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倍率100倍の超人気企業が優秀人材をかっさらう…マッキンゼーの「新卒9割が東大生」が示す残酷な現実

プレジデントオンライン / 2023年5月21日 9時15分

出典=『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』

2024年入社の就職活動が佳境を迎えている。就活コンサルタントの竹内健登さんは「職務を決めて給料を支払う『ジョブ型雇用』が叫ばれているが、実際は個人の能力ではなく、学歴主義の傾向が以前より強まっていると感じる」という――。(前編/全2回)

※本稿は、竹内健登『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』(日経BP)の一部を再編集したものです。

■上位大学出身者ほど30歳時の年収が高い

いきなりですが、図表1を見てください。

この表は、転職口コミサイト OpenWorkを運営する「働きがい研究所」が、50件以上データのあった大学291校、24万6134人を対象データとして集計し、各大学出身者の年収と年齢の分布から30歳時想定年収を算出したものです(大学院は除きます)。

ご覧の通り、一般的に「偏差値が高くて、入学するのが難しい」といわれている大学ほど、30歳時の年収が高い。偏差値上位の大学に入る人ほど高い年収を得やすい、というのは、ひとつの統計的事実といえます。

お子さんの未来を考えて本書を手に取ってくださっている親御さんの中には、「お金はないよりはあったほうがいい」というのに反対される方はいないと思います。

ではなぜ、このような差がつくのでしょうか?

その答えは、「出身大学による、就職先の選択の幅」にあります。端的にいえば、東大卒の人のほうが、その他の大学の卒業者よりも給料の高い会社や仕事に就職しやすい――これこそが、私が運営する就活塾「ホワイトアカデミー」で、毎年数百人の大学生の就活指導を行ない、就活の軌跡や内定先を見ていく中で如実に感じている現実なのです。

■学歴主義の傾向はますます強まっている

メディアではよく、「ジョブ型」「テクノロジーの進展やグローバル化で日本の働き方は変わった」などと叫ばれています。

しかし実際は、日本では職務を決めて給料を支払うジョブ型よりも、会社という組織に入って様々な業務を経験できるメンバーシップ型をとっている会社がいまだに主流です。なぜなら、「解雇権乱用の法理」、端的にいうと「正社員で雇ったらクビにはできない」という法律があるからです。

そのため、ある仕事を任せた際にパフォーマンスが悪くても別の仕事にアサインするなどの措置をとれるメンバーシップ型が好まれます。そしてメンバーシップ型の会社の人事は新卒採用がセットになります。

新卒採用では未経験の若者を採用して育てることが前提となっていますので、「今後、高度な業務や新しい業務を教えたときに、それをキャッチアップできるだけのIQを有した人材」が求められることになります。

IQと学歴は相関すると考えられていますので、学歴主義的な傾向はやはり変わっていませんし、むしろ昨今の複雑化・高度化した社会においてはそれが以前よりも強くなってきてさえいると私は感じています。

■給料を決めるのは「個人の能力」より「勤める会社」

もちろん、IT業界のように、有しているスキルで年収が大きく変わるような業界もあります。また、営業会社のように販売量によるコミッションが給与に大きく影響する会社もあるでしょう。

しかし、新卒を総合職採用している会社の大半はメンバーシップ型であり、それぞれの会社でのそれぞれの人事評価制度が組まれているため、結果的に「人事評価制度的に給与水準の高い会社に入れるか(=メンバーになれるか)」のほうが、労働者の賃金に大きな影響を及ぼしているのが実態です。

転職を経験した方ならばおわかりかと思いますが、ある能力を持った人でも、別の会社に転職しただけで、給料が上がったり下がったりすることは普通にありますよね。会社員の給料は、個人の能力以上に勤める会社のビジネスモデル、そしてそこで導き出される人事評価制度によって決められているのです。

「給与水準の高い会社に入れるかどうか」と学歴は切り離して考えられるものではありません。その点を踏まえれば、先ほどのランキングは、当然の結果といえるでしょう。

採用面接
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

■インターネットの普及で採用活動が変化

「より上位の大学を卒業したほうが、就職先を選びやすい。高収入の企業に就職しやすい」。この傾向に拍車をかけたのが、インターネットの普及による「公募制」の就活です。実は先ほどの「上位校卒→高給取り」の関係性が表立ってきたのは、ここ十数年の話です。

インターネットが普及する以前は、企業はそれぞれ「採用ターゲット校」を定め、「積極的に採用したい大学」と「その学生」に向けて選考案内を送付したりして採用活動を行なっていました。

そのため、多くの学生は、「選考案内が送られてきた学生」と戦うだけで内定をつかむことができました。しかし今は、条件を満たす人ならば誰でも応募できてしまうため、自分より上位の大学出身者と競わなければならなくなってしまっています。

これによって「選考倍率100倍超が当たり前」という大企業が続出したことは拙著『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法』で記載した通りです。

さらに、インターネット普及前は、「採用ターゲット校」が表に出ることはなく、「A社はW大学の学生ばかり採用している」などの情報は内部の人しか知りませんでした。それが、「どうもA社はW大学以上の学歴の学生ばかり採用しているようだ」ということが明るみに出てしまったのです。

結果として、早い段階で大学名を見て特定の学歴以下の学生は説明会に参加させない、エントリーシートで落とすなどの措置(学歴フィルター)が起こり、社会問題となりました。

そうした問題を経て、現在では、「書類時点では出身大学は見ない」と宣言する企業、応募書類に出身校を書かせない企業は増えましたが、それで採用される学生の幅が劇的に変わった、という話はあまり聞こえてきません。多くの企業では、採用する学生の出身大学には偏りが残ったままになっているのです。

■企業規模や人気度ごとに内定者の学歴に傾向がある

では、給与水準の高い企業や人気企業は、どの大学の学生に内定を出しているのでしょうか。先ほどは大学側から見ていたものを、今度は企業の側から見てみましょう。

ここでご紹介するのは、企業ごとの採用学生の学歴です。各業界のトップ企業を抽出し、『就職四季報』に掲載されている採用実績校に加え、当社に所属する教員、塾の卒業生のデータから、「どんな学歴の学生が内定を得たのか」を調査しました。

すると、業界ごと、あるいは企業規模や人気度ごとに、内定者の学歴には大きな傾向が見られました。ここでは、採用した学生の学歴が高い順に、企業にSからCまでにランクづけして、業界や企業を紹介していきましょう。

また、内定者の分布についても、「学歴上位層」「ボリューム層」「学歴下位層」に分けて見ていくこととします(なお、ここで示すのはあくまで推定であり、傾向です。各企業へのお問い合わせはお控えください。また、ここで対象としているのは、就活生に広く認知されている各業界のトップ企業の「総合職採用」のみです)。

【内定者学歴ランク】
S:超上位校の学生を主に採用している「超高学歴」企業
A:上位校の学生を主に採用している「高学歴」企業
B:MARCHの学生を主に採用している「MARCH中心採用」企業
C:偏差値による採用傾向のない「学歴フィルターなし」企業

【内定者の分布】
学歴上位層:その企業が内定を出している学生の中でも、比較的偏差値が高い大学群
ボリューム層:その企業が内定を出している学生が最も多い大学群
学歴下位層:その企業が内定を出している学生の中でも、比較的偏差値が低い大学群

【図表2】採用の学歴フィルターのイメージ図
出典=『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』

■「Sランク」は外資系の金融や戦略コンサル

それではさっそく、Sランク企業から紹介しましょう。

Sランク――「超高学歴」企業

採用する学生の「ボリューム層」が、

・東京一工:東京大学・京都大学・一橋大学・東京工業大学
・旧帝大:東京大学・京都大学・名古屋大学・東北大学・北海道大学・大阪大学・九州大学

で、「学歴下位層」が、

・早慶上位学部:政治経済・法・理工(早稲田)/法・経済・医・理工・薬(慶應)

なのが、「Sランク」企業です。

こうした採用傾向は、ゴールドマン・サックス証券、バークレイズ証券、ドイツ銀行グループなどの外資系の投資銀行(証券会社)や、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ボストン コンサルティング グループ(BCG)、ベイン・アンド・カンパニーなどの外資系戦略コンサルティング会社、そして日本M&Aセンターやジャフコグループ、ケネディクスなどのファンド会社で見られます。

■マッキンゼーは新卒の9割弱が東京大学

これらの企業は初任給が1000万円前後というところも珍しくなく、多くの社員が20代のうちに年収1000万円台に突入します。成果主義のところもあり、人によっては2000万円以上の年収に早々に達することもあるでしょう。平均で見ても、1500万~2000万円というところが多いようです。

竹内健登『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』(日経BP)
竹内健登『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』(日経BP)

月あたりの残業時間が80時間や100時間を超えるような激務体質の企業が多いものの、スキルと年収の2つの観点から、東大生や京大生から例年人気となっている企業群です。

参考までに戦略系コンサルティング会社の2021年卒の採用実績校を見てみましょう。マッキンゼー・アンド・カンパニーは採用数33人のうち、東京大学29人、京都大学3人、名古屋大学1人です。つまり、この年の新卒の9割弱が東京大学です。BCGは東京大学8人、京都大学6人、早稲田大学3人、東京工業大学2人など8大学のみとなっており、早慶でもほとんどの人が落ちます。

となれば、MARCHに進学した大学生が、これらの企業に就職しようというのは事実上、不可能に近いといえるでしょう。

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竹内 健登(たけうち・けんと)
就活コンサルタント
東京大学工学部卒。就活塾「ホワイトアカデミー」を創立・経営。これまで800人以上の就活をサポート。塾はホワイト企業の内定が出なければ費用を全額返金する制度が特徴。YouTubeチャンネルではホワイトな業界の紹介や大手企業の倍率、ESの添削を公開するなど塾の就活ノウハウを一部紹介している。著書に『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法』(日経BP)。

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(就活コンサルタント 竹内 健登)

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