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予備校に通うより安いのに効果はほぼ同じ…難関資格の最短合格を引き寄せる「最強の勉強法」とは

プレジデントオンライン / 2023年5月28日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/itakayuki

資格取得の勉強を続けるには、どうすればいいか。歯科技工士として働きながら、社会保険労務士や医薬品登録販売者試験に一発合格した吉岡裕樹さんは「とくに最初の基礎固めで挫折する人が多いようだ。この時期を乗り切るためには、講義動画を聞くなど『耳学』を取り入れるといい」という――。

※本稿は、吉岡裕樹『資格試験に一発合格! 要点だけ見えてくる 超シンプルマーキング術』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■資格取得までの3つのフェーズ

本稿では私が勧める「超シンプルマーキング術」を用いた勉強法の「三つの段階」で、何をするかをお話しします。

三つの段階にはそれぞれ、役割があります。

①基礎固め期:理解するフェーズ
②実力養成期:練習するフェーズ
③直前期:確認するフェーズ

この3段階は、例えるなら、ゲームのステージを上がっていくのと同じです。

一つひとつの問題は、倒すべき敵です。その敵を1体ずつ倒し、最終的には本試験という「ラスボス」相手に勝利を収めなくてはなりません。「理解・練習・確認」という各フェーズは、その戦闘力をアップさせるために組まれています。

基礎固め期の目的である「理解」とは、敵を知ることです。

「彼を知り己を知れば百戦殆あやうからず」――相手を知り、自分を知れば、どんな戦いにも負けることはない、と孫子も言っていますね。

資格試験の勉強において相手を知ることとは、その分野を学習することのみならず、出題者の意図を知ることを意味します。「出題者の脳の中」というワールドへの冒険が、今始まろうとしているのです。

■基礎固め期は「書いてある内容を知ればいい」

「理解」というと、テキストに書かれたことや、出題者の脳内を第1段階で全部把握しなくてはならないのか、と思われるかもしれませんが、そうではありません。

最初の1周目は気負わずに、「だいたいこんなことが書いてある」と知るだけで十分です。「そんなに薄くて良いのか?」という心配も必要ありません。「超シンプルマーキング術」を使って進めると、2周目以降は「だいたい」ではなくなり、加速度的に理解が緻密になっていきます。

この1周は、テキストではなく、問題集を1周するのだということはもうご存じですね。1問ごとにテキストに戻り、該当箇所を見て、図を描いて、また次の1問へ。これをグルグルと回すやり方は、3段階に共通しています。

その中で、基礎固め期=1周目のゴールは、その資格の学習分野に「慣れる」ことにあります。

未知の分野と出会って、知り合って、いろいろな面を知って、こう接していけば良いのだと「理解する」。そう、人と人が距離を縮めていくプロセスと同じです。

■試験勉強の最初の敵は「弱気」

慣れるには何が必要かというと、当たり前ですが、「インプット」です。敵を倒すアイテム、つまり知識という武器を、一つずつ備えていく時期といえます。

学ぶべき内容が多ければ多いほど、敵は大軍だということです。こちらはひたすらインプットして、戦力を増強しなくてはなりません。

この場面で、多くの人は最初の関門に突き当たります。それは「弱気」です。これまた至極当たり前ですが、敵との戦闘力の差は、学び始めのときが最大値です。ところが、この当たり前を当たり前と思えず、「難しい、全然分からない!」「自分には無理!」と恐れをなして、チャレンジ自体を諦める人が少なくないのです。

期末試験の準備をしている学生
写真=iStock.com/GCShutter
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GCShutter

この弱気を取り除けるか否かが、重大な分かれ道です。

あまり知られていないことですが、学習の序盤は、この時期に大暴れする「影の強敵=つい逃げ腰になるメンタル」を追い払う手立てを用意することが必須です。

■「耳学」は初期のインプットに最適

そこで登場するのが、「耳学」です。

第1段階では耳を使った学習がメイン。テキストにひもづいた動画や、通信教育プラットフォームのオンライン授業など、耳から聞ける学び方を積極的に取り入れましょう。

動画は、読んで字のごとく、動いている画を「見る」ものだと思っている方も多いでしょう。しかし、大事なのは「聞ける」ことです。動画内の板書はテキストで代用できますが、テキストや問題集は声を出してはくれないからです。では、なぜ「声」を聞く必要があるのでしょうか。

耳学は、「両手がふさがっていても学べる」という実用的なメリット以上に、メンタルを支える効用があります。テキストを読むのと、動画講義の声を聞くのと、どちらが「教えてくれている」感じがするでしょうか。当然、後者ですね。

耳学は、「自分はひとりではない」という感覚をもたらしてくれます。その安心感がベースにあると、耳から入ってくる情報がさらに、脳にインプットされやすくなるのです。人の声で届くと、自分に向かって語りかけてくれているような気がして元気が出ますし、集中力も上がります。先生が「ここ大事ですよ!」と言うと、実際にどこが大事なのか意識に残りやすいという利点もあります。

北欧スタイルの家の日本人男性は、ポッドキャストを聴いてコーヒーを入れています。
写真=iStock.com/visualspace
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/visualspace

■やる気がない日も10~20分動画を聞く

基礎固め期にはもう一つ、重要な役割があります。それは、勉強の習慣を身につけることです。

何事も、初期が一番大変なもの。「資格を目指す」という一念発起のモチベーションが推進力となってはいるものの、先ほど話した弱気が頭をもたげることもあります。

そうした時期だからこそ、やる気が出ない日でもせめて10~20分、問題集を読むか、動画を聞きましょう。小さく何かを行えば、「この部分のテキストも見てみようかな」というふうに、続けたくなるものです。万一そうならなくても、少しだけ何かをしたという行動自体が、習慣化の基盤になります。毎日同じことをすると、あるとき「しないと気持ち悪い」と思うときがくるのです。戦闘力はまだまだ低くとも、地道に毎日、力を積み重ねていきましょう。

■「耳学」は予定が組みやすい

先ほど、耳学の魅力を二つお伝えしました。

加えて、実はもう一つ、メリットがあります。それは、ペースメーカーになることです。

音声を聞くことは、黙読よりも時間がかかります。しかし、それぞれのコンテンツの時間が決まっているため、一日の予定が組みやすいのです。「今日は何時から何時まで、1本見られる」と決められて、延長も起こり得ません。時短ができないデメリットより、こちらのメリットの方を、私は強く感じていました。

さて、この三つ目のメリットの観点でいうと、「最強の耳学」は、予備校の授業ということになります。

予備校は、授業が始まる時間も終わる時間も、学校側で決められています。つまり強制力があるのです。こちらのやる気のあるなしに関わらず、授業の時間は必ずやってくるのですから、ペースメイクは万全といえます。

デメリットは「費用がかかる」ことですが、これだけかけたのだから無駄にできない、という気持ちがやる気を後押ししてくれる面もあるでしょう。ですから予備校に通うという選択肢は、一度は検討した方が良いと思います。

■耳学を「予備校」にしよう

私が勧める勉強法は予備校というハイコストな手段を使わずに、知識を強化する方法を語るものです。にもかかわらず皆さんに予備校の話をした理由は、夜の勉強時間を「予備校的」にしてほしい、という思いがあるからです。

毎日、動画を見始める時間をそろえて、「何時から何時までは授業に出る」というような感覚で臨めば、集中力・理解力が大いに高まります。

リビングルームで自宅で住宅金融計画に取り組むアジア系中国人女性
写真=iStock.com/Edwin Tan
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Edwin Tan

さて、そのときに何を聞くかは、予備校と違って、自分で選ばなくてはなりません。ですから、自分に合った耳学の方法を見つけ出しておくことが重要になります。

私は「講義動画のQRコードがついたテキストを買う」という方法を推奨しています。しかし、実はそれ以外にもいろいろな方法があります。

たとえば、社会人向けのオンライン学習サービスです。

教育系の大手企業からベンチャー企業まで、さまざまな会社が、資格の講座を取り揃えた動画プラットフォームを提供しています。これらは、いわば予備校のオンライン版で、費用もさほどかからないのがメリットです。

デメリットは、手持ちのテキストと、講座の教材との兼ね合いに困る点です。通信講座のテキストは分冊型になっていることが多く、持ち運びがしにくいので、読まないままになることがしばしばあります。

デジタルベースの教材になっている講座もありますが、「テキストはアナログで見たい」という方には合わないかもしれません。

■おすすめの「耳学」教材の探し方

もう一つ、さらにカジュアルな方法があります。YouTubeなどの動画配信サイトで動画を見ることです。その資格を取って職業としている人や、予備校で教えている先生など、さまざまな投稿者が、授業形式で動画を発信しています。

費用もかからず、非常に気軽な方法といえますが、デメリットが三つあります。

吉岡裕樹『資格試験に一発合格! 要点だけ見えてくる 超シンプルマーキング術』(KADOKAWA)
吉岡裕樹『資格試験に一発合格! 要点だけ見えてくる 超シンプルマーキング術』(KADOKAWA)

一つは、良い動画に巡り合うまでに、意外と時間がかかるということです。無料動画の世界は玉石混淆(ぎょくせきこんこう)で、その中から「玉」を探すまでにいろいろな動画を見なくてはならず、時間のロスが発生します。

二つ目は、資格によっては「玉」が少ない可能性があるということです。プロの先生による動画も、本業として有償で教えている内容よりは、簡略化された内容になっているかもしれません。

三つ目は、体系的に学びにくいことです。本や問題集と違って、動画配信サイトの動画は、順序立てて発信されるわけではありません。「知っている前提」でハイレベルな知識を語られてしまうこともあれば、複数の動画で基礎的な内容が重複して語られていることもあります。

そういうわけで、やはり私のおすすめは、「テキスト連動型の動画」ということになります。

とはいえ、テキストの動画をメインとしつつ、動画配信サイトを補助的に使うのは、とても良い方法です。テキストの動画を見ても、一問一答の解説やテキストを読んでも、いまひとつ分からない……というときは、動画配信サイトで検索をかけてみましょう。別の先生の切り口で語ってもらうと、すっきり理解できることがあります。

早く知りたいときは動画ではなく、普通の検索エンジンで、文字ベースの解説を探すと良いでしょう。

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吉岡 裕樹(よしおか・ひろき)
歯科技工士、社会保険労務士
早稲田大学大学院法学研究科(修士課程)修了後、資格予備校の講師や、法律事務所の事務職として勤務。歯科医療関係の会社で歯科技工士を務めながら、2016年に医薬品登録販売者試験(東京都)、2019年に社会保険労務士試験(合格率6.6%)に一発で合格。その他、宅地建物取引士資格、日商簿記検定2級など、多数資格を取得している。著書に『資格試験に一発合格! 要点だけ見えてくる 超シンプルマーキング術』(KADOKAWA)

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(歯科技工士、社会保険労務士 吉岡 裕樹)

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