では、自動車がアクセル・ブレーキとハンドルのどちらかを部分的に操作します。
レベル2では、自動車がアクセル・ブレーキとハンドルの両方を部分的に操作します。
レベル3では、決められた条件下で自動車がすべての操作を行ないます。ただし、ドライバーがいつでも運転できるようになっています。
レベル4では、決められた条件下で自動車がすべての操作を行ないます。
レベル5では、常に自動車がすべての操作を行ないます。

現在、日本のホンダ、ドイツのアウディ、中国のヒューマンホライゾンズの自動車がレベル3を達成しています。

各自動車メーカーの開発が進んでいるので、2025年ごろにはレベル4が実現すると予想されています。また、レベル5は2030年代と言われています。

昨年、私は運転免許を取得した翌日に返納しましたが、免許がなくても車に1人で乗れる時代がやってくるかもしれません。

『未来の乗り物図鑑』より
『未来の乗り物図鑑』より

■買い物の手伝いもしてくれるロボット兼乗り物が開発中

未来の乗り物は、暮らしの中に入り込むことで、はじめてその存在意義を発揮します。そんなモビリティの開発に取り組むのが、日本のロボット工学のトップランナー・千葉工業大学の「未来ロボット技術研究センターfuRo」。fuRoは、デザイナーの山中俊治氏と共同で、乗り物に変形するAIロボット「CanguRo」を開発中です。

CanguRoは、形態を状況に合わせて変形します。ロボットモードのときは、自分の現在位置を把握する「SLAM」と呼ばれる技術を使い、指定した場所に自動で迎えにいく機能の他、人間の後に従って買い物を手伝うこともできます。

乗り物モードになると自ら姿勢を制御して、人間の体幹移動に合わせて車体を傾け、旋回などの操縦をサポート。今後、会話やシーンを判断して、自動的にモードを切り替える機能なども盛り込んでいくそうです。

未来の人の生活は、趣味嗜好だけでなく、年齢層や育った文化的背景別に多様化し、そして個人の権利や自由がもっと尊重されていくと考えられています。

AI搭載のパーソナルモビリティの開発は、あらゆる生活シーンに合わせ移動や行動をサポートし、安全支援もしてくれるパートナー・ロボットの出現といえるでしょう。

ロボットモードの全長は55cm、乗り物モードは75cm。重さは64kgで大型犬くらいの大きさ。未来のパーソナルモビリティは単なる乗り物ではなく、生活のパートナーになる可能性があることがよくわかります。

『未来の乗り物図鑑』より
『未来の乗り物図鑑』より

■買い物に行けない人のもとに、無人コンビニがやってくる

コロナ禍だけでなく、地方や郊外の過疎化、高齢化の問題は、これまでの物流の常識を変え始めています。外出しなくなった消費者に対し、店舗まで連れていく自動運転タクシーやバスが実験的にスタートしているのは、たびたび報じられているとおり。同じように注目されているのが、消費者の元へ店舗ごと移動してくる「無人コンビニ」です。

さまざまに活用できる次世代のモビリティのコンセプトモデルとして、トヨタ自動車が発表した自動運転シャトル「e‐Palette」。このe‐Palette車内を、販売店用に改装し、多数の商品を陳列したのが、この巡回型の自動運転コンビニなのです。

■トヨタが実証実験をすすめる次世代モビリティ

e‐Paletteは自動運転技術搭載のモビリティサービス専用EV。低い床、箱型の広い室内が特徴で、人や物資の輸送を始め、物販などの小売店仕様など、ユーザーの多目的な用途に応える設備の搭載が可能。トヨタは、これをMaaS(Mobility as a Service:移動のサービス化)専用次世代電気自動車のコンセプトカーとしていて、新技術を社会に根付かせるため、開発と同時進行で、色々な実証実験にも取り組んでいこうとしているわけです。そう考えると、コンビニへの活用は打ってつけの計画ではないでしょうか。

あなたの街でも、無人のコンビニが開店しているかもしれません。

■宇宙エレベーターが2050年には完成予定

2050年に完成する予定なのが、地球と宇宙の間をケーブルでつなぐ「宇宙エレベーター」の構想です。人や物資を大量に効率よく運ぶことができる手段として、大きな期待が集まっています。また、カーボンナノチューブでつなぐことによって、ロケットを飛ばすよりも環境に与える影響が小さいという特徴もあります。

スーツ『未来の乗り物図鑑』(KADOKAWA)
スーツ『未来の乗り物図鑑』(KADOKAWA)

宇宙エレベーターの全長は約96000km。これほどまで長い距離を安定してつなぐことができるのには、宇宙エレベーターの仕組みと、ケーブルに使われる素材に秘密があります。

この仕組みは地球と、宇宙にある地球の自転と同じ速度で飛行している、静止衛星とよばれる赤道上の人工衛星をつなぐというものです。こうすることでバランスを取ることができ、ケーブルを真っすぐに伸ばすことが可能になります。

このような高い建築物を地球上に作るためには、重力に負けない強度と軽さのある素材が必要です。ここで用いられるのが、「カーボンナノチューブ」という1991年に発見された素材。実はこの宇宙エレベーターの構想は、理論的には実現可能だと以前から言われていましたが、適当な素材が見つからずそのままになっていました。

このカーボンナノチューブという新素材が見つかったことにより、実現に向けて大きく動きだしているのです。それだけ炭素繊維が優れているということですね。

人工知能の進化スピードも加速していますから、これからは人間とAIが共生していく世の中になります。きっと、我々の想像を超える未来がやってくることでしょう。

AI化の波に飲まれるのではなく、乗りこなしていきたいですね。

『未来の乗り物図鑑』より
『未来の乗り物図鑑』より

----------

スーツ 交通系YouTuber
本名は藤田裕人。1997年12月、東京都生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。幼少期より鉄道に目覚め、鉄道高校として名高い岩倉高等学校に進学。鉄道員を目指し就職試験に臨むも不採用となり大学進学。在学中の2017年、交通系YouTuberとしてYouTube配信を開始。現在、メインCH「スーツ交通」は登録者数100万人を突破。

----------

(交通系YouTuber スーツ)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください