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「高3までに子1人500万円の貯金が必要」親の時代より大学学費年25万円急騰でローン返済パンクの過酷

プレジデントオンライン / 2023年4月12日 11時15分

出典=『プレジデントFamily2023春号』

「教育費に不安を感じる」。そんな小中学生の子を持つ親は8割超。『プレジデントFamily』編集部が調べたところ、親の時代に比べ、学費や通塾費、習い事費など教育費は高騰していることがわかった。ファイナンシャルプランナーの西山美紀さんがその背景や対策を解説する――。(前編/全2回)

※本稿は、『プレジデントFamily2023春号』の一部を再編集したものです。

■大学・中高、習い事…学費は上がっている

「教育費に不安を感じますか?」

小中学生のお子さんがいるプレジデントファミリー読者に、こんな質問を投げかけたところ、実に約84%もの人が「不安を感じる」と答えた。その理由は多い回答から「これからかかる教育費が高いから」「子供にいい教育を受けさせたいから」……。

日本経済の低迷や近年の物価上昇もあり、子供の教育に実際どれだけかかるのかわからない、また、よりよい教育を受けさせてやりたいが、わが家はいくらかけられるのかわからない、といった親たちの悩みが回答から見え隠れする。

そこで編集部では、ファイナンシャルプランナーの西山美紀さんの協力を得て、実際にかかる学費について調べてみた。すると、親世代のときに比べて大きく上がっていることがわかった。

たとえば大学の学費。文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」によると、私立大学の平均授業料は1993年度は68万8046円だったが、2021年度は93万943円となり、約30年で35%(約25万円)以上増えている。

国立大学は1993年度は41万1600円。その後増加し、2005年度以降は53万5800円。その後現在まで増えてはいないが、30年前と比べると約30%増。

私立中学校の場合はどうか。東京都の調査によると、都内私立中学校の初年度納付金(平均額)は25年前の1998年度は84万1568円。2023年度は98万9125円で15万円近く上昇した。

上がっているのは、学費だけではない。文部科学省の21年度「子供の学習費調査」によると、公立小学校に通う子供の学習塾代は年間平均8万1158円と過去最高に。前回調査の18年度の5万3313円から約1.5倍に。全国平均で学習塾に通っていない子も含む数字だが、学費だけでなく塾や習い事などの学校外教育費も増えていることがわかってきた。

■教育費をかけすぎて住宅ローンが払えない

「学費上昇はさまざまな要因がありますが、一つには少子化の影響があります。また親世代よりも教育の内容が多様化し、英語やプログラミング、ICT(情報通信技術)などさまざまな教育が行われるようになったことも関係しているでしょう。塾や習い事などの選択肢が増え、親世代よりも通塾率は上がっています。塾にも集団塾、個別指導塾、オンライン指導などいろんな種類があり、複数通うこともできます」(西山さん、以下同)

また親の子育て観も関係していると西山さんは指摘する。

「子供の可能性を広げてやりたいと、自分が親からしてもらった以上の教育を子供に受けさせたいと考える親御さんは多いでしょう。そうすると習い事をたくさんさせるなど教育費もかさみます」

SNSなどの普及でさまざまな情報が入ってくるようになった。合格実績が高い塾ができた、留学して英語力がついた、といった情報が目に入ると、「うちの子も」という気持ちになってしまうのかもしれない。

高まる教育熱の一方で、注意したいのは教育費が膨らみ家計を圧迫してしまうこと。

「教育費をかけすぎて、家計は火の車、住宅ローンを払うのがかなり厳しいというケースは少なくありません。ただあまり表に出ないんですね。家計の状況はご家庭によって違うので、わが家の場合は払い続けられるかと常に考える必要があります」

ここにきて政府は児童手当の所得制限を撤廃する案を出したり、さまざまな手当を給付したりする動きを見せているが、あまり期待せずに備えたほうがいいと西山さんは考えている。

「今後、日本でも諸外国のように、大学の費用が安くなったり無料になったりと、教育費負担が少なくなる可能性はあります。ただ、何年後になるかわかりませんし、所得制限に引っかかったり、制度が変更されたりする可能性もあります。基本的にはないと思って準備したほうがいいでしょう」

【図表2】授業料の目安(大学)
出典=『プレジデントFamily2023春号』

■500万円以上は貯めておきたい理由

では結局のところ、教育費はどれだけ備えればいいだろうか。

「まず子供の高校3年生の夏までに1人500万円以上貯めることを目標にしましょう。500万円はだいたい私立大学4年間にかかる金額。国公立大学ならもっと少なく済みますが、お子さんが必ず国公立大に進学できるかはわかりませんので、私立大を想定しておきましょう。さらに1人暮らしをさせるなら、プラス100万~200万円あると安心です」

進学する学部や立地、アルバイトができるか、また大学院進学や留学といった場合の費用はケースバイケースだが、まずは500万円以上が目安だ。

『プレジデントFamily2023年春号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2023年春号』(プレジデント社)

本誌の読者に行ったアンケート(76~78ページ)では子供の海外大学進学を考えている人は3割に上る。海外大学に進学する場合はどうか。

「家計に余裕があれば貯金して備えておくといいですが、給付型の奨学金制度が充実しているので利用も検討しましょう。比較的リーズナブルなアジア圏やヨーロッパ圏を選ぶ方法もあります」

子供を私立の中高一貫校に行かせられるかについては、少なくとも年間120万円を6年間払い続けることができるか試算してみよう。

「私立に通わせている家庭のボリュームゾーンは年収1000万~1500万円です。ただ年収800万円の家庭でも無理というわけではありません。たとえば年収800万円の場合、手取りは約600万円になります。そこから1人120万円の学費を引いて生活できるか。子供が1人なら480万円(月40万円)。子供が2人なら240万円を引いて360万円(月30万円)。そこからさらに大学の進学費用(1人500万円)を用意しつつ暮らせるかということです。住宅費が高くない、祖父母からの援助が期待できるなどご家庭の事情を考えてみましょう」

試算の結果、望む教育費がかけられない場合もあるだろう。そんなときにはどのように考えるといいのか。

「大前提として教育はたくさんお金をかければいいわけではありません。たとえば、塾や予備校に行けば成績が上がるとは限りません。得意な科目は問題集やオンライン講座を利用し、苦手な科目だけ塾や予備校で受講するといったやり方も。また留学なども学校や自治体の制度などで割安で行ける方法もあります。工夫をしてお金を賢く使うことを検討してみてください」

【図表3】授業料の目安(中学・高校、塾など)
出典=『プレジデントFamily2023春号』

(プレジデントFamily編集部)

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