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一家4人で「1人1食300円生活」がやっと…就活コンサルが試算した「MARCH以下大学生」の暗い未来

プレジデントオンライン / 2023年5月21日 10時15分

出典=『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』

大学生がイメージする「普通の暮らし」に必要な年収は約650万円と言われている。就活コンサルタントの竹内健登さんは「学歴によって年収が決まる日本では、大学生の多くが年収650万円を超える企業に就職できないのが実情だ」という――。(後編/全2回)

※本稿は、竹内健登『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』(日経BP)の一部を再編集したものです。

■「Aランク企業」は早慶上理ICUが中心

(前回からつづく)

Aランク――「高学歴」企業

Aランク企業は、

「ボリューム層」
・早慶上理ICU:早稲田大学・慶應義塾大学・上智大学・東京理科大学・国際基督教大学

「学歴上位層」
・東京一工:東京大学・京都大学・一橋大学・東京工業大学
・旧帝大:東京大学・京都大学・名古屋大学・東北大学・北海道大学・大阪大学・九州大学

「学歴下位層」
・MARCHの優秀層:明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学です。

Aランク企業には以下のような業界・企業が集まりました。

Aランク企業の例
・ 主要キー局……フジテレビジョン、TBSテレビ、テレビ朝日、日本テレビ放送網
・ 大手広告代理店……電通、博報堂
・ 大手デベロッパー……三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングス、野村不動産ホールディングス、森ビル
・ 食品・日用品メーカー……サントリー、P&Gジャパン、日本ロレアル、資生堂、ユニ・チャーム、ユニリーバ・ジャパン、花王、味の素

■CMでよく見かける年収1000万円企業がずらり

・ 大手自動車・機械メーカー……トヨタ自動車、ソニー
・ 素材・化学メーカー……三菱マテリアル、帝人、日本製鉄、JFEホールディングス
・ 日系シンクタンク……野村総合研究所、三菱総合研究所
・ 大手医薬品メーカー……アステラス製薬、第一三共、エーザイ
・ ITコンサル……デロイト トーマツ コンサルティング、アビームコンサルティング、PwCコンサルティング、NTTデータ、アクセンチュア、日本IBM
・ 5大総合商社……三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、丸紅、住友商事
・ メガバンク(ホールセール(※))……三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行
・ 大手金融(ホールセール(※))……野村證券、SMBC日興証券、みずほ証券
・ 総合出版社……KADOKAWA、集英社、小学館、講談社
・ 海運……日本郵船、商船三井、川崎汽船

※ホールセールとは大企業や機関投資家、自治体などの公共機関といった顧客を対象にする大口営業業務。

こうした、CMや日経新聞でよく見聞きする「大手人気企業」の平均年収は1000万円前後です。このことが図表1のランキングでの、早慶上理ICU卒の高い平均年収の裏付けとなっていることがわかりますね。

■日本型雇用が特に強く根付いているのが特徴

また、日本型雇用が特に強く根付いているケースが多いのも、これらの企業グループの特徴です。新卒社員を長期間にわたってしっかり育成するための研修制度やキャリアパスが整備されていたり、福利厚生もしっかりしていたりします。

参考程度に、「5大総合商社」の一角、三菱商事の採用実績は図表2の通りです。

【図表2】三菱商事の大学別採用人数ランキング
出典=『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』

10位で採用数が2人ですから、ほぼ、このレベルの大学で占められると考えてよいでしょう。このように見ると、トップ10にMARCHの名前はなく、東京大学や京都大学、早稲田や慶應の学生に占められているのは一目瞭然です。

もちろん、「ここに挙がっている大学に進学したから、こうした企業に入りやすくなる」ということではありません。しかし、「Aランクの企業の求める学生像が、ここに挙がっているような大学の学生である」。逆にいえば、「こうした企業に入りたいならば、ここに挙がっているような大学を卒業しないと難しい」というのは、間違いないと思います。

■食品メーカーの倍率は例年飛び抜けて高い

「まちづくりや都市開発をしたい」「テレビ制作やメディアに関わりたい」という高校生は多くいますが、それを行なっているデベロッパーやテレビ局が見ている学生は、基本的にはここで挙げた層である、ということを理解しておくことが必要です。

ちなみに、逆のパターン(より上位校に進学した学生が、よりランクの低い企業への就職を希望する場合)もあるかと思います。その場合は、企業から志望の本気度を疑われ、やや選考が不利になるケースも見られます。希望する将来像がある程度固まっている場合には、それを踏まえて進学する大学を選ぶことをお勧めします。

ただし、より下位校の学生が高ランクの企業を目指すよりは有利になりますので、迷っているならより上位校を目指しておいたほうがいいでしょう。

なお、学生が就職を希望する企業は、一般消費者への知名度に極端に影響を受けるため、中でも食品メーカーの倍率は例年、飛び抜けて高い傾向にあります。そうした競争に勝ち抜くためには、学歴を無視はできないはずです。

■「Bランク企業」は理系や文系SEを採用する

Bランク――「MARCH中心採用」企業

Bランクは、

学歴上位
・旧帝大:東京大学・京都大学・名古屋大学・東北大学・北海道大学・大阪大学・九州大学
・早慶上理ICU:早稲田大学・慶應義塾大学・上智大学・東京理科大学・国際基督教大学

ボリューム層
・MARCH:明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学

学歴下位
・日東駒専上位層:日本大学・東洋大学・駒沢大学・専修大学

といった企業です。

ここには、理系学生を多く採用する企業と、ITベンチャーやインフラ企業などで文系の学生をSEとして採用する企業が集まっています。

 【図表3】採用の学歴フィルターのイメージ図
出典=『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』

■採用人数が多いのが特徴で、平均年収800万円前後

Bランク企業の例
・ 大手ITベンチャー……リクルート、サイバーエージェント、楽天グループ、Yahoo! JAPAN
・ スーパーゼネコン……大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設、竹中工務店
・ 通信・SIer……NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI、NEC、NTTコミュニケーションズ、日鉄ソリューションズ、伊藤忠テクノソリューションズ、日本総研、大和総研、電通国際情報サービス、BIPROGY(旧・日本ユニシス)、SCSK
・ 大手メーカー……日立製作所、川崎重工業、キーエンス、富士フイルム、京セラ、日本IBM
・ 大手インフラ……東京電力、関西電力、中部電力、東京ガス、大阪ガス
・ 損害保険……東京海上ホールディングス、MS&ADホールディングス、SOMPOホールディングス
・ 商社・専門商社……豊田通商、双日、兼松、日鉄物産、JFE商事、三菱食品

これらの比較的学歴に寛容なラインを設けている企業は、採用人数が多いのも特徴です。

日本IBM、日立製作所、富士フイルム、伊藤忠テクノソリューションズや、建設系の大成建設や大林組はいずれも技術者として、1社あたり100人や200人といった規模で大量に採用しています。平均年収は800万円前後。お子さんの教育費を鑑み、就職を見据えて大学を選ぶならば、最低でもこのレベルを考えたいのが親心ではないでしょうか。

■日東駒専が中心だが、明確な学歴フィルターなし

Cランク――「学歴フィルターなし」企業

続いて、学歴フィルターがないと思われる企業群です。傾向として、

学歴上位
・MARCH:明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学

ボリューム層
・日東駒専上位層:日本大学・東洋大学・駒沢大学・専修大学

学歴下位
・大東亜帝国上位:大東文化大学・東洋大学・亜細亜大学・帝京大学・国士舘大学

という企業が集まりました。

Cランク企業の例
・ メガバンク(リテール(※))……三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行
・ 大手小売……ニトリ、良品計画、ファーストリテイリング
・ 大手金融(リテール(※))……野村證券、SMBC日興証券、みずほ証券
・ 大手ハウスメーカー……大和ハウス工業、積水ハウス
・ 生命保険(リテール(※))……第一生命保険、日本生命保険

※リテールとは、個人や中小企業といった比較的小口の顧客を対象とする営業業務。

■ノルマはきついが、30代で年収1000万円も狙える

これらの企業の採用実績を見るに、日東駒専がボリューム層ではありますが、それ以外の大学からも積極採用を行なっています。その点で、明確な学歴フィルターはないと見てよいと思います。

傾向としては、リテール営業職を毎年大量採用する企業が多く集まった印象です。

ここでいう「リテール営業職」というのは、主に金融業界で個人や中小企業を対象とする営業業務を指しています。業務上のノルマがきつく離職率が高い傾向にはありますが、きちんとこなして昇進していけば、30代で年収1000万円を超える会社が多いのが特徴です。

それ以外のリテール、例えば小売業などのリテールなどは、一般に、生産性が上がりにくい職種として知られ、年収400万円前後となることも珍しくありません。

一口に「リテール」といっても、入る会社・業界によって平均年収には大きな差がつきますので、注意してください。

■ランク外企業で子育てするなら「1食300円」生活になる

なお、今回は「企業によって採用の学生の学歴に傾向がある」ということを実感として知っていただくために、ランクづけは大手企業を中心に行ないました。

ここで解説していない大企業の子会社やグループ会社、中堅企業は、業界や企業によって差はあるものの、概ね日東駒専レベルの学生がボリューム層で、平均年収は400万~600万円程度という傾向にありました。

今どきは、これらの年収も統計的には決して低いほうではありませんが、世帯の収入源が1人の場合には、多くの大学生が描く「普通の暮らし」「普通の人生」には足りないのが実際です。

高い所から街を見下ろしている男性の後ろ姿
写真=iStock.com/kieferpix
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kieferpix

というのも、学生たちのいう「普通に働いて給料をもらって、普通に結婚して、普通に子どもが育てられれば」というのをざっくり試算してみると、年間650万円程度の収入が必要となる見込みだからです(30代前後の夫婦と子ども2人の4人家族・賃貸マンション暮らしを想定、東京地方労働組合評議会東京春闘共闘会議「東京都最低生計費試算調査」より)。

ちなみにこの試算では、食費は1人1食300円程度、家族みんなでの行楽は月に1回8000円程度、飲み会も月に1回3500円程度です。

Cランクで紹介したようなハードなノルマが課せられていることは少ないようですが、こうした将来像を見据えたうえで大学受験に臨むことは不可欠です。

■早慶卒でも大手企業に勤めるのは4割

今回の調査は、あくまでいくつかのデータから全体を推察したものであり、絶対的な基準ではありませんのでご注意ください。

竹内健登『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』(日経BP)
竹内健登『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』(日経BP)

加えて、ここでお話ししているのは、「Bランク企業の採用ターゲットがMARCHであること」であり、これは「MARCHに通えばBランク企業に行けること」とは全く違います。少し前のデータにはなりますが、早慶生で大手企業に勤めるのは全体の4割程度、MARCHだと25%程度と、企業の採用ターゲット校に進学した先でも厳しい競争が待っていることは、忘れないでいただきたいと思います。

ただ、そうはいっても、「上位校→人気大手企業に就職→高収入」という傾向は、統計的に見て間違いありません。

親御さんも一丸となってお子さんの大学受験対策に乗り出している以上は、なるべく上位校を目指していただきたいと思っています。

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竹内 健登(たけうち・けんと)
就活コンサルタント
東京大学工学部卒。就活塾「ホワイトアカデミー」を創立・経営。これまで800人以上の就活をサポート。塾はホワイト企業の内定が出なければ費用を全額返金する制度が特徴。YouTubeチャンネルではホワイトな業界の紹介や大手企業の倍率、ESの添削を公開するなど塾の就活ノウハウを一部紹介している。著書に『子どもを一流ホワイト企業に内定させる方法』(日経BP)。

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(就活コンサルタント 竹内 健登)

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