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初回のデートでは性病や中絶について話したほうがいい…最新研究が明らかにする人間関係の意外な真実

プレジデントオンライン / 2023年4月22日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/RRice1981

相手の気持ちを理解するには、どうすればいいのだろうか。作家のエリック・バーカー氏は「人間は他人の気持ちを2割しか読み取れない。心を読むことより、本音が出やすい環境をつくることに重点を置くべきだ」という――。

※本稿は、エリック・バーカー『残酷すぎる人間法則 9割まちがえる「対人関係のウソ」を科学する』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

■大多数の人は相手の気持ちを読み取る能力が恐ろしく低い

あなたは人の心を読めるようになりたいだろうか? 周りの人たちが考えていることや感じていることを知りたい? もちろん、そうだろう。

そんな能力があったらいいと望むことは、けっしておかしなことじゃない。調査によると、少しでもこの能力に秀でていると、大きな力になる。

「人を正しく認識すること」は、個人的にも、対人的にも、さまざまなメリットにつながる。研究によれば、こうした能力の持ち主はより幸せで、物怖じせず、人づき合いがうまく、より親しい人間関係を築き、より良い賃金や勤務評価に恵まれる。もっと具体的に、仕草や非言語的コミュニケーション(表情、視線、身ぶりなど)の解釈に優れている人に着目した場合にも、同様のポジティブな効果が見られる。

ぜひそうなりたい? でも1つだけ問題がある。概して、私たちの大多数は、人の心を読み取る能力が恐ろしく低い。滑稽なほどお粗末なのだ。

■相手の気持ちを理解しようとしても、正答率は20%にすぎない

シカゴ大学教授のニコラス・エプリーの著書によると、ビデオに出てくる人の考えや気持ちを察する実験をすると、見知らぬ人の場合、正答率は20%にすぎない(当てずっぽうの正答率は5%)。

もちろん、よく知る相手のほうが確率は上がるが、大差ない。親しい友人で30%。配偶者で最大35%ほどだ。学校の成績(A~F)で言えば「F(59点以下)」に相当し、実際には「G」に近いかもしれない。配偶者の頭のなかで何が起こっているのか理解しようとしても、3分の2は間違っているのだ。

だが、本当に滑稽なのはここからだ。私たちは、人の心を読むのが得意だと思っている。厄介な脳が、私たちを喜ばせるストーリーを語っているのだ。

人びとにパートナーの自尊感情を評価してもらうと、44%の確率で正しく理解している。しかし彼らは、自分の判断が82%の確率で正しいと自信を持っている。そして、相手といっしょにいる期間が長ければ長いほど、その自信は高くなる。正確さのほうは? そのままだ。時を経ても改善しない。自信のほうだけが、間違いなく高まっていくのだ。

■私たちの判断を狂わせ続ける「自己中心性バイアス」

どうして私たちはこうも的外れで、それでいて正確さに自信を持っているのか? その原因は、専門用語で「自己中心性バイアス」というものだ。心理学者のエプリーは、私たちは自分の視点にとらわれすぎているとして、次のように述べている。

「ほとんどの人は、他者が自分と同じように考え、信じ、感じている度合いを誇張する傾向にあることが、さまざまな調査でわかっている」

私たちは自分の頭のなかのストーリーにとらわれ過ぎている。研究結果によると、たとえ他者の視点に立とうとしても、精度は改善しない。自己中心性バイアスはいく分減るが、それに代わる解釈も、何ら改善しない。

他者に質問をすれば、精度は多少上がるが、それを十分行なうわけでもない。通常、私たちは自分の頭のなかで自作のストーリーを操り、間違った思い込みを別の間違った思い込みに置き換えているだけなのだ。

■人の心を読む能力は「モチベーション」で高まる

それでも「ある要素」があれば、人の心を読む能力を高められるとわかっている。その要素とは「モチベーション」だ。

根本的な原因を探った数々の研究から、平均して、女性のほうが男性より人を正確に読み取ることに意欲的であることがわかった。ただ単に、女性のほうが関心が高く、熱心なのだ。

うれしそうな女性のビジネスチーム
写真=iStock.com/gradyreese
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gradyreese

心理学者のジェフ・トーマスとグレゴリー・マイオによる2008年の研究は、この点を明確に示している。研究者が男性被験者たちに、共感性を高めると女性があなたに興味を持つようになりますよと伝えるとどうなったか? そう、男性たちのモチベーションが上がり、人の考えや感情を正確に認識する能力が上がった。

もちろん裏を返せば、モチベーションが下がれば、その能力も下がるということだ。不幸な結婚生活を送る夫たちは、妻の非言語的コミュニケーションより、無作為に選ばれた女性のそれのほうが正確に読み取れるのだという。

■何も注意を払わないことが、私たちの脳の初期設定

神経科学者にとってこの結果は、まったく驚くに当たらない。私たちの脳が多くの場合、いかに怠惰であるかを知っているからだ。モチベーションは、神経科学的に万能薬とも言えるものだ。何かを気にかけ、関心を持つだけで、ほとんどすべてのことで脳の能力が向上する。ほぼすべてに何も注意を払わないことが、私たちの脳の初期設定だからだ。

ボストン大学教授で、同大学の「注意学習研究所」の共同設立者であるマイケル・エスターマンはこう述べている。「人は、『好きだから』という内発的動機や、『賞がもらえるから』という外発的動機によって、脳の活動レベルをよりうまく一定に保つことができ、さらに、予想外の事態にもより良く備えられるということは、科学的に証明されている」

というわけで、人の心を読み取る力を向上させる第一歩は、興味を持つことだとわかった。だが問題は、たとえモチベーションが十分にあっても、この能力を改善できる程度は限られるということだ。

■心を読むより「本音が出やすい環境をつくる」が正解

では、私たちは日常的に人を誤って解釈するもので、それを防ぐ手立てはほぼないと受け入れるべきなのだろうか? そんなことはない。人を読み取る自分の能力はあまり変えられないなら、相手の話し方を変えさせることに重点を置こう。

テレビで観るシャーロック・ホームズのように相手を分析するかわりに、相手の感情を誘いだす必要がある。そのために真っ先にすべき簡単な方法は、本音を引きだせるように状況を操作することだ。

誰かといっしょにお茶を飲むのと、いっしょにサッカーをするのでは、どちらが多くの情報を引きだせるだろう? お茶だけでもさらなる情報を得られるかもしれないが(相手の話を信用できれば)、サッカーなら、相手がどんなふうに意思決定をし、戦略を組み立て、ときにルールを破るかどうかなどの情報が自ずと示されるかもしれない。さまざまな刺激をあたえればあたえるほど、相手の人となりに関してより多くの面が明らかになってくる。

サッカーボールを蹴る男性サッカー選手
写真=iStock.com/Pekic
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Pekic

■タブーとされている話題で相手をより深く知ることができる

また、他の人を引き入れるのも効果的だ。第三者がいることで、相手の異なる面が見えてくる(相手の上司のいる場所でしか接してこなかったら、その人のすべての面を見てきたとは言えるだろうか)。

それから、天気の話はしないように。感情的な反応のほうが、より正直だ。「無難な」話題だと人びとは政治家と化し、その人の本質があまり見えない。ある研究で、被験者たちに、初回のデートで性病や中絶など、タブーとされている話題について話してもらったところ、相手をより深く知ることができただけでなく、会話もいっそう楽しめたという報告が集まった。

すでに述べてきたように、ここでも私たちの脳が問題になる。間違ったシグナルに注意を向けてしまう傾向があるのだ。すなわち、ボディランゲージの問題につながる。皆、ボディランゲージがとにかく好きだ。しかしどの文献を見ても、ボディランゲージを意識的に分析することの価値は、きわめて過大評価されているという見解で一致している。

■ボディランゲージより、相手の話しかたに注目すべき

「ボディランゲージ解読辞典」なる物が作成されないのには理由がある。非言語的なシグナルは、複雑で、状況に左右され、個人によって異なる。どんな原因がどんなシグナルを引き起こすのか、確信を持って特定できない。

たとえば誰かが震えているとする。緊張から震えているのか、あるいは寒さで震えているのかはっきりわからない。つまり「ボディランゲージは、その人の日ごろの様子(ベースライン)を知らなければ役に立たない」というのが重要な点だ。

エリック・バーカー『残酷すぎる人間法則 9割まちがえる「対人関係のウソ」を科学する』(飛鳥新社)
エリック・バーカー『残酷すぎる人間法則 9割まちがえる「対人関係のウソ」を科学する』(飛鳥新社)

誰かがいつもそわそわ落ち着かなければ、その仕草には何も意味がない。しかしめったにそわそわしない人物がそうしていたら、有力なシグナルになる。ベースラインを知らなければ、脳がまたも空想物語を紡ぎだしてしまうことになる。

実際、何かに注目するなら、ボディランゲージではなく、相手の話しかたに意識を集中させるほうがいい。

誰かの声は聞こえるが、姿は見えない場合、相手に共感する能力は4%しか低下しない。ところが、姿は見えても声が聞こえない場合には54%も低下してしまう。対象の人物が脚を組む仕草より、その声色が変化する瞬間に注意を注ぐほうが効果的なのだ。

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エリック・バーカー(えりっく・ばーかー)
作家
大人気ブログ“Barking Up The Wrong Tree”の執筆者。脚本家としてウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、20世紀フォックスなどハリウッドの映画会社の作品に関わった経歴を持ち、ニューヨーク・タイムズ紙、ウォール・ストリート・ジャーナル紙などに寄稿している。著書に日米ベストセラーとなった『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』(飛鳥新社)などがある。

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(作家 エリック・バーカー)

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