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誰もが1日に200回ウソをつかれている…「ウソ発見の平均成功率54%」を引き上げるために有効な質問フレーズ

プレジデントオンライン / 2023年4月27日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Aramyan

相手のウソに騙されないためには、どうすればいいのだろうか。作家のエリック・バーカー氏は「人間はウソを見破るのが苦手で、成功率は平均で54%だ。このためウソ発見能力を高めることよりも、相手のウソをつく能力を低下させることに取り組んだほうがいい」という――。

※本稿は、エリック・バーカー『残酷すぎる人間法則 9割まちがえる「対人関係のウソ」を科学する』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

■人は平均して5回に1回の頻度で嘘をついている

ある調査で、555個の性格特性を順位づけするように言われた大学生たちは、「嘘つき」を最下位にした。これは面白い。なぜなら平均的な大学生は、会話の約3分の1で嘘をついているからだ。大人の場合は、5回に1回だ。プロフィールの81%が真実を逸脱しているというマッチング系のサイトの話は置いておこう。

嘘の大半は罪のないものだが、ハートフォードシャー大学のリチャード・ワイズマンによると、人は1日に2回、大嘘をついているという。誰にいちばんよく嘘をつくかというと、母親だ。配偶者への嘘は最も少ない(会話10回に1回の割合)が、最も大きな嘘をついているという。そして誰もが、1日に200回くらい嘘をつかれている(これはそのうちの1回ではないことを約束する)。

そのうえ、私たちは嘘を見破るのが苦手で、成功率は平均で54%だ。コイン投げと変わらない。警察にしても同じ程度だ。調査によると、彼ら自身は成功率がもっと高いと思っているのだが。なかには嘘を見抜く能力が高い人もいるが、同じようになりたくはないだろう――脳卒中を患い、前頭前野の左葉に深刻な損傷のある人びとだ。

■15分訓練すれば、誰でもウソ発見器をくぐり抜けられる

人間は何千年にもわたって、嘘を見破る技を身につけようとしてきたが、無惨に失敗してきた。

1920年代に、心理学者のウィリアム・モールトン・マーストンを含む多数の人によって、最初の嘘発見器が開発された。マーストンは、のちにDCコミックスのキャラクター、「ワンダーウーマン」の生みの親となる人物だ。

だが、嘘発見器の有効性は怪しい。実際、米国科学アカデミーが次のように公式発表している。

「連邦政府は、スパイやその他国家安全保障上のリスクを特定する目的で職員候補者や現在の職員を審査する際、嘘発見器による検査に頼るべきではない。なぜなら、検査結果があまりにも不正確だからである」

15分も訓練すれば、誰でも検査をくぐり抜けられる。いちばん面白くて効果的な方法は、タイミング良く肛門を絞めることだ。

では、テレビでよく見る警察の取り調べはどうだろう?

その多くは「リード・テクニック」と呼ばれる尋問法だ。1940年代に開発され、ジョン・リードとフレッド・インバウによって1962年にマニュアルとして初めて公表された。容疑者にストレスをあたえて自白に追いこむ攻撃的なもので、“第三級(サードディグリー)”取り調べとも呼ばれる。

このリード・テクニックはよく効く。実のところ、あまりにも効きすぎる。問題は、容疑者が有罪であろうとなかろうと、大半の人から自白が得られることだろう。

■嘘を検出するために効果的な方法は「親切にすること」

カナダとイギリスは強制的で非倫理的であるとしてリード式の取り調べを廃止したが、アメリカの警察では今日でも主流となっている方法だ。困ったことに、科学的な妥当性はない。ポーツマス大学教授で嘘検出法の第一人者であるアルダート・ヴレイは、リード式が手がかりとしているものでは、嘘を見破れないとしている。リード式の訓練を受けると、取調官の嘘発見能力はむしろ低下する。

それでは、本物の科学に基づいて嘘を検出する方法はないのだろうか? じつはある。

2009年、アメリカで、尋問の最善の実践法を新たに開発するために、「重要拘束者尋問グループ(HIG)」が結成された。1500万ドル以上の資金が投じられ、2016年までに第一線の心理学者による100を越える研究プロジェクトが実施された。

その結果、効果があるとして推奨されたのは、過去5000年に人間が嘘を見抜く試みに用いたことのない、とても繊細で洗練された方法だ。それは、「親切にすること」だった。

けっして「悪い警官」になってはいけない。「親切なジャーナリスト」になろう。相手から好かれなければならない。心を開いてもらって、たくさん話してもらう。そうやって、相手に嘘を露呈するようなミスを犯させる。

議論するビジネスマン
写真=iStock.com/fizkes
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fizkes

■オープンクエスチョンで相手に喋り続けさせる

では最初にすべきことは? ジャーナリストは記事を書く前に下調べをする。あなたも同じことをしよう。疑惑をめぐる相手との会話で、核心に迫れる情報を多く持っていればいるほど、あなたの嘘検出器の精度が上がる。さらに重要なことに、後述の強力なテクニックには、背景情報を必要とするものがあるので、このステップは何としても欠かせない。

次に「親切な」という部分。HIGの報告によると、「悪い警官」は効果的でなく、「良い警官」が成果を上げるとされている。誰もが、敬意を持って扱われたいと思っている。そして、人は丁寧に扱われると、話す可能性が高くなる。それから、相手の嘘を責めてはいけない。協力を得にくくなることが複数の研究でわかっている。責めるのではなく、好奇心を示そう。

弁護士は顧客に嘘をつくように言うだろうか? そんなことはない。正直に話すように言うだろうか? それも違う。「黙っていろ」と言うのだ。親切なジャーナリストの皆さん、あなたがたは彼らに、できるだけたくさん話させなければならない。

そのために、ひと言で答えられる質問ではなく、「WHAT」や「HOW」で始まる自由回答式の質問をたくさんしよう。それから親しみやすい態度で、相手に喋り続けさせるのに必要最低限な言葉のみ挟むようにする。

■嘘をついてバレなければ、どんな嘘が通用するかわかってしまう

独白を続けさせることで、相手に「コントロール感」を持たせることができる。それによって彼らはリラックスする。より多くの情報を得て評価をくだせるように、相手に話し続けてもらう必要がある。彼らが話すことのすべてが、確認すべき新事実であり、これまでとは矛盾する可能性のある新しい話だ。

だからこそ、弁護士は彼らに黙っていろと言うのだ。あなたはその反対のことをしなければならない。

相手の話にすぐに異議を唱えると、黙ってしまう可能性があるだけでなく、話を変え始めるかもしれない。より巧妙な嘘をつく手助けをしてはいけない。相手にすべてをさらけ出してもらい、自分の首を絞めて欲しいのだ。

信用ならない人間を扱うときの問題点がここにある――相手は良いフィードバックを得られ、こちらは得られない。もし嘘をついてバレなければ、どんな嘘が通用するかがわかる。嘘をついてバレれば、通用しない嘘がわかる。

一方、こちらは、相手が正直に話しているかどうかフィードバックを得られない状況がほとんどだ。つまり、嘘つきはつねに改善するが、あなたはそうではない。結果、相手に有利になってしまう。彼らの能力向上に手を貸してはいけない。

■「嘘つきは相手の目を見ない」は大間違い

嘘検出法のエキスパート、ヴレイはこう指摘する。

「これまで使用されてきた、非言語的および言語的行動の分析に基づく嘘発見ツールは、いずれも正確と言うにはほど遠い。はっきり言って、“嘘つきは、こちらの目を見ない”という一般的な神話すら大間違いだ」

HIGの研究レビューでも、視線回避は、信頼性のある指標として証明されていない。神話の否定にこれでもまだ物足りないとすれば、収監されたサイコパスの対人行動に関する1978年の研究がある。そこで明らかになった事実は、なんとサイコパスは、非サイコパスより頻繁に人の目を見るというものだった。

相手の話に惑わされると、その人物を正確に評価することはほぼ不可能だ。だが、真実を探りだせる戦略が存在する。研究によると、嘘を見破る能力にはほとんど個人差がないが、嘘をつく能力は人によって大差がある。

だから、人の心を読むときと同様に、親切なジャーナリスト作戦は、あなたの嘘発見能力を高めることにではなく、相手の嘘をつく能力を低下させることに重点的に取り組む。では、どうやるのか? HIGレポートにある二つの強力なテクニックを駆使して、嘘つきをまんまと燻りだそう。

■嘘つきが面食らうような質問を投げかけて相手の反応を見る

1.想定外の質問をする

酒場で未成年と思しき相手に年齢を尋ねれば、「21歳です」と歯切れのいい、自信に満ちた声が返ってくる。でもそこで「あなたの生年月日は?」と聞いてみたらどうなるか。

正直に答えている者には何でもない質問だが、嘘つきなら、ちょっとした計算のために一瞬言いよどむだろう。はい、捕まえた。HIGレポートが引用したある研究結果によると、空港の手荷物検査で嘘をついている乗客を発見できるのは通常5%以下だ。ところが、検査官が想定外の質問をすると、その割合は66%に跳ねあがったという。

空港のチェックインカウンター
写真=iStock.com/simonmayer
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/simonmayer

まずは、予想されている質問から始めよう。相手を威圧せずに情報が得られる。しかしそれより重要なのは、彼らの反応の基準値がわかることだ。

次に、正直に話す者は簡単に答えられるが、嘘つきなら面食らうような質問を投げかける。

そして反応を見る。相手は落ち着いて即座に答えただろうか? それとも、急に返答に手間取るようになっただろうか?

■検証可能な細かい事柄について尋ねるのも有効

そう、彼らはうっかり何かを口走るかもしれない。そうすれば、事前に下調べをしてきたあなたを前に、矛盾が露呈する地雷原に踏み込むことになる。あるいはただ口をつぐんでしまうかもしれないが、それはそれで大いに怪しい。

また、検証可能な細かい事柄について尋ねるのも有効な方策だ。

たとえば、「上司にお電話すれば、あなたが昨日の会議に出席していたことを確認できるのではありませんか?」と訊いてみる。相手が真実を語っているなら、即座に難なく答えられるだろうが、嘘をついているなら、確認を渋るはずで、認知的負荷をかけることができる。

「その会議でエミリーはどんな服を着ていましたか?」という質問も、正直者には何でもないが、嘘つきにとっては悪夢だ。容易に検証することができ、彼らもそのことを知っているからだ。

さて、そろそろトドメの一発を決めるとしよう。

■矛盾点を見つけたら説明を求め、相手の言質を取る

2.証拠の戦略的活用

事前の下調べはしてきただろうか? よろしい。ラポールを形成し、相手に話をさせよう。そうして、あなたが調べてきた情報と矛盾する内容を話すように仕向ける。矛盾点を見つけたら、説明を求め、相手の言質を取る。

「すみません、混乱しているのですが。あなたは昨日、ゲーリーといっしょにいたと言われましたが、ゲーリーは今週ずっとフランスにいたのです」

そして自分には、例の魔法の質問をする。

「相手は今、一生懸命考えているだろうか?」

エリック・バーカー『残酷すぎる人間法則 9割まちがえる「対人関係のウソ」を科学する』(飛鳥新社)
エリック・バーカー『残酷すぎる人間法則 9割まちがえる「対人関係のウソ」を科学する』(飛鳥新社)

さあ、彼らが焦って組み立てた返答は、ほかの説明と矛盾し、ますます墓穴を掘ってはいないだろうか?

手持ちの証拠は、段階的に明らかにしていくこと。くり返し矛盾をつかれることで、相手は困惑して自白するかもしれない。でもそれより可能性が高いのは、彼らの嘘がますます明白になることだ。スウェーデン警察を対象とした2006年の調査によると、警察が嘘を見破る確率は通常56.1%だったが、「証拠の戦略的活用」の訓練を受けた警官の場合、85.4%に跳ねあがったという。

こうしたテクニックを練習すれば、かなり良い結果が得られるだろう。

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エリック・バーカー(えりっく・ばーかー)
作家
大人気ブログ“Barking Up The Wrong Tree”の執筆者。脚本家としてウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、20世紀フォックスなどハリウッドの映画会社の作品に関わった経歴を持ち、ニューヨーク・タイムズ紙、ウォール・ストリート・ジャーナル紙などに寄稿している。著書に日米ベストセラーとなった『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』(飛鳥新社)などがある。

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(作家 エリック・バーカー)

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