PayPay、楽天、ドコモ、au、イオン「5大経済圏」を徹底比較…結局一番得するのはどこか
プレジデントオンライン / 2023年5月25日 8時15分
■家計の「5大経済圏」をチェック
PayPay、楽天、ドコモ、au、イオンといった「経済圏」では、系列のさまざまなサービスを使うほどポイント還元や割引などの特典が受けられるのでお得です。今回は、PayPay、楽天、ドコモ、au、イオンの5大経済圏の概要と、各経済圏を使い倒した場合にお得になる金額、経済圏の選び方のポイントまで解説します。
PayPay、楽天、ドコモ、au、イオンの5大経済圏の概要と主なサービスの還元率を紹介します。なお、以下紹介する還元率は所定の条件をすべて満たした場合の最大値(2023年5月12日調査時点)となっています。また、キャンペーンや制度の変更などによって還元率が増減する場合がある点はあらかじめご了承ください。
■PayPay経済圏
PayPay経済圏は、ソフトバンクグループの経済圏です。スマホ決済でおなじみのPayPayは、登録ユーザー数が5500万人を突破(2023年2月時点)、加盟店は374万カ所(2022年6月末時点)を超えています。
PayPay経済圏を利用すると、「PayPayポイント」が貯まります。PayPayを利用した場合の基本還元率は0.5%ですが、PayPayあと払いの利用で翌月+0.5%、月30回300円以上・10万円以上利用で翌月+0.5%と還元率をアップできるため、合計で最大1.5%還元となります。
また、ネットでの買い物では基本還元率が1%ですが、ストアポイントが1%もらえるうえ、Yahoo!ショッピングでPayPayの支払いを「PayPay残高」(チャージしたお金)で行うことで3.5%の還元が受けられるので、合計最大5.5%の還元が得られます。
PayPayカードゴールドを利用すると、ソフトバンクのスマホや光回線代の支払いで10%還元が受けられます。また、PayPay証券では2023年4月8日から、ETFや投資信託の買付代金にPayPayポイントを充当できるポイント投資もできるようになりました。投資にもますます使いやすくなっています。
■楽天経済圏
経済圏といえば楽天経済圏を連想する方も多いでしょう。楽天経済圏を使うことで、「楽天ポイント」が貯められます。楽天ペイは約500万カ所で利用可能(2022年6月時点)です。
楽天カードでチャージした「楽天キャッシュ」を使って楽天ペイで支払うと、最大1.5%のポイント還元が得られます。そのうえ、楽天ポイントカードの対象店舗ならば楽天ポイントカードを提示することでさらに1%のポイントがもらえます。
楽天経済圏ではSPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象サービスを利用して条件を達成すると、楽天のショッピングサイト「楽天市場」での買い物で得られるポイントが最大16倍(16%)に増えます。
楽天証券と楽天銀行の口座を連携する「マネーブリッジ」を設定すると、楽天銀行の口座に入金したお金が直接楽天証券での投資に利用できるようになります。そのうえ、普通預金の金利が年0.02%から最大年0.1%に優遇されます(普通預金残高300万円超の部分は年0.04%)。また、「ハッピープログラム」にエントリーすることで、楽天証券での取引に応じて楽天ポイントを貯めることもできます。
■ドコモ経済圏
ドコモ経済圏はNTTドコモが運営する経済圏。ドコモ経済圏では、「dポイント」が貯められます。スマホ決済のd払いは、約448万カ所で利用可能です(2022年12月末時点)。
d払いの基本の還元率は0.5%ですが、支払い方法をdカードに設定することで、還元率が+0.5%となります。また、ドコモユーザーであれば「ステップボーナス」によって、毎月のd払いの決済回数(200円以上)に応じて、最大1.5%のポイント還元が得られます。対象店舗であれば、ポイントカードを提示することでさらに還元率が1%アップします。ネットショッピングの「dカードポイントモール」には、最大で15%還元になる店舗もあります。dカードで決済すれば合計16%還元です。
d払いはドコモユーザーでなくても利用できますが、ドコモユーザーにお得な特典が多くなっています。d払いを利用して毎週金・土曜日の「d曜日」に対象のサイトで買い物すると3%のポイント還元がプラスされます。そのうえ、dカードゴールドを利用してドコモの利用料金や光回線の代金を支払うと、10%のポイント還元が得られます。
■au経済圏
au経済圏では、Pontaポイントが貯まります。au PAYは約565万カ所で利用できます(2023年2月末時点)。
au PAYの基本の還元率は0.5%ですが、au PAYゴールドカードを利用してチャージした場合には+1%の還元が得られます。また、毎月5のつく日と8日の「たぬきの吉日」には、auユーザーなら+4.5%、UQモバイルユーザーなら+2.5%の還元が得られます。
ネットでの買い物でau PAYカード・au PAYゴールドカードを利用すると「買い得メンバーズ」では、所定のサービスを利用することで最大9%の還元が得られます。そのうえ、「auスマートパスプレミアム会員」であれば、3のつく日の「三太郎の日」に3%の還元が得られます。また、au Payゴールドカードでauの携帯料金を支払うと11%のポイント還元が得られます。
ドコモ経済圏と同じく、au経済圏もauユーザー以外の方でも利用できます。しかし、au関連サービスのユーザーへの特典が多いことがわかります。
■イオン経済圏
イオン経済圏は、イオンをはじめとするさまざまなイオン系の店舗で利用できる経済圏です。地方の大型店によく行く、といった方に向いています。
イオンカードセレクトは基本の還元率が0.5%ですが、イオングループの店舗で利用することで還元率が0.5%アップします。また、毎月5のつく日の「お客さまわくわくデー」や10日の「ありが10デー」に利用すると、ポイント還元が大きくなります。
さらに、CMなどでも見かける「お客さま感謝デー」は買い物が5%オフになるので、生活費の削減の味方になります。加えて、株主優待でもらえるオーナーズカードを買い物のときに提示すると、買い物額の3%~7%がキャッシュバックされます。
イオン銀行で住宅ローンなどの対象ローンの借り入れをしている人が利用できる「イオンセレクトクラブ」も2023年3月に拡充。以前は5年間限定だった「買い物代金5%オフ」の特典が住宅ローン完済まで得られるようになっています。
イオン銀行の「イオン銀行Myステージ」は、イオン銀行で対象となる取引をすることで貯まる「イオン銀行スコア」に応じて特典を受けられるサービスです。最高位の「プラチナステージ」であれば、イオン銀行の預金金利が年0.1%に上昇するうえ、他行ATMの利用手数料や他行への振込手数料が月5回まで無料になります。
■生活・貯蓄を1つの経済圏にすると、いくらお得になるのか
生活の支出すべてをどれか1つの経済圏に絞っていった場合、いくら還元が受けられるのでしょうか。
総務省「家計調査報告」(2022年平均)によると、二人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり1カ月平均29万865円です。各費目の支払いを同じ経済圏でまとめたり、同じ経済圏のサービスを利用して支払ったりした場合、いくらお得になるかを考えてみました。
なお、表の作成にあたって、「食料」「家事・家事用品」「被覆及び履物」「教養娯楽」「その他の消費支出」はすべて店舗で決済したものとして計算。還元率は通常の利用でもっとも高い場合にしています(特定の日・店舗で得られる割引を考慮していません)。ネットショッピングの方が高還元率になることも多いと思いますが、わかりやすさを重視して省略しています。
また、「光熱・水道」は「電気」「ガス他」「水道」、「交通・通信」は「交通・自動車」「通信」に分解し、各社のサービスを利用した場合の還元率を示しています。
トップはPayPay経済圏の4951円。ドコモ経済圏がそれに続いて4735円です。大きく貢献しているのが通信費で、光回線・スマホ代ともに10%還元になっています。ただし、10%還元を受けるにはゴールドカード(年会費1万1000円)が必要なことには注意が必要です。
au経済圏は4520円。こちらも、ゴールドカードで通信費のうちスマホ代は11%還元なのですが、光回線が1%還元なので、ここでは平均して6%還元とカウントしています。しかし、電気代やガス代が3%還元なので、健闘しています。
一方、楽天経済圏は3671円、イオン経済圏は3029円となっています。ただ、楽天経済圏は楽天市場のSPUによるポイント大幅還元、イオン経済圏はお客さま感謝デーなどの割引が考慮されていないので、うまく利用すればまだまだポイント還元・割引が得られるでしょう。
■貯蓄・投資でもかなり差が出る
さらに、貯蓄・投資をした場合の金利やポイント還元を確認してみましょう。図表7は、各経済圏の金融機関において
・普通預金口座で給与受取・クレジットカード・携帯料金の引き落としを行う
・毎月5万円(年60万円)の投資信託積立をする
場合に得られる普通預金金利・ポイント還元の目安(年額)をまとめたものです。
楽天経済圏では「ハッピープログラム」や投資信託の「楽天カードクレジット決済」を利用することで、年間6000円ほどの上乗せが可能。au経済圏も同様で、「auまとめて金利優遇」によって普通預金金利を最大0.2%にできるのが大きいですね。イオン経済圏でも「イオン銀行Myステージ」によって、普通預金金利を最大0.1%にできます。
ドコモ経済圏は普通預金金利こそアップしないものの、「dスマートバンク」でドコモの携帯料金引き落とし・給与受取口座指定をすると月55ポイント、年660ポイントのdポイントがもらえます。また、SBI証券の「投信マイレージサービス」を活用すると、投信保有残高に応じてdポイントがもらえます。なお、ここには含めていませんが、三井住友カードを利用した「クレカ積立」では、これとは別に0.5%〜5%のVポイントがもらえます。
これらはあくまで試算であり、実際の利用状況によってもらえるポイントは変わります。とはいえ、どの経済圏でも使い込むことでお得になることは確実でしょう。
■マイ経済圏の選び方を解説
自分に合う経済圏を選ぶときには、次の3つのポイントを確認しましょう。
●経済圏を選ぶポイント1:普段使っているポイント(クレカ、電子マネー、スマホ決済、ポイントカード)と相性が良いかどうか
普段の買い物はもちろん、クレカ、電子マネー、スマホ決済、ショッピング、モバイル、水道光熱費、銀行、証券などとの相性が良いかを確認しましょう。複数のサービスを1つの経済圏にまとめるほどポイント効率が良くなりますし、同じポイントが貯められるので使いやすくなります。
●経済圏を選ぶポイント2:生活圏で利用できるかどうか、利用できる実店舗数が多いかどうか
たとえば、ネットではお得でも、お住まいや勤務先などの生活圏ではあまり使えない……というのでは、あまりお得になりません。キャッシュレス決済を利用できる店舗はずいぶん増えましたが、普段からよく利用しているお店でも活用できるのかを確認しましょう。
●経済圏を選ぶポイント3:還元率が高いかどうか、キャンペーンは充実しているか
キャッシュレス決済のほとんどは、基本の還元率が0.5%~1%です。しかし、キャンペーン期間になると還元率が高くなったり、割引が適用されたり、お得なクーポンがもらえたりすることもよくあります。できるだけ、さまざまなキャンペーンを展開している経済圏・キャッシュレス決済を利用しましょう。
■経済圏をまとめても無駄遣いで台無しに
なお、ポイントを貯めるための無駄遣いには要注意。ポイントのために無駄遣いをしてしまっては、せっかくのポイントや割引が台無しです。普段と同じ買い物や支払いを経済圏で済ませ、公共料金や毎月支払う費用を同じ経済圏にまとめるという具合に、無理のない形で経済圏を利用する仕組みを作りましょう。そしてポイントを効率よく貯めて、家計に役立てていきましょう。
自分が利用している経済圏と、毎月得られているポイントを確認して、明らかにポイントがたくさん得られる・割引が大きくなるという経済圏があるのであれば、思い切って乗り換え(移住)を考えたほうがいいでしょう。しかし、ポイント還元率や割引などの条件はよく変更される点には留意しておきましょう。
いずれにしても、効率よくポイント還元を受けるならば、どれか1つの経済圏に集約させていくことは大事なポイントです。
経済圏の各決済の中には、簡単な条件を満たすだけで二重取り・三重取りができるものがあります。たとえ0.5%、1%であったとしても、1回の買い物で得られるポイントや割引が増えるのですから、必ず活用しましょう。
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Money&You代表取締役
中央大学客員講師。 慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営。資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。著書は『1日5分で、お金持ち』(クロスメディア・パブリッシング)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂)など多数。日本証券アナリスト協会検定会員。ファイナンシャルプランナー(AFP)。YouTubeチャンネル「Money&You TV」配信中。
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(Money&You代表取締役 頼藤 太希)
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