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「自分が中の下なんて」難関私立中学に進学したのに不登校に…中学受験に向いていない子の10の特徴

プレジデントオンライン / 2023年4月20日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/taka4332

子供の将来を考えたとき、中学受験はした方がいいか。明治大学文学部教授の諸富祥彦さんは「私立に進むと『上には上がいる』現実に直面する。打たれ弱いタイプの子供は、中学受験を控えた方が賢明だろう。子供の気持ちもよく聞かずに中学受験をさせようとするのはとても危険だ」という――。

※本稿は、諸富祥彦『男の子の育て方「結婚力」「学力」「仕事力」を育てる60のこと』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

■子どもの気持ちもよく聞かずに中学受験をさせるのは危険すぎる

小学校3、4年生になると、進学塾から「公開模試」のダイレクトメールが届きます。

「受験を本気で考えているわけではないけれど、ちょっと腕試しで受けさせてみよう。もしかしたら、けっこういい線いくかもしれないし。……あら? うちの子、全然できないわ。このままじゃ、有名校どころか、中堅以下の中学も厳しいレベルじゃない! 公立に行っても落ちこぼれそうだし……。とりあえず、塾に行かせなくちゃ!」

お母さんの気持ちの移り変わりは、こんな感じではないでしょうか? 実際、こうして入塾を即決してしまうご家庭は多いのです。

でも、ちょっと冷静になりましょう。

こうした親の焦りから、子どもの気持ちもよく聞かずに中学受験をさせようとするのは、とても危険です。男の子のなかには、明らかに中学受験に向かないタイプの子がいるからです。

あなたのお子さんが、負けん気は強いけれども傷つきやすく、打たれ弱いタイプの場合には、中学受験は控えたほうが賢明かもしれません。

たとえば、聞けば誰もがうらやむ難関私立中学校に受かったツトムくん。小学校のときは、誰をも寄せつけないトップの座に君臨していましたが、難関中学に入ると、いくらがんばっても成績は中の下止まり。

「ボクは自分のことを、ダイヤモンドだと思ってた。でも、実は石ころだったんだ」と言います。「オレってこの程度の人間だったんだ……」とすっかり落ち込み、自信を失ってしまったツトムくんは、不登校になってしまったのです。

これまでずっとトップだったのが「上には上がいる」現実にはじめて直面したのですから、一時的に落ち込むのは当然です。でも、肝心なのはそのあとです。「けっこうきびしいなあ」「でも難関校の中の下なんだからまだいいほうか……」と現実を受け入れて、立ち直る「打たれ強さ」が問われるのです。

■中学受験に向いていない男の子の10の特徴

実は、このような例は決して少なくありません。

東京都中学校長会が都内の全公立中651校を対象に行った調査では、私立中から転入学してきた生徒は02年度が259人、03年度は331人、04年度は359人。いじめや不登校が理由で退学したのは、全体の約45%にものぼっています。

私学で不登校になっても、公立校に転入してすんなりなじむことができればいいのですが、現実には、プライドが邪魔して公立への転入組にはその後も不登校が続くケースが少なくありません。

「公立なんてオレのいるべき場所じゃない」「あんなに勉強したのに、なんでオレが公立に行かなきゃいけないんだ」という挫折感から学校に行けなくなり、高校も低いランクのところにしか受からず、さらに傷ついて高校中退……という「自信喪失のスパイラル」にはまってしまうのです。私はこのような相談をたくさん受けてきました。

ここに中学受験に向いていない男の子の特徴を、あげてみました。3つ以上当てはまる場合には、考え直してみてください。

【中学受験に向いていない子の特徴10】
①新しいことにチャレンジしたがらない
②完ぺき主義のところがある
③ちょっとからかっただけで、本気になって怒ったり泣いたりする
④悪い点数が続くと、すぐやる気を失う
⑤ささいな失敗で、大きく落ち込む
⑥塾や習い事などで、すぐ「行きたくない」と言い始める
⑦遊びやゲームで、勝てる勝負しかしたがらない
⑧思い込みが激しい
⑨友達と遊ぶより、家でゲームをしているほうが好き
⑩口下手で、つらいことがあっても話したがらない

■先生たちが和気あいあいと楽しく会話しているか

私立中学受験で重要になってくるのが、学校選びです。私がアドバイスしたいのは、次の2点です。

①打たれ弱い性格の子の場合、実力よりも少し低いランクの学校を選ぶ

打たれ弱くて自信を失いやすい男の子は、たとえ少し背伸びをして難関校に合格できたとしても、入学後、自分の実力が判明すると、「こんなハズじゃなかった……」と落ち込んで不登校になってしまうことがよくあります。

「うちの子は性格的に打たれ弱いところがあるけれど、中学受験はぜひさせたい」と考えているのなら、あえて実力より少し低めの学校を選んで、そんなに無理しなくてもついていける学校に行かせるのも、選択肢の1つでしょう。

②先生たちの仲がいい学校を選ぶ

学校に行ったら、職員室をのぞいてみてください。先生たちが和気あいあいと楽しく会話している学校は、総じて子どもたちもいきいきしています。問題が起きたときでも学校が一丸となって対処に当たってくれます。

一般に、教師の異動がない私立では人間関係の派閥ができやすく、いったんそうなってしまうと、学校の雰囲気が悪くなってしまいがちです。先生同士の緊張した関係が子どもたちにも伝染し、ピリピリしたムードになってしまうのです。

グループの陽気で学校教師空中廊下
写真=iStock.com/monkeybusinessimages
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monkeybusinessimages

思春期に入った男の子の心の中は、ただでさえ大人に対する反抗心に満ちています。そんなときに、先生同士で悪口を言い合っている様子を目にすると、「大人って、バッカじゃねえの」という態度が露骨に現れてしまいます。

女の子は、そういう先生とも適当に付き合える処世術を身につけていますが、男の子は大人への不信感から、勉強へのやる気が損なわれるケースがあります。

学校選択の際、カリキュラムを調べることももちろん大切ですが、それ以上に先生方自身が仲良くイキイキしているかどうかも重要なポイントなのです。

■安心感を育む私立の「同質性の高さ」が逆効果になるケースも

私立や公立の中高一貫校で学ぶメリットは少なくありません。

「6年間を通じて同じ仲間と過ごすことができ、人間関係を深められる」
「14~15歳という、人生で最も心が不安定な時期に受験を経験せずにすむ」
「その学校の理念に即した濃密な教育を受けることができる」

諸富祥彦『男の子の育て方 「結婚力」「学力」「仕事力」を育てる60のこと』(PHP研究所)
諸富祥彦『男の子の育て方「結婚力」「学力」「仕事力」を育てる60のこと』(PHP研究所)

私立の場合、その学校の教育理念に沿った教員を集めて、6年間、一貫したポリシーで生徒を育てることができます。校長に教員の選択権がない公立にはこれができません。

また、私立には、その学校の教育理念に賛同した保護者の子どもが集まってきますので、同質性が高まります。公立のように「どんな子がいるかわからない学校」にはなりにくいのです。

けれども、次のような点がデメリットになることもあります。

●中・高でリセットできない

高校受験をする場合、中学校でいじめられていたり、友だちに恵まれなかったりしていても、高校に進んで周囲の顔ぶれが変わったとたん、自分のキャラクターを一新して「高校デビュー」し、急にイキイキし始めることはよくあります。15歳での受験はたしかにストレスフルですが、「人間関係のリセット」のいいチャンスでもあるのです。

中高一貫校では、6年間同じメンバーで過ごすためにこのリセットが難しくなります。

●多様な人たちとのコミュニケーション能力を磨く機会が減る

社会に出て必要になるのは、会社の同僚や上司とうまくつきあう、初めて出会う取引先やお客さんと関係を結ぶ、といった「多様な人との人間関係を築く力」です。

一般の公立中学のいいところは、何と言ってもこの「実に多様な、さまざまなタイプの友人とつきあっていく体験」ができることです。公立中学の生徒は、勉強がすごくできる子から苦手な子まで、裕福な家庭の子から貧乏な家庭の子どもまでと、実に多種多様でまさに「実社会の縮図」です。

これに対して、私立には、同程度の学力で、同タイプの子どもが集まりやすくなります。この「同質性の高さ」が私立の大きな魅力であり、安心のもとでもあるのですが、逆に見れば、公立中で体験できる多種多様な人とかかわるチャンスを失ってしまうことにつながるわけです。

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諸富 祥彦(もろとみ・よしひこ)
明治大学文学部教授
1963年福岡県生まれ。教育学博士。臨床心理士。公認心理師。教育カウンセラー。「すべての子どもはこの世に生まれてきた意味がある」というメッセージをベースに、30年以上、さまざまな子育ての悩みを抱える親に、具体的な解決法をアドバイスしている。教育・心理関係の著書が100冊を超える。

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(明治大学文学部教授 諸富 祥彦)

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