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「きっかけは与えるが結果は求めない」17歳で国際的栄誉に輝いた娘を育てたコテコテの大阪オバチャンの掟

プレジデントオンライン / 2023年5月5日 11時15分

川﨑レナさん(『プレジデントFamily2023春号』より)

過去の受賞者にはノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイさんなどがいる「国際子ども平和賞」を2022年11月、日本人で初めて受賞して注目を集めた川﨑レナさん(17)。世界46カ国175人以上の候補の中から選出された若きリーダーはどのような家庭環境で育ったのか。プレジデントFamily編集部がインタビューした――。

※本稿は、『プレジデントFamily2023春号』の一部を再編集したものです。

■必要なときに一言をくれる「きっかけはいつも母」

子供の権利のために優れた活動をした若者に贈られる「国際子ども平和賞」。過去には後にノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん、環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんなどが受賞している。

それを2022年、当時17歳で受賞したのが川﨑レナさんだ。日本人の受賞はこれが初となる。川﨑さんは大阪育ち。5歳から10年以上インターナショナルスクール(以下、インター)に通い、さまざまな国籍の生徒たちと過ごしてきた。

■母はコテコテの大阪のオバチャン

「両親が海外に行ったときに子供には英語が話せて、人前で自分の意見を話せる人間になってほしいと思ったそうです。それでいろいろと探した結果、インターが一番いいと考えてくれたようで。近場になかったものの母の検索スキルのおかげで、当時はまだ少なかった帰国生以外も受け入れているインターに出合うことができました」

そう朗らかに話す川﨑さんに母親が与えた影響は大きいという。

「私はよく母似だって言われます。母はコテコテの大阪のオバチャンです。いわゆる教育ママではないんですけど、私が小さいころはずっと絵本の読み聞かせをしてくれていました。毎日20冊ぐらい私が積み上げた絵本、それを全部。なかには英語の本もあったとか。母は英語ができませんが、母なりに頑張って読んでくれたそうです。最近そのことについて聞いたら『しんどかったわー』と笑っていました」

そんな母親と、あだ名で呼び合う友人のような仲の父親のもとで、川﨑さんは伸び伸びと育った。

「この前父に言われたのは、レナは変わった子やったで(笑)と。友達と遊ぶときにおままごとや人形遊びでなく、『一緒に劇をしよう!』と呼び掛けて即興のストーリーの劇を2時間くらい熱演するなどしていたそうです(笑)」

内堀タケシ『ランドセルは海を越えて』(ポプラ社)
内堀タケシ『ランドセルは海を越えて』(ポプラ社)

川﨑さんが社会問題に興味を持ったのは8歳のとき。図書館で出合った1冊の本『ランドセルは海を越えて』がきっかけだったという。

ランドセルをアフガニスタンの子供たちに贈る活動を描いた写真絵本に衝撃を受けた。

「その本について家で母に話したら、どの団体の活動かなど、調べて教えてくれて。子供のためにさまざまな活動をしているユニセフの存在も、そのときにはじめて知りました。インターがボランティア活動を推奨していたこともあり、そのあとすぐ友達とホームレスの方におにぎりを配るなどの、地域のボランティア活動に参加するように。困っている人の力になりたい思いがどんどん大きくなっていきました」

■「レナのやりたいことはほかにあるんちゃう?」

川﨑さんは14歳で環境や社会活動のリーダーを育成する若者の国際NO組織、アース・ガーディアンズの日本支部を立ち上げた。15歳になると株式会社ユーグレナの2代目CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)に就任し、若者の立場から会社の変革に携わるようになる。

『ユーグレナコーポレートサイト』HPより
『ユーグレナ』HPより

「自分で団体をつくる前は、学校で生徒会長などのポストにつくことでなんとなくリーダー的な活動をやれている気分になっていたんです。でも、母に『レナのやりたいことはほかにあるんちゃう?』と見抜かれて。もっと、国連みたいに世界中の困っている人のために活動したいという自分の気持ちに気づかされました。『企業とそういう活動ができる場もあるみたいやで』と後押しもしてくれて。そこから10社ほどのプログラムにエントリーしました。いつもきっかけをくれるのは母でしたね」

「国際子ども平和賞」を受賞したと母親に伝えたときには、とても驚かれ、それ以上にとても喜んでくれたという。

「母は私がどんな活動をしているのかほとんど知らなかったんです。きっかけはくれるんですが、そのあとどうなったかなど聞いてくることがなくて。家での会話は、テレビのバラエティーを見ながら『おもろいなぁ』とか、そんなんばっかで(笑)。でも私がインタビューなどを受ける機会が増えて少し調子にのりそうになっていたら『これがゴールやないで。いまようやくスタート地点に立ったんやろ』『まわりに感謝するように』とくぎを刺されました」

世界で活躍する川﨑さんに、これからの世代に必要となる力は何だと思うか聞いてみた。

「……難しいですが、一番大切なのは“楽しむ力”じゃないかなと。例えば、団体に、塾に行った後にオンライン会議に参加するメンバーがいるのですが『こんな遅い時間に大丈夫なん? 無理しないでね』と言うと、『やりたいから!』と目をキラキラさせるんです。心からワクワクしたり楽しんだりできることって、無理がないから、持続可能性が高いと思うんです。ストレスの多い時代ですが、息抜きの仕方を覚えて楽しく取り組めばうまくやっていけるのかなって」

そのためにも「親が楽しそうだと子供はうれしい」と川﨑さんは言う。

「楽しさって伝染すると感じています。親が楽しそうだと、子供も楽しいほうに向かえるのかなと思います。あとは子供にたくさん失敗させてやってほしいです。そしたら、外で大失敗したときにも比較的早く復活できると思うので。母はたくさん失敗を経験するとやりたいことが見つかるとよく言っていました」

■どのような親に育てられたのか?

▼お母さんに聞きました!

レナが生まれたときに、「『親にこうしてほしかった』と後で思われないような育て方をしたい」と思って、こっそり育児本を何冊も読んだりしていました。「人の役に立つことをしなさい」と常に言い聞かせてきたのですが、ある日習い事のクラスで使用しているショッピングモールの汚れたトイレをみんなが避ける中、レナが掃除してきたことがありました。そのときは本当に嬉しくて、すごく誇らしかったのをおぼえています。

▼お父さんに聞きました!

子供とは対等に、そして自然体で接するようにしてきました。また、子供のためになることは手を抜かず、妥協しないとも決めていました。暇さえあれば子供と近くの公園に行ったり、ちょっと遠出をしたりして一緒に楽しむ、ダンスの発表会前には一緒に踊る、子供が将来海外に行くかもしれないと言ったらリサーチを念入りにするなど。ただ「何でもOK」というスタンスではなく、必要でないものは与えないようにしてきました。その分、厳選して「やりたい!」と言ったことはできるように支援してきましたし、これからもしていきます。

(プレジデントFamily編集部 文=土居雅美 撮影=植田真紗美 )

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