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「3時のおやつ」は医学的に大正解だった…時間栄養学でわかった「太らない間食のススメ」

プレジデントオンライン / 2023年4月30日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/byryo

時間栄養学は「いつ食べるか」に着目した研究だ。東京疲労・睡眠クリニックの梶本修身院長は「間食をするなら午後2時前後の太りにくい時間帯がおすすめだ。朝食には高GI食や魚の油をとると体内時計が整い、よい睡眠につながる」という――。

※本稿は、梶本修身『疲労回復の専門医が選ぶ 健康本ベストセラー100冊「すごい回復」を1冊にまとめた本』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

■太りやすい時間帯と太りにくい時間帯

昼食後、午後のひと仕事を終えて、3時のおやつを。この「3時」という時間、実は医学的にも理に適っているのです。鍵を握るのが、「BMAL1(ビーマルワン)」と呼ばれる時計遺伝子です。

仕事に人付き合いに家事に育児……と休みたいけど休めない、そんな忙しい女性に向けて、元気になれる“ちょっといいこと”を教えてくれる『疲れない大百科』から引用しましょう。著者は『ミートファーストダイエット』の工藤孝文先生です。

私たちの体には、BMAL1(ビーマルワン)と呼ばれる物質が備わっています。日中の活動や睡眠のタイミングをコントロールしている時計遺伝子の1つで、体内の脂肪細胞の分化にも深く関わっています。

BMAL1がもっとも少なくなるのは昼の2時。ゆえに甘いものなどカロリーの高いものを食べるなら、日中の2~4時頃が圧倒的におすすめです。

『疲れない大百科 女性専門の疲労外来ドクターが教える』より一部省略

BMAL1は生活リズムを調節する時計遺伝子の一つで、その量は時間とともに増減します。このBMAL1には脂肪を増やす作用もあるので、その量がもっとも少なくなる午後2時前後は比較的脂肪をため込みにくい時間帯なのです。

逆に深夜はBMAL1の量がいちばん増える時間帯。そのため夜10時から朝方までは同じカロリー量を食べても吸収効率が上がって太りやすくなってしまうので、夕食は夜9時までに済ませましょう、と工藤孝文先生は指摘します。

■間食が「夕食の食べすぎ」を防ぐ

疲れたときについ手が伸びるのが、おやつ。これまでは、「間食=太るもの、健康を害するもの」が常識でした。だから、間食は我慢すべきと考えられていましたが、この常識が変わりつつあります。

最新の栄養学の知識をもとに、上手な間食のとり方を教えてくれる『太らない間食』の著者で管理栄養士の足立香代子さんは、間食はとったほうが体にいい、と言い切ります。それはなぜなのか。いちばんの理由として足立香代子さんが挙げるのが、昼食と夕食の間隔が空いてしまうと、夕食前にお腹が空いて夕食を食べすぎてしまうから。

すっかりお腹を空かせて夕食を迎えたら、ついいつも以上に食べすぎてしまった……ということ、誰しも経験があるのではないでしょうか。そのからくりについて足立香代子さんは次のように説明します。

お腹がペコペコになると、次の食事はたくさん食べたくなります。これは単に気分の問題ではなく、脳から、「次の食事はたくさん食べなさい」という信号が出るため、食欲が理性に勝って、夕食を食べすぎやすくなるのです。

『太らない間食 最新の栄養学がすすめる「3食+おやつ」習慣』より

■ビタミンやミネラルをとれば一石二鳥

夕食の食べすぎは、肥満の原因になるだけでなく、疲れ、不調、老化の原因にもなります。

だから、夕食が遅くなるとき、昼食と夕食の間が空いてしまうときほど、上手に間食をとって夕食前にお腹が空きすぎないようにしたほうがいいそう。

また、間食は「足りない栄養素を補うチャンス」でもある、ともいいます。現代の食生活ではつい炭水化物が増えがちで、また、偏った食事をとっているとビタミンやミネラルが不足することも。

そこで、間食で不足しがちな栄養素を意識的にとれば、1日の栄養バランスがよくなるわけです。「間食で特に摂取したい栄養素」として紹介されているのは次の4つです。

・ビタミンC……フルーツ
・カルシウム……ヨーグルトやチーズなどの乳製品、小魚
・鉄……プルーンやレーズン、鉄分を強化したヨーグルト
・マグネシウム、亜鉛……アーモンドなどのナッツ類

太ると疲れやすくなりますし、さまざまな生活習慣病のリスクも上がります。太りにくい時間帯、太りやすい時間帯を意識して食べることは、ダイエットだけではなく、疲労を防ぐ、疲れにくい体をつくるためにもよいことです。

フルーツとスムージーボウル
写真=iStock.com/Arx0nt
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Arx0nt

■深夜の食べすぎを防ぐ「分食」のススメ

日によっては、忙しくてどうしても夕食が遅くなることもありますよね。そんなときのテクニックとして、工藤先生が提案するのが、夕食の一部を早めに食べて空腹を緩和する「分食」です。

お腹を空かせたまま食事をとると、遅い時間であっても、つい食べすぎてしまいます。ドカ食いを防ぐためにも、そしてドカ食いによる血糖値の乱高下を防ぐためにも分食は有効で、糖尿病治療でも取り入れられているそう。

この、分食テクニックは、アスリートの栄養サポートを行っている管理栄養士の柴崎真木さんも『疲れやすい人の食事 いつも元気な人の食事』ですすめています。

1日3回の食事では補いきれないエネルギーや栄養素を間食で補う「補食」をとるそうです。ただ、一般の人がそのままマネすれば単純に食べる量が増えて、肥満や生活習慣病につながります。そこで、例えば、残業する、終業後にスポーツクラブに行くなど、夕食が遅くなりそうなときには1食を0.2食+0.8食と分けて食べることを、柴崎真木さんは提案します。

特に運動をする人は、16~17時頃におにぎりやパンなど、炭水化物のとれるものをあらかじめ食べておくとよい、とのこと。

特にスポーツクラブに行ってトレーニングをする人は、エネルギー不足の状態でトレーニングをすると筋肉を分解してしまうため、せっかくの運動が台無しになってしまいます。また、運動後たんぱく質をとることで筋肉が合成されやすくなることから、夕方の分食スタイルはトレーニング効果を高めることにもなります。

『疲れやすい人の食事 いつも元気な人の食事』より

■寝る直前の「こってり料理」は不眠を招く

とはいえ、「分けて食べる」のであって、総量は増やさないこと。これ、大事なポイントです。

また、分けて食べるといってもダラダラ食べにはならないように。血糖値が下がりきらないうちにダラダラ食べると長時間高血糖が続き、体内の糖化が進んでしまうためよくないそう。

ダラダラ食べてしまうのは、大抵しょっぱい系か甘い系ですよね。つまり、糖質と脂質が増えがち。食べる中身もよくありません。

もう一つ付け加えると、夕食が遅くなりそうだから分食するときには、最後の食事が寝る直前になりやすいもの。その場合は、こってりした料理は避けて、低脂肪で消化のよい食べ物を選びましょう。消化に時間のかかるものは自律神経への負担を増やし、睡眠を邪魔してしまいます。

■朝の食事は熱に変わり、脂肪になりづらい

食べることは、当然、エネルギーをとること。ですが、実は「食事誘発性熱産生」といって、食べるのと同時にエネルギーの消費もうながされます。食事でとったエネルギーの一部が熱に変わって消えるのです。

食事をすると、体がポカポカ温まりますよね。その正体がコレ。ちなみに、食事誘発性熱産生は「何を食べるか」で変わります。タンパク質をとったときがいちばん大きく、摂取エネルギーのなんと約30%が熱に変わるといわれています。

糖質は6%、脂質は4%ほどなので、タンパク質がダントツで多いのです。つまり、タンパク質がいちばん脂肪としてたまりにくいということですね。

そして、この食事誘発性熱産生の量は「いつ食べるか」でも変わります。先ほどの『疲れやすい人の食事 いつも元気な人の食事』では、こんな研究結果を紹介しています。

同じ食事を「朝・昼・夕」食べた場合と、「昼・夕・深夜」食べた場合の食事誘発性熱産生を比べたところ、朝の食事では、深夜の食事に比べて4倍も熱に変わりやすかった、と。つまり、朝のほうが脂肪としてたまりにくい、逆に深夜はやっぱりたくわえられやすいのです。

体重を測る女性
写真=iStock.com/Tero Vesalainen
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tero Vesalainen

■夕食後のフルーツを避けたほうがいいワケ

脂肪を増やすBMAL1が多いのも夜。食べたものが熱に変わりにくいのも夜。夜に口にするものは特に選ぶ意識が大切ですね。

例えば果物。果物はヘルシーなイメージがあるかもしれませんが、糖質は多めです。だから、夜は避けたほうがいい。

料理研究家の井原裕子さんがレシピを担当し、長野県の病院でダイエット科を担当する医師の前川智先生が監修した『10分で2品! やせる糖質オフレシピ』では、「糖質オフの食材選び」と題したページで、果物について「果糖という糖質が多い」「午前中にとること」とのワンポイントアドバイスが示されています。

それに、果物は、抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富です。活性酸素が発生しやすい、活動量の多い日中に備えて、朝、果物でポリフェノールをとっておけば、抗疲労効果も期待できます。

■「いつ食べるか」が体調に大きく影響する

こうした「いつ食べるか」に着目して食事の影響を考えるのが「時間栄養学」です。『時間栄養学が明らかにした「食べ方」の法則』は、まさに、同じものを同じ量食べても、食べる時間帯によってこんなにも違うのか、と教えてくれます。

食べる時間で変わる理由は、私たちの体には「体内時計」があるから。体のなかのあらゆる細胞に体内時計があるのです。

この体内時計(24.5時間)と1日24時間とがうまくかみ合った生活をしていないと、さまざまな病気・体調不良の原因になることもわかってきています。

『時間栄養学が明らかにした「食べ方」の法則』より

■体内時計をリセットする朝食メニュー

体内時計を調節するためにまず大切なのが朝食です。地球の1日は24時間ですが、私たちの体にある体内時計は少し長い24.5時間なので、毎朝リセットしてあげる必要があります。その方法が、光の刺激と食事の刺激なのです。

梶本修身『疲労回復の専門医が選ぶ 健康ベストセラー100冊「すごい回復」を1冊にまとめた本』(ワニブックス)
梶本修身『疲労回復の専門医が選ぶ 健康本ベストセラー100冊「すごい回復」を1冊にまとめた本』(ワニブックス)

自律神経をやさしく目覚めさせたり、セロトニンを出したりするのに、朝日を浴びることと朝ごはんを食べることが大事です。この2つはどちらも、体内時計を整える意味でも欠かせない朝の習慣なのです。

さらに、この本ではどんな朝食がより体内時計のリセット効果が大きいのかも紹介しています。それによると、「高GI食」「魚の油」が体内時計を動かしやすいそう。「ごはん+焼き魚」「ツナサンド」などの朝食が理想的、と著者の古谷彰子さんはいいます。

朝、しっかり体内時計をリセットして生活リズムが整えば、よい睡眠にもつながります。

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梶本 修身(かじもと・おさみ)
東京疲労・睡眠クリニック院長
医師・医学博士。大阪大学大学院医学研究科修了。2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」研究統括責任者。自らプログラム作成したニンテンドーDS『アタマスキャン』は30万枚を超えるベストセラーとなり、脳年齢ブームを起こす。著書に『すべての疲労は脳が原因1・2・3』(集英社)、『寝ても寝ても疲れがとれない人のための スッキリした朝に変わる睡眠の本』(PHP研究所)などがある。「ホンマでっか⁉TV」ほか、「ためしてガッテン」、「世界一受けたい授業」、「林修の今でしょ!講座」など、TVやラジオにも多数出演。

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(東京疲労・睡眠クリニック院長 梶本 修身)

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