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「あなたが土下座したら?」キャバ嬢に裏切られた黒服店長がお客の前でとった衝撃の行動

プレジデントオンライン / 2023年5月26日 15時15分

黒服はキャバ嬢をフォローすべき(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Serhii Sobolevskyi

身に覚えのないミスで「謝罪しろ」と迫られたら、どうすればいいのか。カリスマキャバクラ店長の黒服ムラカミさんは「謝罪をすることでその場を収められるなら、躊躇する必要はない。あえて下手に出ることが必要な場面もある」という――。

※本稿は、黒服ムラカミ『黒服の手帳 カリスマキャバクラ店長が教える「部下を動かす」技術』(小学館クリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■なぜキャバ嬢はホストにハマりやすいのか

「やらない善よりやる偽善」という言葉があります。

自分の本心とは一致しなくても、人のためになるのであればやったほうがいい。そういう意味に私は捉えています。

相手に気持ちよく働いてもらうために、場面に応じて褒めたり、優しい声かけをしたりすることがあるでしょう。それらを全部、本心から行う必要はありません。心から思っていなくても行動することが大事です。

キャバ嬢の仕事は感情労働です。精いっぱいのサービスをお客様に注いでいる分、自分自身が優しさに飢えている人が多いといえます。

そのため当店ではキャバ嬢がホストクラブに行くことを禁止しています。優しさに飢えたキャバ嬢はホストにハマりやすいからです。

せっかく稼いだ給料を吸い取られてしまいますし、いいことはありません。

■黒服はキャバ嬢をフォローすべき

ホストに代わる存在になれとは言いませんが、黒服はそんな彼女らの優しさへの欲求をできるだけ満たし、活力を充電できるようフォローする必要があります。

我々の売り物はホスピタリティですから、従業員同士でも大切にしていきたいと思っています。恋愛感情でなければ、「○○に会えるなら出勤しよう」というモチベーションを持つのも、アリだと考えています。

そういった精神でTikTokでキャバ嬢への接し方などを発信していると、「偽善者」と叩かれることがあります。

それでも一向に構いません。言いたい人には言わせておけばいいと思います。

自分を脇において、目の前の相手のために何ができるかについて頭をフル回転させることが、信頼関係をつくる上で必要なのです。

もちろん全ては最終的にお店の利益に繋がることを考えて行っています。

■キャバ嬢が土下座を要求した理由

キャバクラではお客様も接客するキャバ嬢もお酒が入っていますから、些細なことがトラブルに発展するケースが後を絶ちません。

自分に非がなくても謝罪を要求されることがしばしばあります。

ある日、とてもご立腹されているお客様がいました。

責任者である私が呼ばれてお話を伺うと、高級ワインのオーパスワンを飲もうとしていたが、提供されないまま会計の時間を迎えたとのことでした。

キャバ嬢は言います。

「わたしはムラカミに注文を伝えたんですけどね」

そもそもこのテーブルは他の黒服が担当していたので、キャバ嬢が私に直接注文を伝えることはありえません。

他の黒服に伝えたかは定かではありませんが、状況から推測すると、酔っ払ったキャバ嬢が注文を忘れていたのだと思います。

続けて彼女は言いました。

「ムラカミさん、土下座したら?」

お客様はうなずきます。

「そうだな。土下座してくれる?」

そんなことで土下座するなんて……、とも思いましたが、仕方ありません。

「ムラカミさん、土下座したら?」
写真=iStock.com/Tomwang112
「ムラカミさん、土下座したら?」(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Tomwang112

「分かりました。では土下座しますので、お許しください。申し訳ございませんでした」

■あえて下手に出ることが必要な場面もある

このような例は1回や2回ではありません。

事実を確認しキャバ嬢の責任を追及することもできます。しかし彼女を守り、お客様の溜飲(りゅういん)を下げて場をおさめるには、私が土下座するのが一番とそのときは判断しました。

私たちは何でも勝ち負けで判断する傾向があります。その場の流れで土下座までするのは「負け」かと思われるかもしれません。

しかし「負けるが勝ち」ということわざがあるように、あえて下手に出ることが必要な場面もあります。

もしあのとき、私が自己防衛に走って反論していたら、キャバ嬢からもお客様からも信頼を失っていたでしょう。

■優秀なキャバ嬢は放っておいても伸びる

会社組織には、優秀な2割の人間が売上の8割を生み出しているという「パレートの法則」が見られるそうです。

この発展形ともいえる「262の法則」というのもあります。「優秀な人:平均的な人:優秀ではない人」の割合が「2:6:2」になることで、不思議なことにどの組織にも当てはまるようです。

キャバクラも例外ではありません。

お店の売上をつくるためには、この「優秀な人」以外の8割を底上げしていくことが必要になります。優秀なキャバ嬢は放っておいても伸びるからです。

■「下位2割」から「上位2割」に飛び級しやすい

人の入れ替わりが激しい業界ですから、底上げというより、8割の中からいかに次の世代の上位2割になる「ポスト優秀な人」を育てるかが重要、といったほうが適切かもしれません。

優秀な2割の人間が売上の8割を生み出している(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/Chavapong Prateep Na Thalang
優秀な2割の人間が売上の8割を生み出している(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Chavapong Prateep Na Thalang

普通に考えれば、「ポスト優秀な人」は平均的な6割の中から現れると思います。

しかし意外なことに、キャバクラでは下位2割からいきなり上位2割に飛び級するケースが多いのです。

■「自分は商品である」と自覚すると覚醒する

下位に甘んじているキャバ嬢は、職業人としての自覚が足りず、どこか投げやりな態度であることがほとんどです。

髪はボサボサ、スウェットで出勤する、灰皿を替えるタイミングに気づかない、など接客の基本ができていません(出勤時に偶然お客様に見られる、ということはよくあります)。

髪はボサボサ、スウェットで出勤する
写真=iStock.com/burakkarademir
髪はボサボサ、スウェットで出勤する(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/burakkarademir

しかし、そこに「自分は商品である」という「キャバ嬢のあり方」を自覚させると、隠れていた才能が目覚め一気に跳ね上がることがあるのです。

当店でナンバーワンになったあるキャバ嬢が、まさにそういうタイプでした。

キャバクラ未経験で、あまりオシャレとはいえず見た目もパッとしない子でしたが、言われたことを素直にやる長所があります。

接客の要点を一つひとつ教えると実直に行い、気づけばナンバーワンになっていました。

■中位6割は頭打ちの傾向がある

売れるキャバ嬢になるために必要な条件は「まめさと愛嬌」と「プライド」だと考えています。

「まめさと愛嬌」は彼女が持っていたものですが、新たに「プライド」を手に入れることによって、飛躍的に伸びました。

職業人としての誇りにあふれたキャバ嬢がまとうオーラは、優良顧客を引き寄せます。

それが彼女がナンバーワンになれた理由です。

下位2割は当たり前のことが当たり前にできていないから下位になってしまっているわけです。

中位6割は当たり前のことはある程度できているので、残念ながらそこから先は頭打ちになってしまう傾向にあります。

それでも下位の人が伸びると中位の人たちが焦り、競争原理が働いて全体のレベルが上がります。

下位2割の人材からダイヤの原石を探して磨くことも、管理職の重要な仕事といえるのです。

■働くための前提を共有する

キャバクラは従業員にとって、共通の目的・目標を達成するための会社組織です。

会社の目的は利益をあげ、事業を継続すること。目標を達成すれば、我々従業員もより高い給料がもらえます。

このような働く目的・目標を共有し士気を高めるため、毎日、朝礼と終礼を行っています。内容は店のビジョンや目標、情報共有などです。

私の店のビジョンは、まずキャバクラとして地域で不動のナンバーワンを獲得すること。そして県で一番のお店になることです。

目標は売上や延長率(キャバクラは時間制なので、延長が売上に直結します)などその日の目標、月初であれば月間売上目標を数字で示します。

また、「本日は太客(お金をいっぱい使ってくれるお客様)の○○様がいらっしゃるので、しっかり準備していきましょう」といった報・連・相も行います。

黒服ムラカミ『黒服の手帳 カリスマキャバクラ店長が教える「部下を動かす」技術』(小学館クリエイティブ)
黒服ムラカミ『黒服の手帳 カリスマキャバクラ店長が教える「部下を動かす」技術』(小学館クリエイティブ)

朝礼で話題にすることはありませんが、スタッフ一人ひとりのビジョンや目標も、店長である私と共有しています。

個人の目標は店の目標と繋がるように設定したものです。朝礼で私が店の目標を語る度に、スタッフが個人の目標を思い出し、モチベーションを高めることを期待しています。

何のために仕事をしているのか。そういう働くための前提が共有されていない組織は多いと思います。

私が過去に勤めていた店ではこういった朝礼を行っていなかったため、途中から取り入れました。

以前はどこかなあなあで業務が始まる雰囲気がありましたが、朝礼を行うようになってからは、みな気が引き締まる思いで一日を始めています。

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黒服ムラカミ(くろふくむらかみ)
キャバクラ店長
1987年生まれ。ホテルマンやアパレル店員などを経験したのち、愛媛や銀座のキャバクラ勤務を経て、千葉市のキャバクラ「Club Runway」の店長となる。13年間の黒服経験で接してきたキャバ嬢の人数は1万人以上。宣伝のためTikTokに投稿した「キャバクラあるある」「黒服の日常」などの動画が話題を呼び、キャバ嬢や若者を中心に共感と関心を集める。

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(キャバクラ店長 黒服ムラカミ)

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