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「身内の病気がきっかけで看護学部に」はNG…推薦入試を突破できない人がやっている"ダメな話し方3つ"

プレジデントオンライン / 2023年4月18日 14時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

大学入試の面接試験では、なにを話せばいいのか。教育YouTuberの山内太地さんは「志望動機はしっかりと準備しておいたほうがいい。たとえば『地元だから志望しました』といった志望動機では落とされてしまうだろう」という――。(第2回)

※本稿は、山内太地『偏差値45からの大学の選び方』(ちくまプリマー新書)の一部を再編集したものです。

■「○○がやりたいです」だけでは意味がない

入試で面接がある人は緊張すると思います。アドバイスをしますので、総合型選抜や学校推薦型選抜で面接がある人は参考にしてください。

面接の場合に、重要なことは志望動機と自己PRです。志望動機というのは、“どうして私が○○大学に入りたいのか”が明確に言えなければいけません。自己PRは、“私は○○を頑張ってきました”を確かに伝えなければなりません。この2つがしっかりしなければ大学側から見ても、この人は本気でウチに入りたいのかな? となりますので、熱意をきちんと伝えましょう。

この面接対策が甘くて失敗する人は大勢います。最初に問題となるのは志望動機です。たとえば、工学部機械工学科志望の人がいるとします。「僕は○○大学機械工学科に入ってロボットを作りたいです」と答えるのはよくない。さて何がいけないんでしょうか。そうです。大学側からすれば、それは他の大学でもできますよねとなると思いませんか?

「ロボットを作りたいの? うちじゃなくても××大学とかもあるよ」と返されてしまいます。そういうときは瞬時に「この大学でなければいけないのです。なぜなら〜〜だからです」と答えなければなりません。これを言えない人が多いのです。大学についてしっかり調べていないからです。

志望大学をじっくり調べるのはもちろん、その学問分野の他の大学も調べてください。そうすると、第1志望の大学になぜ入りたいのか、はっきりとわかるはずです。

「確かに、ロボットの研究は他の大学にもある。でも○○大学は特殊な○○ロボットの研究をしている先生がいるからそこで勉強をしたい」

というように、深い理由が言えれば大丈夫。要するに、大学側はウチでなければいけない理由が知りたいのです。どんな分野であっても、「○○大学看護学部に入りたいです」「看護大学はいくらでもありますがなんでうちなの?」「それは○○だからです」という答えを必ず考えてください。

■「志望動機で大学を褒めて終わる」は絶対NG

たくさん面接の練習をして本番に臨むと思いますが、残念ながら突破できない人がいます。面接を突破できない人の致命的なミスはコレだという話をします。

面接
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

面接を突破できない人は、志望動機で大学を褒めて終わる人です。入りたい第1志望の大学の面接なので、ポリシーを読んでしっかりとその大学のことを調べていると思います。たとえば、「○○教育をやっているから入りたい」や「就職が素晴らしい」など、みなさん一生懸命に大学を褒めます。どうして自分がその大学に入りたいのか、なぜその大学でなければいけないのか、みなさんはきちんと話せるのです。しかし、これでは大学を褒めるだけの競争になってしまいます。

あなた以外の受験生も、「○○大学は素晴らしいです。だから入りたいです」と言っています。これを言う人たちは全員、100点満点中の50点です。その大学でなければいけない理由を言えているので50点ということです。では、残りの50点は何でしょうか。

■自己PRと大学の関係性を明確に語るべき

面接を突破するための残りの50点は、あなたでなければいけない理由が言えることです。それを説明するのが自己PRなんですね。

大学側は、別にあなたでなくてもいいのです。他の名門高校からの、やる気も申し分なさそうな受験生をとってもいいのです。みんなまずは大学を褒めますから、大学側はさっきも同じことを聞いたなと思います。そして「あなたがウチに入りたいのはわかっています。では、ウチがあなたを入れるメリットは何ですか?」となります。他の子ではなくてあなたを取るべき理由、あなたの必殺技を言わないといけません。それが自己PRです。

よくあるのが「私は高校時代○○を頑張ってきました」ですね。よくあがるのは、部活で大会に出た、生徒会長をやった、ボランティア活動したというもの。しかし、大学が本当に求めているのはそれではありません。甲子園で決勝に行ったとか、プロデビューしたアイドルだとか、そのレベルが高い場合は多少いいかもしれません。でも本当に重要なのは、あなたが頑張ってきたことが大学側とどう関係があるのかということです。

■事前に「嫌な質問」に慣れておいたほうがいい

たとえば、工学部機械工学科志望なのに、野球をすごく頑張って甲子園に行きましたというのは関係がないですよね。しかし、関係するように話すことはできます。野球をやっているときにこういうことを考えていて、スポーツに関わる機械、テクノロジーの勉強がやりたくなった、自分なら誰よりも選手の気持ちがわかるはずだと。頑張ってきたことと、入りたい大学が結び付いていないといけないのです。志望動機だけでは上手くいきません。

第1志望の大学をしっかり調べて、褒めちぎるのは悪くありません。しかし、それでは50点なので、あなた自身を褒めちぎることもしてください。志望動機と自己PRは同じくらい大切です。これは受験時だけでなく就職の面接でも同じです。

親、友達、先生に面接練習に付き合ってもらい徹底的に対策をしてください。悪いところ、ダメなところをたくさん突っ込んでもらってください。これは突っ込む側の力量も問われますので、友達とだけやるのはやめたほうがいいですよ。

突っ込む力量というのは、たとえば「新潟県立大学に入りたいです」と言ったとします。そしたら「あなた自分が新潟に住んでいるから入りたいのでしょ? もっと他の理由ないの?」というように相手が嫌がるところ、嫌なことを質問できることです。これに対して申し分なく答えられるようにしておけば本番では失敗しません。練習で嫌なことは聞かれておいてください。

面接
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

■「地元だから」はまったく理由になっていない

そして、想定問答集を作ってください。嫌なことを聞かれた場合の返答を徹底的に練習をすることが重要です。質問をする側は、相手の弱いところを突いてください。もちろん、面接対策がこれですべてということではありませんが、私はここが基本だと思います。

推薦で落ちる人のダメな志望動機3つをご紹介します。どれもあなた個人にとっては大きな理由でしょうし、否定するわけではないのですが、実際問題としてこれはやめたほうがよいというものです。

【地元だから】

まず1つ目、地元だからはダメです。特に地方の人は気を付けてください。秋田県に生まれたから秋田大に入りたい、福井県に住んでいるから福井大に入りたい……という人、本当に多いです。でも、冷静に考えてください。その理由、あなた以外の人もそうですよね。

隣の高校の子も秋田大に入りたい、福井大に入りたいと言いますよね。地元だから入りたいという理由で、大学側があなたを必要と思うかどうか、真剣に考えてください。あなたでなければいけない理由がそれでは決め手にはなりません。その理由であれば、隣の子でもいい訳です。家から近い、地元の大学が良いのはもちろんわかります。でも面接でそれを言ってはいけません。それでは他の人と差がつきません。

■志望校にしかないものを調べておいたほうがいい

地元だから行きたいのはわかっているのです。私もわかっているし、大学側もわかっているので、それ以上の理由を明確に考えてください。たとえば、「その学問分野だったら隣県の大学にもあるよ」と言われたらどうしますか?

それでも自分の県に行きたいと言うのではなく、深く学問分野を調べた上で、この学問がやりたいからこの大学が良いということを主張してください。実際にあった話ですが、ある県立大学に行きたいという子が地元の県だったので、私が「地元だから行きたいのでしょ?」と言ったら、「違います。自分が興味を持っている植物は自分のところの県でないとあまり育たないし、その勉強ができる大学は地元の県立大学の生物系の学部にしかないので、他県では困ります」と言ったのです。

このようなしっかりした理由があればもちろん良いと思います。ということで、地元だからという理由はやめてください。しかもその人は落ちました。それだけではダメだということです。

■「身内が病気で看護学部に」ではベタすぎる

【身内の病気で看護学部】

2つ目、家族や自分が入院した経験から看護学部希望はダメです。これ正直かなり多いです。あなたや家族が病気やケガで入院をされたのは大変だと思います。あなたの人生にとっては大きな出来事です。でも、看護学部志望の人でその理由を言う人が多すぎるのです。それは志望動機ではありません。きっかけに過ぎないのです。それ以上の理由が必要。

子供の手を握る医療者
写真=iStock.com/fstop123
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fstop123

おじいちゃんが入院した、看護師さんが親切だったから私もなりたい、それはわかりました。でも、あなたがなる必要があるかどうかです。あなたはなりたいと思っただけで、あなたに看護師になってほしいかどうか相手の気持ちになって考えてください。看護大学の教授の気持ちになってください。病気になったから看護学部志望という子がたくさん来て、飽き飽きしてると思いませんか?

この分野の看護がやりたいとか、こうやって医療に貢献したいというような明確な理由、きっかけより先の理由をひねり出してください。自分が病気になったから医者になるという人、あまりいないと思います。医者になる人というのは、もっと真剣に考えていると思うのです。自分や関係者の病気や怪我がきっかけなのは良いですが、それは志望動機ではないのです。看護師も同じように、もっと深い理由を考えてください。

■自分の悩みだけを志望動機にしてはいけない

【自分がつらいので心理学】

最後3つ目、自分が悩んでいるから心理学科志望はダメです。めっちゃ多いです。

心理学は基本的に自分の心ではなく他人の、人間一般の心を扱う学問なのです。臨床心理士や公認心理師という仕事は、他の人を助けられなければならない。自分や友だちや家族のことで心理に興味を持つきっかけがあるのはわかります。でも、それは志望動機ではなくて、やっぱりきっかけでしかありません。

山内太地『偏差値45からの大学の選び方』(ちくまプリマー新書)
山内太地『偏差値45からの大学の選び方』(ちくまプリマー新書)

きちんと心理学を学んでこういうことがしたいんだという、自分の悩みの先にある、社会に貢献することを意識して志望動機を言わなければ、大学側がウンザリしてしまいます。あとたとえば、友達の悩み事の相談に乗ることが好きだからというのもあまり良くないです。それは、心理学で扱う分野の一つに過ぎません。

カウンセリングだったり臨床心理学だったり。実際の心理学というのは、統計学であり、医学的な部分もあり、理系なのです。また、数学や理科ができたほうが良いので、文系だとも思わないほうがいいです。それも踏まえて、真剣に心理学を目指しているということをきちんとPRできなければ難しいと思います。

ということで推薦で落ちる人のダメな志望理由3つでした。みなさんは同じ轍(てつ)を踏まないように、きっかけの先を意識して志望動機を作りこんでください。そうすれば合格に一歩近づけます。

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山内 太地(やまうち・たいじ)
教育YouTuber
1978年生まれ、岐阜県出身。東洋大学社会学部社会学科卒業。教育ジャーナリスト・学校経営コンサルタント・教育YouTuber。理想の大学教育を求め、日本全国約800大学をすべて訪問。海外は14カ国3地域約100大学を取材し、全国の高校で年間約150回の進路講演を実施。YouTubeチャンネルの総再生数は1400万回を超える。主な著書に『大学のウソ 偏差値60以上の大学はいらない』(KADOKAWA)『就活下剋上 なぜ彼らは三流大学から一流企業に入れたのか』(幻冬舎新書)『高大接続改革 変わる入試と教育システム』(ちくま新書、共著)など多数。YouTube:メガスタ公式チャンネル@user-zn1ko7ry6y/大学イノベーション研究所@user-tz3hl9hr7h

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(教育YouTuber 山内 太地)

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