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100%同じことは二度と起こらない…遠藤保仁43歳、プロ26年目「どんな失敗をしてもストレスは溜まらない」理由

プレジデントオンライン / 2023年4月18日 11時15分

2023年、プロ生活26年目を迎えた遠藤保仁選手。 - 撮影=三好宣弘

長年日本サッカー界を牽引し、43歳になった現在、J2ジュビロ磐田でチームを昇格させるため奮闘を続ける遠藤保仁選手。この度、セブン‐イレブン限定書籍『シンプルに考える』を上梓した。同書で明かされた、意外な「遠藤式ストレスマネジメント」とは──。

※本稿は、遠藤保仁『シンプルに考える』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■ストレスの対処法は「流す」こと

僕は飄々(ひょうひょう)として見えるからか、インタビューなどで「ストレスが溜まることはあるんですか?」と質問されることがよくあります。自分でも聞かれて初めて気づいたのですが、ストレスが溜まった記憶はほとんどありません

もちろん、ストレスを感じることはあります。

サッカーの試合中にパスがうまくいかなかったり、シュートを外してしまったりするとイライラする瞬間はあります。けれど、ストレスが溜まることはありません。ストレスは溜めずに受け流せばいいんです。

■うまくいかなかったことは「終わったこと」

ストレスを受け流すことができるようになれるかは、考え方次第だと思います。

遠藤保仁『シンプルに考える』(プレジデント社)
遠藤保仁『シンプルに考える』(プレジデント社)

たとえば、サッカーでは100%同じ状況は起こり得ないので、うまくいかなかったとしても「終わったこと」として考える。うまくいかなかったことを引きずっていても、考えるだけムダですよね。そう思ったら、ストレスは蓄積されずに流れていきます。

人生に置き換えても一緒です。

100%同じ状況は、絶対とは言いませんが、ほぼ起こりませんよね。ならば、「あのときどうすればよかったのか」と自分で抱え込むことはせず、気持ちを切り替えてしまったほうがよほど建設的ではないでしょうか。

■ストレスは手放し、こだわりは守るべき

ストレスは手放したほうがいいですが、こだわりは手放すべきではありません

みなさんは、こだわり=絶対に譲れないものを持って、仕事をしたり、スポーツに打ち込んだり、趣味に没頭したりできているでしょうか。

こだわりを持っている人は、妥協しません。いい意味で他人の目を気にしません。泥臭くやることをいといません。自分のやりたいこと、やるべきことに一直線。そういった人たちは、仕事でも、スポーツでも、趣味でも、成果を出しやすいというのが僕の持論です。

そう考えるようになったのは、自分の経験からです。

■2006年ドイツ・ワールドカップでの挫折

転機は2006年のドイツ・ワールドカップ。僕はメンバーに入っていたものの、1次リーグ3試合を通じて一度もピッチに立つことができませんでした。しかも、ゴールキーパーを除くフィールドプレイヤーで出場の機会がなかったのは、遠藤保仁ただ一人。

二度と味わいたくない悔しさにうちひしがれました。

でも、そのとき同時に「自分に足りないもの」を自覚することもできました。

それは、ボールへの執着がほかの選手より劣っている、ということ。つまり、当時の僕には泥臭さが欠けていたのです。

これを周囲の人から指摘されたとき、泥臭いサッカーよりも華麗なサッカーを志向していた自分の心の内を見透かされたような思いがしました。

■原点に返ろう……

原点に返ろう、サッカーをはじめたころの「ボールをがむしゃらに追いかける」感覚を取り戻そう、そう思いました。

相手の自由を奪うために、しつこくプレッシャーをかける。また、相手から奪い返すために、身を投げ出してボールにくらいつく……。

そうしてプレーしているうちに、守備のときに「どこでボールを奪えそうか」「どこにボールが転がってきそうか」と予測する能力が上がってきました。

サッカーは攻撃と守備が表裏一体の関係にあります。攻撃に限らず、守備でも先手を取ることが、プレーのさまざまな局面や、試合を優位に進めるために必要なことであり、ひいては勝利への重要な要素になっていきます。

サッカーのピッチ
写真=iStock.com/AlenaPaulus
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AlenaPaulus

■「失敗」が新たな扉を開いた

ワールドカップで本当に悔しい経験をして、こうした“気づき”を得ることがなければ、その後に日本代表として歴代最多となる152試合出場を記録(2023年3月現在)することはなかったのではないか、と自分としては思っています。

要は何にこだわるかという話です。「うまい」「かっこいい」より、「試合に出る」「勝利する」ということにこだわるべきだと、あの当時の自分にいまなら言えます。

大事なことを見失わないためにも、こだわるポイントを自分の中で見つめ直してみてはどうでしょうか?

■プロサッカー選手として26年目

2023年シーズン、プロサッカー選手として26年目を迎えました。

正直なところ、ルーキーのころは「15年くらいやれたらいいな」というくらいに思っていただけで、プロとして公式戦1000試合以上に出場できるなんて自分でもビックリしています。

ただ、「長く現役を続けよう」という意識ではなかっただけで、「サッカー選手としてトップに立ちたい」との思いは常に持っていました。

いま、40代でサッカー選手を続けることができているだけでありがたいです。健康で元気に好きなことを続けていられるのは、それだけで「幸せ」です。そういった思いは、年々強くなっています。

■得意を前面に、苦手は誰かに頼る

長く仕事を続けるには、結果を出して自分をアピールすることも重要です。

そのためには、自分が最も得意にしている部分を前面に出していくこと。苦手な部分はいくら自分でカバーしようと思っても限界があるので、誰かに任せる。

自分が苦手としている部分が、ほかの人にとっては一番得意ということもありますから。

仕事に必要な能力は職種によって異なると思いますが、仮にサッカーのミッドフィルダーに必要な能力が5つあるとしたら、それぞれが60点前後の平均的な人よりも、1つの能力が90点、ほかの4つの能力は30点という人のほうが結果を出せたりします。

90点の能力が自分の武器になるので、それをどんどんアピールしていけばいいのです。

■「僕がピッチを去る日」

結果を出すこと以外で僕が大切にしているのは、「楽しむこと」です。

どんな仕事も、いいことばかりではありません。たとえツライ出来事に直面しても、自分の成長には必要なことだとポジティブにとらえてみる。自分の成長が実感できたら、自然と「仕事が楽しい」と思えますから。

遠藤保仁選手
撮影=三好宣弘
そのまなざしの先に見えるものとはいったい──。 - 撮影=三好宣弘

あと何年サッカー選手を続けるかは、まったく決めていません。9歳からサッカーをしていて、キツかったことは多々ありましたが、でも、サッカーをやめたいと思ったことは一度もないんです。

契約してくれるチームがある限りは続けていきたい。とはいえ、自分の中で「もういいかな」と思ったときが、やめるときなんだろうと思います。

いつになるか全然わからないですけど(笑)。

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遠藤 保仁(えんどう・やすひと)
プロサッカー選手
1980年1月28日、鹿児島県生まれ。1998年に鹿児島実業高校から横浜フリューゲルスに入団。京都パープルサンガ(現:京都サンガF.C.)を経てガンバ大阪に移籍し、中心選手として数々のタイトル獲得に貢献。2020年の期限付き移籍を経て、現在はジュビロ磐田でプレー。日本代表としては歴代最多となる152試合に出場し、3大会連続でワールドカップ日本代表メンバー入り。J1通算672試合、公式戦通算1106試合に出場(2022年シーズン終了時)。

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(プロサッカー選手 遠藤 保仁)

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