朝食は毎日納豆とみそ汁でいい…限りある時間をダラダラと無駄にしないために今すぐできること
プレジデントオンライン / 2023年5月27日 18時15分
※本稿は、内藤誼人『「ダラダラ時間」をリセットする最新心理学BEST60』(春陽堂書店)の一部を再編集したものです。
■人生の終わりを強く意識し、カウントダウンしながら生きる
ダラダラしてしまう人には、共通してみられる特徴があります。それは、「時間なんていくらでもある」と何となく思い込んでいること。本人には、「時間をムダに浪費している」という意識はありません。時間なんて空気のようにいくらでもあると考えているのです。
無尽蔵にいくらでも手に入ると思えば、「大切に使おう」という意識が生まれるはずもありませんよね。
したがって、ダラダラ時間を減らす第一歩は、「時間がなくなってしまうぞ!」という危機意識を持つこと。人生には終わりがあることを強く意識し、カウントダウンしながら生きるのです。そうすれば、一秒たりとも時間をムダにしたくない、と考えるようになりますよ。
『限りある時間の使い方』(オリバー・バークマン著 高橋璃子訳/かんき出版)によると、人生をかりに80年とすると、だいたい4000週間になるそうです。人生は、たった4000週しかないのですよ。
「たった4000週!」という事実を知ると、一日一日がものすごく貴重で、大切だと感じませんか。
今、40歳の人に残された時間は、2000週ですよ。そう考えると、少しは慌てるのではないかと思います。
ダラダラする人は、切羽詰まることがないので、ダラダラしてしまうのです。これではいけませんので、残りの人生をカウントダウンしながら生きるようにするのです。そうすれば、ものすごく人生が充実してくるでしょう。
■30日後に引っ越しをイメージすると満足度が高まる
これまでダラダラ生きていた人も、お医者さまから、「余命1年」と宣告されたら、どうでしょうか。おそらくは残された1年間をできるだけ有意義に使いたい、と感じるようになるはずです。
この“人生カウントダウン・テクニック”の有効性は、実験でも確認されています。
アメリカ・コロンビア大学のクリスティン・レイアス氏は、139人の大学生を2つのグループにわけ、片方のグループには次のように指示しました。
「あなたは30日後に、今住んでいる場所から遠く離れた場所に引っ越さなければならない、とイメージしてください。今の場所に住んでいられるのも残り30日。毎日、カウントダウンしながら生活してください。会いたい人に連絡したり、訪れておかないと心残りになりそうな場所に行ったりしてください」
![オフィス用品と工場を移動ボックスに](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/e/e/1200wm/img_eef0b87edf48cf87fc4776a64c9b90d3664476.jpg)
一方のグループは比較のための条件(コントロール条件)です。こちらには、何の指示も出さず、30日間、毎日の活動の記録をつけてもらいました。
さて、30日の記録をとってもらい、そこからさらに2週間が経過したところで、自分の人生にどれだけ満足しているかを尋ねてみると、「あと30日しかない」というイメージを抱きながら生活していたグループのほうが、はるかに満足度が高くなっていることがわかりました。
人生には限りがあると思っていると、時間の使い方にも気を配るようになりますし、そうすることによって人生を深く味わうことができ、生きている喜びを強く感じられるようになるのです。
「私の残りの時間は……」とたえず意識しながら生活しましょう。ダラダラしているのがもったいない、という気持ちになれればしめたものです。
■多くの選択が与えられると、満足できなくなる
現代のように豊かな社会においては、何をするにしても、ものすごく多くの「選択肢」が用意されています。
たとえば、食事をするにしても、和食にするか、中華料理にするか、イタリアンにするか、などたくさんの選択肢があります。遊ぶにしても、スマホのアプリゲームもあれば、スポーツもあれば、キャンプもあれば、というように、たくさんの選択肢があるものです。
それだけ日本も豊かになったという証拠ですし、そのこと自体は非常にありがたいのかもしれませんが、1つ困った問題が生じるようになってしまいました。私たちは、たくさんの選択肢を見せられると、どれに決めればよいのかわからなくなってしまい、行動できなくなってしまうのです。
スイス・バーゼル大学のベンジャミン・シェイベーン氏は、あまりに多くの選択肢が与えられると、人は選択することができなくなり、かりに決定をしても、自分の決定に満足できなくなる、と指摘しています。選択肢が多いのも、困りものなのです。
私たちが、ダラダラ(というか、まごまご)してしまう理由の1つとして、「選択肢が多すぎるから」ということをあげてもよいかもしれません。選択肢が多いと、どれか1つに決めかねてしまうのです。
■選択などしない生活を心がける
では、どうすればダラダラせずに決められるのでしょうか。
簡単な話で、選択などしないようにすればいいのです。
いちいち選択しようとするから、ダラダラしてしまうのですから、「選択しない」ように自分のライフスタイルを見直せばいいのです。
毎日、どの洋服を着るかで時間をかけてしまっている人がいるとしましょうか。それは、たくさんの洋服を持っているのが悪いのです。選択肢が多いので、なかなか決められず、しかも何とか決めたあとでも、「やっぱり他の服のほうがよかったかも?」などと考えてしまうのです。
その点、洋服をそもそも5着しか持っていなければ、平日はその5着を月曜から順番に着ればすむことなので、まったく迷いません。洋服選びでダラダラしなくなるのです。いらない洋服を大胆に処分し、選択に困らないようにするのがコツです。
朝食は、いつでも納豆とみそ汁と決めておけば、メニューを考えずにすみます。週末には必ず釣りを楽しむ、と決めておけば、「週末は何をして過ごそうか……」などと考えずにすみます。
できるだけ自分の生活をシンプルにし、選択に困らないようにしてみましょう。そうすれば、自然とダラダラしない生き方ができるようになります。
■エネルギー不足はサプリメントで解消する
何をするにしても、いまいち気分が盛り上がらず、やる気も出ない人がいます。やる気が出ないので、ダラダラしてしまうのです。
こういう人は、ひょっとすると食生活がよくないのかもしれません。必要な栄養をとっていないので、やる気も出てこないという可能性が非常に高いです。
必要な栄養をとっていなければ、やる気が出ないのも当たり前ですよね。自動車はガソリンがなければ走ることはできませんが、人間も同じ。行動するには、エネルギーが必要ですが、そのエネルギーとなる栄養をとっていなければ、力が出せるわけがないのですよ。
「きちんと食事はしているのですが……」という人もいるでしょうが、好きなものだけを食べていれば、栄養は偏ってしまい、同じようにエネルギーは出ません。ビタミンや亜鉛、鉄など、必要な栄養素をとらないと、パワーは出ないのです。
そこでおすすめなのが、サプリメント。
![サプリメント](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/4/5/1200wm/img_45fd6a3103d692629780e5b6ee43d81a502223.jpg)
栄養のバランスを考えながら食事をすればよいのでしょうけれども、それは少々面倒くさいので、サプリメントで代用するのです。こうすれば自然と身体にパワーがみなぎってきて、ダラダラしなくなります。
■ダラダラぐせは「偏食」という共通点
デンマーク・オールボー大学のアーネルト・ハンセン氏は、コペンハーゲン・マラソンに参加するアマチュアランナーにお願いし、片方のグループには、マラソン前に好きなものを食べてもらい、一方のグループには、栄養学に基づいたエネルギーのタブレットを飲んでもらいました。
このタブレットには、1粒あたり20グラムのマルトデキストリンとグルコース、0.02グラムのナトリウム、0.03グラムのカフェインが入っています。
大会が終わったところでタイムをみてみると、好きなものを食べてもらったグループは平均3時間49分26秒で、きちんと栄養をとってもらったグループでは平均3時間38分31秒という結果になりました。きちんとした栄養をとっておくと、パワーが出るのか、タイムも速くなることがわかりますね。
しっかりと栄養をとっていないのに、「やる気だけ出そう!」と思っても、これはムリですよ。エネルギー不足なら、やる気が出なくて、ダラダラしてしまうのも当たり前といえば当たり前のことです。
ダラダラぐせのある人には、だいたい共通して「偏食である」という特徴がみられるのですが、必要な栄養をとっていなければ、ダラダラしてしまうのもしかたないのかな、という気がします。
普段、自分がどんなものを食べているのか、必要な栄養は足りているのか、そういうこともちょっと考えてみてください。「なんだ、私がダラダラしちゃうのは、単純に食事に問題があっただけなのか!」ということに気づけるかもしれませんよ。
■「疲れたときには甘いものを食べるとよい」の真実
必要な栄養をとっていないと、やる気が出ませんというお話をしました。
これに関連してもう1つお話をしておきますと、意思力や精神力のようなやる気に関係している栄養素は、グルコース(ブドウ糖)です。私たちがやる気を出すにはエネルギーが必要ですが、そのエネルギーは、グルコースによって生まれるのです。
したがって、「どうにもやる気が出なくて、ダラダラしちゃうんだよねえ」という人は、ブドウ糖を多く含んだ、ブドウやバナナ、はちみつなどを積極的に食べてみてください。「あら、不思議、なんだかやる気が出てきたぞ!」という気持ちになれることを保証します。
アメリカ・オハイオ州立大学のブラッド・ブッシュマン氏によると、グルコースが足りていない人は、自分の感情をうまくコントロールできなくなる、と述べています。感情をコントロールするにはエネルギーが必要なのですが、そのエネルギーの源はグルコースですから。
グルコースが足りていれば、私たちは、やりたくもないことでもけっこう何とかこなせるものです。
昔から、「疲れたときには甘いものを食べるとよい」といわれているのは、本当のことだったのです。いまいち気分が乗らないときには、何か甘いものを口に入れることです。
「そうはいっても、甘いものを食べていると、太ってしまいますよね?」という心配をする人もいるでしょうね。
たしかに、そんなに甘いものばかり食べていたら、肥満になってしまいそうです。
■砂糖を含んだレモネードでうがいするだけでいい
では、こうしてください、ブドウ糖を含んだ飲み物を口に入れ、うがいだけをして、もったいないかもしれませんが、吐き出すのです。
![内藤誼人『「ダラダラ時間」をリセットする最新心理学BEST60』(春陽堂書店)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/a/1200wm/img_0a3797d669406941185fa9a546ff0a89257299.jpg)
アメリカ・ジョージア大学のマシュー・サンダース氏は、精神的に非常に疲れる作業(文章を読んで、単語に含まれる「e」というアルファベットだけを線で消していく)をやらせてから、砂糖を含んだレモネードでうがいをさせると、疲れがとれて、次にやらせた同じように疲れる作業がスイスイできるようになった、という報告をしています。
サンダース氏によると、うがいをさせるだけなので、グルコースは体内に吸収されていないはずなのに、グルコースを摂取したときと同じ脳の部位(前帯状皮質や線条体など)が活性化して、やる気が出るのだそうです。私たちの脳は、意外にだまされやすいのですね。
ともあれ、疲れたときには、ちょっとだけ休憩して、甘いものでも食べてみるのもいいかもしれません。エネルギーをとらないのに、そんなに長く頑張ることはできません。当たり前の話ですが、適度にエネルギーを補充するのを忘れずに。
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心理学者
立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は手品、昆虫採集、ガーデニング。『すごい! モテ方』『すごい! ホメ方』『もっとすごい! ホメ方』(以上、廣済堂出版)、『ビビらない技法』『「人たらし」のブラック心理術』(以上、大和書房)、『裏社会の危険な心理交渉術』『世界最先端の研究が教える すごい心理学』(以上、総合法令出版)など著書は200冊を超え、、近著に『めんどくさい人の取扱説明書』(きずな出版)がある。
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(心理学者 内藤 誼人)
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