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遠藤保仁「挑戦する勇気ある者だけが失敗できる」僕が悩める若者たちにぜひ伝えたいこと

プレジデントオンライン / 2023年5月7日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Sushiman

40代になり、J2ジュビロ磐田では若い選手たちに対し、プレーのみならず、メンタル面でのサポートをする場面も増えた遠藤保仁選手。このたび刊行したセブン‐イレブン限定書籍『シンプルに考える』を通して、遠藤さんは「悩める若者たちにぜひ伝えたいことがある」という──。(第2回/全2回)

※本稿は、遠藤保仁『シンプルに考える』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■地球の80億人、誰もがマイペース

「遠藤はマイペースだ」と、よく言われます。個人的には、マイペースと言われることはまったく気になりません。

僕と会ったことのない人にも「遠藤はマイペース」というイメージがあるようですが、メディアなどで質問に答えたときのコメントの一部が切り取られて流されて、そういう印象になったにすぎないと思っています。

もし、この本を読んでくれている人の中に、「マイペース」だと言われて悩んでいる人がいたとしたら、「まったく気にしなくていい」と伝えたいと思います。だって、他人に指示されたペースに従って生きている人なんて、どこにもいないでしょう。

それがどんなものであれ、結局は誰でも自分のペース(マイペース)で生きているんです(笑)。

■「考えなくていいこと」は考えない

自動車を運転するときのことを考えてみるといいのではないでしょうか。

たとえば僕の場合、制限速度が50キロで、ほかの車がまったく走っていなかったとしても、急いでいるとき以外は50キロまでスピードを出すことはありません。制限速度を守っているわけですから、それで誰に咎(とが)められる理由もないという考えです。

片側3車線で渋滞しているときに無理に車線変更をする車もいますが、車線変更をすることもないですね。どの車線を走っても到着する時間には大差がない、というのが僕の考え方です。

実はこれには理由があります。運転をすることにできるだけ頭を使わないようにしたいからです。

「もっと急いで走りたいけれど、警察の取り締まりにあったらどうしよう」
「この車線はノロノロしているから、右の車線のほうが早そうだな」

そういうことはどれも、僕にとって「考えなくていいこと」なんです。

一方で、仮に1秒でも早く到着したいという人がいたなら、ルールを守っていれば何の問題もないと思います。それこそ、それがその人にとっての「マイペース」なのですから。

■人に迷惑をかけなければマイペースでいい

ほかにも、悪しき体育会系の象徴のような「若手は集合時間の30分以上前に到着」という慣習もいまだにあると聞きます。

個人的にはこういうのは反対ですね。「集合時間に間に合っていればいいでしょ?」と思ってしまう。

ただし、ギリギリに到着して準備が間に合わず、仕事であれ、試合であれ、力を十分発揮できなかったとしたら……それは「自己責任」です。誰のせいにもできません。

考え方、生き方に多様性が尊重される世の中です。人に迷惑をかけなければ、マイペースを貫いていいのではないでしょうか。

■人生の指針は「やりたくないことはやらない」

僕なりの人生の指針のひとつが、「やりたくないことはやらない」。

何か違和感を覚えたら、その直感を信じてみる。自分のことを一番わかっているのは、自分ですから。

「やりたくないことはやらない」と聞くと、後ろ向きな印象を受けるかもしれません。しかし、「チャレンジすることを止めてはいけない」ということも、人生の指針にしています。

僕の中では、チャレンジすることは人生の基本。チャレンジした先に、人生のやりがいや達成感があると思っているのです。

■「実行する勇気」のある者だけが「失敗」をする

失敗したときのことをおそれてチャレンジしなくなってしまうような心理状態は、若いときに陥りがちですし、その気持ちはわからなくもありません。

ただ、チャレンジしなければ失敗もしませんが、成功もない、ということを忘れないでください。

「PKを外すことができるのは、PKを蹴る勇気を持つ者だけだ」

これは、サッカー・イタリア代表の背番号10としてワールドカップでも活躍したロベルト・バッジョ氏の言葉です。チャンレジなくして成功はない。それはサッカーに限らない、人生の真理ではないでしょうか。

■時代に合わせて変えること、変えてはいけないこと

サッカーにもトレンドがあります。テクノロジーやルールも変化しているので、僕がプロ入りした1998年と2023年のサッカーでは、大きく様変わりしています。

その変化に適応することは、試合に出場して活躍するうえで重要ですが、サッカー選手として大切にしている核となる部分を変える必要はないというのが僕の考えです。

僕や中村俊輔さんのような、司令塔と呼ばれるタイプの選手が“絶滅危惧種”になってきているのが現在のサッカー界の流れです。状況を判断して、ボールをキープし、プレーのテンポを早めたり遅らせたりすることができる選手は、ほとんど見当たりません。

プレースピードの速さと走力が求められるのが現代サッカーですから、僕のようなタイプの選手を育てていく必要がないのかもしれませんね。ただ、時代が変わって、また必要とされるときがくるかもしれない、という思いはあります。

■「日の丸を背負う重み」を知るのは代表に定着してから

プレースタイルはともかく、若い選手には、積極的に自分を出して、ミスをおそれずチャレンジしてほしいですね。仮に失敗をしたとしても、必ず将来の糧(かて)になっていきます。

サッカー場の日本国旗
写真=iStock.com/LeoPatrizi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/LeoPatrizi

たとえば、日本代表に選ばれた若い選手がいたとします。試合に出ても、萎縮(いしゅく)して自分らしいプレーを発揮できなかったとしたら、次にまた呼ばれる保証はありません。

日本代表は大きな責任を背負ってプレーをするべきだと思っていますが、日の丸を背負う重みを知るのは、日本代表に定着してからでも遅くはないです。

まずは積極的にチャレンジを!

これは日本代表の若手選手だけでなく、すべての若者に伝えたいマインドです。思い切ったチャレンジが、将来の伸び代をつくってくれると思います。

■ゴールは見えないくらいがちょうどいい

長い間サッカーをやってきて、大ベテランと呼ばれる域にまできましたし、それ以上に一人の人間として43年生きてきました。

遠藤保仁『シンプルに考える』(プレジデント社)
遠藤保仁『シンプルに考える』(プレジデント社)

「サッカーでたくさんのことを経験できたし、余生はある程度ゆっくり……」

なんて思っていたのですが、いまや人生100年、まだ人生の折り返し地点にもきていませんでした。

サッカー選手の引退ということについては、意識はしていますが、まだ何も決めていません。予定は未定です。

サッカー選手の引退をひとつのゴールとするなら、どこにゴールがあるのかわからないくらいでいるほうが、個人的に好きなんです。

■人生は「しかたがない」の連続だ

サッカー選手にとって、ケガは引退を早めてしまうおそれがあります。若いときに比べてケガの回復が遅くなっていることは感じますが、「ケガをしてしまったらしかたがない」というくらいに構えています。

サッカー以外のことになると、完全に「しかたがない」の連続ですね。

人生の引退のほうが、サッカー選手の引退より先行き不明です。それこそ、ゴールがどこにあるかわかりません。

いちいち気にしていても「しかたがない」ですから。

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遠藤 保仁(えんどう・やすひと)
プロサッカー選手
1980年1月28日、鹿児島県生まれ。1998年に鹿児島実業高校から横浜フリューゲルスに入団。京都パープルサンガ(現:京都サンガF.C.)を経てガンバ大阪に移籍し、中心選手として数々のタイトル獲得に貢献。2020年の期限付き移籍を経て、現在はジュビロ磐田でプレー。日本代表としては歴代最多となる152試合に出場し、3大会連続でワールドカップ日本代表メンバー入り。J1通算672試合、公式戦通算1106試合に出場(2022年シーズン終了時)。

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(プロサッカー選手 遠藤 保仁)

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