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お母さんと楽しく遊んだ記憶がない…自己肯定感が低く「いざという時にふんばりがきかない男」の共通点

プレジデントオンライン / 2023年4月18日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kohei_hara

子供の自己肯定感を育むにはどうすればいいか。明治大学文学部教授の諸富祥彦さんは「子育てで大事なのは、お母さんから惜しみない愛情を受けているかだ。子供の心の問題の多くは、『ペタペタ、チュ』とほっぺにキスしたり抱きしめたりすることで解消できる」という――。

※本稿は、諸富祥彦『男の子の育て方「結婚力」「学力」「仕事力」を育てる60のこと』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■お母さんとの「ラブラブ」が、男の子の「自信」を育てる

「毎日、ガミガミ怒ってばかりでイヤになります」
「いつも怒りすぎてしまい、子どもも私もヘトヘト。いったいどうしたらいいかわかりません」

教育カウンセラーとして、男の子をもつお母さんの悩みをうかがっていると、「この子を一人前に育てるために、厳しくしつけなければ」と、心を鬼にして子育てしている様子が目に浮かびます。

「ちゃんとしつけなければ」と思うからこそ、ガミガミ叱ってしまう。――これは、親御さんとしての責任感の表れでしょう。

でも、ハッキリ言ってしまえば、小学校に入るくらいまでは、しつけなど二の次でまったくかまわないのです。

息子さんが長い人生を幸せに送ることができるかどうかにとって最も大きいのは、6歳までに「ボクはお母さんから愛されているんだ!」と実感できるかどうかである、というのが私の実感です。

私は、子育てには3つのステージがあると考えています。

①ラブラブ期……0歳から6歳くらいまでの、いわゆる乳幼児期(生まれてから幼稚園・保育園まで)
②しつけ期……6歳から10歳くらいまでの、いわゆる児童期(小学生時代)
③見守り期……10歳から12歳以降、18歳くらいまでの、いわゆる思春期(小学校高学年から大学生くらいまで)

子育て、とくに男の子の子育てで最も重要なことの1つは、①のラブラブ期(0歳~6歳くらい)のときに親、とくにお母さんから「これでもか」というくらい、惜しみない愛情を受けることです。

惜しみない愛情を受け続けることで、はじめて男の子の心の中に「いざとなれば、お母さんがいる」という安心感が芽生えはじめます。そしてその安心感が土台となって、男の子はさまざまなことにチャレンジしていくことができるようになるのです。

その結果、男の子は「たとえ失敗しても、自分は世界から見放されることはない」「自分はがんばれる人間だ」という自信(自己肯定感)をもつことができるようになります。

■いざというときふんばりがきかない子の共通点

この自信、「自分はがんばれば何とかできる人間だ」という自己肯定感こそ、男の子の一生を決める心の基盤となっていきます。

少々大変なことがあってもがんばれる、ふんばりがきくようになるのです。

恐ろしいことに、この“心の土台”が6歳までに育っていないと、その悪影響は、20歳すぎになってじわじわと姿を現してくることが少なくありません。お子さんが20代、30代になってはじめて、6歳までの子育ての問題が噴出し、わかったときには手遅れになってしまうことがあるのです。

具体的に言うと、せっかく大学で毎回授業に出ていても、肝心のテストの時だけ欠席してしまい何年も留年してしまったり、せっかく熱心に就職活動をしていても、面接の日だけ休んでしまう、といったように、「ここ一番」という「大切な時」に、「ふんばり」がきかない子に育ってしまいやすいのです。

そのような、「いざというときふんばりがきかない男性」と話していると、ある共通点があることに私は気づきました。それは、「幼い時、お母さんと楽しく遊んだ思い出が思い出せない」ということです。

「いくら思い出そうとしても、小さいころ、お母さんと楽しく遊んだ記憶がないんです。いつもガミガミ叱られてばかりで……」
「いつも勉強しなさい、勉強しなさい、とばかり言われ続けて……。母にやさしくされたことが思い出せません」

彼らのお母さんに、お子さんに対する愛情がなかったわけではありません。お母さんとしては、お子さんに「ちゃんと育ってほしい」と思うからこそ、厳しく叱りつけ、勉強の習慣をつけさせようとしていたのでしょう。

ただ、その結果、多くのお子さんは人生で一番大切な「いざという時、ふんばる力」を身につけそこなってしまうのです。

「うちの子はもう小学生。遅かった……」というお母さんも、まだまだ間に合います! 気づいたときがスタートです。さっそく今日から、お子さんが「ボクは愛されてるんだ!」と思えるよう、思いっきり愛してあげましょう。

それがお子さんの「いざという時、ふんばる力」となって、一生の財産となるのです。

■愛を言葉にして、タッチングを惜しまない

●愛していると言葉をかける

「マサオくんのこと、大好きよ」
「ケンちゃんは、ママの宝物」
「カズくんのこと、大切」

親子だから、“言わなくても通じ合える”というのが間違いのもと。親子でも、夫婦でも、愛は言葉にして伝えないと伝わりません。ちょっと恥ずかしいかな? と思えるくらいの言葉でも、どんどん口に出していきましょう。

●抱っこやタッチングを惜しまない

愛を伝える手段は、言葉だけではありません。折にふれ、抱っこやタッチングをしてあげましょう。

・心を込めてゆっくり抱っこする
・ペタペタ触る
・ギュッと抱きしめる
・ほっぺにキスする

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写真=iStock.com/hallohuahua
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/hallohuahua

日本人の親子は、こうしたタッチングが、他の国の親子と比べてかなり少ないのです。それが親子の愛着関係の形成に悪影響を与えてしまっています。

こんなことばかりしていたら、もっと甘えん坊になってしまうのでは? 男の子なのにいいの? と心配する方がおられるかもしれません。でも、その心配はありません。

子どもは、気持ちのいい抱っこやタッチングが大好き。「自分は大切にされている」と実感でき、自己肯定感が養われます。

■心の問題の多くは「ペタペタ、チュ」で解消できる

実はこの、“ペタペタさわる”“ギュッと抱きしめるほっぺにチュ”などのタッチングこそ、小さなお子さんの育児の“最大の武器”なのです。

たとえば、歩き始めたばかりの子が「抱っこ」とせがんだとしましょう。こんなとき、お母さんはつい「ダメ。歩く練習よ」と言ってしまいがちです。

そんなときは、しばらく抱っこしてあげてから、「また歩いてみる?」と聞いてあげましょう。すると、「ウン」とうなずいて自分から歩き始めることが多いもの。抱っこしてもらえたことで「大丈夫。お母さんはボクのことが好き」と安心感が生まれて、歩いてみようというチャレンジ精神が生まれるのです。

ではここでお母さんがお子さんの甘えを受け入れずに、「がんばりなさい」の一点張りだとどうなるでしょうか。

諸富祥彦『男の子の育て方 「結婚力」「学力」「仕事力」を育てる60のこと』(PHP研究所)
諸富祥彦『男の子の育て方「結婚力」「学力」「仕事力」を育てる60のこと』(PHP研究所)

お子さんは、気持ちのやり場がなくなって、夜泣き、ぐずり、わがまま、食べず嫌い、弟(妹)へのいじめ、幼稚園に行きたがらなくなる、などの問題を起こし始めます。そして、問題を起こすことでお母さんのガミガミはさらに激しくなってしまいがちなのです。

お子さんの心の問題の多くは、①言語化(「いやだ」「そんなことしたくない」「お母さんなんか嫌いだ」「幼稚園行きたくない」などの言葉)で、次に、②行動化(弟や妹をいじめる、ものを投げる、何かに当たるなどの行動)で、さらには③身体化(夜泣き、腹痛、頭痛、指しゃぶりなど)として現れます。

こうした問題に対する最大の対処法がタッチング!「ペタペタ」「ギュッ」「チュ」とお子さんとのからだのふれあいをくり返しているうちに心が安定してきて、問題行動が消えていくことが少なくありません。

また、子どもからペタペタと触りながら甘えてくるのは、よい子育てをしている証拠なのです。遊びなどで、お父さん、お母さんとお子さんの体を触れ合わせるような遊びをするのもOKです。

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諸富 祥彦(もろとみ・よしひこ)
明治大学文学部教授
1963年福岡県生まれ。教育学博士。臨床心理士。公認心理師。教育カウンセラー。「すべての子どもはこの世に生まれてきた意味がある」というメッセージをベースに、30年以上、さまざまな子育ての悩みを抱える親に、具体的な解決法をアドバイスしている。教育・心理関係の著書が100冊を超える。

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(明治大学文学部教授 諸富 祥彦)

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