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「これから半年間、誘われた飲み会は全部出てみてほしい」コロナ入社組が知らない"会社の宴会"のすごい効果

プレジデントオンライン / 2023年5月24日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

会社の飲み会は不要なのか。経営コンサルタントの鈴木貴博さんは「会社員人生を充実させたければ、飲み会に出たほうがいい。飲み会は社内で“バズる人”になるチャンスだ。会社員人生で役立つスキルも身に付けられる」という――。

■なぜか社長や役員に知られている「目立つやつ」

コロナ禍で今の会社に入社して、3年間リモート会議でそれほど出社する機会もなく、マスクのおかげで同僚の顔もろくに知らない。そんな環境で育った若手社員が、これまで会社からは教えてもらえなかった大切な仕事術の話をします。

最初に読者のみなさんに確認したいのですが、みなさん社内でバズっていますか?

わたしたちが会社で働く理由は大きくふたつあります。ひとつは生活費を稼ぐため。そしてもうひとつが承認欲求を満たすためです。ところがコロナ禍で後者の「社内で承認される機会」が激減しました。会社自体が生き残らなければならないことになったせいで、DX化が進み、リモートワークでは効率化が重視され、日本全体で仕事は「乾いた」ものへと変貌しました。

結果として会社の中で自分が目立つ機会も激減しました。これが今回の記事の問題意識です。

コロナ以前にはどの会社にもポジションとは別に「目立つやつ」がかならずいたものです。

「若手で権限も予算も持っていないけれども社長や役員に名前を知られている」
「部署が違うので名前は知らないけれどなぜか存在感がある」
「聞けば誰でも知っている」

そんな承認欲求に満たされた社員が職場にたくさんいたものです。

■これから半年間、誘われた飲み会に全部出てみてほしい

承認欲求について補足説明すると、会社員の人生は出世できるかどうかだという古い考えはいまだにあります。出世も承認のひとつの証ですから、それを否定する気はありません。しかしZ世代にとっては出世という承認よりは、相手に認知されリスペクトされる承認の方がはるかに重要です。

さらに言えば、会社員人生の大半の期間においては出世ではない形で承認されているほうがはるかに重要です。職場での承認欲求が満たされた会社員人生は充実したものになります。周囲から「あいつは面白い」ないしは「あの人と働きたい」と思われることは人生にプラスなのです。

そしてこの承認の大半は日常の会社生活の中で生まれます。

ここからは「飲み会」を具体例に解説しましょう。若手社員の多くが会社の飲み会は「タイパが悪い」と思っています。個人主義、自分の仕事優先であればそれで構いません。しかし会社員人生を充実させようと思ったらこの考え方はバツです。

アフターコロナで出社する機会が増えると、これから飲み会のお誘いも増えると思います。騙されたと思って試してほしいのですが、誘われた飲み会にこれから半年間、全部出てみてください。

■二度誘いを断ると、声をかけられなくなる

ちなみにこれは、コロナ以前には新入社員や他部署に異動したばかりのよそ者社員に普通に流通していた基本ノウハウです。最初の数カ月、飲み会を断らずにすべて受けているうちに、あなたは必ず周囲から誘われるようになります。実はこの段階ですでに「ノリがいいやつ」として承認されているのです。これが逆に二度誘いを断ってしまうと三度目からは声がかからなくなり、同僚から承認される機会が激減してしまいます。

親指を立てる
写真=iStock.com/seb_ra
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/seb_ra

さて、「社内でバズる」というと一発芸で注目を引くとか、大失敗をして炎上するとか、SNSでバズるのと同じやり方をイメージする方もいらっしゃるかもしれません。会社員人生にこのようなノウハウは必要ありません。重要なことはそれよりももっと基本的なことです。

それは「雑談力」と「聞く力」です。飲み会に顔を出すようになると「リモート会議のせいで、ビジネスで重要なこれらふたつの力を失ってきた」ことに気づくかもしれません。この力がこの先、社内でバズるために磨きこむべきビジネススキルです。

■飲み会は「雑談力」を鍛える絶好の機会

SNSで承認されるには、話題を提供することと相手に「いいね」を提供することが大切です。実社会で承認されるためにするそれと同じことが、この雑談力と聞く力だと考えてください。会議の合間、仕事の合間での雑談は本当はビジネススキルを広げたりビジネスチャンスを見つけたりするためには重要なことです。

それがコロナ禍で機会が激減し、結果、新人だけでなくすべてのビジネスパーソンにとって「腕がなまった状態」になっています。だからこれからのアフターコロナでは意図して雑談力を回復させる行動が必要です。そして飲み会はそのための最適なリハビリの場になるはずです。

さらに飲み会では話題を提供する以上に、聞き手にまわってくれる知人は大切にされます。自分が承認欲求を持っているのと同じくらい、実は同僚も承認欲求を持っています。その同僚と相互承認が進めば「1いいね」になります。そういった知り合いの数が増えれば「10いいね」「30いいね」と社内で承認してくれる同僚の数がどんどん増えていきます。

こういった平成の時代にはあたりまえに行われてきた飲み会での立ち居振る舞いの技術が、令和のコロナ禍で失われました。実際、コロナ禍入社の社員の方はこんなことは知らなかったのではないでしょうか。

■「100人飲み会」は無駄ではない

会社によってはコロナ禍前には「100人飲み会」があった職場も少なくないと思います。

「100人飲み会なんて時間とお金の無駄だよ。絶対参加したくないね」

と考える読者の方、悪いことを言わないので一度、これからお話しすることを聞いてください。

アフターコロナで経営者が一番復活させたいことのひとつが大人数での職場宴会です。事業部単位なら100人飲み会になりますし、支店や営業所単位なら十数人から数十人の飲み会になるでしょう。

この規模の飲み会に参加しても話ができる同僚は数名ですし、場合によってはあまり知らない人と同席することになって苦痛な時間になりかねません。だから敬遠する人が多いのですが、これが実は職場からみれば「風土を醸成するためにとても重要な時間」になるのです。

飲み会
写真=iStock.com/JohnnyGreig
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JohnnyGreig

だから新人の歓迎会や忘年会など理由をつけて職場では大人数の宴会が開かれます。これは会社にとって意味があるだけではなく、実はみなさんにとっても意味がある場です。なぜなら社内の「いいね」をたくさん集めるには大人数の方が効率がいい。大規模にバズりたいならなおさらです。

ですから、

「なんとかうまく逃げ出せないか」

という発想をやめて、一度ポジティブに、

「この機会をどう生かそうか?」

と考えてみてください。一番いい方法は幹事に名乗り出ることです。

■幹事を引き受ければ、上の人とつながれる

大規模な社内宴会の幹事をするというのは仕事としては大変なのですが、実は社会生活に役立つ実務スキルがとても多くたまる機会でもあります。そもそも100人で宴会ができて、ひとり5000円以内で済んで、しかも部長がよろこぶ(食事がまずいとかいって顔をしかめない)お店を選ぶこと自体、ミッションとしての難易度が高いものです。

そこで幹事にとっては自力でやるよりも他の社員の力を借りる必要がでてきます。過去に幹事をやった先輩や、日ごろ話しづらいナナメ上の(つまり上司ではない)管理職のひとに宴会を理由にお願いを乞うことになります。

実は幹事をやるときの最大のノウハウは、こうやって少しずつ上の人の助けを借りること。これはあらたに顔を覚えてもらうことにつながるうえに、これから起こるであろうさまざまなトラブルについても、上のひとたちが心理的に共同責任を感じてくれるという意味で重要な布石になります。そして成功しようが大失敗しようが、記憶に残るという意味で職場での承認欲求を満たす最大のチャンスになるのです。

■経営者には「人間としてのモテ力」がある

最後にここまでの話の奥義についてもお話しします。

幸せな会社員人生を送るために必要な最大のスキルは何でしょう? 実は仕事ができる以上に重要なスキルがあります。少なくとも経営コンサルタントとして仕事をしてきたわたしがこれまで何十人とお付き合いしてきた魅力ある経営者のみなさんに共通するスキルです。

実はそれは「モテ力」です。モテ力というと、若い方は異性にモテる力をイメージされるかもしれません。それも大事ですが、本当に大事なのは人間にモテる力です。経営者の例で説明すると、例外なく「その場の空気を支配する力」を持っています。それも部下と上司のような力ずくの関係だけではなく、わたしのような第三者でも人間的魅力で惹きつけます。

男性ビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

そしてその人間的魅力は外見やキャラといったナチュラルなものではなく、スキルと経験で獲得できる力でもあります。ただそのスキルは実は職場では培いづらい。なぜなら「笑顔」とか「ユーモア」とか「茶目っけのあるアイコンタクト」といった、フォーマルな場では多用しづらい要素が関係してくるので、少し打ち解けないと威力を発揮しづらいのです。

■先輩社員に可愛がられる人は、いずれ若手に慕われる

そこで言いたいことは「飲み会がビジネスパーソンとしてのモテ力を育成するためには一番よい場所だ」ということです。ちなみに飲み会の場で、

「すみません。ちょっと教えてほしいことがあるんですけど」

と上司や先輩に話しかけて教えを乞うて仲良くなるテクニックは、普段の職場で話しかけづらい相手に対しても使えるキラーフレーズです。人生観でも業界知識でも何でも大丈夫です。お試しあれ。

いずれコンプラの関係で死語として使えなくなりそうなビジネス用語に「ジジィ殺し」という言葉があります。なぜか年上の社員に可愛がられる若手社員を指す言葉ですが、実は若いころこのスキルを身に付けた人は、年をとると今度は若い社員から慕われるようになります。その力はナチュラルな性質ではなくスキルで、職場を離れた飲み会で身に付きやすいものであり、そして会社員生活では非常に役に立つ力なのです。

ひとことでまとめると「会社員人生を幸せにするのは職場ではない、居酒屋が重要なんだ」というのが今回のお話です。ちなみにわたしは下戸ですが、この原理原則は常に忘れず行動しています。

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鈴木 貴博(すずき・たかひろ)
経営コンサルタント
1962年生まれ、愛知県出身。東京大卒。ボストン コンサルティング グループなどを経て、2003年に百年コンサルティングを創業。著書に『日本経済 予言の書 2020年代、不安な未来の読み解き方』など。

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(経営コンサルタント 鈴木 貴博)

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