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3位は松岡茉優、2位は北香那、1位は…国内ドラマ「35歳以下限定女優ランキング」ベスト10

プレジデントオンライン / 2023年5月13日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/olegback

2020~2023年に日本国内で放送されたテレビドラマで、評価するべき若手女優は誰か。ドラマ偏愛コラムニストの吉田潮さんが選んだ、35歳以下限定「若手女性俳優ランキング」ベスト10をお届けする――。

■ドラマ界で大活躍する「U35の若手女優」をご存じか

ヒロインの世代交代&若年化がかなり進んだテレビドラマ界。ざっと見渡してみても、今期のゴールデン枠とプライム枠のドラマでは、35歳以下の女優の主演作が6作もある。

「若い人は皆、顔が同じでわからん」という年配層に、U35の若手女優が頼もしいことをお伝えしたく。確かな演技力にハッとさせられたり、着実にキャリアを築いている姿を見ると、青田買いもしたくなる。

ということで、U35女優勝手にベスト10を敢行。主に、2020~2023年の出演作をベースに、①脱皮・新機軸・意外性、②記憶に残るシーン・演技力、③適役・説得力、④ドラマ出ずっぱり=制作からの信用度、の4項目で点数をつけた(1作品で複数加点もあり、同点はより印象が強い役があった方を上位にした)。まずは、10位~6位を発表。

■この女性俳優の名前読めますか?

10位 小野花梨(かりん) 長いキャリアと多様性、演技に定評あり 35点

「罠の戦争」(2023・フジ系)で見せた秘書役の説得力。感情を爆発させる役も秀逸だが、抑えて支える熟練の技も見せた。盤石だったのは、自己評価が底値の女子を演じた「ロマンス暴風域」(2022・TBS系)。幸せになってほしいと願いつつも、幸せじゃない役のほうが胸に迫るという矛盾を味わえるのも花梨ならでは。

9位 長井短(みじか) 毎クール適材適所かつ幅広さに脱帽 40点

この2~3年、見ないクールはないほどの皆勤賞女優。

不穏かつ厄介な女キャラは「汝の名」(2022・テレ東)や「来世ではちゃんとします3」(2023・テレ東)にて本領発揮。裏表なしのモノ申す女キャラは「自転車屋さんの高橋くん」(2022・テレ東)や「星降る夜に」(2023・テレ朝)、そして今期は珍しく刑事を演じる「ケイジとケンジ、時々ハンジ。」(テレ朝)で確認。

ドラマをきれい事やご都合主義で終わらせないためにも、いてくれると助かる。

8位 生見(ぬくみ)愛瑠(める) 1話ゲストでうまくてハッとした逸材 40点

「石子と羽男」(2022・TBS)の第4話で、舞台出身かなと思わせたほど目を引いたのが生見。

衝突事故の加害者役という1話ゲストだったが、色濃く記憶に残った。また、今期は「風間公親 教場0」(フジ)の第4話でも、これまた加害者(妊婦)を演じていたが、切迫した表情が秀逸だった。

さらに、清野菜名・岸井ゆきのと組む「日曜の夜ぐらいは…」(テレ朝)にも出演。経験は少ないものの、この先が楽しみなので(できれば悪役希望)、期待値こめてエントリー。

ドラマ「日曜の夜ぐらいは…」プレスリリース
出典=PR TIMES/株式会社 U-NEXT

■深夜枠ドラマの女王

7位 トリンドル玲奈 いつの間にか深夜枠ドラマの女王に君臨 40点

今年は深夜枠に連続トリンドルの嵐だ。アロマンティックのヒロインを演じた「今夜すきやきだよ」(テレ東)に始まり、主人公に勝手に敵視される編集者役の「ワタシってサバサバしてるから」(NHK)も。

今期では、ヒモを飼ってる女社長役の「私がヒモを飼うなんて」(TBS)、ストイックだが夜食に釣られるパーソナルトレーナーを演じる「月読くんの禁断お夜食」(テレ朝)。

恋愛枠とも深夜のメシテロ枠とも分類しづらい枠でいつの間にか君臨。31歳の今が勝負、と見た。応援する。

6位 堀田真由 適応性と汎用性の高さ、息の長い女優に 55点

今年の頭に、大河よりも話題を呼んだ「大奥」(NHK)。凄絶(せいぜつ)な過去をもつ暴君・徳川家光を狂気と涙で魅せた堀田。時代劇でも浮かないし、現代女性のリアルもいける汎用性は強みだ。

個人的には「いとしのニーナ」(2020・フジ)で見せた強気な女子高生役や「殺意の道程」(2020・WOWOW)で見せた手練れキャバ嬢役などが好み。今期は「風間公親 教場0」(フジ)で新人刑事たちを軽くいじりながらも支える事務員役。西田尚美や堀内敬子のように息の長い女優になると確信した。

■「どうする家康」の名場面を演じた17歳

5位 伊東蒼 10代の幼さと脆さと鋭さに心奪われる 55点

ここ2年で最も若くて最も目を引いた女優、といってもいい。

まずは映画だ。初見は『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016・宮沢りえ主演)。複雑な家庭環境を達観しているかのように見えて、自分を捨てた母親への愛情を捨てきれずにいる幼気(いたいけ)な小学生の役。なんだこの子は! と思った。その後も、映画『空白』(2021・古田新太主演)、『さがす』(2022・佐藤二朗主演)で、やや問題のある主人公の娘を演じていたのだが、両作ともに深く印象に残った。

画像=映画『さがす』公式サイトより
画像=映画『さがす』公式サイトより

不遇のリアルを切々と淡々と演じる姿に、台本には書いていない心情描写を自然と体現できる女優なのだと感心したのだ。

ドラマでは、気持ちを言語化することに戸惑う繊細な女子を好演。「ひきこもり先生」「おかえりモネ」(2021・NHK)で演じた女子は、どちらも大人が見落としがちなSOSを発している役だ。強者の理論にドブ漬けされて、配慮や想像力に欠けた大人を、ハッとさせる難役だったと思う。

5位にした最大の理由は「どうする家康」第14話の阿月役だ。合わせても2~3話分の出演だが、いじらしさと清々しさに心奪われた。泣いた。

下級武士の娘・阿月は、口減らしで父親に売り飛ばされたが、織田信長の妹・お市(北川景子)に救われて浅井家の侍女となる。浅井長政の謀反を家康に知らせるべく、一晩中山道を走り続けた後で息絶えるという強烈なエピソード。武家で女に生まれた不遇を味わったが、お市に拾われて幸せだった阿月の短い生涯。この役、伊東蒼以外に誰が演じられただろうか。

6月スタートの「やさしい猫」(NHK)も楽しみにしている。

■見上愛と書いて「なまめかしい」と読む

4位 見上愛 恋愛強者の色気と妖艶さに説得力あり 60点

「往生際の意味を知れ!」(2023・TBS系)のコケティッシュな魅力に打ちのめされた。家族の不幸を題材に人気漫画家となった母親に復讐(ふくしゅう)を誓う長女の役だが、入口がすごい。

元彼で自分の信奉者(青木柚)を利用し、妊娠・出産を企むというエキセントリックな始まり。ドキュメンタリーを撮影し、母親が漫画で描く欺瞞(ぎまん)を世に知らしめるという。

自分の魅力を熟知している女のしたたかさとエロス、見上愛の持ち味が炸裂。

恋愛強者としての魅力は、「liar」(2022・TBS系)でも発揮。男女の駆け引きを男側・女側の両面から見せる手法の作品で、肉食系エリート(佐藤大樹)との心理戦(ある種、肉弾戦とも)を展開。「きれいのくに」(2021・NHK)で見せた純粋な女子高生役も印象深いが、そのなまめかしさは「ミス・コケティッシュin令和」とさせていただこう。

■WOWOWの茉優の熱演を見たか

3位 松岡茉優 度胸と愛嬌、適役の連発、波が来た 75点

そもそもうまい。小生意気な役はしっくりきていたものの、この1年で確固たる主語と矜持のある適役にたどりついた、そんな感じがする。バカリズム脚本のスペシャルドラマ「ノンレムの窓」(2022・日テレ)では、コーヒー店で面倒臭いカスタマイズをしてくる客に辟易しながらも、オーダーを完璧にこなす店員役。妙におかしかったし、茉優ならではの対応力と存在感だった。

「初恋の悪魔」(2022・日テレ)では二重人格のヒロインを演じ、仲野太賀と林遣都の間で揺れる切なさと残酷さ(とおかしさ)を提供。

で、何よりも彼女の代表作と呼びたいのが、「フェンス」(2023・WOWOW)だ。

画像=WOWOW「連続ドラマW フェンス」公式サイトより
画像=WOWOW「連続ドラマW フェンス」公式サイトより

個人的には「最高かよ」と思えるヒロインだったが、沖縄における米軍の治外法権や基地問題、人種差別や虐げられて泣き寝入りする女性たちの問題と、内容が濃密だっただけに、エンタメ性だけを重視する人からは距離を置かれたのかもしれず。ただ、傑作であり、茉優の集大成ともいえる熱演は触れておきたいところ。

茉優は潜入取材で裏事情を記事にする元キャバ嬢ライター役。編集長からふられた米兵によるレイプ事件の真相を追うべく、沖縄へ。被害を訴えたのはカフェ店主(宮本エリアナ)。

実は茉優は沖縄出身。理不尽な思いをした女性を救うべく、体当たりで喰らいつく。度胸と愛嬌(あいきょう)、女のプライドとガッツを存分に見せてくれた、過去一の適役。これからも女の矜持を体現し続けてほしいな。

■この名前覚えておいて損はナシ

2位 北香那 したたかと頑固の両刀使いの妙 80点

「バイプレイヤーズ」(2017・テレ東)で演じた片言日本語のジャスミン役以来、多彩な表情を見せ続けている。

大河でも間を置かずに登場。「いだてん」(2019)では負けん気が強い女子生徒・梶原役、「鎌倉殿の13人」(2022)では金子大地演じる源頼家の正妻・つつじ役、そして「どうする家康」では、家康の側室に抜擢されるも(猪を一撃で仕留め、捌く頼もしさ!)、同性愛者であることを告白する侍女・お葉役。寂しげな表情でも、凛とした立ち居振る舞いでも、爪痕を残した。

「東京の雪男」(2023・NHK Eテレ)では雪男と恋に落ち、SDGsの壁を経験するヒロイン、「インフォーマ」(2023・カンテレ)では愛する男を2度も失うキャバ嬢役。女子高生でも若妻でもシングルマザーでも違和感なく、喜劇でも悲劇でもきっちり役をまっとうする女優だと認識。既に引っ張りだこだが、いずれ主役級へ。

■まだ本当の実力を見せていない

1位 小芝風花 言葉の武器をもたせたほうが本領発揮 100点

今期ダントツで面白いのが「波よ聞いてくれ」(テレ朝)だ。原作の漫画が秀逸で、ファンタジーではないのに、奇想天外というか予測不能。罵詈(ばり)雑言の語彙(ごい)力と鋭いツッコミ力が豊富なヒロインを小芝が演じている。

画像=テレビ朝日「波よ聞いてくれ」公式サイトより
画像=テレビ朝日「波よ聞いてくれ」公式サイトより

以前、「徹子の部屋」に出演したときに、関西独特の責任逃れの語尾「知らんけど」が好きだと話していて、大阪府出身のキレやコクをもっと生かせる役をやってほしいと常々思っていた。

可愛らしいルックスで「ドジっ娘・ダメっ娘」の役も多かったが、今回の鼓田ミナレ役はキレッキレ。別れた彼への脅迫一歩手前の暴言も、切れ味鋭いマシンガントークも、階下住民への大迷惑行為(しかも反省は浅い)も、最高に厄介で面白い。

その布石はあった。「女子的生活」(2018・NHK)では、一見「オーガニック・丁寧な暮らし・ほっこり」だが、その実、超好戦的で賢くて意地悪な目線をもつ女子の役だった。

言葉という武器をもった女がしっくり。「事件は、その周りで起きている」(2022・NHK)でも、笠松将と漫才レベルの掛け合いを見事に魅せていたし(しかも絶対に礼を言わない)。

モヤモヤ・ウジウジするよりも、自己主張と本音と毒を吐きまくる姿のほうが見たいなぁ。将来的には皮肉や暴言を吐いた後で「知らんけど」としれっと片付ける大阪のおばちゃんに成長してくれたら嬉しい。

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吉田 潮(よしだ・うしお)
ライター
1972年生まれ。千葉県船橋市出身。法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より東京新聞の放送芸能欄のコラム「風向計」の連載開始。テレビ「週刊フジテレビ批評」「Live News イット!」(ともにフジテレビ)のコメンテーターもたまに務める。

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(ライター 吉田 潮)

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