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「怒りのコントロールが苦手な日本人は何%いるか」この回答でわかる"あなたが陥っている"意外なバイアス

プレジデントオンライン / 2023年4月29日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

人は「自分が知っていることは、他の人も知っている」と思い込みがちです。他の人も自分と同じように考えたり、感じたり、行動したりするだろうと過大に見積もる傾向があるからです。こうした「自分の常識はみんなの常識」「自分は一般的」というバイアスには誰もが囚われていますが、ときに人を傷つけたりトラブルの原因になるので注意が必要です――。

※本稿は、『イラストでサクッとわかる! 認知バイアス』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■なぜ自分の評価を見誤ってしまうのか?

日常生活の中では、誰もが無意識のうちに直感や経験、先入観、願望などに囚われています。その結果、合理的でない選択や判断を下していたりします。

心理学ではこれを「認知バイアス」と言い、こうした思い込みや思考の偏りに誰もが縛られているのです。

認知バイアスは日常生活のあらゆる場面に潜んでいて、科学的に実証されているものは200種類以上あるとも言われています。

記憶や選択、信念、因果、真偽などに関連する場合に認知バイアスは生じやすいのですが、非合理的な判断をしてしまった結果、「あのとき、他の方法を選べばよかった」「なぜ判断を間違えてしまったのか」と後悔することもあります。

なかでも誰もが日常生活の中で陥りがちなのが、自分の評価を見誤ってしまうというバイアスです。自分は客観性があるから、自分の意見は一般的で、広く世間に受け入れられていると考えてしまう傾向があります。

本稿では、自分の評価に関する認知バイアスを紹介します。

■あなたの「当たり前」は偏っている

「ブレスト」「あいみつ」「テレコ」「バッファ」……。あなたはすべての意味を答えられますか?

自分の働く業界では当たり前に使う言葉でも、違う業界やプライベートの場では通じない言葉、いわゆる「業界用語」があります。

あなた自身、新入社員の頃は意味がわからなかったのに、今では気にすることなく使っている言葉があるのではないでしょうか。その言葉の意味を知らない人がいることすら、想像できなくなっているかもしれません。

このように、自分が知っていることは、ほかの人も知っていると思い込んでいることを「知識の呪縛」と言います。

ある実験では、参加者の一方のグループに、頭の中で有名な曲を思い浮かべながら、その曲のメロディに合わせて机を指でタップしてもらいました。そしてもう一方のグループには、それを聞いて曲名を当ててもらいました。

タップした参加者は、「聞き手の半数は曲名を当ててくれるだろう」と自信をもって推測しました。しかし、実際に当たったのは150曲中たった2曲だったのです。

この結果からは、人がものごとを自分の視点から捉え、相手の視点を理解していないことがよくわかります。

■楽観的な人は「楽観的な人が多い」と考える

同様に、人は「自分の意見や考え、行動が常に多数派であり、正しい」と考える傾向があります。

たとえば、以下の項目に当てはまる日本人は、それぞれ何%くらいいると思いますか?

A.楽観的な人
B.怒りのコントロールが苦手な人
C.全粒粉入りのパンが好きな人

『イラストでサクッとわかる! 認知バイアス』よりイラスト
イラスト=ナカオテッペイ
出典=『イラストでサクッとわかる! 認知バイアス』 - イラスト=ナカオテッペイ

じつは、これらの質問への回答は、あなたの普段の考え方や行動によって左右されることが明らかになっています。

たとえばAの質問では、自分のことを楽観的な性格だと思っている人は、思っていない人よりも、高い数字を予想しました。自分が楽観的だと、「世の中には楽観的な人が多い」と推測しがちです。Bの質問のように、自分が抱えている問題について尋ねた場合も同じことが起こります。

Cの質問の答えは、自分がその対象を好んでいるかどうかで決まります。自分が全粒粉入りのパンを好きでない場合は、好きな場合と比べて、より低い数字を予想します。

■「みんな自分と同じ」という錯覚

ほかの人も自分と同じように考えたり、感じたり、行動したりするだろうと過大に見積もる傾向を「フォールス・コンセンサス」と言います。フォールスは「偽の」、コンセンサスは「合意」という意味です。

私たちは、自分の意見は一般的であり、広く世間に受け入れられていると考えがちです。しかし、このような思い込みにもとづいて行動することは、トラブルのもとになります。

「相手は自分と違うかも」という意識を普段から持つように心がけるとよいかもしれません。

ある実験では、参加者に自分が投票する予定の政党を答えてもらったあと、次の国政選挙での支持政党の予想得票率と、有権者全員が選挙に行くと仮定した場合の支持政党の予想得票率の2つを回答してもらいました。

その結果、自分の支持政党がどこかにかかわらず、有権者全員が投票に行くなら、自分が支持する政党の得票率が上がるだろうと予想していました。つまり、普段は選挙に行かない人でも、投票する機会があれば、自分と同じように投票すると思っていることがわかります。

■自分は現実を客観的に見ているという信念

自分と他人の意見が違うときに、「自分は客観的に物事を見ている。それを否定する人々の認識がゆがんでいるのだ」と他の人が間違っていると考えたりすることがあります。

たとえば、仕事やプライベートで多数決を採ったら、自分の予想と実際の結果が違っていて驚いたことはありませんか? これは、現実の捉え方に関する素朴な信念が影響していると考えられます。この信念を「ナイーブ・リアリズム」と言います。

ナイーブ・リアリズムには、「自分は現実を客観的に見ており、自分の意見は、得た情報をそのまま冷静かつ公平に吟味した結果だ」という自分に関する信念と、「同じ情報に触れて、同じく合理的に検討したなら、ほかの人も自分と同じ意見になるはずだ」という、他者に対する信念の両方が含まれます。

つまり私たちは、自分は正しく、その正しさを他者とも共有できるはずだと素朴に信じているのです。

ナイーブ・リアリズムにはさらに、他者と意見が食い違ったときの理由に関する信念も含まれます。

食い違いを経験したとき、私たちは「きっとこの人は自分とは違う情報を見たんだ」「この人は合理的な考え方ができない人なんだ」と考えたりします。また、「この人は自分の主義主張や利益のためにゆがんだ見方をしているのだ」と考えることもあります。

このように、自分と意見が食い違うのは相手に問題があるからだとする信念は、ときに他者との間に対立を生む原因になります。

■視点の違いが解釈の違いをもたらす

1951年に行われたダートマス大学とプリンストン大学のアメリカン・フットボールの試合は、開始直後からけが人が続出し、審判の警告が飛び交う大荒れのゲームでした。

池田まさみ他監修『イラストでサクッとわかる! 認知バイアス』(プレジデント社)
池田まさみ他監修『イラストでサクッとわかる! 認知バイアス』(プレジデント社)

後日この試合を題材に、次のような研究が行われました。まず両校の学生に試合の映像を見せ、試合中に生じたルール違反とその激しさの程度を評価してもらいました。すると、お互いが異なる見方で試合を解釈し、相手チームを非難していたことが明らかになりました。

さらに、両校で意見が違うことがわかると、「自分と相手が見ている映像が違うはずだ」という、ナイーブ・リアリズムに基づく主張が見られました。

(プレジデント社書籍編集部)

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