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「まずは年収1000万円プレーヤーを目指しなさい」経営コンサルが"中途半端な副業"に警鐘を鳴らす理由

プレジデントオンライン / 2023年4月27日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/tdub303

稼ぐ人に共通する特徴は何か。経営コンサルタントの池本克之さんは「効率よく稼ぐという意味では、『中途半端な副業』でしかないのなら、しないほうがマシだ。将来的に稼ぎ続ける人は、どんな組織においても2割しかいない『よく働く』社員である」という――。

※本稿は、池本克之『「それでも稼ぐ人」33のルール 景気も、環境も、学歴も、年齢も、この人には関係ない』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■「何か割のいい副業を見つけて、定時でさっさと帰ってくれ」

副業を認める会社が増えてきました。数年前に起きたちょっとした副業ブームが、加速度的に広がり続けている、といっていいでしょう。

この現象をどう見るか。まさか、

「いや、企業側も器が大きいな。副業なんか認めたら、本業がおろそかになる社員が増えて、自社の利益が食われちゃうかもしれないじゃないか。自分の身を削ってまで、社員のお財布を気にしてくれているのか。すばらしいことだ」

なんて思っている人はいませんよね?

それはあまりにも浅い考えです。会社の本音を代弁すれば、

「残業しなくていいから、その分、副業でもやってくれ」

ということなのです。

もっとかみくだいていえば、報酬に見合わない働き方をしている社員に対して、

「もう君には残業代を払いたくない。しっかり貢献してくれている社員への給料を増やしたい。だから妙な“時間稼ぎ”などせずに、何か割のいい副業を見つけて、定時でさっさと帰ってくれ」

ということなのです。

「報酬に見合わない働き方」しかしていない人というのは、どんな会社でも一定数います。

それも規模が小さいほど、その比率は高くなる傾向があります。

なぜなら大企業のように、“会社の看板”――言い換えれば「ブランド力」に頼って、商品を売ることができないからです。

それでも成果を出せる人というのは、相当な実力者であり、そう多くはありません。だから、規模が小さいほど、「報酬に見合わない働き方」しかしていない人の比率が高くなるわけです。

■稼ぐ人は、常に「報酬を上回るパフォーマンス」を目指す

売上も利益も低い企業は、そもそも社員に高い報酬を払えないのです。そうなると、とりわけ成績のあがらない社員は、安月給に甘んじるほかないのですが、彼らには彼らの事情があります。たとえば、

「住宅ローンが残っているし、子どもの教育費もかかるから、せめてあと2、3万、できれば4、5万、“上乗せ”がないと家計が苦しい」

というケースです。

だから働きの悪い社員は、残業代に安月給の救済を求め、会社の利益をますます小さくする元凶になってしまうわけです。

その悪循環は、「残業禁止。副業奨励」という策を講じない限り、歯止めがかかりません。業績低迷に悩む会社は、そう考えて副業を認めるようになった、というのが“裏事情”です。

統計には出てきませんが、日ごろ多くの企業経営者と交流している私の感覚では、報酬に見合わない社員の割合は、大企業だと少なく見積もって3割、零細企業なら7、8割にのぼるでしょうか。

なかには「残業をするな」どころか、

「目いっぱい有休を使っていいから、できるだけ会社に来ないでくれ。仕事をしてもヘマばかりで、まわりは尻拭いが大変だ。いないほうがマシだ」
「あわよくば副業をはじめてくれないかな。それがちょっとうまくいったら調子に乗って辞表を出してくれるかもしれない」

なんて思われている人さえいます。

「うちの会社は副業OKなんだよ。太っ腹だろ?」

などといっている場合ではありません。

稼げる副業を探すことより、自分が会社から「報酬に見合わない働きしかしない社員」だと思われていないかどうかを、冷静に自己評価しなくてはいけません。そのうえで、「報酬を上回る働きをする」ことを目指す。

それが、「それでも稼ぐ人」の考え方なのです。

■まずは本業で1000万円プレイヤーを目指す

なぜ私は副業をすすめないのか。

その理由は、ただ体力を消耗し、時間を無駄遣いするだけの労働で、将来のためのなんの蓄積にもならないからです。

副業の平均月収がどのくらいか、知っていますか?

パーソル総合研究所というシンクタンクが実施した調査によると、もっとも多い層は、「5~9万円台」で、次いで多いのが「1万円台」です。

この程度の稼ぎでいいのか、という話です。

普通に残業をするのと、あまり差がないと思いませんか?

というより、「効率よく稼ぐ」という意味では、副業をするよりまだ残業して稼いだほうがいい。「中途半端な副業」でしかないのなら、しないほうがマシです。

ただし私は、「定時のあとも会社に残っていさえすれば、ボーッとしていたって残業代がつくことを当て込め」といいたいのではありません。

本業にまじめに取り組み、現状の年収をもらっているその仕事で、まずは1000万円プレイヤーになることを目指しなさい、といいたいのです。

画面いっぱいの一万円札
写真=iStock.com/Sergio Yoneda
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Sergio Yoneda

無理だと思いますか?

そんなことはありません。副業でチマチマと稼ぐエネルギーを、すべて本業に注ぎ込めばいい。副業で500万円稼ごうとするより、よっぽど現実的な目標だと思います。

副業はしょせん「こづかい稼ぎ」でしかないと心得てください。

■結局、ほとんどの人の副業は“ガテン系”

一口に副業といっても、種類はいろいろあります。どうせやるなら、ギャラの高い仕事がいいと思いますよね?

しかし、ことは、そううまく運びません。

資格や特技があるならともかく、「こづかい稼ぎになればいい」程度の軽い気持ちで仕事を求める人に、そんな“おいしい話”が舞い込んでくることは望めないでしょう。

結局、ほとんどは“体を動かす系”のアルバイトしかない、というのが現実だと思います。

といっても、種類はたくさんあります。たとえば、Uber Eatsのようなフードデリバリーの配達員とか、コンビニの店員、ファミレスのフロアあるいはキッチンスタッフ、建設・土木工事の作業員、引っ越しスタッフ、警備員、清掃員……その気になればすぐにでも副業を得ることができます。

防犯カメラを設置する作業員
写真=iStock.com/Sergio Yoneda
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Sergio Yoneda

そういった仕事が悪いのではありません。

大きな難点があるのです。

それは「体力的にきつくて、事故に遭うなどのリスクも高く、とてもじゃないけれど長く続けられない」ということです。

■仕事は続かなければ意味がない

そこに思い至らないのか、この種の副業をはじめる人は、こんなふうにメリットを数えあげます。

「自転車で走り回るのって、けっこう運動になるんだよ。働きながら運動不足を一気に解消できるってわけ。気持ちいいし、健康にもいいよね」
「もともとバイク好きで、しょっちゅう遊びで乗り回してたんだよ。それだと一銭にもならないけど、ツーリングがてら配達の副業をすると、お金になるんだぜ。こんなにいいことはないよ」
「深夜のコンビニって、いろんな人が集まってきて、意外と社会勉強になるんだよ。世の中のニーズをキャッチできるし、ナマの市場動向もわかる。仕事にプラスにこそなれ、マイナスになることはないよ」
「ガテン系とか、額に汗して働くって、本当に気持ちいいよ。デスクワークでは得られない喜びがあると思う」

たしかにそうかもしれません。

しかし、そんなことをいっていられるのは最初のうちだけです。

30代前半くらいまでの若者なら10年続けるのも不可能ではないでしょう。しかし、それより上の年齢の人には無理です。十中八九、数カ月のうちに、体がきつくて音をあげます。

どうせ挫折をすることが目に見えている副業なのですから、挑戦する意味はありませんよね。

やはり、本業で成果を出すべく時間もエネルギーも使うのがスジであり、王道であり、稼ぐ人なのです。

■“こづかい稼ぎ”にエネルギーを使うな

「働きアリの法則」と呼ばれるものがあります。

進化生物学者の長谷川英祐氏が働きアリの社会を研究したところ、主に2つのことがわかったそうです。

・全体の2割が「よく働くアリ」で、6割が「普通に働くアリ」、2割が「働かないアリ」
・2割の「よく働くアリ」を間引くと、残り8割のアリの割合は、やはり「2対6対2」になる。また「よく働くアリ」だけを集めても、「働かないアリ」だけを集めても、同様の割合に編成される。

じつに面白いですよね。

この法則はビジネス社会にも当てはまるといわれていますが、まったくもって同感です。私も多くの会社を見てきて、実感として、この法則は正しいと思っています。

であるならば、どんな組織に属していようとも、2割の「よく働く社員」になる。これこそまさに「それでも稼ぐ人」の目指すところです。

まだ若手のみなさんは、「2割か。できる先輩や上司もいるし、それ、ハードルが高いな」と感じるかもしれません。

たしかに若いころは、一生懸命働いても、なかなか成果も評価も簡単には上がりませんからね。

けれども数年先をイメージしてみてください。

運動でも仕事でも「成長カーブ」というものがあります。最初は少しずつ緩やかに成長し、ある時点を境に、ぐんと急上昇するものなのです。

仕事の「成長カーブ」では、だいたい30代半ば前後のある年齢を境に、鋭角の上昇曲線を描くようになります。

といっても、中途半端な副業なんかをしていてはダメです。仕事一筋、脇目も振らずに頑張り続けることが前提になります。

そうしてだんだん仕事ぶりが認められるようになり、若くして昇進していくと、報酬も成長曲線と同様、鋭角に上がっていきます。

若いころは体力があるので、副業でけっこうな“こづかい稼ぎ”ができるでしょう。残業より副業をしている人のほうが年収も高いかもしれません。

しかしそうやって本業をサボっていると、いつまで経っても本業のほうの年収は上がりません。

加えて数年で、体力と比例するように副業収入も落ちていくはず。本業を頑張っていた人が、あっという間に副業によって目先の利益を取っていた人たちの年収を追い越すのです。

2割の「よく働く社員」になるとは、そういうことです。

■自分の「市場価値」を上げる方法

「本業を頑張る」といっても、

「いま勤めている会社や、配属されている職種にしがみつけ」

というわけではありませんし、また、

「絶対に副業なんかするな」

と全否定しているわけでもありません。

本業に熱を入れず、副業にも適当に取り組む――。そういう「中途半端」な取り組み方はやめなさい、といいたいのです。

本業の役に立つのなら、副業をしたっていいでしょう。十分に力がついて、新たなステージに進めるのなら、転職や起業をしてもいい。

ようするに目標をただ単に「年収を上げる」ことではなく、

「自分自身の市場価値を上げる」

ということに置くのなら、むしろ転職や副業をすすめたいくらいです。

では「本業に役立つ副業」とは、どんなものか。

ひとことでいうなら、ステップアップに求められる能力を磨くための“道場”として機能するものです。

池本克之『「それでも稼ぐ人」33のルール 景気も、環境も、学歴も、年齢も、この人には関係ない』(三笠書房)
池本克之『「それでも稼ぐ人」33のルール 景気も、環境も、学歴も、年齢も、この人には関係ない』(三笠書房)

何かに特化した技術や能力といったものは、どんな分野であれ、繰り返し練習することで磨かれます。

剣豪・宮本武蔵もいっているではありませんか。「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす」と。

私が学生時代に鍛錬を積んだ野球にも、「千本ノック」という練習がありましたが、あれも“武蔵流鍛錬”の1つでしょう。

ビジネスだって、力をつけるためにはこの種の鍛錬が必要です。それを副業に求めるのは、なかなかいい方法だと思います。

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池本 克之(いけもと・かつゆき)
組織学習経営コンサルタント
株式会社パジャ・ポス代表取締役、NPO法人Are You Happy? Japan 代表理事。1965年神戸市生まれ。日本大学卒業後、金融会社を経て、ソニー生命保険に入社。わずか2年で「全国トップ20」の成績をあげる。その後、マーケティング会社、通販会社の経営を経て、ドクターシーラボ、ネットプライスなどの社長を務める。年商3億円の企業をわずか4年で120億円にするなど、さまざまな企業の上場、成長に貢献し「成長請負人」と呼ばれる。現在は数社の社外取締役を務めつつ、コンサルタントとして一部上場企業からベンチャー企業まで200社以上を指導。

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(組織学習経営コンサルタント 池本 克之)

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