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見かけの偏差値以上に就職実績がいい…全国に16校ある「旧高商」と呼ばれる国公立大学の名前

プレジデントオンライン / 2023年4月17日 15時15分

一橋大学国立キャンパスの兼松講堂。前身は「旧東京商科大学」。2005年8月3日に撮影。(写真=FOMALHAUT/PD-user/Wikimedia Commons)

大学受験ではどうやって志望校を選べばいいか。教育YouTuberの山内太地さんは「経済学部を目指すなら、全国で16校ある『旧高商』と呼ばれる国公立大学をオススメする。難関校も多いが、なかには受験の難度以上に就職に強い学校がある」という――。(第1回)

※本稿は、山内太地『偏差値45からの大学の選び方』(ちくまプリマー新書)の一部を再編集したものです。

■国公立大学の受験はどのようなものか

国公立大学の選び方と受け方という基本的なところから入っていきたいと思います。まず国公立大学の受験について。1月に共通テストを受けて2月に前期試験を受けますよね。ですが重要なことは、国公立大学は実は最大で5回受けられるということです。

総合型選抜・学校推薦型選抜・前期日程・中期日程・後期日程の5回です。さらに、独自日程の大学もあります。共通テストを受けた後の前期試験に全力投球するのはよくわかるのですが、万が一に備え中期日程や後期日程で受験できる大学も事前に探しておきましょう。その分野の勉強ができる他の大学は必ずあります。

また、国公立大学の推薦型選抜も検討しましょう。これは共通テストありとなしがあり、共通テストなしの場合、11月に試験があり年内で合格が決まります。この秋の推薦ではぜひ難関大学を狙ってください。

そして総合型・学校推薦型・前期・中期・後期、5回全部検討するんですね。多いほうが合格率もあがりますし、試験に慣れるのにも有効です。推薦で難関大に入るのは正直難しいです。でも仮にその推薦が残念な結果であっても折れずに必死になって勉強を続けて共通テストと前期に挑んでください。

言ってしまえば、推薦で勝とうとしない、だけど受けようよということですね。受かったらラッキーくらいの気持ちで。落ちたら推薦は模擬試験、練習です。戦いは続きます。

次に選び方です。受験準備に入る時、まず大きくは私立大だけを目指す人と国公立と私立の併願を目指す人で分かれていくと思います。勉強する教科が違いますからね。特に都市部以外の地域だと国公立を狙おうと考える人が多い傾向にあるのかなと。なのでそもそも論として、地方国公立と都会の私立を比べていきます。

■「地方の国公立VS都会の私立」はどう考えればいいか

ということで、地方の国公立VS都会の私立。みなさん自身が悩む問題だと思いますし、地方に住んでいる人は「地元の国公立大学に行け!」と親や先生からすごく言われることでも悩むのだと思います。

鳥取県だったら鳥取大学。岩手県だったら岩手大学みたいな、それが一番いいじゃないかと言われる。そして、多くの人はそれに従って目指すと思います。しかし、もしあなたが「本当は都会の私立に行きたいんだけど」という人だったら、どうしたらいいんでしょうか。これに対する答えは、文系と理系でちょっと変わってきます。

文系の場合は、いろんな企業があったりユニークな経験ができたり、チャンスが広がるということを考えると、私個人としては、都会の私立大学もすすめます。やっぱり情報と人の量が違いますからね。なので都会に行きたい文系の方はぜひ行ってください。

では、理系の人はどうなのでしょう。理系の人には地方国公立も推したいと思います。東京や関西の有名私立、入っちゃいけないとは言わないですよ。でも、就職に関して言えば、理工系は地方の大学でも都会の大学でもそこまで変わらないんですよね。

これが文系の場合であれば、各県、地元の良い会社に入ったり地方公務員や教員になったりということが多いんですよ。文系は地方大学にいればそのまま地方で就職し、都会の大学を出た人が都会で就職するという流れなんですね。もちろんたまに突然変異で、地方大学から東京の良い会社に入るという人間がいない訳じゃありませんが。

■立地の悪さと就職実績はあまり関係ない

でも理系、特に工学部とか農学部の場合は、地方のどんなに不便なところにある大学でも就職先はちゃんと東京、都会です。たとえば北見工業大学とか室蘭(むろらん)工業大学とか、公立はこだて未来大学、あとは福島県の会津大学とか、正直言って交通の便の悪い地方都市にあるのですが、就職データをホームページで見てください。必ず東京の有名な大企業に入れているのです。理工系に関して言えば、地方にいるからダメなんてことは一切ありません。

九州工業大学正門
九州工業大学正門。(写真=Ian Ruxton/CC-BY-SA-3.0-migrated/CC-BY-2.5/Wikimedia Commons)

たとえば九州工業大学が顕著な例です。国立の名門です。北九州にあるんですけれども、1人の学生が就職活動で受ける会社はたったの1.7社ですからね。文系なんて100社くらい受けているのに。理工系の高度な専門性があって、学力の高い国公立大学に入っている人は、就職活動では都会の有名な私立大学に比べてまったく不利ではありません。理工系に関して言えば、全国へどうぞ散ってください。

どうしても難関大や地元ばかりに関心が偏りがちですが、国公立大学は大学入学共通テストの結果によって、自分は全国のどの大学に受かるレベルなのかがわかります。そのため、憧れていた大学が難しい場合、いきなり私立だけにしようなどと決めないで、様々な国公立大を知っておくことが、本当に自分に合った良い大学との出会いにつながります。

■後期日程や独自日程を知ればチャンスが増える

東大、京大などのトップ国立大学は、後期日程を廃止し、代わりに秋の学校推薦型選抜を実施するなどしており、前期日程で失敗したとしても後期日程で同じ大学に再チャレンジすることができません。そこで、第1志望の大学はもちろん目指して前期日程の勉強はするのですが、高校1、2年生のうちに、それ以外で挑戦できる大学の名前や教育内容を知っておくべきです。

そのため、後期日程を実施している主な国公立大学をご紹介します。伝統ある人文系学部を持っていて私がおすすめなのは、熊本大、鹿児島大、信州大、静岡大、福岡女子大、新潟大、山口大、愛知県立大、北九州市立大、富山大、愛媛大、島根大、神戸市外国語大学の二部(夜間部)、琉球大などです。教育学部も全国にあるので、教員志望の人はぜひとも目指してください。

経済学部は、後述する旧高商系の大学が特に優れています。社会福祉は私立大学に多いですが、岡山県立大、福井県立大、山口県立大などもおすすめです。この他に、独自日程という、前期・中期・後期とは別に受験できる公立大が全国に4つだけあります。秋田の国際教養大、新潟県立大、芸術文化観光専門職大、広島県の叡啓(えいけい)大です。

秋田の国際教養大は有名ですが、他はまだ歴史が浅く、全国的には知られていない大学です。自分に合うかどうか、他の国公私立大学も含め、よく調べ、比較検討すると良いでしょう。

■経済学部志望であれば「旧高商」は狙い目

次に、「旧高商」というくくりの大学群についてお伝えしたいと思います。知らない方も多いと思いますが、経済学の名門大学群です。

旧高商は、戦前に高等商業学校として設立された大学を指します。高等商業学校というのは商業実務家を養成する学校でした。この旧高商は今でも姿を変えつつ残っており、長い歴史と伝統を持っています。しっかり勉強できるうえ、産業界・銀行・大手企業に多くの卒業生がいるので就職も強い。

国公立大学の経済学部は全国にありますが、旧高商は特別です。国公立かつ経済学部志望でどこへ行こうかと迷っている人には、旧高商の大学が特に良いと、強くおすすめできます。

【一橋大学(旧東京高商)】もちろん良い大学に決まっていますよね。説明不要です。

【神戸大学(旧神戸高商)】神戸大学は経済学部と経営学部に分かれて設置されており、全国的にとても珍しいです。いかに商業系の伝統ある大学かということがわかりますね。

神戸高等商業学校正門(1916年頃)
神戸高等商業学校正門(1916年ごろ)。(画像=神戸大学百年史編集委員会『神戸大学百年史 写真集』神戸大学、2002年/PD-Japan-oldphoto/PD-1996 (with a reason)/Wikimedia Commons)

【大阪公立大学(旧市立大阪高商)】現在の一橋、神戸大、大阪公立大が三高商と呼ばれていました。特に優れた3つの高等商業学校として、戦前からの高いブランドがあります。もちろん、今でも超がつく名門大学です。この3校以外にも、高等商業学校だった大学を続けてご紹介していきます。

【小樽(おたる)商科大学(旧小樽高商)】旧高商唯一の単科大学で、商学部のなかに4つの学科があります。

■偏差値でははかれない実力がある

【福島大学(旧福島高商)】福島大学は今も経済学の名門です。

【横浜国立大学(旧横浜高商)】横浜国大も経営学部と経済学部の両方が存在するのは、高商の流れをくんでいるからなのです。

【富山大学(旧高岡高商)】経済学部には夜間主コースもあります。

【名古屋大学(旧名古屋高商)】なんと名古屋大学になったんですね。旧帝大の一角ですので言わずもがな難関です。

【滋賀大学(旧彦根(ひこね)高商)】データサイエンス学部で話題の滋賀大学。大津ではなく彦根にできたために、滋賀大学の本部は今も彦根にあります。

【和歌山大学(旧和歌山高商)】ここも伝統校です。1学科5プログラムとなっています。

【山口大学(旧山口高商)】実は、岡山大学や広島大学の経済学部よりも山口大学のほうがある意味では伝統校です。偏差値だけでははかれないものがあります。

■「公立の高等商業学校」だった2大学もオススメ

【香川大学(旧高松高商)】四国に国立の経済学部は、香川大学しかありません。四国では非常にブランドが高いです。

【長崎大学(旧長崎高商)】現在も経済学部だけキャンパスが別です。長崎の町の中で本部と離れています。それはやはり、経済の学校として名門だという自負があり、もともとのキャンパスから離れたくないのかも知れません。

山内太地『偏差値45からの大学の選び方』(ちくまプリマー新書)
山内太地『偏差値45からの大学の選び方』(ちくまプリマー新書)

【大分大学(旧大分高商)】ここも伝統があります。九州では非常に人気。

最後に2つ、公立の高等商業学校だったところです。

【横浜市立大学(旧横浜市立横浜商業専門学校)】やはり経済・経営・商業系の名門です。横国大よりは手が届きやすいのでおすすめです。

【兵庫県立大学(旧兵庫県立神戸高等商業学校)】国際商経学部があります。横浜と神戸は非常にビジネスが盛んな土地で、戦前からこのように国公立で名門の商業学校が2つもあったのです。

以上、国公立おすすめの経済学部、旧高商16校をご紹介しました。経済学部志望の人、地元の大学を受ける前にぜひご検討ください。

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山内 太地(やまうち・たいじ)
教育YouTuber
1978年生まれ、岐阜県出身。東洋大学社会学部社会学科卒業。教育ジャーナリスト・学校経営コンサルタント・教育YouTuber。理想の大学教育を求め、日本全国約800大学をすべて訪問。海外は14カ国3地域約100大学を取材し、全国の高校で年間約150回の進路講演を実施。YouTubeチャンネルの総再生数は1400万回を超える。主な著書に『大学のウソ 偏差値60以上の大学はいらない』(KADOKAWA)『就活下剋上 なぜ彼らは三流大学から一流企業に入れたのか』(幻冬舎新書)『高大接続改革 変わる入試と教育システム』(ちくま新書、共著)など多数。YouTube:メガスタ公式チャンネル@user-zn1ko7ry6y/大学イノベーション研究所@user-tz3hl9hr7h

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(教育YouTuber 山内 太地)

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