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東大生の半分以上はここから出る…全国5000校の頂点に君臨する「36校の名門高校」の名前と合格実績【2022編集部セレクション】

プレジデントオンライン / 2023年5月2日 15時15分

東京大学安田講堂(写真=Kakidai/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)

2022年下半期(7月~12月)にプレジデントオンラインで配信した人気記事から、いま読み直したい「編集部セレクション」をお届けします――。(初公開日:2022年12月16日)
全国には約5000の高校があるが、そのうち東京大学の合格者を輩出している学校は限られる。物理学の研究者を経て外資系金融機関に勤務し、現在は作家の藤沢数希さんは「毎年3000人が東大に合格しているが、昨年の場合、1570人は36校の『名門高校』の出身者だった。つまり東大生の半分以上は、全国の高校の0.7%という限られた高校から進学している」という――。

※本稿は、藤沢数希『コスパで考える学歴攻略法』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

■日本の受験産業は上手く機能している

日本の(偏差値の高い)高校が難関大学の合格者数を競い合う仕組みは、ポジティブフィードバックが発生するシステムである。東大などの難関大学の合格者数が増える→人気化して入試難易度が上がる→偏差値の高い生徒が入学する→ますます難関大学の合格者数が増える、という好循環が起こる。

難関大学合格者数が減れば、当然その逆も起こり、一気に名門校から転落することもあるのだ。だから、高校の先生たちはみな必死なのである。東大合格者数が減ると危機感を持って、必死にがんばるのだ。

このように、日本の高校、とりわけ進学校はものすごく競争しており、ある意味でPDCAサイクルが非常によく回っているのだ。だから、高校までの教育は、単に難関大学にたくさん合格させるという、見方によっては貧しいとも言える目標設定ではあるのだが、結果として高校間に競争原理がよく働き、規律が生まれ、高い教育レベルが保たれている。

こうした大学受験の実績という、ある意味でごまかしの利かない数量目標があるおかげで、日本の進学校と予備校からなる受験産業、あるいはもっと広く教育産業全体は上手く機能しているのだ。

身も蓋もないことを言えば、いい大学に入るには、高校受験組はなるべく偏差値の高い高校に入ることであり、中学受験組はなるべく偏差値の高い中高一貫校に入ることなのだ。

■高校球児と同様に“大学受験甲子園”も素晴らしい

たしかに、こうして実際に日本の教育とは何か、と文字にして書いてしまうと、何かくだらないことのように思えるかもしれないが、それを言ったら、そもそもほとんどの高校球児がプロになって大金を稼げるようになるわけでもないのに、甲子園を目指して毎日野球ばかりやっている高校生を非難する人がいないことのほうがよほどおかしいことではないか。

野球の甲子園より、大学受験甲子園のほうが実益がある程度伴う、という点でよほど意味がある。また、このようないわゆる日本の偏差値教育を非難したところで、その辺の親子が思いつくような自己流の教育論のほうがはるかにくだらないということがほとんどである。

高校球児が甲子園を目指して毎日白球を追いかける青春が素晴らしいように、高校生が1枚の白い答案用紙(東大入試の答案用紙は1問ずつ区切られておらず実際にかなり白い)に正解を書けるように勉学に励む青春はそれ以上に素晴らしいものだと思う。

日本の中学生が教室で勉強している
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

■東大合格者数が41年連続トップの開成高校

それでは、2022年2月に行われた入試での東大合格者数のランキングを見てみよう。

1位は開成高校で193人が東大に合格した。開成はなんと41年連続トップである。2位は筑波大学附属駒場高校で97人。3位は兵庫県の灘高校で92人。4位は神奈川県の聖光学院で91人。5位は奈良県の西大和学園で79人で、1位から4位まではすべて男子校で、5位の西大和学園ではじめて共学校が登場する。

6位は東京の女子校最難関の桜蔭高校で77人。7位は共学校の渋谷教育学園幕張高校で74人。ここまですべて中高一貫校である。8位ではじめて公立高校の都立日比谷高校で65人である。9位と10位は、東京の私立男子校御三家である麻布高校と駒場東邦高校となった。

ちなみに、2位と10位は校名に駒場と入っていることからもわかるように、東京大学の駒場キャンパスの近くにあり、東大生と同じ駒場東大前駅で降車して学校に通うことになる。桜蔭高校は文京区にあり東京大学本郷キャンパスのすぐ近くである。また、昔は東京の男子御三家といえば武蔵の方であったのだが、東大合格者数が減ったことなどから、現在ではこちらの駒場東邦が御三家になっている。日本の高校間の競争の厳しさが垣間みられる。

■合格率トップは筑波大学附属駒場高校

世間では現役と浪人を合わせた東大合格者数の絶対数でランキングされた順位表が毎年出回る。これがいわゆる大学受験甲子園であろう。しかし、本来、高校の実力を比べたいならば、卒業生数で割って、いったい何%が東大に合格するのかを見ないといけない。さらに言うならば、現役の合格率だろう。浪人だと、むしろ卒業したあとに通った、河合塾や駿台や代々木ゼミナールなどの予備校のおかげである。

そこで、筆者が各種の公開情報から、東大現役合格率を計算して表を作ってみた。

東大現役合格率ランキング(2022年)
出所=『コスパで考える学歴攻略法』より

東大に多数の卒業生を送り込む高校として開成高校が何と言っても有名であるが、じつは率で見れば筑波大学附属駒場高校、通称筑駒がトップである。また、関西の灘高校は2022年はやや不調で5位になっているが、こちらは東大の医学部にほぼ全員が進学できる理科三類以外の科類よりだいぶ入試が難しい京大医学部に現役で15人も合格させており、京大医学部も含めたら、実力は筑駒と1位を争っていると言ってよい。

受験産業に詳しい人なら生徒数がそれほど多くなく少数精鋭の筑駒と灘が日本のトップ2校であることをよく知っている。また、2022年は桜蔭高校が東大理科三類に現役で12人も合格させ、日本の大学入試の最難関である理三合格者数でトップとなった。伝統も実績もある、筑駒、灘、開成、桜蔭が日本の進学校のトップ4校といって差し支えないだろう。

■国立大学は1校しか受けることができない

近年、ここに食い込んで来ているのが、神奈川県の聖光学院であり、キリスト教系の男子校である。最初に書いたようにこれらは桜蔭以外すべて男子校でその桜蔭は女子校だ。共学中高一貫校トップを争っているのが奈良県の西大和学園、千葉県の渋谷教育学園幕張高校、福岡県の久留米大学附設高校である。

東大だけで見るとどうしても関西の学校が過小評価されてしまう。国立大学は入試日が同じであり、少し昔まで、前期と後期で2回受けられたのだが、ライバル校の滑り止めにされたくないなどの理由で各大学が次々と後期入試を廃止したので、いくつかの例外はあるものの、日本の高校生は国立大学を1校しか受けられない。

関西の進学校のトップ層は、東大ではなく京大を選ぶことも多い。日本は私立大学の学費もそれほど高くなく、大学進学の費用の多くが一人暮らしのための生活費なので、経済的に自宅から通える大学にしてくれ、と言う家庭も多い。図表2が京都大学現役合格率ランキングである。

京大現役合格率ランキング(2022年)
出所=『コスパで考える学歴攻略法』より

■東大の合格ランキングは中高一貫校がほぼ独占

京都大学の合格者数は大阪の名門公立高校である北野高校がトップで91人、あの東大寺が設立母体となっている私立男子校の東大寺学園が2位で76人、同じく2位の洛南高校は共学の私立中高一貫校でこちらはあの空海が創立した学校が源流であり76人が京大に合格している。

4位は53人で3校が並び、兵庫県の私立男子校の甲陽学院、大阪の私立共学校の清風南海高校、大阪の公立高校の天王寺高校である。7位が灘高校で48人。8位が京都の名門公立高校の堀川高校で44人。9位が滋賀県の公立高校トップの膳所高校で41人。そして、10位が東大でも5位にランクインした西大和学園と愛知県の公立旭丘高校で40人である。

東京大学は東京の公立トップの日比谷高校以外、中高一貫校が上位を独占しているが、京都大学は、北野、天王寺、堀川、膳所、旭丘と公立高校が善戦していることがわかる。また、東大の方のランキングには、灘や西大和学園といった関西勢、久留米大学附設やラ・サールといった九州のトップ校が載っているが、京大のほうはほぼ関西勢で埋め尽くされていることがわかる。

■京大の現役合格率1位は奈良の東大寺学園

関東の進学校の優秀な生徒は東大と早慶を受けて、東大に落ちたら早慶に進学する生徒が多く、京大を受けに行く生徒はあまりいないのである。

また、合格率で見れば、東大寺学園がトップとなり、卒業者数が少ない京都の洛星高校や大阪星光学院が上位に来る。ちなみに、東大寺、西大和、甲陽、星光、洛南、洛星の6校と灘を合わせた7校が、関西の中学受験において最難関7校と呼ばれている私立中高一貫校である。

また、ここに出ていないが、神戸女学院というキリスト教系の名門私立中高一貫校は、卒業生がどこの大学に何人合格したなどということを公表するのは下品なことと考えているのか、頑なに進学実績を公表していないが、少なくとも京都大学現役合格率の方でこのランキングのどこかに載ると思われる。

最後に国公立医学部の方を見てみよう。こちらは現役合格率ではなく合格者数で見る方が適切である。企業に就職して実際に働きはじめてしまえば卒業大学の格のちょっとした違いはあまり関係なくなるため、大学をワンランク上げるために浪人した方がいいかどうかは意見が分かれるところだが、国公立医学部の方は明らかに浪人してでも入る価値がある。

なぜならば、私立医学部の学費は非常に高額で、偏差値と学費は概ね反比例しており、卒業するまでに2000万円~7000万円ほどの学費が必要になる。

国公立医学部合格者数上位20校(2022年)
出所=『コスパで考える学歴攻略法』より

しかし、国公立の医学部に入ることができれば、約50万円を6年間払うだけで入学金を合わせても約350万円である。

■国公立医学部合格者数トップは愛知の東海高校

現役で私立大学の医学部にしか合格できなくても、1年がんばって国公立大学の医学部に合格すれば、十分過ぎるほどペイすることになる。2浪でさえ国公立医学部に入ればペイする。また、医者になったあとも高校の同窓のネットワークは何かと助けになるので、医者になるなら同業の卒業生が多い高校を卒業するメリットは大きいだろう。

国公立医学部合格者数トップは15年連続で愛知県の仏教系男子校の名門私立中高一貫校の東海高校で123人、2位が九州のキリスト教系男子校の名門私立中高一貫校のラ・サール高校で76人である。率で見ると、このラ・サールと北海道の私立中高一貫校の北嶺が上位2校となる。

じつは国公立医学部は、ラ・サールや北嶺、四国トップの私立中高一貫校の愛光、長崎の私立中高一貫校の青雲などの地方の寮のある学校が非常に強い。これはどういうことかというと、中学受験が盛んな地域は首都圏や関西などに限られており、日本の地方には進学実績のいい私立中高一貫校などないことがふつうである。

しかし、そうした私立中学のない地方でも、開業医の子供たちは将来の国公立大学医学部の入試で中学受験を経験した都会の猛者たちと戦わなければいけない。だから、開業医など教育熱心で資金も潤沢な地方の家庭では、こうした寮のある名門私立中学を目指して小学生のころから子供に勉強させているのだ。

全国から開業医の子弟が集まってくるため、こうした寮のある地方の名門校は、必然的に卒業生の多くを医学部に送り出すことになる。

■県民当たりの京大合格者数は奈良県が1位

戦争でも二正面作戦は避けなければいけないとされ、東大・京大のふたつを同時に攻め落とすことは難しい。国立大学は1校しか受けられないので戦力が分散されてしまうから当然である。国公立医学部も含めた三正面作戦ともなればなおさらだ。しかし、これらの表を見ると、灘、東大寺学園、西大和学園、甲陽学院の4校はすべてにランクインし、三面に戦力を展開し勝利していることがわかる。

藤沢数希『コスパで考える学歴攻略法』(新潮新書)
藤沢数希『コスパで考える学歴攻略法』(新潮新書)

ちなみに、西大和学園、東大寺学園は共に奈良県の学校で、じつは県民当たりの京大合格者数は奈良県が1位で東大でも2位である(東大は東京都が1位)。東大・京大合わせれば奈良県が全国トップとなる。これは大阪や京都が通学圏となっている西大和学園、東大寺学園が奈良県にあるからだ。

大学進学率が日本で最も低い県のひとつである鹿児島県も県民当たりの東大進学者数では全国7位に来るが、これは寮があり全国から優秀な生徒を集めるラ・サールの受験生が多数合格するからである。これほどまでに東大合格者の出身校は全国の少数の高校に偏っているのが実情である。

この東大のランキングに載っている36校の合格者数を足し合わせると1570人となり、東大合格者数約3000人の50%以上となる。日本の高校の数は約5000校なので、東大生の半分以上はこれらたった0.7%の名門高校出身である。

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藤沢 数希(ふじさわ・かずき)
作家、メルマガ「金融日記」管理人
外資系金融機関を経て、作家。メルマガ「金融日記」管理人。著書に『外資系金融の終わり──年収5000万円トレーダーの悩ましき日々』(ダイヤモンド社)、『損する結婚 儲かる離婚』、『コスパで考える学歴攻略法』(ともに新潮社)など多数。

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(作家、メルマガ「金融日記」管理人 藤沢 数希)

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