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「年収いくら? 隠す必要ないじゃない」詮索して人を見下したい人に言い返す"スマートな撃退フレーズ"3例

プレジデントオンライン / 2023年5月29日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AH86

日常生活でついうっかり口にしてしまう「マナー違反」の言葉の数々。新刊『失礼な一言』で多くの事例を収集したコラムニストの石原壮一郎さんがマネー関連で挙げるのが「年収いくら?」というぶしつけな発言。いったいどんな対応をするのがよいのだろうか――。

※本稿は、石原壮一郎『失礼な一言』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

■お金という油断大敵な魔物

「あいつは金に細かい」

このセリフを口にするのは、自分自身が「金に細かい」人です。使われるのは、借りたお金を約束の期限になっても返さなくて、相手に催促されたとか、割り勘の端数を(気前よく払ってくれずに)きっちり計算されたといった場面。

いずれも、相手には何の非もありません。ただの逆恨みです。しかし、本人の中では「損した」という認識なのでしょう。仮に、そういう人に「細かいのはお前だよ」と指摘しても、すぐ「あ、そっか」と気づく人は少なそうです。

お金がからむと、人は身勝手な思考に陥りがち。イラストレーターや漫画家やカメラマンがよくこぼしているのが、友人や知人からタダで絵や写真を頼まれるという状況の悩ましさ。もちろん、相手との関係性によっては、結婚式のウェルカムボードを喜んでタダで描いたり、家族写真を楽しくタダで撮ったりするケースも多々あるでしょう。

しかし、当たり前のようにタダ前提で頼んでくるのは、たいてい薄い関係の友人です。適当な理由を付けて断わると「水臭い」と怒られ、意を決して「タダはちょっと」と言うと、それこそ「金に細かい」「友達なのにガメツイ」などと非難してくるとか。

専門家の技術や知識をタダで利用しようとするのは、店の商品を「友達だからタダでよこせ」と言っているのと同じです。同級生の外科医に手術してもらって、「友達のよしみでタダにしてくれ」と言う人はいないでしょう。

いわゆるクリエイティブな仕事に対して、世間は「遊んでるみたいなもの」と考えがち。「ダメモトで頼んでみて、あわよくばタダで」というセコくて図々しい発想の人もいます。しかし、頼まれたほうは「やるべきか断わるべきか……」と激しく葛藤し、多大なエネルギーを使わなければなりません。

どんな業種や状況でも、タダを期待した「ダメモト」は、失礼で迷惑な頼み方だと認識しましょう。

■おごり方、おごられ方

ちょっと話がそれた気がしますが、お金という魔物の油断ならなさと、「専門家にタダでものを頼むこと」への積年の怒りを感じ取ってもらえたら幸いです。

お金がらみの失礼といえば、身近なのは「おごる、おごられる」の問題。よかれと思って食事やお酒をおごっても、感謝されるどころか「なんだこの人」とガッカリされたり、おごられたときの反応で「大丈夫かなこいつ」と心配されたりといったケースは、とてもよくあります。

当研究所が集めた実例から、まずは「おごる側」がうっかりやりがちな失礼をあげてみましょう。

〈第三者に「あいつ、おごってやったのにお礼もロクに言わない」など、反応への不満を漏らす〉
→失礼というか、器の小ささを露呈するみっともない態度。おごって「いい気持ち」になった時点で、ギブアンドテイクは完結しています。


〈店を出たあとで「意外に高かったな」と金額に文句を言う〉
→おごられたほうは、念入りに恐縮したり感謝したりしなければならなくなります。
〈「これだけおごったんだから、わかってるよね」と見返りを求める〉
→下心系の場合も接待系の場合も、それを言っちゃあおしまい。せっかくの出費が逆効果になります。

スマートで恩着せがましくないおごり方をマスターするのは、大人のたしなみであり目標。そして、いつか言ってみたいのが、

「俺も上司や先輩にさんざんおごってもらったからな。お前もいつか部下や後輩におごってやってくれ」

というセリフ。「恩送り」の考え方ですね。ただ、まずはおごらないと言えないのがネックです。

20万円ほどの紙幣をこちらに見せている男性の手元
写真=iStock.com/GF days
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GF days

おごり方以上に難しいのが、おごられ方。続いて「おごられる側」がやりがちな失礼をあげてみます。

〈おごられる前提ではあるけど、おごられるのが当然という顔をする〉
→会計のときに、いちおう財布を出す素振りや、「い、いいんですか?」といったひと言は必須です。


〈目上の相手がおごってくれようとしているのに、『いえいえ、割り勘で』と頑なに拒否する〉
→よっぽど「こいつにおごられたら絶対ひどい目に遭う」という状況じゃない限り、「ま、いい気持ちにさせてやるか」ぐらいのつもりで、ありがたくおごられましょう。
〈おごってもらっておいて、料理の味や店の雰囲気に文句を言う〉
→論外です。料理や店は無理してでもホメましょう。おごってくれた側から「マズかったね」と水を向けられても、同意してはいけません。

店を出たあとの「ごちそうさまでした」だけでなく、相手が上司や先輩なら翌日会社であらためてお礼を言うなど、おごられる側が守るべき当然のお作法は多々あります。

「そんな面倒な思いをするなら、おごってもらわなくていい」と言いたくなるかもしれません。しかし、それは浅はか。ご承知の方はご承知のとおり、面倒を乗り越えたところに、コミュニケーションの楽しさや人間関係の醍醐味があります。そして「当然のお作法」の多くは、自分の株を簡単に上げてくれる便利な手段でもあります。

■大らかに受け流そう

お金という魔物に支配されている人がやりがちなのが、「人の年収を詮索する」という行為。

興味深いのはわかりますが、何のために知りたいのか。自分よりも多かったら嫉妬心を抱いて相手を憎みたくなるし、少なかったら優越感を抱いて相手を見下すでしょう。

どちらにせよ、最大級の失礼です。

しかし、聞きたがる人は「隠す必要なんてないじゃないか」と身勝手な欲望を正当化するばかりで、自分の中の卑しい了見には気づきません。自分のほうが多いとわかっていて、自慢のきっかけとして聞いてきたり、人に聞いておいて自分は言わなかったりといった悪質なケースも報告されています。

石原壮一郎『失礼な一言』(新潮新書)
石原壮一郎『失礼な一言』(新潮新書)

必然性もなく聞かれた場合は、

「どうして知りたいの?」

と尋ね返して撃退しましょう。場の空気が悪くなるのは避けたい場面なら、唐突な関西弁で「ぜんぜんあきまへんわ」と曖昧に返したり、「希望としては1億円かな」と煙に巻いたりする手もあります。

お金という魔物と、平常心で穏便に付き合うのは容易ではありません。強引に抑えつけると見栄っ張りに見えるし、下手に出るとケチ臭さが漂います。厄介なヤツという前提で、お金がらみの失礼に遭遇したときには、大らかな気持ちで流すことも大切かもしれませんね。

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石原 壮一郎(いしはら・そういちろう)
大人系&検定系コラムニスト
1963年三重県生まれ。1993年に『大人養成講座』でデビューして以来、大人の素晴らしさと奥深さを世に訴え続けている。『大人力検定』『父親力検定』『大人の言葉の選び方』など著書多数。最新刊は、会社の理不尽と戦うための知恵と勇気を授ける『9割の会社はバカ』(飛鳥新社、共著)。郷土の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」を務める。

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(大人系&検定系コラムニスト 石原 壮一郎)

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