大事なことはLINEで伝えるな…キャバクラ店長がみた「キャバ嬢が回覧するスクショ」に書いてあったこと
プレジデントオンライン / 2023年5月11日 17時15分
※本稿は、黒服ムラカミ『黒服の手帳 カリスマキャバクラ店長が教える「部下を動かす」技術』(小学館クリエイティブ)の一部を再編集したものです。
■「上から目線のアドバイス」は絶対しない
当店では月に2回の給料日に、キャバ嬢と黒服の間で面談を行います。
内容は売上目標の達成状況や方策、出勤スケジュール、お客様に関する情報交換などです。キャバ嬢が働く上での不安を取り除き、より成長してもらうために必要なマネジメント業務の一環です。
部下の黒服たち、特に初めて担当キャバ嬢を持つ場合は、面談時に必ず意識するよう伝えていることがあります。
それは「○○しなさい」といった上から目線のアドバイスは絶対にしないことです。
理由はいくつかあります。一つは、キャバ嬢の感情的問題です。
黒服はキャバ嬢と同じ仕事をしているわけではありませんから、分かったようなアドバイスをしてもカチンとさせるだけで、素直に受け入れてもらえないでしょう。
経験の浅い黒服ならなおさらです。
■キャバ嬢へのアドバイスは簡単ではない
もう一つの理由は、キャバ嬢の性格や接客手法に合ったアドバイスをするのは簡単ではないからです。
10人のキャバ嬢にそれぞれ同じことを言っても、全員が生かし切れるとは限りません。
それよりも「売上をつくるために黒服にしてほしいこと」を聞き、信頼関係をつくったほうがお互いのためです。
キャバ嬢の中には具体的なアドバイスを求める子もいます。それに自信を持って答えられるならば担当の黒服が答え、自信がない場合は私に聞くように言っています。
■「『絶対に』こうしたほうがいい」という言い方はしない
ただ、店長の私が面談を行う場合は、可能な限りアドバイスします。
それでも「『絶対に』こうしたほうがいい」という言い方はしません。あくまでも私のアイデアは無数にある営業手法のうちの一つであるというスタンスです。そして最後に必ず「何か俺にできることがあったら言ってね!」と伝えます。
アドバイスをするときはあくまでも提案ベースで行い、よく分からない場合に知ったかぶりをしてはいけません。
私は愛媛、東京、千葉と地域性も運営方針も異なるさまざまなキャバクラに勤めたことがあり、現在の「Club Runway」で11店舗目です。
異動したり転職したりする度に、キャバクラ運営方法の多様性に驚いています。
そんなときに「僕は今までこうやっていましたから」と頑なになってしまうと、他の従業員との関係がギクシャクしてしまいます。そのため、まず自分からキャバ嬢や黒服に挨拶し、何か自分にできることはないか聞くようにしていました。
「新人上司」は部下のサポート役としてコツコツ信頼を積み重ねていく必要があるのではないかと思います。
■大事なことはLINEで伝えるな
LINEなどのメッセージアプリは簡単な文章で気軽に連絡がとれて便利ですが、仕事で利用する際には慎重になる必要があります。
![スマホに表示されたメッセージを見せ合う二人の手元](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/3/4/1200wm/img_346db47c1871dd95cf6034b495e5284d168711.jpg)
私は欠勤したキャバ嬢に指名のお客様が来ていたことを伝えるときなど、簡単な業務連絡にしか使いません。
特に絶対に文章で送らないと決めているのは、給料に関することです。
私が関わっていた店ではありませんが、あるお店からキャバ嬢へのメッセージがスクリーンショット(スクショ)で出回ってきたことがありました。
■重要情報がスクショで流出する
そこには「売上目標未達だったけど、給料上げておいたよ」と書いてあります。
店長が特定のキャバ嬢をひいきしていることの証拠が回覧されてしまったのです。
同じお店で働いているキャバ嬢としては、不信感が募るでしょう。キャバ嬢本人はこのひいきを「気持ち悪い」と感じ、告発したようでした。
また、当店に面接に来た経験者と給料の話をする際に「前の店ではこれくらいもらっていました」と、LINEのスクショを見せられることがあります。
このように給料という大事な情報が、証拠付きで転職の材料として利用されてしまう恐れもあるわけです。
![スマホを使用する人の手元](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/8/1200wm/img_08e56b61162083e53d8de9dbd1db2bb5101444.jpg)
■文章で「注意や叱責をしてはならない
私がメールやLINEで伝えないようにしていることが、もう一つあります。
それは注意や叱責(しっせき)の言葉です。
文章だと感情のニュアンスが伝わりにくく、誤解を生みやすいためです。
昔、キャバ嬢に「今日のあの接客、ここを直したほうがいい」という内容を送ったところ、私が怒っているように受け取られ、「すみません。辞めます」という内容が返ってきたことがあります。慌ててフォローしましたが、文章でやり取りすることの難しさを実感しました。
退職という大事なことを簡単に伝えてしまえるのも、メッセージアプリならではだと思います。
口頭や電話であれば表情や声のトーンなどから相手の理解度や気持ちを多少なりとも知ることができます。
しかし一方的に送る文章では、それができません。
■口頭・電話のほうが人情味を感じる
このときは「『!』をつけるのも怒ってるみたいだし、絵文字をつけるのも何か違うよな」と迷った末、何もつけないで送ったのですが、無感情な文面ゆえに相当怒っていると誤解されたようです。
褒めるときやお礼を言うときなど前向きな言葉は、直接会うタイミングがなければ文章でも構いません。
しかし私はなるべく口頭で、難しい場合は電話で伝えるようにしています。そのほうが人情味を感じると思うからです。
人間を相手にする仕事ですから、直接やり取りするプロセスも大切にしたいと思っています。
■叱るときは正面に座らない
対面で部下やキャバ嬢を指導するとき、私が必ず気をつけているポイントがあります。
相手の望ましくない行動に対して指導するときの具体的なポイントを述べます。
まずは座る位置です。向かい合わせではなく、横並びか90度の角度の席に座ります。緊張感を解き、なるべくリラックスして会話に集中してもらうためです。
目的は怒ることではなく業務改善なのですから、協力して問題を解決していく姿勢を示します。
相手の正面に座ると威圧感が生じて萎縮させてしまうため、かえって内容が伝わりにくくなります。「私は怒っています」という意思表示にも見えるわけです。
そのため重大なルール違反を犯したときは、あえて正面に座ることもあります。
■改善しないと本人が損をする、と伝える
この姿勢で座りつつ、相手が前向きに改善するような言い方を心がけます。
相手を必要以上に責めないことはもちろん、頭ごなしに「ダメ」と叱らないようにします。
例えば、連絡なしに遅刻したキャバ嬢の場合。まずは何があって遅刻したのか聞いた後、遅刻はキャバ嬢自身の信用を失うきっかけになるということを伝えます。
「○○さん(お客様)のフリーの席にあなたをつけたかったのに、遅刻したからつけられなかったよ。もったいないなあ。次からはちゃんと連絡してね」
遅刻することによって本人が損していることを分かってもらうことがコツです。
![黒服ムラカミ『黒服の手帳』(小学館クリエイティブ)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/3/1200wm/img_031308a2012b1fd2ed9dcc2676b60b9a100692.jpg)
「他のキャバ嬢の迷惑になる」のように、周囲の人の視点では話しません。結局、人間は自分のことが一番かわいいので、他人のメリット(デメリット)を強調しても、そこまで心に響かないからです。
怒鳴ったりせず、はじめは冷静に話せるよう意識してゆっくり喋ること。
お互いに話し始めたら、ペースやトーンを相手に合わせるようにします。
叱るときに限らず、私はキャバ嬢と話すとき、喋り方を真似するようにしています。早口のキャバ嬢には早口に、ゆっくり喋るキャバ嬢にはゆっくりと。
会話の調子を合わせないと、話が噛み合わない印象を相手に抱かせるからです。
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キャバクラ店長
1987年生まれ。ホテルマンやアパレル店員などを経験したのち、愛媛や銀座のキャバクラ勤務を経て、千葉市のキャバクラ「Club Runway」の店長となる。13年間の黒服経験で接してきたキャバ嬢の人数は1万人以上。宣伝のためTikTokに投稿した「キャバクラあるある」「黒服の日常」などの動画が話題を呼び、キャバ嬢や若者を中心に共感と関心を集める。
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(キャバクラ店長 黒服ムラカミ)
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