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体重が減って脳のパフォーマンスが上がる…45キロ痩せた内科医が提案する「最高の食生活」とは

プレジデントオンライン / 2023年5月21日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ljupco

体にいい食事とはどのようなものか。健康・科学専門ジャーナリストのマックス・ルガヴェア氏と医師・ポール・グレワル氏は「健康的に痩せ、脳に最高のパフォーマンスを発揮させるためには、栄養価の高い食品を食べることと、ホルモンの正常な分泌を阻害し、酸化ストレスや炎症を引き起こす食品を避けることだ」という――。

※本稿は、マックス・ルガヴェア、ポール・グレワル『脳が強くなる食事 GENIUS FOODS』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■脳を強くし、肥満を解消する食生活のガイドライン

『脳が強くなる食事 GENIUS FOODS』(かんき出版)の共著者であるポール先生はメディカルスクール時代に、ある問題を抱えていた。今や多くの西洋人に馴染みのあるもの、つまり肥満だ。

先生はその問題を解決すべく、栄養学と運動についてありとあらゆることを学んだ。あいにく、このテーマはメディカルスクールのカリキュラムではあまり重要視されていないのだ。彼が発見した事実は、1年もしないうちに体重が45キロも落ち、その状態がいつまでも続くという結果につながった。本書では、先生が実践したエクササイズと栄養学の情報も紹介している。

ここでは1つのガイドラインとしてまとめた「ジーニアス・プラン」の中から、オススメしたい食事のプランを提案する。

脳に最高のパフォーマンスを発揮させる重要なポイントは、栄養価の高い食品(卵、アボカド、緑の葉物野菜、ナッツ類など)を食べること。そしてホルモンの正常な分泌を阻害し、酸化ストレスや炎症を引き起こす食品(加工油脂、穀物を原料とする加工食品)を避けることだ。糖質たっぷりの加工食品や加工油脂に別れを告げれば、間もなく次のようなことが起こるだろう。

①体重が落ちる。

インスリンの分泌量がぐっと減るため、貯蔵されている脂肪をエネルギー源として燃やす代謝モードに変わる。インスリンは、脂肪細胞の一方弁のように働く同化(合成を促す)ホルモンだ。血液中のインスリンを減らすことが、脂肪を燃やすための必須条件だ。

②エネルギーとスタミナが増す。

普段から炭水化物をたくさん摂っている人は、糖分を摂ると気分がよくなることが多い。だとすると、糖はパフォーマンス増強剤になるのだろうか? 答えはノーだ! 糖分を摂って気分がよくなったとしても、それは単に糖質の離脱症状が収まっただけだ。糖質依存のサイクルから抜けだすことが、高いパフォーマンスを持続させる鍵となる。

③糖尿病予備軍やメタボリックシンドローム、本格的に二型糖尿病を発症するリスクを最小限に抑えられる。

膵臓(すいぞう)のインスリン需要量が減ることにより、インスリン感受性が最適化する。

④すでに糖尿病予備軍か二型糖尿病を発症している場合は、炭水化物の摂取量が減ることによってインスリン抵抗性が改善する。

研究では、インスリン抵抗性のある人は、代謝機能が正常な対照群よりも脳にプラークの蓄積が多く、認知機能も低下していた。穀物を除いた食事(代わりに野菜や、身体にいい脂質を摂る)と、一般的な「抗糖尿病」食(パスタや低脂肪トルティーヤなども摂る)を比較した研究では、穀物を除いた食事のほうが健康状態を大きく改善することがわかった。

⑤終末糖化産物(AGE)の生成が減る。

AGEは、老化を加速させる毒性の強い生成物だ。目、腎臓、脳、肝臓、心臓が保護される、と聞いて心が動かなくても、皮膚のしわやたるみを防ぐ、と聞けば、きっとその気になるだろう!

⑥体内の炎症が減るため、炎症が引き起こす病状も和らぐ可能性がある。

炎症は、アルツハイマー病やパーキンソン病、ALSなど、多くの神経変性疾患に共通して見られる症状だ。炎症は老化を促す大きな要因となり、遺伝子レベルで作用して、あなたの見た目や気持ちを老け込ませるだけでなく、本当に実年齢より年老いてしまう。

⑦気持ちが晴れやかになり、社交的になる。

炎症は、「病者行動」を生じさせる。つまり、病状の悪化を防ぎ、癒やし、集団と距離を置く行動だ。この行動は認知機能の低下、うつ病、倦怠(けんたい)感、集中力の欠如、不安という形で表れやすい。

マックス・ルガヴェア、ポール・グレワル『脳が強くなる食事 GENIUS FOODS』(かんき出版)
マックス・ルガヴェア、ポール・グレワル『脳が強くなる食事 GENIUS FOODS』(かんき出版)

⑧空腹は過去のものになる。

普段から炭水化物をたくさん摂っていた場合、このプランにしたがうと人によって最初に頭痛が起きるかもしれないが、そのうちに治まる。常にブドウ糖をエネルギー源として補給している場合、そのブドウ糖を使い果たすと、脳は「燃料を補給しろ!」と叫ぶ。だが脂肪をエネルギー源として使う状態になると、身体は事実上、無制限に脂肪を蓄えられるようになる。つまり、エネルギーはいつも十分にあるのだ!

⑨野菜の摂取量がぐんと増える。

野菜とその栄養素を摂ると、脳の処理スピードが上がり、認知症の発症リスクが低下する。

■オススメの食事プラン

【朝食】

生物学的には、朝、起きてすぐに何か食べる必要はない。最もよくある朝食のメニューは、脂肪を蓄えることにしか役に立たない。最高の朝食は、コップ1杯の水、ブラックコーヒー、砂糖なしの紅茶といえるだろう。もしあなたが朝食をとると言うなら、必ずタンパク質と脂質、食物繊維をメインにしよう。

【昼食】

ランチにお勧めのメニューを紹介しよう。

▼グリル焼きチキンの大盛りサラダ。
▼放牧豚のバラ肉と天然のサケ、またはグラスフェッドビーフ入り焼き野菜ボウル
▼イワシの缶詰とアボカド
【夕食】

野菜と適切に飼育された家畜のタンパク質をふんだんに採り入れた料理を好きなだけ食べよう! エクストラバージンオリーブオイルをソースとして、たっぷりかけるのもお忘れなく(1人あたり大さじ1~2杯)。夕食にお勧めのメニューをいくつか挙げよう。

▼焼き芽キャベツのエクストラバージンオリーブオイルがけと、グラスフェッド・ピカディージョ。
▼緑の葉物野菜炒めと、塩コショウで味つけした天然のサーモン。
▼「チーズ風味」大盛りケールサラダと、グルテンフリーの超ぱりぱりバッファローチキンウィング
【軽食】
▼ブルーベリー
▼ヒカマ・スティック
▼ダーク・チョコレート
▼アボカド半分に塩を振ったもの
▼ナッツとシード類
▼低糖質のビーフジャーキーやサーモンジャーキー
▼セロリの生アーモンドバター添え
▼エクストラバージンオリーブオイル漬けの天然のサケの缶詰(私のお気に入りだ!)
▼ニュートリショナル・イーストを振りかけた放牧飼育の豚ポークラインズの皮揚げ(これも最高だ!)

■毎日食べる大盛り「オイルがけ」サラダレシピ

あなたの食生活の基本の1つは、毎日1回、大盛りのサラダを食べ、それに加えて身体にいい脂質とタンパク質をたっぷり摂ることだ。健康のためにはサラダを食べろだなんて、ずいぶん大ざっぱな感じがするかもしれないが、毎日大盛りのサラダを1回、必ずメニューに組み入れよう、と決めれば、脳は植物性のさまざまな栄養素と食物繊維によって強化される。しかも、エクストラバージンオリーブオイルを口に入るための最適の乗り物は、サラダをおいてほかにない!

サラダにオリーブオイルをかける人
写真=iStock.com/Nicholas77
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Nicholas77

昼食であれ夕食であれ、どんなサラダも脳(と腸内細菌)を育てる新たな機会だ。特大のマイ・サラダボウルを決めたら(できるだけ大きいものを選ぼう。私は食べながらカラフルな色合いがよく見えるガラス製が好きだ)、街に出かけよう。ベースとなる野菜は、栄養価の高いものを選ぼう。色味の薄い玉レタスは栄養価が低く、水分がほとんどだ。それよりも濃い緑の葉物野菜を買い求めよう。お勧めは、ホウレンソウとケールだ。この2つを使ったサラダのレシピを紹介しよう。これをもとに、自由にアレンジしてほしい。

▼ケール、キュウリ、薄くスライスしたハラペーニョ、生のブロッコリー、ヒマワリの種、アボカド、グリル焼きチキン、エクストラバージンオリーブオイル、バルサミコ酢、塩、コショウ、レモン
▼ホウレンソウ、ルッコラ、トマト、ピーマン、チアシード、アボカド、グリル焼きの子エビ、エクストラバージンオリーブオイル、バルサミコ酢、塩、コショウ、生のニンニクのみじん切り、レモン

サラダづくりのいいところは、ルールがないことだ! できるだけいろいろな種類を盛り合わせて、オリーブオイルをたっぷりかけよう。オイルを合わせることで、たくさんの栄養素(脳の処理スピードを上げるカロテノイドなど)が吸収されやすくなる。ポイントは、毎日1回、大盛りのサラダを食べること。身体のためになるアレンジの幅は広い。

■残留農薬の少ない食品の探し方

できるかぎりオーガニックの食品を選ぼう。

値段が高いから無理だと言うなら、「環境ワーキンググループ(EWG)」による最新の「ダーティ・ダズン」と「クリーン・フィフティーン」を見てほしい(EWGは毎年、新しいリストを公表している)。これは、従来の栽培法による作物のうち、残留農薬が非常に少ない作物(クリーン)と、非常に多い作物(ダーティ)をリストアップしたものだ。現時点のリストにならい、脳を最適化する食品を次にざっと分けてみた(図表1)。

【図表1】脳に良い食品を買う時の注意点
『脳が強くなる食事 GENIUS FOODS』P.432より

以上を参考に、あなたの体質や認知機能、目標とする体型に合わせてアレンジしてみてほしい。

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マックス・ルガヴェア 健康・科学専門ジャーナリスト
映画製作者。「メドスケープ」「ヴァイス」「ファスト・カンパニー」「デイリー・ビースト」などのメディアに寄稿し、「NBCナイトリーニュース」や「ドクター・オズ・ショー」「ザ・ドクターズ」などのテレビ番組に出演、「ウォールストリートジャーナル」紙で紹介されるなど幅広く活動している。講演者としても人気を博し、ニューヨーク科学アカデミーや、ワイルコーネル医療センターなど権威ある学術機関に講師として招かれた。また、スウェーデンのストックホルムで開催されたバイオハッカーサミットでも講演を行った。2005年から2011年まで、アル・ゴアの「カレントTV」のジャーナリストを務める。主にニューヨークとロサンゼルスを拠点に活動を続けている。

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ポール・グレワル 内科医
食生活とライフスタイルという視点から減量や代謝機能、不老長寿のための医療を実践し、講演も行っている内科医。彼自身45キロ近い減量に成功し、その体重を維持している。大きな誇りと情熱を持ちながら、患者が健康に生きるために楽しく続けられる、万人に適用できる療法を探る。ジョンズ・ホプキンズ大学で細胞・分子神経科学の学士号を取得。ラトガース大学メディカル・スクールで医学を学び、ノース・ショア・ロング・アイランド・ジューイッシュ・ホスピタルで研修課程を修了。MyMDメディカルグループを創設し、ニューヨークシティで開業、金融会社や健康管理会社のメディカルアドバイザーを務めている。

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(健康・科学専門ジャーナリスト マックス・ルガヴェア、内科医 ポール・グレワル)

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